ひろがるスカイ!プリキュア~スーパーヒーローズ~ 作:のぞむ
ソラシド市では現在雨がふっていた。
そんな雨の中、道端で1人立って雨に打たれている少年の姿があった。
それは以前ヒロ達の前に立ちふさがった超能力少年でありソラの双子の弟、ミファーであった。
『お願い■■■…どうか…あの人達を…』
「シズク…そして僕の同胞達…みんなを身勝手な理由で殺した愚かな人間共に復讐する…その為に僕は再び生を受けたんだ。だが…」
ミファーはあの日、ゴッド状態になっていたキュアソールに負けた事を思い出していた。
「僕は究極の部族の力を持つ者の筈だ…だがあの日キュアソール…虹ヶ丘ヒロに負けた…たかが人間が…何故ゴッドの力に覚醒したんだ…!」
そう言っていたミファーは息を荒げ、更に顔も赤くなっていた。
「虹ヶ丘ヒロ…次こそ貴様を倒し…人間…共…を…」
その頃、ソラとましろは学校から下校をしていた。
「この前のあげはさん!凄くカッコよかったですね!」
「そうだね!」
スカイランドからソラシド市に戻ってしばらく経った頃、あげはが保育園の実習に行くことになったのだ。
その時バッタモンダーとランボーグが襲来し、ソラ達がプリキュアになって戦うもののアンダーグ・エナジーで作り出した空間に閉じ込められ、絶体絶命のピンチに陥った。
しかしあげはがスカイ達、そして園児達を守ると決意し、あげはの胸からミラージュペンが現れたのだ。
エルからスカイトーンを受け取ったあげはは『キュアバタフライ』に変身し、ランボーグを浄化したのだ。
それからしばらく経ち、バタフライは新たに『ミックスパレット』というアイテムを手にし、ウィングと一緒に放つ浄化技を手にしたが、それはまたの機会に語ろう。
ちなみにプリキュアになった事を機に、現在あげはも虹ヶ丘家に居候している。
「!」
「ましろさん?」
突然ましろが足を止め、ある人物を見て茫然としてしまう。
ソラもましろが見つけた人物を見て驚愕してしまう。
「ミファー!?」
2人が見つけたのは道端に倒れているミファーであった。
ましろはすぐさまミファーに駆け寄り、様子を確認する。
「凄い熱だよ!」
ミファーの顔は高熱の影響で赤くなっており、汗も大量に流していた。
「…ソラちゃん、ミファーを家に連れていって看病しても良いかな?」
「…ましろさんの判断に従います。私も、ミファーの事を知りたいですから…」
「…ありがとう」
ソラがミファーをおんぶし、2人は急いで虹ヶ丘家に帰っていった。
ソラとましろはミファーを連れて帰り、今は誰もつかっていないヒロのベッドに寝かせる。
「薬草を飲ませたから、1日経てば良くなる筈よ」
「ありがとうおばあちゃん!」
「話には聞いてたけど、ホントにソラちゃんそっくりだね」
「える…ソラ、そっくり」
あげはとエルが眠っているミファーの顔をまじまじと見て呟く。
「私とミファーは双子らしいので…それで似ているんだと思います」
「…あの、本当に大丈夫なんですか?ミファーは以前、ソラさん達を襲って重傷を負わせた相手の筈です…」
ツバサは心配そうに呟く。
「確か、人間が嫌いなんだっけ…?」
「…私、どうしてミファーが人間を憎んでいるのか知りたいんだ…知って、しっかり向き合って…わかり合いたい!お兄ちゃんだって、きっとそうすると思うから!」
「私も同じです!私もミファーとしっかり向き合いたいです!だって、私はミファーの…」
「う…」
するとミファーがうめき声を出し、目を開ける。
「君達は…!」
ミファーがソラ達が目の前にいる事に気づき、すぐさまベッドから起き上がる。
「まだ寝てないとダメだよ!」
「お、おい…!」
ましろがミファーをベッドに寝かせようとする。
ミファーはましろの手を振り解こうとするが高熱の影響で力が入らず、そのままベッドに戻されてしまう。
「ミファー!熱があるんだからちゃんと寝てないと、めっ!だよ!」
ソラはいつもの敬語ではなく標準語でミファーを叱る。
「ソラちゃん、何だかいつもと喋り方が違うね」
「私、普段家族には敬語を使わないんです」
「家族…?生憎僕はお前と家族になった覚えはない」
「そんな事はないよ。あなたは私と同じ日に生まれたんだよ。だから立派な家族でしょ?」
「…フン」
ミファーは辺りを見回し、ヒロがこの場にいない事に気がつく。
「虹ヶ丘ヒロはどこにいる?」
「お兄ちゃんは…」
ましろは事の経緯をミファーに話す。
シャララ隊長をランボーグから庇い、その後何者かに捕らわれてしまった事を…
「…愚かだな。人間を庇って捕らわれるとは」
「お兄ちゃんは愚かじゃないよ!みんなを守るために戦ったんだから!」
「…理解できないな。人間を守る為に戦うなど…」
「…教えてミファー、どうして人間を憎んでいるの?」
ソラがミファーに人間を憎む訳を聞く。
「…お前達に話す意味など」
「あるよ!だって私は…あなたの姉なんだから!」
ソラはそう言ってミファーを見る。
「…教えて、ミファー…」
ましろもミファーに過去の事を話すようにお願いする。
「…この際だ、教えてやる…僕の事を、人間の愚かしさを…僕には、前世の記憶があるんだ」
「前世?」
「もしかして君、転生者って奴?」
「そうだ」
あげはからの問いにミファーは答える。
そこから更にミファーは過去の事を語った。
前世のミファーは約200年前のスカイランドで『パーエス族』という部族として暮らしていた。
パーエス族は人間にはない不思議な力、つまり超能力が使える部族であった。彼らは争いを好まず、人里離れた山奥で平穏な日々を送っていた。
しかしある時、彼らの力を恐れた人間達が攻め入ってきたのだ。
部族の者達は次々と殺されていき、ミファーも瀕死の状態に追いやられて絶体絶命にピンチであった。
その時ミファーを幼馴染の少女、シズクが庇い人間達が振りかざした刃に倒れてしまった。
『シズク!しっかりするんだ!今傷を…』
『もういいの…この傷はもう治せない…』
『何を言ってるんだ!諦めるな!』
『…あなたは本当に…泣き虫だね』
シズクはミファーの頬に手を添える。
『お願い■■■…どうか…あの人達を…』
そう言い残して、シズクは息絶えてしまった…
『シズク!シズク!!』
『残りは小僧!お前1人だ!』
『これでバケモノ共がこの世から消え去る!』
『…した…』
『なに?』
『僕達が…貴様らに何をしたっ!!』
『ギャアァァーーー!!』
『ヒギャアァァーー!!』
『グォオォォーーー!』
パーエス族を襲撃した人間達の断末魔が響き渡る。
ミファーは最後の力を振り絞り、次々と人間達を殺していった。
襲撃者達を一人残らず殺したミファーは力尽きてしまい、命を落とした…
「気づいた時にはソラ…お前の家族の元に、赤子として転生していた。その後すぐに隙をついてお前達の元を離れ、これまで1人で過ごしてきた…僕が再び生を受けた時、思ったんだ…今や僕でしか使えないこの力で、人間共を滅ぼし、復讐すれば良いと!僕達の力を勝手に恐れ、絶滅に追いやった愚かな人間共に!!」
ミファーの話を聞き、あまりに壮絶な過去にソラ、ツバサ、あげはは何も言えず俯き、エルは今にも泣きそうな顔をしていた。
「…っ!」
「ましろさん…?」
ソラがましろの顔を見ると、彼女は涙を流していた。
「そうだったんだね…辛かったよね…悲しかったよね…ごめんね…!」
「…何故、君が泣くんだ…?」
「だって…あなたは何も悪くないんだよ!それなのに…!」
ましろが自分を想って泣いてくれている…
その事実に驚き、常に仏頂面であったミファーは一瞬だけ表情を変えてしまう。
「…やっぱりましろんは優しいね」
「…はい」
あげはの呟きにソラも賛同する。
「…1人になりたい。全員出ていってくれ」
「ううん!私、ミファーの看病をするよ!」
「聞こえなかったのか?僕は1人になりたいんだ…」
「…ましろん、今は1人にしてあげよ。ソラちゃんも良いよね?」
「はい」
「…うん」
ソラ達は部屋から出ていった…
夜になり、ミファーはベッドの上で考え事をしていた。
(虹ヶ丘ましろ…何故彼女は僕の為に泣いてくれたんだ…僕達は敵対している筈だ…それなのに…)
「ミファー。入るよ」
ドアからノック音が聞こえ、部屋にましろが入って来た。
「調子はどうかな?」
「僕は人間を超越した存在だ。こんな熱とっくに…ゴホッ!ゴホッ!」
「まだ良くなさそうだよ…」
そう言ってましろは持ってきた鍋をミファーのそばに置き、蓋を開ける。
「これは…」
「おかゆだよ。食べられるだけで大丈夫だから」
「…いらない」
そう言った直後、ミファーのお腹から『ぐぅ~…』という音が聞こえてきた。
いらないと言ってはいたがミファーはかなり空腹状態のようだ。
「…仕方ない、頂こう」
そう言ってミファーはおかゆを一口食べる。
「!…」
余程美味しかったのか、ミファーはおかゆをバクバクと食べていった。
「どうだったかな?」
「…悪くはなかった」
「良かった~!上手く作れたか心配だったんだ
「…君が作ったのか?」
「うん」
「そうか…」
「ミファー、私しばらくここにいるから、何かしてほしい事があったら遠慮せずに教えてね」
「なら…」
「『ここから出ていけ』はダメだよ?」
「…勝手にしろ」
「うん」
ミファーからの素っ気ない返事にましろは笑顔で返事をする。
「ねぇ、あなたが言ってたシズクさんってどんな人なの?」
「…シズクはとにかく優しかった。何かと世話を焼いてきて、ずっと僕のそばにいてくれた」
「そうなんだ…私思うんだ。シズクさんは復讐なんて望んでないんじゃないかって」
「なに…?」
「だって、優しくてずっとミファーを気にかけてくれてたなら。あなたに復讐をお願いする事はしないと思うよ」
「…うっ…!」
するとミファーに頭痛が襲い掛かって来る。
「ミファー!大丈夫!?」
「…頭が痛いだけだ…少し寝る」
そう言ってミファーは寝転がり、眠ってしまった。
「ミファー…」
ましろは心配そうにミファーを見ていた…