ひろがるスカイ!プリキュア~スーパーヒーローズ~ 作:のぞむ
それでは本編をどうぞ!
「ミノトン…それがお前の名前なのか?」
「その通りだ!」
ヒロの質問にアンダーグ帝国の新たな刺客、ミノトンが答える。
「ミノトン…もしかして、カバトンのお兄さんとか?」
「あんな下品で下劣な愚か者と一緒にするでない!!」
「ひゃあっ!」
「ちょ、ましろ?」
ミノトンの叫びに驚いたましろはすぐさまヒロの後ろに隠れてしまった。
「意地汚いわ、オナラで戦うわ、武人の風上にも置けんわ!」
「…カバトンの名前は禁句のようだな」
ミノトンの言葉を聞いていたクリスは思わず呟いてしまう。
「我こそは真の武人!プリキュア、お前達に手合わせ願おう!」
そう言ってミノトンは手にアンダーグ・エナジーを溜めていく。
「来たれ!アンダーグ・エナジー!」
「ランボーグー!!」
アンダーグ・エナジーは自然公園の入口に置いてあった大きな恐竜の像に注ぎ込み、ランボーグに変えた。余談だがこの恐竜は『ソラシノサウルス』という名前らしい。
「エルちゃん!クリスちゃん!二人は安全な場所に隠れてて!」
「わかった!」
「える!」
エルとクリスはこの場から避難し、ヒロ達は一斉にミラージュペンを取り出した。
「行くよみんな!」
『はい(うん)!』
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」
「ヒカリひろがる眩い太陽!キュアソール!!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!!」
「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!!」
『レディ・ゴォー!』
『ひろがるスカイ!プリキュア!!』
ヒロ達はプリキュアに変身する。
「プリキュア共!お前達の力、しかと見させてもらおう!」
「ランボーグー!」
ランボーグはプリキュア達の元へ向かっていく。
「ヤァーッ!!」
プリズムはランボーグに向かって光弾を放つがランボーグはそれを牙で嚙み砕いてしまう。
「えぇっ!?」
「我はアンダーグ帝国最強の武人!故に我が生み出すランボーグもまた最強なのだ!」
「最強か…ならこれはどうだ!」
ミファーは手からビームを出してランボーグに放つ。
「ラン…ボーグー!!」
ランボーグは多少苦戦していたものの、ミファーが放ったビームを噛み砕いてしまった。
「なにっ!?」
「我が生み出したランボーグにここまでの力を出させるとは…貴様は中々の強者の様だ」
ミノトンはミファーに賞賛の言葉を送る。
「そうか!ソラシノサウルスのモデルはティラノサウルス!だから顎がとても強いんです!」
ウィングはソラシノサウルスの元となった恐竜、ティラノサウルスの事を一同に説明する。
「顔がダメなら、体を狙うまでです!」
スカイはランボーグに向かって一直線に走り出し、攻撃を仕掛けようとする。
そんな中、ランボーグは口の中にエネルギーを溜め始める。
「スカイ!危ない!」
「わっ!?」
ソールはすぐさまスカイを抱き抱えてこの場から離れる。その直後だった。ランボーグの口から火が放たれたのは。
「あのランボーグ、口から火も出せるの!?」
「ありがとうございます!ソール!」
「どういたしまし…!?」
「ソール?」
ふと上を見たソールは表情を変えてしまう。
「ランボー…」
なんとランボーグが空中にジャンプしており、そこから地面に向かってヒップドロップを仕掛けてきた。
「グーーッ!!」
ランボーグのヒップドロップは地面に激突し、大きな地響きが起こった
しかしその攻撃はプリキュア達に当たらなかった。何故なら全員宙に浮かんでいたからだ。
「間一髪だったな…」
ミファーが手をかざしながら呟く。どうやらミファーがサイコキネシスを使ってプリキュア達を宙に避難させたようだ。
「ちゅ、宙に浮いてるよ!?」
宙に浮かんでいたプリズムの驚きの声を出してしまう。その間にミファーはゆっくりプリキュア達を地面へおろした。
「ありがとうミファー!」
「助かったよ!」
ソールとプリズムはミファーに礼を言う。
「礼は無用だ」
ミファーはそう口にする。
「わっはっは!どうだ、我の生み出したランボーグの強さは?」
ミノトンは誇らしげにこんな事を言ってくる。
「確かにこのランボーグは強いよ。たぶんカバトンとバッタモンダーが生み出したランボーグよりずっとね…」
ソールはミノトンとランボーグを見てそう口にする。
「でも僕は…僕達は負けない!お前達からエルちゃんを守ってみせる!」
「ソールの言う通りです!」
ソールの言葉にスカイも便乗し、プリズム、ウィング、バタフライも頷いた。
その頃、エルとクリスは木陰からプリキュア達の戦いを見守っていた。
「えるぅ…」
「大丈夫だエル。プリキュア達なら必ず勝てる」
心配そうにプリキュア達の戦いを見ていたエルにクリスがそう言って安心させようとする。
「…える?」
「どうしたんだ?」
エルが何かを見つけ、クリスもエルが見ているものを見つける。
なんと一匹のうさぎが道の真ん中で蹲っていた。
「…うしゃしゃん、たしゅける!」
「エル!」
エルはうさぎを助けようと木陰から飛び出していき、クリスもすぐにエルを追いかけていった。
うさぎの元にやってきたエルはうさぎを優しく撫でる。
「だいじょうぶ?よちよち…」
「っ…!?」
うさぎを慰めるエルの姿を見ていたクリスの脳裏にある人物の姿が浮かび上がってくる。
『大丈夫…怖くありませんよ』
「姉…上?」
「ラン?」
するとランボーグがエルとクリスを見つけ、二人の元へ向かっていく。
「エルちゃん!クリスさん!」
「プリンセス!」
それに気づいたプリキュア達はすぐに助けに向かう。
「おうち…かえろ?」
そんな中、エルはうさぎを抱きしめ、優しくそう口にする。それを聞いたスカイは驚いてしまっているようだ。
その時だった、ミノトンがランボーグを受け止めたのは。
「ラッ!?」
「強者に立ち向かうその心…赤子ながら、あっぱれ~!!」
ミノトンはそう言いながらランボーグを投げ飛ばした。
「…どういう事だ?」
ミノトンの意外な行動にミファーは信じられないと言わんばかりに驚いてしまっていた。
「あなた達の目的はエルちゃんの筈です!なのに何故ランボーグからエルちゃんとクリスさんを守ったんですか!?」
「赤子と少女に牙を向けるなど、武人のすることではない!プリンセス・エルは貴様らを倒した後で良い。我はずっと待ち望んでいたのだ!貴様らのような強者との戦いを!」
ミノトンはそう口にする。
「…ミノトン。一つだけ言わせてくれないかな?」
そう言ってソールはミノトンに近寄っていく。
「エルちゃんとクリスちゃんを助けてくれてありがとう」
なんとソールは敵であるはずのミノトンに礼を言ったのだ。
「ちょ、なに言ってるんですかソール!ミノトンは敵なんですよ!?」
当然仲間達は驚いてしまい、ウィングがソールにそう言う。
「その者の言う通り、我と貴様は敵同士だ。そんな我に何故礼を言うのだ?」
「敵とか味方とか関係ないよ。大切な家族を助けてくれた人にはお礼を言わないとさ」
ソールはハッキリとそう口にする。
「ま、これもソールらしいけどね…」
若干呆れている様子のバタフライは微笑みながらそう呟く。
「でもエルちゃんを狙っている以上、僕は全力でお前達と戦う!」
「その意気や良し!ランボーグ、戦いの再開だ!」
「ランボーグー!!」
起き上がったランボーグはプリキュア達に向かってくる。プリキュア達とミファーはランボーグの攻撃を素早く躱す。
「あのランボーグ、動きも素早いよ!」
「どうすれば…!」
スカイは何か打開策がないか頭を回転させる。
「…よし!あれを試してみよう!」
そんな中ソールは一つのスカイトーンを取り出す。
このスカイトーンは以前平行世界に行った時、その世界のプリキュアであるユキとの絆によって生まれたスカイトーンだ。
「ユキちゃん、力を借りるよ!」
「プリキュア!ホープコネクト!」
ソールはスカイトーンをスカイミラージュにセットする。
「ホープチェンジ!スノー!」
ソールの赤色だった髪は真っ白に変わり、衣装もグレイシャーブルー、水色、白色を基調とした色に変化した。
「キュアソール・スノーフォーム!!」
ソールは新たな形態、スノーフォームとなった。
「スノーフォーム…ソールの新しい力です!」
「スノーフォームってことは…キュアスノーの力だよ!」
「似合ってるよソール!」
「そうかな?」
スカイ、プリズム、バタフライからの言葉にソールは少し照れてしまっていた。
「それじゃあ…いくよ!」
ソールはランボーグに接近してから光の剣を複数生成し、ランボーグの口、両手、両足に当てていく。
「わっはっは!そんな攻撃ではランボーグを倒すことは…なにっ!?」
ミノトンはランボーグを見て驚愕する。なんと先程光の剣が当たった部分が凍っていたのだ。これによりランボーグは身動きが取れなくなっていた。
「これで決めるよ!」
ソールはランボーグに向けて両手をかざす。
「ひろがる!ソールグレイジャー!!」
ソールの両手から吹雪のようなエネルギー砲が放たれる。
「スミキッタ~…」
ランボーグは浄化され、壊された場所も元通りになった。
「うむ、それでこそ我が戦うに相応しい強者達だ!ミノトントン!」
そう言ってミノトンはその場から去っていった。
その後ヒロ達は動物達と触れ合えるエリアに戻ってきていた。
「そっか…さっきのエルちゃん、ソラちゃんの真似をしてたんだ」
ましろはうさぎ達と触れ合っていたエルを見ながらそう呟いていた。
「危ない事は真似してほしくないのですが…」
「でも裏を返せば、エルちゃんが優しくなってるってことじゃないかな?まぁ、確かに危ない事はしてほしくないけどね…」
心配そうに呟くソラにヒロがそう言う。
「ほら、怖くないよ~」
そんな中、一人の男性が女の子にそう言ってうさぎに餌をあげさせようとしていた。おそらく女の子は男性の娘なのだろう。しかし女の子はうさぎを怖がっているのか、男性の後ろに隠れてしまった。
「えるぅ…」
するとエルは女の子に近づく。
「どーぞ!」
エルは女の子に餌を差し出した。女の子はエルから餌を受け取り、怖がりながらだがうさぎに餌をあげる。
「わぁ…!」
「なかよち!」
女の子とうさぎを見ていたエルは嬉しそうに笑顔になる。
「エルちゃん…前はこんな風に譲ったりしなかったのに…!」
「きっとましろんの絵本がエルちゃんの心に届いたんだよ!」
「え、なに?どういう事?」
ましろとあげはの会話を聞いていたヒロはどういう事かわかっていなかった。
「そういえばヒロくんは知りませんでしたね。実は…」
ソラの話によると、ヒロが不在の時にましろは絵本コンテストに送る為の絵本を描いていたらしい。その時公園で砂遊びをしていたエルの元に一緒に遊びたい様子の男の子がやってきたのだが、エルは男の子に遊び道具を譲ろうとしなかったのだ。その時にましろが絵本の内容を思い浮かべたらしい。ましろが描いた絵本は落選してしまったが絵本の話はエルの心に届いたのだろう。
「そんな事があったんだ…ましろ、その絵本って持ってる?せっかくだし読んでみたいんだ」
「うん!お兄ちゃんにも読んでもらいたかったんだ!」
「ありがとう!」
ヒロはましろが描いた絵本を読める事になった。
「…これで良いのかなっていう不安や悩みは、これからも続いていくんだよね…でも今のエルちゃんは優しく育ってる…だから今は、これで良いのかな?」
「…これからも、僕達なりの答えをみんなで考えていきましょう!」
「そうだね」
ヒロ達はうさぎと触れ合っているエルを優しく見守りながら、これからのエルの成長を楽しみにするのであった。
(…やはり、エルをスカイランドに送ったのはあなたなんですか?…姉上)
ただ一人、クリスはエルを見ながら心の中でそう呟いていた。