編入先はトレセン学園   作:名無しの権左衛門

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まーた間違えて投稿してしまいました。


10:メジロマックイーン

 とある日の朝、時計の力を貰わずして起きた日のこと。

カーテンを開けて朝日を取り込む……にしては、早すぎるんだけどまあ開けたんだ。その時寮を出ていく誰かがいた。街灯に照らされた瞬間に見えたのは、小比賀くんだ。

妙に周辺を警戒しているから、なにかやましいことをしているんだろうか?

 なんて、寝ぼけ眼をこすりながらその様子を観察した。

手荷物は少々多い。男子専用の青い体操服に身を包んで、駆け足で出ていったよ。

 

「怪しい」

「何が怪しいんだ?」

「小比賀くんだよ」

 

 そう言うとなんか得心がいったみたい。新田くんも外を見ると同時に、外出を準備をし始めた。

 

「ついていこうぜ」

「そだね。あとライスも来るかな?」

「今から呼ぼうか」

 

 僕らは静かに寮を出て、出入り口にてライスと合流するよ。

いままで休日も契約内容を履行していたから、急な呼び出しもあんまり文句なかったみたい。

ごめん、ちょっとご立腹。

 とにかく! 小比賀くんのあとをつけていこう。あんなに警戒心丸出しにされちゃあ、気になって早朝に目が覚めちゃうじゃないか。

 

「どこに向かう?」

「周囲を警戒しているし、この時間帯だとあまりヒトの出歩きはないね」

「小比賀くんに、ついてくついてく」

 

 そうしてついていった先にあったのは、府中中学校だ。

中学校の中でなかなか狭く、都市開発の憂き目にあってきた歴史ある学校。

外部の学校に来てまで何をしでかすんだろ? 小比賀くんは運動ができて、お調子者だったりするけど真面目な男子生徒だよ。不良みたいなこととかしないはず。しないよね?

 

 校門前で侵入するか戸惑ったけど、小比賀くんの挙動不審を突き止めるための行動ということで自己正当化!

住居不法侵入? 私有地の無断侵入? あーあー聞こえなーい。

 

「いくよ」

「何をしていっらしゃいますの?」

「ん!?」

「なっ」

「えっ?」

 

 なんかいつの間にか、メジロマックイーンがついてきていた。

いや、なんで来てるの。まだ早朝の5時半だけど。

 

「メジロモッチイーンじゃないか」

「マックイーンですわ。ところで、許可はとってありますの?」

「取ってないよ。事後承諾を得るから、じゃ突撃」

「よし、行くぞ」

「ついてくついてく」

 

 頭を抱えるモッチさん「マックイーンですわ」ファックイーンじゃなくて、マックさんも心配してかついてきてる。

わしの知的好奇心は抑えられんのだ! 抜き足差し足忍び足というわけでもなく、どうどうと侵入していく。

『巨万の富』が、何故かスニーキングに関する技術を教えてきたから、それに沿ってグラウンドまで来る。

そこでなにやら点呼があった。

 

「それでは、早朝訓練を始める! まずは準備体操と柔軟からだ」

「「「はい!」」」

 

 服装を見るに野球部っぽい。

なんで野球?と思った。

 

「小比賀、結局野球部にしたんだな」

 

 つぶやきに近い新田くんの声。気になったのでどういうことか聞いてしまう。

 なんでもこの時期になると、みんな部活動に心血を注いでいくようになるんだけど、それを許されない生徒がいる。それが運動部。身体能力を問わない弓道や文芸系は、トレセン学園のサポート科のウマ娘と一緒に部活動ができる。

でも身体能力に差がある場合、部活動にヒトが入る事はできなかったんだ。

 そういうわけで、近くに同学校の生徒が分散されている学校があるので、そちらに合流することになったらしい。

こうして合流した結果、トレセン学園に一番近いこの府中中学校で野球をすることになった……と。

 

「新田くん、他にも学園外で活動している友達はいるの?」

「安倍がスポーツクライミング、麻生が剣術、伊藤が新体操、近衛が宮廷作法……西尾が交流している中で、これくらいか?」

「みんなの交友関係把握してるのすごいね」

「ある程度な」

 

 新田くんとくっちゃべってると、小比賀くんと先生に見つかった。

そのまま追い出されるかと思いきや練習を一緒にしていくことになり、

上級生がやっている捕球練習もやらせてくれることになった。

本来なら入部したての場合、下積みということもあって球拾いや片付け・準備を行うのが普通。

しかし、ウマ娘が来たというのもあって、部員の士気が向上。

 女っ気が少ないから、一緒にやってくれると嬉しいんだってさ。

不法侵入に関してなんだけど、小比賀くんの友達だから大丈夫とのこと。

心が広い野球部顧問でよかった。

次からは小比賀くんを通して先生に伝えるようにしよう。

 

「捕球練習楽しかったですわ!」

「うん! ライスも初めてボール取れたよ!」

「野球の球硬かったねー」

「そらかっとぶわけだ」

 

 早朝から朝になって、今日もスピカのために登校。

アルバイトを始めて一ヶ月以上経過しているけど、未だにウマソウルの波長の解析が進んでいない。

春の感謝祭で、女装に抵抗がないとかウマ娘にかかる謎の補正が自身にかかることが判明している。

それでも、それ以上のことがわからないんだ。

 現状子機を使ってしれっとクラスみんなのカバンに仕込んでたりするんだけど、

特に誰が不幸な目にあったとか聞いてない。

もっと違う視点からやってみるべきなんだろうなぁ。よし!

 

 

 

 

 さてスピードトレーニングを任された僕は、みんなが待っているグラウンドへ向かうよ。

今からみんなに、スピードトレーニングの真髄とついでに誘った小比賀くんへ、

捕球がいかに大事なのかってことも叩き込んであげたいな。

 

「ちょ、西尾!? なんだその装備は!」

「聞いて驚け、刮目してみよ! これが僕の研究成果だあ!」

「マッドサイエンティストかなにかか!?」

 

 心が昂ぶってしまうよ! これならてっぺん取れそうだなあ!

さあ手にバットを持って、みんなにグローブをはめてもらって自動送球装置も配備した。

行くぞ! これが本当のガンショットだ!

 ガンショットというのは、自分で投げた球を自分で取りに行くスピードトレーニングLv5で行う訓練方法なんだ。投げることも大事だけど、投げたボールを自分で取れるような瞬発力と総合的な走力が大事になってる。

だからウマ娘が瞬発力とか持久力を育てるのに最適なんですね!

 更に更に、ここで野球少年である小比賀くんやマックさんに合流して貰えば、

もうおわかりでありましょう。

そう、甲子園を目指している小比賀くんのために、あの伝説の右中間捕手のようになってもらうんだ!

もしもこれでちゃんと捕球できるようになったら、制球も鍛えてゲッツーでもできるようにすれば一気に得点取得ができにくくなるだろう。

 

さあさあ、もっとだもっと楽しめ!!

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

「金属バット凹んでるぞ!?」

「かっけえ! なんだアレ! オレもやらせろよ!」

「ウオッカ!? 危ないわよ!!」

「ピエエ、なんでボクだけそんな鋭いの打ってくんの!?」

「おいおいおい、遠矢! 落合選手のマネしようぜ!」

「いっっっってええ!! バッターとキャッチャーのバッテリーとか嫌すぎるんだが!?」

「うわ、すご。見てよ」

「ラ、ライスだってやって見せるもん! いっ!?」

「ふふふ、野球ファン歴数年のわたくしに、取れぬ球などありませんわ!」

「お、やってんな~」

 

 お前らに足りないもの! それは、情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ----そして何よりもお!

 

「速さがッ足りないいいいいい!!!」

「西尾、オマエキャラ変だぞ!?」

「ククク、ライスのソウル波に長く影響されてしまったようだ。

ならば、今こそ実験のとき! イくぞオラア!」

「ちょ、委員長! 西尾を止めてくれ!?」

「小比賀の為にやってるんだから、甘んじて受けな」

「後生だから!」

 

 

 

 ハッ、僕は今まで何をしていたんだっけ?

と周囲を見てみると状況を把握できた。新田くんがソウル干渉機をOFFにしてくれたから、僕はようやくシラフに戻ったんだ。

いやぁ、まさかここまで精神汚染されるなんて思っても見なかったなー。

みんなには迷惑をかけてしまったんだけど、スピードトレーニングとして

いいものだと嬉しそうにしてくれた。

 でも僕がのまれたのは紛れもない事実だ。

もっとウマソウルを研究しないとね。

 

 そんなことよりも、小比賀くんのことだ。

実は小比賀くんから夢を語られた時があって、ってまぁさっきの府中中学校での野球練習のときに聞いたんだけど、プロ野球選手になることなんだ。

プロ野球選手になるには、甲子園に出場して最終的にドラフト会議で企業からスカウトされないとそれになれないんだ。

 だというのに、府中中学校の野球部員は小比賀くんを入れても、打者はともかく外野手が足りない。

これだとみんな防衛時にスタミナ切れでバテてしまう。

ガンショットで垣間見た犠牲フライの捕球やファーストからサードへ返せる強肩を、このまま腐らせるのはもったいないと思う。

 

 それに、頭を下げられてお願いされたら、是が非でも応えるのがクラスメイトってもんだろう?

 

「プロ野球選手になるお手伝いはするけど、身長が縮むし故障もしやすくなるから

本格参入は高校生になってからね」

「まじか!?」

「俺も暇だし手伝うぜ?」

「委員長もサンキュ!」

「私もお手伝いいたしますわ!」

「小比賀お前カッケエな! オレも協力するぜ!」

「マックイーン、オメェ正々堂々と野球観戦しにいく口実を作る気だなぁ?」

「違いますわよ! 純然たる厚意ですわ!」

 

 お遊びで硬式にしてるけど、硬式野球なんて基本軟式の少年野球がほとんどを占めている中学校じゃ変に息巻いても成功しない。まずは野球を楽しもうぜ!!

じゃけん小比賀くんには、入部手続きを書いてもらうぞい!

 

「はい?」

「そして、マックさんもどうぞ」

「えっと?」

 

 いやはやまさか、長距離の女王を引き入れられるとは夢にも思わなかったなあ。

だって小比賀くんを引き入れたら野良じゃなくなるので、マックイーンは関わる機会を失う。

そこで考えたんだ。マックさんを引き込めないかってね。

原作的にも、そろそろ入ってほしかったんだ。

 

 そういうわけで、契約してくれよスポンサーさん?

 

「え、ちょ、小比賀さんをだしにして私を引き込もうという算段ですのね!?」

「だしにしてないよ? ほらほら、もう小比賀くんはうちの野球選手だよ?

接触するなら、それ相応の審査をくぐり抜けてもらわないと」

「卑怯ですわ!」

「卑怯? こちらは正式な書類に誓約書も織り交ぜております。

こちらにご同意されないと、かつ正式な順序を踏まえないのでございますなら、

我々としても対応を変えなければなりませんな」

 

 おっと新田くんの援護キタ! マックさんが二の足を踏んでいる間に、

こちら側の書類を別途で作成して逃げないようにしないとな!

 

「マックイーンさん、あなたはこれより小比賀くんの正式なマネージャーです。

あなたはウマ娘でありトレセン学園所属かつメイクデビュー済みですので、

小比賀くんが所属しているスピカで出走してくださいね」

「くっ、まさか小比賀さんが、私を釣るためのハニートラップだったとは──ッ!」

「黙って見てたが、これ大丈夫か?」

「あ、はい。私は専属のトレーナーにもチームにも所属しておりませんので」

「おぉ、そうか。オレとしちゃ嬉しいんだが、ほんとうによかったのか?」

 

 スピカトレーナーがなんだか狼狽えているけど、ソウル波や野球支援などに

関して早速取り組むぞ!

なんてったって、色々人員が足りないからな!

応援し支えると決めた手前、手を抜くことなんてありえない。

そうでしょう、ウオッカさん!

 

「おう! 叶える夢が難しいほど燃えるぜ! オレは小比賀を手伝うからな!」

「ありがとうございます! ウオッカさん!」

「スカーレット、お前もやるよな!?」

「なんであたしまで……いいわよ、やるからには全力でやるから!」

「皆やる気に溢れてんなぁ、ゴルシちゃんも手伝ってやっか!」

 

 ちなみに、マネージャーであるマックさんは、小比賀くんが出場する大会に

マネージャー兼チアリーディングしてもらうから。

あとは応援歌とか吹奏楽部も必要だねえ。

関係各所に伝達して、今後を見通した運営をしていかないとなあ。

 

 

 

ーーーー夜

 

 いやぁ、ここに僕と新田くん以外を連れてくるのって全然なかったんだよなあ。

本日初めて、ウマ娘をお呼びしたぞ。

なんてったって、ソウル波の形が似通ってたんだからなあ。

 

「ここが遠矢さんの秘密基地ですのね?」

「ライスも初めて来たよ」

「ようこそ、我らがラボへ」

「増設してもらったんだよなぁ」

 

 来てもらったのはメジロマックイーンとライスシャワーだ。

二人のソウル波を再度観測して、パソコンに電子情報を吐き出させているよ。

 今までの研究成果としては、ウマ娘本人の性格ではなくウマソウルに記述された情報がソウル波を伝って他者に伝播すること、ウマ娘本人に課せられていた歪みを受けること、ソウル波を分割することで被害を分散できることくらいだ。

 今後の展望として、ソウル波を解析して得意距離や今後ウマ娘がどうなるかを先読みするつもり。

これができれば、適正を瞬時に判断して無駄な競争人生を送らせることにならなくてすむ。

 

 そもそもトレーナーじゃないから何様って感じだけど、今の生活はトレセン学園にひもづけられている。

スピカトレーナーもそうだけど、皆のおかげでここにいられるんだ。

恨みなんかないし、とても感謝してる。

 

「じゃけん、スリーサイズはからせてなー」

「はあ!? そんなこと一度も聞いてませんわよ!」

「新田くんお願いね」

「任せな」

「ちょ、ライスさん!?」

「私の夢はね、ステイヤーズミリオンの達成なんだ。

もう中央古バ競争に縛られたくないの」

「へ?」

 

 うーん、ソウル波を観測して色々とやったんだけど、出走レースごとのパターンがあるのがわかってきてる。ちなみに、宝塚記念に出走したウマ娘のソウル波のパターンを、出力媒体に乗せてライスのウマソウルにぶつけると露骨にソウル波のパターンが変わった。

なんだろう、大体春らへんで激しくなってから低迷し、夏にかかる付近で上がりかけて一気に低迷したんだ。

 つまり、ソウル波の強さが、ウマ娘の肉体に作用しているってことだな。

……たぶん。

 

「ライス。絶対にキミを、宝塚記念に出走させない」

「……わかった。出ない」

 

 なんだかマックさんが衝撃の表情でライスを見つめてる。

新田くんはなんとも言えない表情だなぁ。

ま、新田くんはともかくとして、マックさんの驚きようはよく分かるよ。

でも背に腹は代えられないだわ。

 

 よし! 色々計測して、マックさんにも子機をはっつけて~新田くんともお互いに、ライスのソウル波を迂回させるようにするっと。

これでまた面白いものが見れるはずだ!

 

「これで終わり~お疲れ~」

「おやすみー」

「え、もう終わり……って、20時ですの!?」

「おやすみなさい、マックちゃん」

「え、ええ。おやすみなさい、ライスさん」

 




ニコニコ動画が見れないので、次話も近日公開します。
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