ドドーン!!
「「うわっ!?」」
「なんだなんだ!?」
「Jアラートは!?」
ガチャッ「おい、委員長! 今のはなんだ!」
「久保田!? 流石にわからん!」
ド早朝にいきなりなんだってんだ!?
あまりの衝撃に、お互いベッドから落ちて目が覚めたんだ。
びっくりドンキホーテってやってると、アチラコチラで悲鳴が聞こえる。
すぐに寝巻き状態で起き上がって、新田くんといっしょに表にでて男女全員を
静かに落ち着かせたら、学園の報告を待つことにした。
Jアラートが鳴っていないなら、実験室の爆発かーと呑気に二度寝に
洒落込んだんだけど、覚醒してしまって寝付けなかったよ。
<トレセン学園より報告いたします。
当学園の理科室にて、爆発が発生いたしました。
火災や爆発の影響で、怪我を負ったという報告はありません。
本日は原因不明の爆発の詳細を調べるため、科学・化学室とその他周邊の授業を
取りやめ別の授業に変更いたします。
通学は一時間遅れの9時に致します。
お騒がせしまして、誠に申し訳ありませんでした>
今の爆発で誰も怪我していないのはよかったんだけど、
なんで爆発したんだろう?
自身が開発している場所は、理科室とは別の技術室。
なんなら距離も遠いから、影響は対してないし厳重に保管している
から振動もほぼ意味ないね。
他の皆も、なーんだっていって自室に帰っていったよ。
いや、なーんだじゃないんだわ!!
貴重な睡眠を削られた恨み、晴らさでおくべきか!
「新田くん!」
「お、おうどした、そんな表情して」
「原因調べよう!」
「放課後な?」
「……わかった」
「おう」
素っ頓狂な顔して反応した新田くんは、さも当然のように振る舞った。
拍子抜けだちくしょう!
まあいっか。今日は秋の大感謝祭に向けたミーティングがあるんだ。
絶対に面白いことしてやるからな、見てろよ見てろよ~?
「やあ、テイオー」
「おっはー、遠矢」
「ライス、おはよう」
「おはよー、新田くん」
ちょうどいいところにテイオーたちがいたので、一緒に朝食を食べたら共に登校するぞ。
さて、今日もテイオーの肩を借りながら行くかあ。
本来なら車椅子状態でも、ソウル波を使った研究ができていたりする。
でもめちゃくちゃ危険な目にあったから、完治するまで触っちゃだめなんだって。
僕のアイデンティティーが崩れるんだよなぁ。
早く現場復帰しないと!
そういう理由があるから、事故をして二ヶ月の今全力でリハビリを頑張ってここまで来た。
いやぁ、先生がたの驚いた顔は本当に面白かったなあ。
まさかこの僕がベッドに座ったままで終わる人間だと思ってたのかな。
【巨万の富】があるかぎり、僕から思考は取り払えないのだ!
「おはよう御座います、遠矢さん。今日から復帰ですのね!」
「おはよう、モッチさん。目白のリハビリ専門医を派遣してくれてありがとうございました」
「マックイーンですわ!」
「よお、西尾! 脚の方だいぶよくなったんだって?」
「おはよー小比賀くん、今日から補助ありで通学可能だよ!」
この後も皆に復活を祝われるんだ。まあ二日前から戻ってきているんだけど、
ずっと部屋で過ごしていたから、ちゃんと面と向かって会話するのは本当に久しぶりだなあ。
登校して教室の前まで、テイオーに肩を貸してもらった。
持つべきは心配りができる友達だね。
ライスも明るい表情で見送ってくれる。
あの時気絶してしばらく、意識を取り戻してから脚に重装甲が装着されているのを確認して少々放心してしまった。
やべぇなあ、と若干焦りもあったりするけどこれも想定内。
面会が可能になった時、スピカの面々や新田くん達クラスメイトも会いに来てくれたんだ。
しかも理事長まで来てくださって、あまりにも多くの人に迷惑をかけていたのだと思い知ったよ。
一度ライスには誠意を込めて謝罪をしたけれど、あまり目をあわせてくれなかったから大分嫌われたなとちょっとだけ後悔したかな。
まあ、反省してないけど。
暫く経過してリハビリが可能になった時、暇つぶしとして新田くんに頼んだものを用意してもらったんだ。
いやあ、【巨万の富】を使って作りたかったんだよねえ。
苦節3週間。リハビリを受けるために病院から施設へ移動した時、更に自身の脚を実験したんだ。
僕が作り出そうとしているのは、破砕する前の肉体組織に合わせて肉体構成を再構築する破骨細胞や骨芽細胞のナノマシン化だ。
作成費用や実験費用は、特許料で稼いだものを使っているよ。
あれのおかげで、大分形にできたんだ。
再構築率98%。あとは脚をリハビリして残りを体に任せるんだ。
あまりやりすぎると、過剰再生した組織がガンや腫瘍になるからだね。
良性腫瘍であっても体に負荷を加えるので、完全再生一歩手前がいい塩梅と判断したよ。
「ご迷惑をおかけして、誠に申し訳ございませんでした!」
「こういうことは金輪際止めるように! 次やった場合、ウマソウルの研究は封印指定にする。わかったか?」
「はい!」
放課後、担任のせんこーとスピカのトレーナーに叱られた。
そりゃそうだよなぁ。まともな大人だあ。
早くおとなになりたいもんだよ。中身がこれだから子供であることに制約を感じてしまう。
しかし本来なら、子供は大人により掛かるもんだ。
よりかかれる大人がいるって最高だよ。
なんせこちらは、環境も親も選べないからな。
「よ、おかえり」
「遠矢! 心配したんだぞ!」
「ちょ、ウオッカ。あ、アタシだって心配したのよ!」
「おかえりなさい、遠矢!」
「……」
「ライスさん?」
やはり、許してくれないかぁ。
なら、アレを渡そう。
「ライス、これを受け取ってほしい」
「何?」
怪訝な表情を隠そうともしない。
そばで見ている新田くんも、いい表情はしてないな。
ライスは黒い箱から、書面を取り出す。
それこそ、僕の誓いであり覚悟、起請文だ。
「三女神にゆかりのある神社で契約をした、血判状だよ。
破った場合、僕には神仏の怒りが下される。赦してとは言わない。でも、友達として交流をもってほしい」
「虫のいい話してるって自覚してる?」
「もちろん」
「わかった……ライスも、西尾くんが無茶をする前に止めるから」
「お願いします」
事態は一応の解決はしたけど、根深い瑕になってしまったね。
ちゃんと反省して次に活かすことにしよう。
「よし! 暗い話はよしとしよう! マックイーンは菊花賞、テイオーはシクラメンSに向けて調整をしていこうか。
他の面々は、体が出来上がっていないので、軽くだな」
「「「はい!」」」
皆がスピカトレーナーの指示の元走っている間、僕は小比賀くんや新田くんと一緒にソウル波の解析を行うことにしたよ。
現在このトラックで走っているウマ娘は100人くらいいる。
彼女たちのソウル波を受信して、一人一人データとして保存していくんだ。
そして、遠距離じゃわからないので、新田くんや小比賀くんにウマ娘に近づいて子機をつけてきてもらうよ。
いや~ショタが好きなウマ娘が多くて助かるね!
しばらくしてデータを取得したら、PCにそれらデータの保存と分析にかける。
その分析や解析は結構時間がかかるので、早朝の爆発を解明するため現場へとむかうぞ!
「見事なまっくろくろすけ」
「これはすげぇや」
「石油系のニオイだな?」
小比賀くんと新田くんを引き連れて訪れた爆発現場。
ゴールデンボンバー……あ、いいや、なんでもないっす。
しっかしこりゃひでえや。ニトログリセリンでもやっちまったかな?
KEEP OUTテープがぐるぐると巻かれていて、今撤去作業が行われている最中だ。
周邊を見渡してウマ娘がいないか確認したんだけれども、意外と工事の音ってでかいんだよな。
おかげさまで、ウマ娘を見ない。
刹那。
脳髄に迸る嫌悪。
それはふとももを触られ、尻を撫でられ患部を舐るように撫で回される。
「ちょ、お、おま!?」
「おいアンタ! 西尾にセクハラすんな!」
「おっとすまないねえ。ふんふん、開放性脱臼骨折にしては治りが完璧すぎる」
友達二人が狼狽えているのがわかるのと同時に、聞いたことがある声が耳朶を打つ。
そのものは白衣に身を包んだアグネスタキオン。
最速の果てに脚をふっとばしたやべえやつ。
っとアプリの方の自堕落ですべてをトレーナーに任せた世界線の方は、
サトノダイヤモンドに見せたようにあんまり考えないようにしたぞ。
この世界はあのゲームの世界とは違うんだ、
なるべく考えないようにっと。
「なあキミ! わたしのラボへ来てくれないか!?」
「構いませんけど、僕は西尾 遠矢っていいますが……あなたは?」
「おっと失敬失敬。わたしは、アグネスタキオン。超光速の先を見たいしがない研究者さ」
「おいおい、オレ達は蚊帳の外かよ。小比賀 純一ってんだ、よろしくな!」
「俺は新田 幸助です。俺等もラボについていきますので」
「ふふふ、来てもらって構わないさ。訪問者は賑やかな方が良い」
お、おお。すごいね。孤高というか研究者って大体頭おかしいのに、自分のラボに招待したぞ!?
行き先は爆発したところから少し離れたところだ。
部屋の中は少々暗いが、生活圏として使っていることがよく分かる。
それに数多の試験管や封印指定の薬品、危険物取扱1級が必要な薬品があったりなかなか神秘?的な雰囲気があるね。
「やあ、カフェ! ちょっと騒がしくなるよ」
「ああ、タキオンさん────今度は子供を使った実験ですか? どこから拐かしたのでしょうか。燃やしますよ?」
「ハハッ、全く人聞きの悪い事を言うねえ、カフェ。ちゃんと許可をもらって連れ込んでるだけさ」
「それがだめだってことに気づいてください」
タキオンさんが、マンハッタンカフェ「カフェと呼んでください」カフェさんをなだめすかしてる。
妙に慌てているのを見ると、タキオンさんもウマ娘なんだなあと感じることができた。
「これって……」
「完全に硫酸じゃねえか!?」
「おっと、小比賀くんに新田くん。それに触らないほうが身のためだよ。
では、西尾くん、お話といこうじゃないか」
「あ、小比賀さんに委員長さん、コーヒーがいいですか? 腐った茶葉がいいですか?」
「コーヒーでオナシャス!」
「腐った茶葉で」
「委員長さんは変わった方ですね」
「カフェ? 後で紅茶についてこんこんとお話しようじゃないか」
「結構です」
マンハッタンカフェ「カフェと呼んで下さい」……カフェさん、いや、もうカフェちゃんって呼んでやる!
で、新田くんと小比賀くんは、カフェちゃんからコーヒーを布教されているんだけど、僕のほうはそんな軽い雰囲気じゃないようだ。
「さて、キミのことについては少々調べさせてもらったよ。ウマソウルの解明とソウル波のパターン解析だったね。
更にそれの実地試験。実に面白いじゃないか。しかも、本来ならリハビリ含め半年のところを、大幅に短縮し二ヶ月で完全に生活に戻れた。
若さだけじゃ説明つかないのだが、説明してくれるかい?」
「それを話して、こちらになにかメリットはありますか?」
「ああ。その技術を売って欲しい」
「できませんね。たった一個人のために売る気はありません」
「ならば、共同出資の末企業を立ち上げようじゃないか。
特許は個々に任せ、特許料の半分を会社に入れそれを研究費として捻出するんだ」
「研究費や活動費が足りないのでしたら、クラウドファンディングをおすすめします」
「おっと勘違いしているようだが……私は、キミが検証しているウマソウル由来の怪我を視認化する研究を後押ししたいのだよ」
ははは、面白いやつだ。断るのは最後にしてやる。
とは言ったものの、相手のほうがこの手の研究や知見に一日の長がある。
その恩恵に授かりたいが、それと同時に相手の面倒事が舞い込んでくるんじゃないかなあ。
家族相手に勘当されていて、この資金目当てだと積むだろう。
「なあ西尾」
「何?」
「まずはペーパーカンパニーか合同会社を作って、どのような資産の動きをするか見たほうが早いんじゃないか?」
カフェちゃんに勧められたコーヒーを味わいながら、平行線である僕らの会話をメスを入れる。
新田くんの言うことは最もなんだけど、この場合の節税って完全な脱税になって脱法ならぬ違法になるんだよなあ。
現状大分資産を納税している身としちゃ、今頃納税額が減ると怪しまれるんだなこれが。
以前作ったMs.VICTORIAも、入院中に理事長経由でURAに印税が発生するように契約した。
時計だけでなく、こっちに来る前にも3つほど生活に役立つ特許を取得している。
まあ研究や開発のために、ほぼ全ての資金を投入しているから実生活に還元されないんだけどねー。
「そういやタキオンさんって、薬学系なのか?」
「おやおやよくわかったねえ、小比賀くん。そのとおりだよ。西尾くんは、技術畑の人に見えるから化け学の分野は、門外漢と見る。その面でも、私と組むメリットは十全にあるとおもうんだが?」
【巨万の富】が示してくれているんだけど、タキオンさんが開発したものは多岐にわたる。現在開発しているのは、電子上における経験のフィードバックだ。
つまりVRシミュレーション機器【ウマレーター】の一部、根幹となる主要プログラミングの一つの開発を任されているんだろうな。この時点で、タキオンさんの公的な信頼度は高いと思われる。
だって一個人に任せる内容じゃない。
どういう契約をしているのか不明だけど、開発物を搾取されるような無様な真似をしていることはないと思う。
「……わかりました。特許の紐づけは、考案者かつ開発主任で個人に該当する事。公費は、お互いの特許料・印税から発生する資金を半分入れるが、納税した後の手取りが対象になること。
お互いの研究は共有し、協力できるところは協力し迅速な開発を行うこと。
一ヶ月毎に研究の進捗会を行い、意見交換の場を設けること。
資本関係は面倒なので、第三者の監査と税理士を雇って確定申告を簡略化すること。
技術スパイや公権力の圧力をはねのけるため、信頼できる企業弁護士を雇用すること。
企業名は公開せず、持ち株はお互いが持つこと。
企業所属の研究者以外に、研究内容などの社外秘を口外しないこと。
慢性的なコネ・伝手不足なので、外部からの研究開発依頼は開発するこちらがわが開発主任として手柄を奪われないようにすること。
現状はこれくらいですが、圧倒的な技術力で他の追随を許さないことも追加しておきます」
「なるほど。大分魅力的だ」
タキオンさんもまだまだ抜けはあるが、そこは法の専門家に相談したり理事長に直談判することで解決することにしたぞ。
ド素人じゃここまでが限界だしね。
そうそう企業名は、【アンリアルドリームメイカー】。
すごく皮肉を感じて気に入ったよ。
「カフェさん、これなんです?」
「これはタキオンさんがつくったウマソウル増幅装置です」
「うーん、これはどうみてもリストバンド」
「これを着用すると、練習効率が高まるらしいです。こちらは読んだだけで、脚が早くなる本。こちらの青汁は気絶するほどまずいですが、体が8時間休息した状態になるようです。こちらは飲むだけで、気力が持ちやすくなります」
「へー、野球の練習するときに役立ちそうだな!」
「役立てる前にちゃんと寝ろよ」
カフェちゃんが小比賀くんや新田くんに、タキオンさんの開発物を紹介してる。
どれもこれも育成シナリオで見たことがあるやつばっかりだな!
特にクライマックス関連アイテム!
この後トレセン学園の事務所へ行って、起業に関する書類を用意してもらってそれの記載をする。
ささっと書き記したらタキオンさんと再確認する。
起業したら簡単にやめられないからなあ。まあ、非公開だし会社専用の電話もない。
節税もそうだけど、お互いの特許物を無料で使うための方便だから問題はないよ。
「なあ西尾」
「何? って、何そのマント」
「斥力を0にするマントだってよ」
「は? 衝撃吸収素材を作ったのかよ」
カフェちゃんがタキオンさんがつくったものを、タンスから取り出しては小比賀くんに渡してる。何してんすかね?
小比賀くんも喜々として着替えているけど、理科室がふっとんでも知らんよ?
うん? ふっとぶ?
「タキオンさん?」
「なんだい、西尾くん」
「小比賀くんが着ているやつって、まさか今朝の爆発に関係ありますか?」
「おお! やっと気づいてくれたねぇ。そうとも、朝の爆発はこれの開発に寄与している」
「タキオンさん、上に報告しておきますので」
「カフェ待っておくれ!? 報告されたら、1ヶ月間研究開発の停止がッ」
「自業自得だな」
「うーん、このマッドサイエンティスト」
「西尾がそれをいうか!?」
最近新田くんのツッコミスキルが上がってる気がする。
っていうか、タキオンさんは基本的にオーパーツしか作っていないのだろうか。
使用場所は中庭で、2Mの穴を掘ったところにニトログリセリン(TNT爆薬)をキロ単位で設置して穴を埋めずに塞いだのがこのマントだったんだ。
つまり、あの真っ黒はすすであって、爆発の衝撃波は止められたが発破音だけ地中を通って僕らの耳に届いたってわけだ。
「カフェさんはタキオンさんを止めなかったんですか?」
「あの程度でしたらまだましですよ、委員長さん」
「カフェ~頼むよ~上申しないでおくれ~」
「身から出た錆ですね」
そうして僕らは、カフェちゃんとタキオンさんとつるんだ。
徐々にタキオンさんが開発した謎の物体を紹介する流れになるんだけど、
これまたよくわからないものが出てきた。
床に収納庫を作っているようで、そこから出るわ出るわ用途不明の物体。
一体これは何に使うやつなんだろう?
タキオンさんは、小比賀くんにミットをはめさせてから外へ出る。
僕らもついていくが、何をやるのか。
疑問に思った瞬間タキオンさんが、ウマ娘の膂力ではなったボールを小比賀くんがはめているミットへストライクさせたんだ。
「い、痛くないぞ!?」
「まじか!?」
「これが衝撃吸収素材を使ったミットさ。今はスポーツ用品店やウマ娘向けのお店にも、おいてもらっている私の研究成果さ。また、このボールも回転率や軌道を計測し、変化球を作る手伝いをしてくれる。中にある計測基盤も、それを使っているんだ」
「半年前にボールの方は見たことあるぜ! 値段がめっちゃ高かったけどな」
「変化球は肘や手首・指を摩耗するから、常時使用するには才能がいる。
だから専門性が高くなって、必然的に量産されないんだよ」
「制球うまいっすね」
「くくく、開発元だからねぇ」
いや、これすごいな。
こんなのがあったなんて全く知らなかったよ。
このボールがあれば、変化球の開発が捗る!
早速小比賀くんが所属する野球部に紹介して、練習用具として備品に追加してもらおうよ。
そうすれば、ピッチャーの投球能力が上がるはずだって。
またミットの方も、たまに野球部の方へモッチさんやライスがお邪魔することがあるから、そのときに使えば皆の手のひらを粉砕しなくて済むし?
どちらにしろWIN-WINじゃない?
まあ、手のひらが厚くならないから、フライボールとか受け取った時
めちゃくちゃ痛くて悶絶する未来が見える見える。
大会でもこのミット使いたいよなぁ。
公認になれるよう、団体に紹介してみようかな。
「うっひょおおお!! なんだコレ!?」
「本人の興奮度に応じて変化するサイリウムさ」
「タキオンさん、いつのまにこんなマグカップを作ってたんですか?」
「ああ、味覚細胞に作用するコーヒーの味を変えるマグカップだねぇ」
「このシャーペンの芯って、なくならないのか?」
「摩擦を熱として放射する筆記工具さ!」
「なんですかこのお守り」
「因果律を調整してトレーニング失敗を未然に防ぐやつだよ」
そんな感じでタキオンさんの開発したものを、彼女の根城である部屋で試していったんだ。
本当に面白くてワクワクしっぱなしでさ、2ヶ月後の秋の感謝祭のために
僕も色々開発してみたいと思った。
今もタキオンさんの研究開発の結果をみせられて、開発意欲をそそられている。
脚も回復したわけだし、早速今日の夜からソウル波と同時並行して
作っていこうかな!
ーーーーーーーーーーー
さあ、作っていこうか!
「作る前にアイデア出ししようぜ?」
「企画書つくらないと、ソウル波の研究と同時進行できないんじゃありません?」
「みんなが傷つかないなら、なんでもいいよ」
今日も集まっった新田くん・モッチさん「マックイーンですわ!」・ライスの三人が、僕に提案してくれる。
あんな事があったのに、態度を変えないモッチさんの心の広さに救われるよ。
そしてあいも変わらず、ライスが僕を見る目は冷たい。
まあ一朝一夕で赦してくれる問題でもないのはわかってるし、
ここは信用回復第一で行こう。
「どういうのにしようか。一応確実に頭に勉強内容を叩き込む、ヘッドギアなんてのもあるけど」
「脳細胞が死にそうだな? 俺としちゃ、多幸感を出すために脳内物質を取れる薬剤がほしいな」
「それ、完全に麻薬ですわ」
「新田くん、ライスもそれはダメだってわかるよ」
いや、良い線行ってるよ。
だって脳内麻薬だぜ? それらを分泌するように促すのは、別に悪いことではないだろう。
開発は任せろ!
「そういえば、ウマ娘の適正距離ってどのように決まっているのでしょうか?」
「延長や短縮ができれば、出られるレースも変化がでていいんじゃないか?」
「距離もそうだけど、たくさん出られるとなったらたくさんのウマ娘の
情報を仕入れないといけなくなるから、トレーナーさんの負担が大きくなっちゃうよ?」
「なら、それをどうにかするための情報収取をできるソフトがあれば、
需要マシマシで引く手数多だろ」
「それはそれで名門の牙城を一つ消し飛ばしますわね」
お、いいね。情報収取のためのAIを取り入れた総合まとめができるアプリを開発してみせるよ。
これを応用してレース展開や現状の担当なら、どこまで抗えるか試行錯誤してやりますぜ。
まあこんな感じで三人(+たまに小比賀くん)に意見を募って、それを実現できるようにする。
【巨万の富】のおかげで、皆の快適を作っていけるんだ。有効活用しなきゃね。
あとはライスにウマソウルに関する開発・研究に監査を入れられる。
外付け回路がないと、暴走するって思われちまったからねえ。
「新田くん、底持ってて。ライスはその電極を耳の穴に差し込んでて。
モッチさんはその線を暴れないように抑えてて」
「挿し……こむ……?」
「耳カバーの応用だからっ、そのまま入れようとしないで!」
「あ、ごめんね」
「ところで、今度は何すんだ?」
「距離適性をどうにかして変えたいから、その研究だよ。理論が正しければ、
努力が必要になるだろうけどライスでもダート短距離が走れるようになるよ」
「そんなレース、G1にありませんわ」
「たとえだよ、例え」
あとはタキオンさんや他のウマ娘にも協力してもらいたいな。
努力しなくても、ウマソウルをあてればG1に勝てる説。なお、脚の負担。
これは確実に退学案件というか、警察案件なのでOPレースか
地方の協賛レースとかナイターを金で買い取って実践風のレースをしないと意味がないと思われる。
まあ、まずはサンプルを取ってからにしよう。
試しまくって、妥協で自分に試して本番に組み込もう。
いやぁ、楽しみですなぁ。
「おっと、退出時間だ。じゃ、おやすみ~」
「おやすみ~」
「おやすみなさいですわ」
「おやすみなさ~い」
映画を見て少し考えが変わりました。
展開を少々変えます。
人間を生贄に捧げて、ウマ娘の未来を変える事はやめます。
一緒に探求していく方針にします。