僕は『巨万の富』を産む特典をもって転生した。
転生先は教えてもらえなかったが、頭に耳が生えていたので擬人化ゲームの派生かなと結論付けた。
だけど結局『ウマ娘』やんけと気づいたのは、二週間後の事だった。
『ウマ娘プリティーダービー』の世界に来たのなら、トレーナーになるべきなんだろうけどやる気が起きない。
この転生特典は、そんなことの為に使っていいんだろうか。
そうこう考えているうちに、中学生になってしまった。
これからの人生を考えているうちにトントンと進んでいって努力をしているのかさえあいまいになった。
人生あまちゃん野郎になりつつある中、突然行く学校が変わった。
やべえ、考え事しかしていなかったから、どこの学校に行くかわからない。
住所はわかるが、場所がわからないので座標で教えてもらうことに。
「なるほど、老朽化のための建て替え工事の為に在校生を分散させたかったのか」
僕が行く学校は都内で最大の生徒数を誇る。
さらに敷地面積も効率一本なので、敷地面積にたがわず優秀な生徒を多く輩出している。
無駄を嫌った学校は、全校生徒を都内の学校に分散させたんだ。
やりてだね、と現実逃避をする。
僕以外に現れる29人の男女。
彼らが僕と同じクラスになる人たちらしい。
「ようこそ、日本中央トレーニング学園へ。
君たちの案内を務めさせていただく『フジキセキ』だ。よろしくね」
本格的になってきたなあ。
荷物をもってぞろぞろと歩いていく。その先にあるのは建物。
なんでもここが俺達の寮らしい。
急ごしらえなので、男女分けが階層違いというものだ。
ただホテルのような食事処・大浴場があるので、通常の寮生活を遥かにしのぐ悠々自適の生活が保障されている。
「君たちも僕たちのような寮生活をしてもらうよ。
学校に関してはまた明日案内するから、7時に正門前に集合してほしいな」
部屋鍵を渡され、相方は誰かと少々期待しながら部屋に入る。
といってもどうせ人だろ。とまあ、期待せずにはいった。
僕も男だし、相手も男子の方が気が楽で済む。
「やあ、僕は西尾 遠矢。よろしく」
ドアを開けて入ってきた男子にそう声をかける。
「俺は新田 幸助。新年早々よろしくな」
まさかの新入生代表の答辞をした優秀な人が隣になった。
「まさかの賢い人!?」
「小学生程度の基礎勉学で賢いって言われてもなぁ」
「あ、そうだ。入浴は男女別に時間で区切られてるんだって」
「冊子読むの早いなぁ。大体三時間の交代か」
「みたいだね。その前に部屋着に着替えて、うちの学校の先生がミーティングをするらしいよ」
「この後すぐじゃないか!?」
僕らはすぐさま普段着に着替えて、1階の大広間につく。
ここに食堂はなく、近くにある栗東寮の別館にあたる場所にあるらしい。
「タイムアップ! 全員集まったな。
では、今後について話そう。まず、君たちは別の高校に行かない場合、ずっとトレセン学園に在籍してもらうことになる。
移籍作業が面倒かつ、学園の教師が連続して相手になったほうが効率がいいからな」
まさかのトレセン学園に追放されっぱなしという。
他の学校もそうらしく、建て替え作業は三年で終わらせるらしいがそこはよそから転入してくる生徒や新入生で満たすようだ。
僕たちは学び舎をトレセン学園で行い、各自イベントをウマ娘たちと行うらしい。
特に驚くべきことは、俺達十数人の男子がウマ娘と共に過ごすことだという。
良家の娘が多いトレセン学園は、禁断の花園と揶揄される。
思春期の男女が出会うことで何かいいことが起きるんじゃないかという期待と不安で実行されているのもあるし、僕らが通うはずだった学校の世間への影響もあって期待がされている。
軽はずみに事を起こす前に、よく物事を考えて実行するその頭が必要だ。
特にこのトレセン学園は自主性を重んじる。
ウマ娘10人以下が中心になって、大規模なイベントを起こすことも珍しくない。
僕らもやりたいことがあったらやってもいいらしい。
なるほど、これこそ僕の力が試されるんだろう。
『巨万の富』が何かはわからない。
だがそれが最も効力を持つのも分かる。
「本来なら人とウマ娘を分けて授業を受けてもらうはずだったが、交流の意味も含めて一日に1時間ウマ娘と勉強をする科目を設ける。
この機にウマ娘と将来仕事をするだろうから、うまくなじんでくれ」
どうなじむのか、それは各々考えるんだろうなぁ。
なるほど、それは楽しみだ。
「明日も早い。これにて解散する。また、授業料等は、トレセン学園準拠ではない。親御さんには伝えてある。
また、学び舎は違えどれっきとしたうちの学生だ。トレセン学園に人は入学できない。
何か文句を言われたなら、そう答えるといい」
解散したらまずは食堂へ向かうことだな。
うちの寮長は男女で各一人ずつ。各自鍵を閉めたなら、向うの寮へ行く渡り廊下へ行く。
そこに昨日みたフジキセキではなく、別のウマ娘がいた。
「来たようだな。私はナリタブライアンという。君たちには在校の証、学生証を渡す。
学園内または食堂に来た時、身分証明書になる。肌身離さずもっているように。
特に食堂は無料になるので、確実に首からひっさげるなどして提示できるようにしてほしい」
「「「はい!」」」
「ふ、いい返事だ」
ナリタブライアンは、うちの寮長二人に男女の学生証を渡して各自に配り終える。
そして食堂へ案内されたら、メニューがいろいろあるので口頭で伝えるか電子メニューがあるのでそれを使って注文をする。
食事は自分で取りに行く形式だ。
「今日は特別に貸し切りだ。クラスでなじんでほしい」
つまりバイキング形式というようだ。
それぞれが思い思いにとって席に座り、男子と女子に分かれるような感じで話すことになる。
もちろん最初はみんなで自己紹介をするし、お互いの親睦を深め合った。
「寮長は俺、新田 幸助だ。そして、女子の方は――」
「私だね! 私は藤野 萌香だよ。好きなのは、男子アイドル全般。嫌いなのは、おべっか! よろしくね!」
僕は新田やみんなと親睦を深めた。みんな中学一年生というか、ほぼ小学六年生なのにちゃんとした目標がある。やっぱりトレセン学園に追放されるだけあって、いろいろ高水準だなぁ。
僕は特典にすがっているだけの小市民。
わきまえながら生きていこうと思った。
Y4HHO様、誤字報告ありがとうございます。
去年の3月から、マザーボードがおかしいのか連続で文字打ちが発生するんですよね。わかりにくいものもあったりするので、非常に助かります。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm44138532
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