東方龍白録 〜The End of Crossover Fantasy.   作:タミ

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妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、殆ど無い!!


其之十三 悟空流修行の威力‼︎

空に浮かぶ結界の扉を飛び越えると、3人は巨大な階段の下にいた。

 

「でっけー……てっぺん見えないぞ」

 

その巨大な階段は天に届かんとばかりに上へ上へと続いていた。

 

「さっさと行きましょ、早く帰っておこたと融合したいし」

 

霊夢はストレッチをして空に浮き上がる。

 

「おやおやぁ?偉大なる博麗の巫女サマが空飛んで横着する気ですかぁ?!」

 

魔理沙の言葉で霊夢はフリーズする。

 

「……は?」

 

振り返り、据わった目で霊夢は睨みつける。

 

咲夜も目元を抑えながらため息をつく。

 

魔理沙はにやにやと悪い笑みを浮かべて霊夢の方に向かっていく。

 

「幻想郷最強の巫女さんはこんな階段程度に日和ったりしませんよねえ??」

 

「……何が言いたいわけ?」

 

霊夢はぴくぴくと眉を動かしながら魔理沙に尋ねる。

 

「こんなの歩いていくくらいお茶の子さいさいですよねえ?」

 

咲夜はやっぱり、という表情を浮かべる。

 

「……いや、この階段すんごい長いんですけど」

 

霊夢は階段を指さして言うが、魔理沙は相変わらずニヤニヤしている。

 

「……飛べばすぐよ」

 

「あ〜霊夢行っちゃうんだ〜、そりゃ最強様だし我が道を征く、かあ〜」

 

馬鹿にしたような口調で挑発を続ける魔理沙に対し、霊夢はとうとう観念したのか肩を落とす。

 

「わかったわよ!その代わり咲夜も道連れだからね!!」

 

「えっなんで私まで」

 

咲夜の文句など聞く耳も持たず2人は猛スピードで階段を駆け上がっていく。

 

置いてけぼりをくらいかけた咲夜は慌てて追いかけることにした。

 

「……まったく、今日は厄日だわ」

 

ため息まじりの咲夜の言葉も、凄まじい速度で駆けていく2人に届くことは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

階段のてっぺんに2人の足が同時にかかる。

 

「………っおらあああーーーっ!!!」

 

怒号と共に魔理沙と霊夢は同時に階段の頂上に辿り着いた。

 

ぜえはあと肩で息をしながら2人は膝に手を当てる。

 

「私の……ほうが……一瞬……、速かったわよ……」

 

「ふざけんな……私のほうが……先だ……」

 

すると、咲夜は余裕そうな表情で階段の頂上に降り立った。

 

どうやら空を飛んできていたようだ。

 

「まったく、ほんとに登りきるとは恐れ入るわね」

 

「……てめ……っ、咲夜……ズル……しやがったのか……」

 

魔理沙が恨めしそうに言う。

 

「なんで私があんたらの意地の張り合いに付き合わなきゃいけないの」

 

咲夜は腕組みをしてため息をつく。

 

「だって……こいつが……」

 

霊夢は肩で息をしながら魔理沙を指さす。

 

「……咲夜に関しては……私、悪く……なくない?」

 

魔理沙も息を切らしながら咲夜に文句を垂れる。

 

2人の様子に咲夜は、はいはい、と呆れた様子で呟く。

 

「………騒がしいと思ったら……生きた人間が来ていたのね」

 

すると、階段の奥から何者かが音もなく現れた。

 

「……なんだよ、死んだ人間なら騒がねーのか?」

 

息が落ち着き始めた魔理沙が背筋を伸ばし尋ねる。

 

「そうね、一応は冥界だし」

 

「……んで?おまえは敵でいいのか?」

 

「質問攻めね……そうね、敵ね」

 

あなたたちの持ってきた春が西行妖を満開にさせるの、と白髪の少女、魂魄妖夢は2本の刀を鞘から引き抜く。

 

「おい」

 

すると、魔理沙が妖夢に声をかけて静止させる。

 

その声に、妖夢は訝しげに動きを止めた。

 

「………ちょっと待ってろ」

 

魔理沙たちはその声を合図に小さく円になり、こそこそと話し始める。

 

「……あいつ、親分だと思うか?」

 

魔理沙の問いに、2人は即座にブンブンと首を横に振る。

 

「あいつと戦いたい人、手え挙げて」

 

がしかし、霊夢も咲夜も、魔理沙さえも手を挙げなかった。

 

「……なんで誰も挙げないのよ」

 

たまらず霊夢が呟く。

 

「「どうせ闘るなら親分がいい」」

 

魔理沙、咲夜の2人は口を揃えて言う。

 

おまえもだろ、と魔理沙に言われ、霊夢は決まり悪そうに首肯する。

 

「……じゃあわかった、ジャンケンであれと闘うやつ決めよう」

「勝ち抜け?負け抜け?」

「勝ち抜け」

「恨みっこなしだからね」

 

3人の間で繰り広げられる壮絶なジャンケン大会を妖夢は呆れながら傍観していた。

 

「ジャンケン……ポン!」

 

「はい、勝ち」

 

まず初めに抜けたのは咲夜だった。

 

咲夜は、勝ち抜けたのはいいけどこれどんな状況?と少し混乱しながら妖夢に向き直る。

 

一方、負けた2人は崩れ落ちて悔しがっている。

 

「ぜってー勝つ」

「私のセリフよ」

 

霊夢、魔理沙の両名は再び立ち上がり、気合を込めてジャンケンをした。

 

「よっし、勝ちぃ」

 

側から見ていた妖夢の目からも魔理沙が敗北したことははっきりと分かった。

 

「なんでだよおまえらがやれよ!」

 

恨み節を言いながら魔理沙は妖夢と向き合う。

 

「せいぜい子分との闘いを楽しみなさいよ」

 

咲夜と霊夢はニヤニヤしながら先に進む準備を始め、妖夢が出てきた方向、すなわち異変の黒幕の方へ向かっていった。

 

「……舐められたものね、丸聞こえなんだけど」

 

一連の流れを見させられていた妖夢は明らかに怒っている。

 

「仕方ねえ、ソッコーでボコって合流してやる」

 

魔理沙も準備運動を始める。

 

「……返り討ちにしてあげるわ」

 

妖夢は刀を振るい威嚇をする。

 

対する魔理沙は八卦炉を取り出し、妖夢と対峙する。

 

妖夢は刀を真っ直ぐに構えて臨戦態勢をとる。

 

(さあて……悟空との特訓でどこまで強くなれたか試してやる)

 

次の瞬間、2人は一斉に地面を蹴った。

 

妖夢は猛スピードで距離を詰め、刀で斬りかかる。

 

魔理沙はそれをひらりと躱し、飛び蹴りを繰り出す。

 

しかし妖夢もそれに反応し体を捻り避け、再び斬りかかってくる。

 

魔理沙はそれを躱して懐に潜り込み、至近距離から弾幕を妖夢にぶつけた。

 

妖夢に命中した弾幕は爆発を起こし周囲には煙が立ちこめていく。

 

しかし、妖夢は怯むことなく煙をかき分け一気に距離を詰め斬りかかった。

 

魔理沙はそれを察知し、ミニ八卦炉で弾幕を貼りながら距離をとる。

 

(危ねー……あんなのモロに喰らったらスッパリ斬られちまうな)

 

魔理沙が冷や汗を流していると妖夢が間合いを詰めてくる。

 

今度は横に斬りかかり、それを避けた魔理沙が箒で妖夢の横っ腹目掛けて突きを繰り出す。

 

しかしそれを瞬時に察知した妖夢は身体を傾けて避けると一旦距離をとった。

 

「そんな攻撃で勝てると思う?!」

 

再び妖夢が一瞬で間合いを詰めて斬りかかってきたそのとき、妖夢の背後、そして左右から弾幕が飛んでくる。

 

妖夢は慌てて避けようとするが間に合わず、見事に全弾命中してしまった。

 

「……こういうのも戦闘のうちなんでね」

 

妖夢が振り返るとそこには余裕そうな表情の魔理沙がいた。

 

「……一体、どうやって……」

 

苦しそうに息をしながら妖夢は先程の攻撃のタネを尋ねる。

 

魔理沙は得意げに八卦炉を人差し指の上でクルクルと回しながら説明を始めた。

 

「弾幕を頃合いのタイミングで発射されるように仕掛けてたのさ……設置型弾、とでも言うかな」

 

馬鹿正直に距離を詰めてくれるから誘導しやすかったよ、と魔理沙は八卦炉をぱしりとキャッチする。

 

妖夢は立ち上がり刀を構え直す。

 

しかし、ダメージが大きかったのか息がかなり荒くなっている。

 

対する魔理沙は余裕綽々で八卦炉をポケットにしまっている。

 

妖夢もこのままではジリ貧だと悟ったのか、一か八かの勝負に出ることにしたようだ。

 

刀を鞘に納め腰を深く落とし、大きく息を吸う。

 

そして猛烈な力で地を蹴り、文字通り瞬きする間に魔理沙との距離を詰めた。

 

「……はあっ!!」

 

妖夢はそのまま居合いの要領で抜刀し魔理沙を両断せんと刀を振り抜く。

 

妖夢の斬撃は魔理沙を捉え見事に上半身と下半身を両断した。

 

(……?!手応えがない……まさか?!)

 

妖夢の予感は的中し、両断された魔理沙の肉体は霧のように消え去ってしまった。

 

「残念、残像だよ」

 

妖夢が振り返った時には既に遅く、魔理沙は八卦炉を構えこちらに突きつけていた。

 

恋符「マスタースパーク」

 

八卦炉からは魔理沙さえ予想もつかないほどの極太の光線が放たれた。

 

「いっ?!」

 

魔理沙は思わず驚愕の声をあげてしまう。

 

マスタースパークは妖夢を飲み込み地面を抉りながら突き進んでいく。

 

地面をえぐり、木々をなぎ倒し、空気をも焦がしながらそれはどんどん直進する。

 

そして数秒の後、光線は黒い空の中に消えていった。

 

「あらららら………」

 

魔理沙はぽかんとした顔で放心してしまった。

 

八卦炉とマスタースパークで抉れた地面を交互に見て苦笑いを浮かべる。

 

━━━━━「ムダを削ぎ落とせばおめえのポテンシャルはグンと上がるとオラは読んでる……今まで10のパワーで出していた技を6のパワーで出せるくらいにはな」

 

「……とは言っても……いやあ……これ……マジかよ」

 

悟空がお墨付きをしていたとはいえ、まさか自分の技の威力がここまで跳ね上がっているとは夢にも思わなかった。

 

恐ろしいまでの破壊力を秘めた光線に思わずゾッとしてしまう。

 

「……あいつ、死んでないよな」

 

手加減をすべきな程の威力のマスタースパークを至近距離から浴びたのだ。

 

流石に弾幕ごっこで人死にを出すわけにはいかない。

 

慌てて魔理沙は妖夢を探しに抉れた地面を辿っていった。




魔理沙に託し先に進んだ霊夢と咲夜の前に、亡霊の姫君が現れる。次回、「西行妖」をお楽しみに。

感想やお気に入り、評価、ここすき等、是非お願いします。やる気が出ます。次回投稿が早くなります。……たぶん。
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