東方龍白録 〜The End of Crossover Fantasy. 作:タミ
まだまだ、これからだ。
「悟空ーーっ!どこだーーっ!」
魔理沙は悟空と逸れた場所を中心に大声で悟空の名を呼んでいた。
眼下に広がる猛吹雪を一瞥する。
「……いやいや、ありえねーだろ」
魔理沙はブンブンと首を振る。
簡単に死ぬような人ではない。
そう自分に言い聞かせながら魔理沙は再び辺りを見回す。
「……待ってたって仕方ないか」
そうだ。待っていたって仕方がない。
悟空におんぶに抱っこだなんて駄目に決まっている。
「……何のために強くしてもらったんだって話だもんな」
強くなるために努力をしたのだ。
決して悟空に寄生して、楽したいわけではない。
「……よし、行くか!」
ぱしんと頰を叩いて箒を飛ばす。
やってくる毛玉や雑魚妖精を蹴散らし、魔理沙は空を駆ける。
……
この調査に乗り出し始めた時から気になっていることがあった。
魔理沙はふわふわと飛んでくる何かを掴んだ。
「やっぱり、またあるな」
魔理沙が掴んだもの、それは桜の花びらであった。
辺りは一面雪景色であり、桜の花など咲いているはずもない。
……いや、本来なら咲いているのが自然ではあるのだが。
魔理沙は桜の花びらとそれに伴った微かな暖気を頼りに進んでいた。
春を奪った犯人がいるのであれば、この花びらが導く先にいる、魔理沙は直感的にそう感じていた。
魔理沙は風に逆らい、春の気配を辿りながら突き進んでいく。
「……今思えばだけど、上空の方があったかいってどういうことなんだ……?」
眼下の地上は猛吹雪が吹き荒れているというのに。
「……何かあるとしたら……」
ここよりさらに上、と魔理沙は確信する。
よし行くか、と帽子を被り直すと、前方から誰かが飛んできているのが見えた。
「………あ」
「………げっ」
よく見るご近所の人形魔法使いがいた。
「殺伐としてると思ったら……」
「なんだよ、殺伐としたのは嫌いか?」
「シティガールには合わない世界ね」
七色の魔法使いことアリス・マーガトロイドは呆れ顔で言う。
「まさかまさか、このタイミングで出てきたってことはおまえが犯人?」
「私のせいじゃないわよ」
即答で否定するアリスに魔理沙はなんだよ、と肩を落とす。
「じゃーもういいよ、帰った帰った」
しっしっ、と魔理沙は手を振る。
「……いい機会だから言っておくけど、昔貸した……というか盗られた魔導書、返してもらってないのよ」
アリスは頬をひくつかせながら言う。
「え〜?なんだそれ〜??まりちゃん知らな〜い」
わざとらしくとぼける魔理沙に、アリスの怒りはヒートアップしていく。
「……いい度胸ね」
アリスは人形を取り出し臨戦態勢に入る。
「あー!!あれは……まさか……!!」
すると、魔理沙はこの世の終わりのような表情を浮かべてアリスの背後を指差す。
「えっ!?」
アリスは思わず人形と魔導書から手を放し、指差された方へ振り向く。
しかし、アリスの背後には何も無かった。
訝しげに再び魔理沙の方を見ると魔理沙は忽然と姿を消していた。
「ばァーか!嘘だよ〜ん」
魔理沙はべーっ、と舌を出していつの間にかぐんぐんとアリスとの距離を離していく。
そしてあっという間に見えなくなってしまった。
まんまと出し抜かれてしまったアリスはわなわなと肩を振るわせる。
「………今度会ったらただじゃおかないわよ……」
「雲の上の方が地上より暖かいなんて、異常気象バンザイね」
「桜の花びらも舞ってるし……アテは外れてなさそうね」
一方、霊夢と咲夜も上空にアタリをつけて雲の上を進んでいた。
すると、2人の眼前に巨大な結界が現れた。
「……これまた大きいわね」
咲夜が言葉をこぼす。
結界は巨大な扉のような形状で2人の前に佇んでいる。
「風が淀んでいる……この先が目的地で間違いないんじゃない?」
霊夢は頭をかきながら言う。
「……って言うと、この辺りで誰か答えてくれると思うんですけど」
ため息をつくと、2人の前に何者かが現れた。
「……わざわざ答える義理も本来無いと思うんだけどね?」
現れた3人のうち、ヴァイオリンを携えた少女、ルナサは言う。
「……それで、これ、何なの?貴女たちは?」
咲夜もルナサらに問いかける。
「質問は一個ずつしてよ〜」
今度はトランペットを携えた少女、メルランが言う。
その後ろにはキーボードを持つ少女、リリカの姿があった。
「私達は騒霊演奏隊~お呼ばれで来たの」
リリカが言うと、3人は予め用意していたのであろう決めポーズをとる。
「お花見の盛り上げなんだって〜」
とメルランが続けた。
すると、3人は各々の楽器を取り出し演奏を始めた。
それと同時に弾幕が展開され、霊夢と咲夜の両名に襲いかかった。
2人は表情を強張らせ、それぞれの武器を取り出し、弾幕を捌き始める。
「結局こうなるのよね……」
霊夢はぼやきながら自身の弾幕を撃ち返す。
咲夜もどこからか取り出したナイフで手慣れた様子でルナサたちに投擲している。
「どけどけどけどけーーーーッ!!!!」
すると、霊夢たちのはるか後方から何者かが流星のようにこちらに突撃してきていた。
「やっば…っ!」
霊夢と咲夜は各々の方法でそれをなんとか躱したが、ルナサらは避けきれず見事に轢かれてしまった。
そしてその衝撃で空の彼方へ飛んでいってしまった。
「ーーーっと!……あれ、なんかぶつかったかな」
轢き逃げ犯は悪びれる様子もなく霊夢たちの前に止まり、帽子を被り直した。
「……なにやってんの魔理沙」
「お、霊夢にメイドじゃん、どったの?」
魔理沙は意外そうな表情で言う。
「いくら空だからって、違反切符とるわよ……」
霊夢はわなわなと肩を揺らしながら言う。
しかし、咲夜が霊夢の肩を叩き制止する。
「……まあ、あんたが動かないわけないとは思ってたけどね」
もうどうでもいいや、と霊夢は大きくため息をついた。
「……で、この扉なに?」
と、魔理沙は親指で背後の巨大な結界を指差す。
「冥界の結界、らしいわよ」
半分呆れながら咲夜が答える。
魔理沙はふうん、と結界の扉を観察し始める。
「霊夢、おまえこれ破れんの?」
「うーん、わざわざ破らなくても扉の上を飛び越えていけば冥界に入れると思うわよ」
霊夢も額に手を当て観察しながら言う。
「んじゃ、いこーぜ。どうせ2人も目的は同じだろ?」
咲夜は少し迷いつつ、そうね、と返し、霊夢もお祓い棒を握りしめた。
冥界に辿り着いた魔理沙たちを待ち構えていたのは、半人半霊の剣士だった。
次回、「悟空流修行の威力!!」をお楽しみに。
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