編入先はトレセン学園   作:名無しの権左衛門

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3:トウカイテイオー

♪~

 

「は! 準備しなければ!」

「あんだけ徹夜したのに元気だな……」

 

 目をこすりながら起床する新田君を援護しながら登校準備に入る。

スマートウォッチとアプリを忘れずに用意して、食堂を目指す。

食堂は昨日と違って、ウマ娘たちと共にとる。

 

「ふぁぁああぁぁ」

「新田君こっちだ!」

 

 朝食を頼むとすぐに用意されるので、それをもって目的の人物のところへ赴く。

それは僕が成し遂げたいことの一つの中心人物へ接触することだ。

 

「隣失礼!」

「うん、いいよ」

「新田君こっちこっち」

「ねむ……」

「急に隣ごめんね、僕は西尾 遠矢。君は?」

「ボクはトウカイテイオー、よろしくね」

「うん、同じ中一としてよろしく。何かあったら頼りにさせてね?」

 

 今日あったトウカイテイオーは、アプリと違って入ってきたばかりということもあって周囲に友人がいない。

これから友好を広めていけば、周囲は彼女を放ってくことがなくなるだろうね。

でも最初期に接触したら、少しでも印象に残る可能性があがるはず。

そうだ、選抜レースに関して聞いておこうかな。

 

「あのさ、トウカイテイオー」

「テイオーでいいよ」

「じゃあ、僕も遠矢でいいよ」

「うん。遠矢、何?」

「今日選抜レースっていうのがあるらしいんだけど、それって何?」

「それはね――」

 

 話を聞くと、メイクデビューの前にあるもので、レースに出走するためにトレーナーに師事されないといけなくて、

それをされるためのレースだという。

 

「へー、じゃあもし僕がトレーナーだったら、テイオーをスカウトしたいなー」

「なんでさ」

 

 ご飯を食べながらそういう。

 

「僕の好みだから」

「ぶっ。ちょ、初対面でそれいう!?」

「ふざけてはいるけど、冗談じゃないかな」

「ぴえっ、あ、えと、そう、トレーナーはそんな感情は持ったりしないから!

ウマ娘を育てるのが仕事なんだから、遠矢はトレーナー失格だってっ」

「そりゃ当然! トレーナーじゃないしね。でも、人生のパートナーとか」

「え、あ、え、ご馳走様! じゃ、またあとで!」

 

 どうしたんだろう。血相を変えて出て行ってしまった。

彼女が残していったものも片づけて道を急ぐことに。

あーくっそ眠い。

 

「新田君、僕なんかまずいこと言ったかな」

「すぴー」

「僕もねよ……」

「おい!? 食堂で寝るな馬鹿!」

 

 浜内君と田淵君が起こしに来る。

田淵君は昨日のトラック競争の時に居たんだ。

この後担がれて教室に投げ入れられた。

 

 

 そうして地獄のような授業が終わって、放課後。

これから選抜レースが始まるんだって。

たっぷりと居眠りをしたから目がさえているけど、今思い返すと朝話していたテイオーと何を話していたんだっけ?

僕は思い出せないまま、友達より先にグラウンドへ向かう。

 すでに短い距離かつダートの選手が終わっていて、今は芝のマイルだそうだ。

知り合いはテイオーしかいないので、彼女がいないか走り回ってみる。

するとゼッケンをつけた彼女を見つけた。

 

「おーい、トウカイテイオー!」

「ぴえっ、遠矢来たの!?」

「もちろんさ、大事な友達の初陣だぜ?」

 

 そう話していると、クラスのみんなが遠巻きにレースを観戦するために近寄ってきた。

 

「お、そのこが西尾が注目してる子か」

「うん。彼女はトウカイテイオー。跳ねるように走るから凄く速いんだけど、足首に難を抱えていてさ」

「む。なんで、そんなことまで知ってんの」

「公園で走っているのを見たことがあるから。なんなら、トレセン学園入園最初のファンでもあーる」

 

 楽しそうだなお前と新田君に言われ、雑談しているとトウカイテイオー「だから、テイオーでいいって言ったじゃん」

テイオーが呼ばれ出走ゲートに向かって言った。

僕らは観客席に移動して、その経緯を見守る。

 

「あの子は本当に強いのか?」

「めちゃつよだよ。今回はマイルだけど、その素質は十分だから。

ホープフルは回避して、若駒ステークスに出走し菊花賞を狙いたいね」

「は? 才能があるならホープフルだろ?」

「希望に勝ったら絶望するっていうジンクスがあるんだよ」

 

 ウイニングチケットはそうでもなかったけど、基本的にここを勝利した馬はぱっとしなくなるし競争寿命も尽きるほど

早熟な場合が多い。もちろん日本ダービーで寿命がつきるのも多いね。

騎手がぐいぐいいかせすぎるのか、はたまた馬がその空気にのまれてしまうのか。

どっちが原因なのか不明だけど、この世界でダービー以降パッとしなかったらちょっとかわいそうな気がする。

 ウマ娘は人の形をしていて、人と同じ感覚を共有できる。

だから繊細な子は大変なんじゃないかな。

 

ガコン

 

<ゲートが開きました!>

 

 はじまったみたいだ。

今回の選抜レースは8人立て。

比較的差しが多い中、先行なテイオーは優秀な馬の王道を歩んでいる。

ただ能力が桁違いなのか、最終コーナーでは逃げを追い越し3馬身差に収めた。

 僕は応援したけど、比較的脚を抑えての勝利だ。

ただそれでも、脚にダメージが入っているのがわかる。他の子はそうでもないのに。

僕の『巨万の富』がそうささやいているんだ。

場所と冷やすべき場所がわかる。

 

 僕はテイオーを出待ちした。

 

「あ、遠矢! どうどう? ボクの走り!」

「うん、早かったね。じゃあ、脚みせて」

 

 僕はいつも持ち歩いているリュクサックから、冷却スプレーを取り出しながら言う。

 

「うぇっ!? そんな、大げさだって!」

「テイオー。スカウトを受ける前に、まずは冷やすんだ。競争寿命が縮んでも知らないよ」

「む、むむむ、走れなくなるのは嫌かな……わかった、お願い」

 

 僕はちかづいてくる金の亡者たちを無視して、彼女に施術を施す。

『巨万の富』がすべてを教えてくれる。でも治すには専用の機械を開発したり、頭の中に浮かんでくる塩基配列を元にした

薬品を作らないといけない。

 

「片側を使いすぎ。なんで、スパート以外の場所でも使ってんの」

「こっちの方が走りやすいしー」

「スカウトを受けるんだったら、脚の管理を徹底してもらえよ? ウマ娘にとって命そのものなんだから」

「はーい、肝に銘じまーす」

 

 僕が施術している間に、いろんな人からスカウトをされている。

『巨万の富』によると、G1バを輩出している人が二人。それ以外は、op級ばかりだ。

うんうん、テイオーはすごいからねえ。

彼女は自尊心を満たされているようで、偉そうな口ぶりを発揮しているんだけどこれ大丈夫かなぁ。

一応答えは保留にしたみたいだけど。

 

「よし。骨を補強するシートをはっつけて終わり!」

「ありがと。なんだか、羽のように軽いや」

「それはそう。大事にしなよ、じゃあね」

「ん、またね」

 

 『巨万の富』は最高なんだから当然さ。 

僕はテイオーと別れて新田君たちとつるむ。

次はどんな有望な子が来るのかっていうのと、今回有力バを見に来ただけでスカウトする気がないトレーナーとだべって

時間を過ごしたんだ。

 

「しっかしトレセン学園って、顔面偏差値高いよな。体もモデル級だし」

「お、おい田淵あんまりそういうんじゃねぇ」

「別になんもしてないだろ。生活になじんだら、俺達も彼女たちに陰口叩かれるようになるんだしさ」

「それは間違ってないな」

 

 田淵君の言葉に浜内君が頷く。お互いに感情をもっているんだから、何か思ったり思われたりするのは当然。

陰口くらい叩かせといたらいいんだよ。

僕はしばらくしてから、スピカのチームハウスへ赴く。

 

「お、来たか!」

 

 なんかゴルシさんが、カードでピラミッド作ってる。

器用な真似してんなぁ。トレーナーとあいさつして、僕のアプリと時計を売り込む。

これはウマ娘の状態を知ることができる便利アプリだということをプレゼンしてみた。

 

「こいつは……」

 

 案の定トレーナーに気に入ってもらったので、今いるゴルシにつけてもらったところ態々いろんな機械で測らなくてよくなったし、

血脈も静脈に触れたり機械に腕を通す必要性もなくなり、流動的に状態が知れるということで十分満足するものだそうだ。

よかったよかった。じゃあ、携帯にこのアプリを差し込めば、勝手にグラフにしてくれたり相関図を作成してくれるようになるぞ。

 

「これ、昨日の今日で作ったのか!?」

「初期投資でもらったお金で作りました」

「わかった。これからもよろしく頼む」

 

 トレーナーの目が鋭くなったので、これからもっとお金を増やしてくれるだろう。

そうなったら、もっと楽しいものを作り出すことができるかもしれないね。

 

「おーい、トレーナー。なんかこいつがハウス前でうろちょろしてたの捕まえてきたぜ」

「おおいゴルシ!? 誘拐はやめろとなんどもっ」

「うろちょろしてないもん! 遠矢を探してただけだもん!」

 

 おんやぁ? 聞いたことがある声質だね。

若しかして尾行してきたのかな。だとしたら勇敢だなと一言添えられるね。

 

「遠矢? なあ、遠矢こいつと知り合いか?」

「うん。友達だよ」

「遠矢っ」

 

 ちょっと待って、なんで抱き着いてくるんだよ。なんかしたかな。

ゴルシさん。なんでそんな感心したような顔から、にやついてんすかね。

トレーナーも乳繰り合うなというけれど、そんな気はしないんだよ。

 

「トレーナー! ボク、このチームに入ってもいい?」

「ん? ああ、いいぞ。一応聞くけど、志望理由は?」

「今日選抜レースがあったんだけど、遠矢だけがボクの脚の事を心配してくれたんだ!

他のトレーナーはお疲れ様の一言もないんだよ? そんな薄情者より、遠矢がいるところがいい!」

「最後のが本音か」

「だめかな?」

「いいや、ダメじゃねえ。お前さんはちゃんとしている。労いすら杜撰なところに行っても、不幸になるだけだろ。

よし、入部を認める!」

「やったあ!」

 

 この後テイオーはこの後合流したみんなと一緒に走りに行った。

そしてトレーナーに、今日テイオーの脚を心配した身として所感を語ってほしいみたいだ。

 まず飛ぶように跳ねるということ、余計に脚を摩耗すること、筋肉に骨が耐えきれていない事、素質が高すぎることを伝える。

ただ中距離専門みたいなところがあることも伝える。

 

「ふむ、今日は平常運転だな」

 

 携帯だけじゃなく、パソコンにも通信が行くようにブルートゥースで通信してみた。

これで連携が可能だろう。

 

「画期的すぎてこれがほかのやつに知られるのが怖くなってきたな」

「今はまだですが、来年あたりからほかの企業もやり始めるんじゃないですかね」

「平均血量とかどこの層向けなんだよ……」

「トレーナー向けですね、もっぱら」

 

 これからも投資をしてくれるというのと、スカウトしてきたテイオーが入賞するたびにその分け前を多めにしてくれるんだとか。

 

「ウマ娘の摂取カロリーはやばいからな。競争寿命がつきたらその限りではないが、そうでなければ大食漢だ。

少しはもっておいた方がいいぞ?」

「わかりました」

 

 暫くして帰ってきたみんなを労って、テイオーは脚が弱いということで診断してから着替えて帰る準備をしてもらう。

 

「なあなあ、オレもやってくれよ」

「あ、あたしも!」

「いいですよ。じゃあ、脱いでください」

 

 ウオッカさんとダイワスカー「スカーレットでいいわよ」スカーレットさんの脚を見てみる。

スカーレットさんは頑丈そのものなんだけど、ウオッカさんはすこし弱いところがあるようだ。

 

「はい、これで終わり。気を付けてくださいね」

「ありがとな!」

「ありがと」

 

 雑用やその日の計測を終えたら、今日の仕事は一段落つく。

他のみんなは帰っているから、帰路は一人だ。

そもそもボク以外のみんなは、5月まで入部できない。だから、みんな思い思いの時間を過ごしているんじゃないかな。

 正門の方へ足取り軽く歩いていると、テイオーが背中を壁に預けて待機しているのが見えた。

誰かを待っているのかな?

 

「あれ、まだ帰ってなかったの?」

「うん、遠矢を待ってたんだ」

「ほんと? じゃあ、一緒に帰ろうよ」

「うん!」

 

 道すがら公園に立ち寄ったり、テイオーが好んでいるという出店を見て回ったりした。

さすがにもう日が落ちているので、開店時間も過ぎているところがあり実物を拝むことはできなかった。

でもそれは休日に回せばいいかなと。

そうすれば、みんなで食べることができるかもしれないからね。

 

……夜

 

「何作ってんだ?」

「ウマソウル観測機」

「作れるわけないだろうと思わないな。西尾なら余裕で作れそう。俺にできることは?」

「ここ溶接したいんだけど、足で抑えるとちょっとまずいからつかんでて」

「おk」

 

 新田君に頼んで、『巨万の富』で作れる観測機をともに作ってもらった。

他の業界じゃ、こいつへ干渉する技術なんてないけどこの僕にはそのための能力がある。

これを使ってチームのみんなを導けたらいいと思う。

 

「結構大型になったな?」

「これから小型化していくんだよ。まずは、ウマソウルの影響が大きい子を探して、協力を取り付けることだ」

「ウマソウルに大小存在するのか?」

「きっとG1クラスのウマ娘の方が、ウマソウルの影響が大きいと思うんだ。何事にもトラブルってもんがあるからさ」

「うーん、ならしょっちゅう信号で赤にぶつかっているとか、そういうのもウマソウルの影響か?」

「なにそれ、詳しく教えて」

 

 面白そうな祝福の話だな!?

明日その子の事を教えてくれるようなので、稼働を確認したら寝る。

よし、感度機も受信機も良好だ。これなら期待できるね。

 

「じゃ、おやすみー」

「おやすみー」

 

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