俺と翔子とこれからの未来   作:あっがいたん

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しばらく更新できませんでした……

週末に投稿できるよう頑張ります。


遊園地その1

バスから降りると、大きな観覧車が見えた。

 

なるほど、あれが噂の観覧車か、たしかにでかいな。

 

水無月グランドパークは、この辺りじゃ一番大きな遊園地だそうだ。

その中でも噂なのが、大観覧車。

高さは日本第四位だとか。

四位ってなんか微妙だな……。

もう少し頑張れなかったのだろうか。

 

 

「雄二、私あの観覧車に乗りたい。」

 

 

「おう。じゃ、入ったらまずあれに乗るか?」

 

 

「ううん。帰りに乗りたいの。」

 

 

「そうか。じゃ、そうするか。」

 

たしかに、最後に観覧車というのは定番かもしれないな。

遊び疲れた後ということを考えても、利に叶っているだろう。

 

 

「そろそろ開園時間だし、行くか。」

 

 

「うん。」

 

翔子の手を引いて歩き出す。

 

……そういえば、かれこれ一時間近く手を繋いでいるが、全く離す気配がない。

 

 

「なあ、」

 

「いや。」

 

 

「そろそろって早えーよ!?まだ何も言ってねーからな!?」

 

「雄二の考えてる事くらい、お見通し。」

 

少し得意げな翔子。

 

 

「そうかよ。で、離してくれないのか?」

 

 

「好きにしろって言ったのは、雄二。」

 

 

……それを言われては返す言葉が無い。

 

 

「…アトラクションに乗るときは離せよ。」

 

 

「うん。わかった。」

 

 

結局また手を繋ぐことを許してしまった。

どうも今日の俺は翔子に甘いな……。

 

 

 

ゲート前に着くと、係員らしき女性が近くに来た。

 

 

「水無月グランドパークへようこそ!本日はプレオープンとなっておりますが、チケットはお持ちでしょうか?」

 

 

「ああ、これでいいか?」

 

俺と翔子の二枚分を係員に渡す。

 

 

「はい、確認致しました。それでは、ごゆっくりお楽しみ下さいませ。」

 

係員に見送られ、園内に入る。

 

 

「雄二、何から乗る?」

 

 

「そうだな、いきなり絶叫系はきついだろうし…お前は何か乗りたいのはないのか?」

 

「なら、あれがいい。」

 

翔子の指さした先には、遊園地の定番、コーヒーカップがあった。

 

「おう。じゃ、行くか。」

 

あれなら激しい動きも無いだろうし、丁度良いだろう。

 

 

 

 

 

「楽しかった。」

 

「まあ、普通だったな。」

 

可もなく不可もなく、実に普通のコーヒーカップだったが、翔子は楽しめたようだった。

 

「じゃ、次行くか。翔子、他に乗りたいのはあるか?」

 

「私は、最後に観覧車に乗れれば良いから、雄二の乗りたいのでいい。」

 

 

「そうか。じゃあ、まあ適当に回るか。」

 

 

翔子の手を引いて歩き出す。

さっきコーヒーカップに乗った時は一度手を離したのだが、降りた後に翔子がまた繋いできた。

 

…なんだか手を繋いでいるのが普通になりつつある気がする。

 

正直気恥ずかしいから勘弁してほしいのだが……。

 

たしかに好きにしろとは言ったが、まさか今日だけだよな…?

 

学校でなんか握られた暁には俺の命は無い。

 

まあ、翔子もその辺りは分かっているだろう。

 

だから、今日は許してやるか。

 

 

 

 

その後、ジェットコースター、フリーフォール、メリーゴーランド(翔子が乗りたがったので、だ。一応、念のため)など、一通り乗った。

 

ジェットコースターはかなりスリルがあるタイプだったので俺も楽しめた。

 

さて、次は何に乗るか……

 

休憩がてらベンチに座りつつそんなことを思っていると、

 

「雄二。」

 

「うん?なんだ?」

 

「そろそろお昼、食べない?」

 

 

気づけば時計は一時を回っていた。

 

そう分かったとたんに腹が減って来るのだから不思議なもんだ。

 

 

 

「おっ、もうそんな時間か。それじゃ、食うか。」

 

 

俺がそう言うと、翔子はバックから弁当を取り出す。

二段の重箱で、一段目にはおにぎり、二段目には唐揚げや卵焼きなど色とりどりのおかずが入っている。

 

ボリュームもあり、旨そうだ。

 

 

「はい、お箸。」

 

「サンキュ。それじゃあ、いただきます。」

 

 

まずは卵焼きに手を伸ばす。

ふわっとした食感の後に、絶妙な甘じょっぱい風味が広がる。

 

 

「うん、旨い。俺好みの味だ。」

 

「良かった。たくさん食べてね。」

 

「おう。」

 

 

次は唐揚げでも食べようかと手を伸ばした時、

 

 

シュッ

 

グサッ

 

「痛ってえぇええ!?」

 

何だ!?なぜシャーペンが手の甲に!?

 

くそっ、どこのどいつだ!!

 

立ち上がり回りを見渡すが、それらしい人影は無い。

 

Fクラスの連中か?

 

いや、それならシャープくらいで済むわけがない。

 

なにせ、ラブレターでカッターを投げてくる連中だ。

じゃあ、誰だ?

 

しかも目的は俺の抹殺ではないらしいし……

 

 

「雄二、どうしたの?」

 

いきなり立ち上がった俺を不思議に思ったのか翔子が言う。

 

丁度翔子の位置からは見えなかったらしい。

 

 

「いや、何でもない。少しバカの気配がしたもんでな。」

 

さて、気を取り直して唐揚げを食うか……、あ。

 

さっきシャープが刺さったときに箸を落としたんだった。

 

 

「すまん翔子。箸落としちまったから、他の箸持ってないか?」

 

「ごめんなさい。2つしか持ってきてないの。」

 

「そうか、すまん。無いなら大丈夫だ。」

 

おかずは手でも食えるし、幸いおにぎりだから箸がなくとも平気だろう。

 

 

「雄二。」

 

「ん?」

 

「はい、あーん。」

 

 

そう言い唐揚げを差し出す翔子。

 

「な、何のつもりだ!?」

 

「何って、あーん?」

 

なぜここでそこまで不思議そうな顔ができるんだこいつは。

 

 

「いや、それは分かってるんだよ!!俺が聞きたいのはなぜそれを俺にするのかだ!」

 

 

「……体育祭のとき吉井とは、あーんしてたのに。」

 

 

体育祭……げっ、やっぱり見られてたのか。

 

いや、俺だって好きで明久にやったわけじゃない。

 

自分の命のために仕方なく、だ。

 

しかしあのときはヴェールの事もあったから見てないと思っていたが、甘かったか。

 

 

「やっぱり、雄二が本当に好きなのは吉い」

 

「だぁあっ!!違う!わかった、わかったからその発想はやめてくれ!!」

 

「…じゃあ、あーん、してくれる?」

 

どうやら逃げ場は無いようだ。

 

 

「…ほら、早く寄越せ。」

 

 

俺は観念して口を開ける。

 

やってみてわかったが、この状態は思った以上に恥ずかしい…。

 

 

「…ふふっ。はい、あーん。」

 

 

俺は唐揚げを頬張る。

 

 

「美味しい?」

 

「…ああ、旨い。」

 

「…良かった。」

 

 

 

その後も何度か翔子が差し出してくるおかずをかわしつつ、なんとか昼飯を終えた。

 

 

正直なところ、恥ずかしいのと緊張とで味はほとんどわからなかった。




最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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