ひろがるスカイ!プリキュア~スーパーヒーローズ~ 作:のぞむ
「お先に失礼します!」
「今日は疲れただろう。ゆっくり休みなさい」
「はい!」
この日の任務を終えたソラはシャララ隊長の元へ来ていた。
「…ベリィベリーの事だが…小さい頃、腕に大きな怪我をしてな、そのせいで3年間入隊試験に落ち続けたんだ。だが誰よりも努力して強くなった。だからあんな風にこだわる。強さと弱さに…」
「私、ベリィベリーさんに酷い事を…」
「今のベリィベリーには必要な言葉だった…ただ覚えておいてほしい。正しい事を最後までやりぬく、それがヒーロー…でもだからこそ、正しいとは何なのか、ヒーローは考え続けなければならない。ベリィベリーにはベリィベリーの正しさがあるように…難しいな、ヒーローというものは…」
「…私、ベリィベリーさんに謝ってきます!」
「あ、いや、明日の方が…」
「明日じゃ遅すぎます!」
そう言ってソラは部屋から飛び出していった。
「そうだったんですね…」
その頃、ヒロもベリィベリーから過去の事を聞かされていた。
「…私は、誰よりも努力したつもりだ…なのにソラに負けた。あいつの言う通り、私が間違っていたのか…?」
ベリィベリーは顔を下に向けて少し落ち込んでしまう。
「それは違うと思います」
「えっ…?」
「だって、ベリィベリーさんにはベリィベリーさんなりの正しさがあるんじゃないですか?ソラちゃんにだってソラちゃんの正しさがあると思います。だから、そこまで深刻に考えずに自分が正しいって思う事は貫き通せば良いんじゃないですか?」
「自分が正しいと思う事を貫く…」
「ベリィベリーさん、ソラちゃんと話をしてみませんか?僕から掛け合ってみますよ」
「ソラと…?」
「はい!ソラちゃんは優しい子です。ベリィベリーさんの事を知ればちゃんとわかってくれると思います」
「…して…」
「はい?」
「どうして私の事をそこまで気に掛けてくれるんだ…?私はお前の恋人が入隊することに反対したし、酷い事も言った…それなのにどうして…?」
「僕が放っておけないって思ったからです」
「それだけで…?」
「はい。困っている人を助けるのに細かい理由はありません」
「そっか…ありがとう」
ヒロに礼を言ったベリィベリーは階段から立ち上がる。
「ベリィベリーさん?」
「ソラと話してみるよ。お前と話して決心がついた」
「そうですか。僕も行きましょうか?」
「いや、1人で行くよ。それに…」
ベリィベリーはヒロを見てこう言った。
「女の私がお前と一緒にいたら、ソラが誤解するかもしれないだろ?」
「え?確かにベリィベリーさんは魅力のある人だと思いますけど、流石に大丈夫だと思いますよ」
「…それ、ソラ以外に言わない方が良いんじゃないのか?」
ベリィベリーは少し呆れながら笑みを浮かべる。
『彼女の言う通りだ』
すると普段はヒロの中にいるクリスの若干呆れたような声が聞こえてきた。
「クリスちゃん!?」
「クリスちゃん?」
「あ、なんでもありません!(僕にしか聞こえてないのかな…?)」
『驚かせてすまない…』
「だ、大丈夫だけど…っていうかこっちでも僕と話せるの?」
ヒロは小声でクリスに話しかける。
『ああ…それよりヒロ、近くに怪しい気配を感じる』
「怪しい気配?」
『ああ、用心しておいてくれ』
そう言い残すとクリスの声が聞こえなくなった。
「どうしたんだ?」
「…ベリィベリーさん、僕から離れないでください」
「え?」
「…隠れてないで出てきたらどうなんだ?」
ヒロはそう言って辺りの建物を見る。
「凄いね。僕の気配に気づくなんて…」
そう言って現れたのは頭にバッタのような触覚を生やし、黒のジャケットを着ている男であった。
「お前、アンダーグ帝国の刺客だな!」
「その通りさ。僕はバッタモンダー」
そう言ってバッタモンダーがこちらに向かって来る。
「それにしても君…中々可愛いね。こんなに可愛い少女を見るのは久しぶりだよ」
バッタモンダーはヒロを見てそう口にする。
「…僕、これでも男なんだけど」
「…は?」
ヒロの言葉を聞いてバッタモンダーは声を漏らす。
しばらく放心状態になるバッタモンダーであったが次第に顔をしかめていく。
「はぁ~!?その面で男だと!?紛らわしい顔してんじゃねぇよ!」
「は…?」
先程のキザな態度とは打って変わり、乱暴な口調になるバッタモンダー。突然の事にヒロとベリィベリーは驚いてしまう。
「…もしかして、それがお前の本性?」
「ハッ!…ゴホン!取り乱してしまいすまなかったね…それはそうと君」
バッタモンダーはベリィベリーに話しかける。
「な、なに…?」
「さっきの話、聞いていたよ。ずっと1人で頑張って来たんだね…でも、もう頑張らなくても良いんだよ?君を傷つける君を傷つけるこんな世界、僕が壊してあげるから…カモン!アンダーグ・エナジー!」
「ランボーグ!」
そう言ってバッタモンダーはベリィベリーのグローブにアンダーグ・エナジーを注ぎ込み、ランボーグにした。
ベリィベリーは倒れ、気を失ってしまう。
「ベリィベリーさん!」
ヒロはすぐさまベリィベリーに駆け寄る。
「ヒロくん!」
そこへソラ、ましろ、ツバサが駆け付けてきた。
「みんな!」
「お兄ちゃん!ベリィベリーさんは!?」
「大丈夫!気絶してるだけだよ!」
「良かった…あの人は?」
「バッタモンダー。アンダーグ帝国の刺客だよ!」
「アンダーグ帝国の!?」
ましろはバッタモンダーがアンダーグ帝国の刺客だと聞いて驚いてしまう。
「僕はベリィベリーさんを安全な所に連れていくから、ひとまず頼んだよ!」
「はい!」
ヒロはベリィベリーを抱きかかえ、その場から去っていった。
「行きましょう!」
「うん!」
「はい!」
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!!」
「「「レディ・ゴー!!」」」
「「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」
ソラ達はプリキュアに変身し、ランボーグを見る。
「ランボーグ!」
ランボーグはスカイ達にパンチを突き出してくる。3人はそれを躱すがランボーグはもう片方の手に雷を纏い、スカイに向かってパンチをし、スカイはその攻撃を躱した。この雷はグローブの力で成り立っているのだろう。
ウィングがランボーグの周りを飛んで錯乱する。しかしランボーグはウィングの動きを見切り、ウィングを殴り飛ばした。
次にプリズムがランボーグに光弾を放つがあまりダメージを受けていなかった。
「この程度かい?プリキュア…」
「くっ…!」
「まだだ!」
するとそこにソールが駆け付け、ランボーグに光の剣を飛ばして怯ませる。
「ソール!」
「お待たせみんな!」
「なっ!なんだお前!?」
「さっき会っただろ?」
「さっき…まさかあの女顔か!?余計女みたいになりやがって!」
バッタモンダーのリアクションを無視し、ソールはスカイ達の方を見る。
「みんな、大丈夫?」
「うん。でもあのランボーグ、雷も飛ばしてくるから凄く厄介だよ…」
「そっか…よし!」
ソールは銀色のスカイトーンを取り出し、スカイミラージュにセットする。
「キュアソール・クリスフォーム!!」
ソールはクリスフォームになる。
「ランボーグー!」
ランボーグはソール達に雷を放ってくる。
ソールは素早く雷を躱し、ランボーグの懐に入る。
「ラッ!?」
「ハァーッ!!」
ソールはランボーグに蹴りを入れるが少し怯んだだけでそこまで決定打になっていなかった。
ソールはランボーグが怯んでいる隙にサッと離れる。
「結構硬いな…」
「ソール!」
スカイ達がソールのそばに駆け寄って来る。
「ここは分担しよう!スカイは僕と一緒に集中攻撃を、ウィングは空中に飛んでランボーグの錯乱、ウィングが攻撃されそうになったらプリズムが光弾で援護して!」
「はい!」
「うん!」
「わかりました!」
ウィングが空中に飛んでランボーグを錯乱し、攻撃されそうになったらプリズムが光弾を撃ってランボーグの気を引く。
「「ハァーッ!!」」
ランボーグが混乱している隙にソールとスカイがランボーグにパンチし、続けて蹴りを入れた。
怒涛の攻撃を受けたランボーグは転倒し、それを見たソールはクリスフォームを解除する。
「スカイ!」
「はい!」
「スカイブルー!」
「ソールレッド!」
「「プリキュア!フュージョン・アップ・ファイヤー!!」」
「スミキッタ~…」
ランボーグは浄化され、元のグローブに戻った。
「あっ!?ふざけんなよ!…おっと…おめでとう!お互い良い勝負だったね!また会おう。バッタモンモン」
そう言ってバッタモンダーは撤退していった。
「ベリィベリーさん!ベリィベリーさん!」
ヒロに名前を呼ばれ、ベリィベリーが目を覚ます。
「ヒロ…?あっ!あいつはどこに!?」
「あいつなら僕達が追い払ったよ」
「え…?」
ベリィベリーはソラがこの場にいることに気づく。
ソラはベリィベリーに近寄る。
「ベリィベリーさん…ごめんなさい!1人で苦しんでいた事、ずっと頑張っていた事…私、何にも知らないのに”間違っています”なんて酷い事を…」
ソラは頭を下げて謝罪をし、取り返したグローブを差し出す。
「…私の方こそごめん!お前に嘘つきとか弱い奴とか言って…それとありがとう、グローブを取り返してくれて…!」
ベリィベリーもソラに謝罪をし、グローブを手に取った。
「…はい!」
ソラはベリィベリーからの礼を聞き、笑顔で返事をした。
「ソラちゃん、ベリィベリーさん…良かったね」
この光景を見ていたヒロはそう呟いた…