東方龍白録 〜The End of Crossover Fantasy. 作:タミ
謎の来訪者に、夏の亡霊も戸惑ってるかの様に見えた。
そんな全てが普通な夏。
辺境は紅色の幻想に包まれた。
「それで、行く当てはあるのか?」
魔理沙が霊夢に尋ねる。
「ま、勘に任せて進めばなんとかなるでしょ」
今までもなんとかなってたし、と霊夢は能天気なセリフを言う。
「聞いた私が間違ってたわ」
魔理沙は呆れ顔になってしまう。
「湖が見えてきたぞ」
悟空が指差す方向には大きな湖が見える。
「……なんか、涼しい通り越して寒くなってきてないか?」
魔理沙がぶるりと身震いする。
「……例えるならそうね、夏場に設定温度18度の冷房をきかせた部屋のような……」
「ツッコもうと思ったけどまともな例えでしたわね霊夢さん」
魔理沙が横目で霊夢を見る。
「やいやいやいやい!!!」
すると、前方から何者かが猛スピードで悟空たちの方へ向かってきた。
「すぱーきんぐ!!!!!」
「……チルノちゃん、それを言うならアイヤイヤイヤイだと思うよ……」
「また無駄に絡みに行くんだものなあ」
その3人組は霊夢たちの前で急ブレーキをかける。
「あんたら誰?ここはあたい達の縄張りだよ!」
チルノと呼ばれていた先頭にいる青い髪の少女は霊夢たちを睨みつける。
「あたいらの縄張りに土足で踏み込んで、生きてまた地面を踏めると思わないことね!!」
「……どうでもいいけど、この辺りに島がなかった?」
面倒くさそうに尋ねる霊夢にチルノは更に腹を立てる。
「無視するんじゃないわよ!大体、お前らここの人間じゃないでしょ!怪しい奴らね!」
「大ちゃんと!ルーミア!あたいたち3人の合体技でおまえらはバラバラに砕け散り終わるのだ!読者のみんな!今回でこの小説は最終回!次回からはすーぱーチルノちゃんのアイシクルフォールが始まるぞ!!」
チルノは長々とセリフを言いながら力を溜める。
「いや終わんねーし」
「そーなのかー」
呆れ顔になりながらツッコむ魔理沙と同じく呆れ顔の霊夢。そして悟空も苦笑いを浮かべている。
「スーパーウルトラアルティメットフレイムウォーターサンダーウィンドアームストロングアルティメットサイクロン……真!!アイシクル……フォールッ!!!」
「……もはや氷技の名前ですらないじゃないの……」
「アルティメットって2回言ってるしな」
霊夢と魔理沙の冷静なツッコミが入る。
チルノから冷気が放たれる。
「合体技って言ってたけど……後ろの2人、何にもしてないわよ」
「いやほら、後ろからパワーを送ってるのかもしれねえしさ……」
悟空が苦笑いをしながらフォローする。
「なにーっ?!大ちゃんルーミア!おまえらも攻撃しなきゃーっ!!」
「もうやめようよチルノちゃん……」
「やられるのが目に見えてるから私はパスで」
2人は既に諦めムードだ。
「ムキーッ!!いいもんいいもん!!あたいだけでじゅーぶんなの!!」
チルノは叫び更に力を込める。
「しつこい」
その時、霊夢がチルノに拳骨をお見舞いした。
「いたぁ!?」
「おいおい霊夢、何も殴ることねえだろ……」
悟空は慌てて霊夢を止める。
「いいのよ別に」
心底面倒くさそうに霊夢は口を尖らせる。
「すみませんすみません!ほらチルノちゃん帰ろう」
「やだやだやだ!帰らない!!」
大妖精は頭を下げて謝るが、それでもチルノは引き下がろうとしない。
結局チルノは抵抗虚しく大妖精とルーミアに引きずられていった。
「……何しに来たんだあいつら」
魔理沙がため息混じりに呟いた。
霊夢たちは、紅く染まった空の下を飛んでいく。
すると、前方に大きな屋敷が見えてきた。
しかし、その周りには妖怪たちが群がっている。
霊夢たちに気がついたのか、その群れは一斉に襲いかかってきた。
霊夢は札を取り出し、弾幕を展開しようとする。
悟空も気を集中させ構える。
が、魔理沙が手で制し、2人は素直に武器を収めた。
魔理沙はニヤリと笑うと、スペルカードを宣言した。
恋符「マスタースパーク」
魔理沙が放った極太レーザーが、妖怪たちを蹴散らしていく。
「相変わらず派手にやるわね……」
呆れる霊夢を尻目に魔理沙はついでに屋敷の正面入り口に対してもマスタースパークを放つ。
立派そうな門は吹き飛んでしまい残骸のみになってしまった。
「あーあ……」
霊夢、悟空の両名はあちゃあ、という表情で頭を抱える。
「どうすんのよこれ……賠償金請求されても知らないからね」
「違うんですぅ!ここにいる博麗霊夢っていう有難そうな巫女がやれって言ったんですぅ!私は嫌だって言ったのに〜!」
わざとらしく大声で叫ぶ魔理沙に霊夢は肘鉄を入れる。
「いってぇ〜ッ!」
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ」
その瞬間、瓦礫が崩れ、何者かが3人に向かい突進してくる。
霊夢と魔理沙に狙いを定めた攻撃は間に割り込んできた悟空に防がれた。
「……やるわね」
猛スピードで攻撃を仕掛けてきた赤髪の女性は落ち着いた口調で言う。
「……おめえもな」
「完全に不意をついたと思ったのだけど……」
「ここに降りた時から強い気を感じてたからな」
悟空のセリフを聞いた赤髪の女性は大層驚いたように続けた。
「へェ、まさかあなたも気を?」
女性は軽快な動きで距離を取る。
「山吹色の貴方、名を尋ねても?」
「孫悟空だ」
「孫悟空さん、よい名です」
赤髪の女性は紅美鈴と名乗る。
「サンキュー悟空……油断してた」
「いいさ、気にすんな」
不意打ちされていたという事実をやっと受け止められた魔理沙は冷や汗を拭う。
「……そういや悟空、なんだよ"キ"って」
「私はなんとなく察しがつくけど……」
我に帰った魔理沙が悟空に尋ねる。
そういや説明してなかったな、と悟空は手短に気について説明する。
「ふむ……よくわからんが、なんか凄そうだな」
「まあ簡単に言えば、誰もが持ってる体内エネルギーみてえなもんだな」
「ほう、つまりはやろうと思えば私にも使えるわけか」
「そうだな、でも苦労するぜ」
「じゃあ!じゃあ!私のマスタースパークをぶっとばしたあのかめかめ波ってのも使えるようになるのか!?」
「かめはめ波だ、努力すればおめえも出来るようになるぞ」
それを聞いた魔理沙はますます嬉しそうに何かを呟いている。
「そろそろいいかしら?」
すると、状況に痺れを切らした美鈴が注意を引く。
「霊夢、魔理沙、ここはオラに任せて先に行け」
悟空は美鈴にいいだろ、と断りを入れる。
「構いませんよ。貴方が間違いなく1番の脅威だもの」
美鈴の額には冷や汗が浮かんでいた。
「だってよ霊夢、私は先に行くからな」
そう言って魔理沙はスタコラサッサと行ってしまった。
「あっコラ!待ちなさいよ!」
それに続いて霊夢も館の中に消える。
「……こんな感覚は生まれて初めてだわ……闘う前から弱音を吐きたくないものだけど、勝てる気がしない」
美鈴は自嘲気味に小声で呟いた。
「そう力むな、全力が出せねえぞ」
「……ご忠告感謝します」
2人は構える。
「行きます」
「……来い!」
美鈴は一瞬で悟空との距離を詰め連続で打撃を見舞う。
しかし、その全てを悟空は受け流す。
そして、隙を見つけて拳を突き出した。
美鈴は辛うじてガードするが、その衝撃で大きく後退してしまう。
「流石ですね」
「まだまだいくぞ!」
悟空は一気に踏み込み、拳を振り下ろす。
その一撃を受けた美鈴は地面に叩きつけられる。
「どうした、もうおしまいか?」
「まだです……!!」
美鈴は立ち上がると、体の周りに光を放ち始める。
(出し惜しみしてる場合じゃない……持てる力を全てを使わなければこの男には勝てない!!)
「大鵬ッ、墜・撃・拳ッ!!」
美鈴の強烈な三連撃を喰らい、悟空の身体は遥か後方へ吹き飛ばされる。
「どうだッ!!」
美鈴の渾身の技を受けてなお、悟空は笑っていた。
「すげえ攻撃だったな、美鈴」
「嘘でしょ……」
「オラの技も見せてやるよ!」
そう言って悟空は気を高め始める。
「……な、なんて気の圧力なの……」
悟空の放つ気で大気は震え始める。
「界王拳!!」
悟空は真っ赤なオーラに包まれた。
風は凪ぎ、湖の覆っていた霧も全て吹き飛んでいる。
(……震えが止まらない……これが1人の人間の放つ気なのか……?)
「……行くぞ!」
悟空は一瞬で美鈴に近づき、腹に掌底を叩き込む。
美鈴は飛びそうになる意識をどうにか繋ぎ止め、反撃に出ようとするが、膝から崩れ落ちてしまった。
「……ここまで、か……降参よ、全く敵わなかった」
「いい勝負だったぞ、また闘おうな」
「次に闘う時には、少しは追いつけるのかしら」
「ああ、おめえなら強くなれるさ」
美鈴はニッコリ笑うと、気合いのみで支えていた意識を手放した。
悟空は倒れた美鈴を抱き抱え、安全そうな場所に横たえた。
悟空に任され霊夢と魔理沙はそれぞれ館に突入した。
そんな2人の前に新たな刺客が現れる。
次回、「魔理沙&霊夢、快進撃‼︎」をお楽しみに。
感想やお気に入り、評価、ここすき等、是非お願いします。やる気が出ます。次回投稿が早くなります。……たぶん。