東方龍白録 〜The End of Crossover Fantasy.   作:タミ

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こんなに、月も紅いから……

楽しく暑い夜に、なりそうね。


其之五 紅き悪魔の世界

「よし、そろそろオラも行くかな」

 

美鈴を破った悟空は霊夢、魔理沙に遅れて館へと入ろうとする。

 

「ようこそ、人間……我が館へ」

 

その時、館の屋根から何者かの声が聞こえてきた。

 

「……おめえは?」

 

その者は黒い翼をはためかせ悟空を見下ろす。

 

「……私は誇り高き吸血鬼」

 

「この紅魔館が主、レミリア・スカーレット」

 

「きさまの闘いぶり……観ていたわ、孫悟空」

 

レミリアは邪悪な笑みを浮かべる。

 

「おめえが親分か」

 

「そう……この霧を出したのはこの私だ」

 

「……なら話は早いな……」

 

悟空は目つきを鋭くし、構える。

 

「……まァ待て……そう急くな」

 

「美鈴をあっさりと倒すその強さ、気に入ったわ」

 

「殺してしまうのは実に惜しい」

 

レミリアは悟空を指差す。

 

「私の眷属となり永遠に仕えてみないか?」

 

「……おめえの部下になれってことか」

 

悟空は鋭い目つきのまま答える。

 

「そう、悪い話ではないと思うが?」

 

「眷属となれば永遠の若さを得られる……きさまのウデにも更に磨きをかけられるわ」

 

レミリアは手を広げ微笑みかける。

 

「……悪いがオラはそういうのにゃ興味ないんだ」

 

悟空の返答にレミリアは不気味に口角を上げる。

 

「……フン、ならば仕方ない……部下のカタキであり我が覇道の邪魔になるであろうおまえは……死ぬしかないな、孫悟空ッ!」

 

レミリアの構えを見て、悟空は気を高め始める。

 

「こんなに月も紅いのだから……」

 

「楽しい夜になるわね」

 

レミリアは一瞬で悟空との距離を詰め拳を振るう。

 

悟空は咄嗟に受け止める。

 

「ほう……やはり止めるか」

 

「小せえのにすげえ力だな……」

 

「見た目に惑わされるなど青い証拠よ」

 

悟空は反撃しようと構えるが、それよりも早くレミリアの蹴りが腹に命中する。

 

「さあどうする?このまま私の血肉となるか、それとも私に仕えるのか……泣き喚き許しを乞えば助けてやるぞ」

 

「どっちもゴメンだ!」

 

今度は悟空がレミリアに接近し激しい連打を始める。

 

「なまっちょろいぞッ!」

 

レミリアは悟空の両腕を掴み再度蹴りを入れる。

 

「図に乗るな人間……私は生物界の頂点たる捕食者……人間を喰らう"夜の帝王"なのよ」

 

「この私に対しまだ様子見を続ける余裕があるのか?」

 

レミリアは両手を天に掲げ、叫ぶ。

 

紅符「スカーレットシュート」

 

途端、無数の弾幕が出現し、四方八方から悟空に襲いかかる。

 

「どうした?真の力を見せる前に終わるつもりか」

 

「……悪かったよ、なら見せてやる!」

 

悟空は気を集中させ、紅いオーラを纏う。

 

「美鈴を圧倒した技……ようやく見せたか」

 

「私を差し置いて紅を纏うなど烏滸がましい」

 

「……こっからが本番だぜ!」

 

悟空は再びレミリアと距離を詰め格闘を始める。

 

互いの攻撃が当たる度に衝撃波が生まれ、地面や壁に亀裂が入る。

 

そして、しばらく殴り合った後、2人は同時に距離を取る。

 

レミリアは翼を大きく広げ、妖しい光を放つ。

 

紅符「不夜城レッド」

 

レミリアを中心にして広範囲に渡って紅い光が拡散される。

 

悟空はそれらを見切り、着実にレミリアとの距離を詰めていく。

 

悟空はレミリアの背後に回り込み、背中に向かって回し蹴りを放った。

 

しかし、レミリアは素早く振り返りガードする。

 

そのまま両者は再びラッシュを始め、レミリアの拳がヒットし、悟空は後退していく。

 

レミリアは間髪入れず悟空の懐に入り込み、アッパーカットを決める。

 

悟空は上空に吹き飛ばされた。

 

レミリアは追撃として悟空に追いつき空中で連続キックを浴びせ、踵落としで地面に叩きつけた。

 

土煙が上がり視界が悪くなる中、レミリアは煙の中から悟空が出てくることを予測し待ち構える。

 

煙から出てきた悟空をキャッチし、勢いに任せたまま回転し投げ飛ばす。

 

悟空は回転し威力を殺し持ち直した。

 

「どうした、そんなものか?」

 

「まだまだ……勝負はこれからだ!」

 

悟空は紅いオーラを迸らせ、レミリアの視界から消失した。

 

次の瞬間、悟空はレミリアの背後に現れ、レミリアにキックを叩き込む。

 

その衝撃でレミリアは吹っ飛び、湖付近まで吹き飛んだ。

 

レミリアはすぐに体勢を立て直し、翼を羽ばたかせ宙に浮く。

 

悟空もそれを追いかけ加速する。

 

2人の拳が激突し、閃光が走った。

 

レミリアは翼を閉じ、急降下しながら蹴りを入れようとするが、悟空は腕を交差させそれを受け止める。

 

2人は口角を上げ、再び攻防を始めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、盗るもん盗ったし……親玉倒して帰るかね」

 

レミリアが悟空を勧誘していたころ、魔理沙は妖精メイドたちを蹴散らしながら館を進んでいた。

 

「お呼びかしら」

 

すると、扉の影から何者かが話しかけてくる。

 

「呼んでねーから回れ右して帰れ、それともおまえが親分か?……名乗れ」

 

「あら、人に名前を尋ねるなら……って言わない?」

 

「私か?そうだな〜……ん〜……コンニチハ、博麗霊夢、ありがた〜い巫女です」

 

きゃぴるん、と決めポーズを決める。

 

「……きっつ」

 

「おうコラてめーもういっぺん言ってみやがれ」

 

「……フランドールよ、霧雨さん……その格好で巫女は無理があるわ」

 

「じゃあ何ならいーんだよばかたれ」

 

魔理沙は怒りのあまりどんとん口調がオラついていく。

 

その時、館内に轟音が響き渡る。

 

レミリアと悟空の戦闘音だ。

 

フランはその音の方向に目を向ける。

 

魔理沙もつられて窓の外に目を向けた。

 

そこには、悟空とレミリアの激しい戦いが繰り広げられていた。

 

「悟空もドンパチ賑やかにやってるみたいだな……」

 

「私、ずっと地下にいたの……ずっと休んでいたわ……495年くらいね」

 

「どっかの誰かが言ってたぜ、休み続ける休みなんか休みじゃないってな」

 

魔理沙はニヤリと笑いながらそう言う。

 

フランはクスッと笑みを浮かべる。

 

「見てくれから……所謂吸血鬼ってヤツか」

 

「外のアレも同じよ、姉なの」

 

「妹君か……人質……ならぬ吸血鬼質にして身代金ふんだくるのもアリだな」

 

「外でわいわいしてるのを見てたわ……人間って面白いのね、私も人間と言うものが見たくなって、外に出てみたの」

 

「そうかい……おめっとさん、夢が叶ってよかったじゃないか……ほれ、よーく見ろ」

 

「私、暇で暇で仕方ないの……遊んでくれるわよね?」

 

フランは狂気的な笑顔で言い放つ。

 

魔理沙はそれを聞いて、にやりと笑う。

 

「いいぜ、だが私と遊ぶと1時間3000円のお遊戯料がかかるぜ……いくら出せる?」

 

フランは首を傾げる。

 

その様子に、魔理沙はため息をつく。

 

フランはポケットをまさぐりコインを1枚取り出した。

 

「そんなんじゃ飴ちゃんも買えないだろ」

 

フランはくすくす笑いながら呟く。

 

「言わなきゃいけない気がするから言うわね……あなたが、コンティニュー出来ないのさ!」

 

フランはそう叫んだ後に弾幕を展開する。

 

魔理沙はそれらを器用に避けながらミニ八卦炉を構えた。

 

恋符「マスタースパーク」

 

極太レーザーが一直線に進み、フランに直撃する。

 

しかし、煙の中から無傷で現れるフランに魔理沙は舌打ちする。

 

フランはニタリと笑って踏み込み強烈な蹴りを魔理沙の顔面目掛けて放つ。

 

辛うじて魔理沙はそれを避けるが直後に飛び込んできた光景に目を疑った。

 

フランが蹴りつけた壁には足型とそれを中心に亀裂が入っており、先程の蹴りが華奢で小さな体からは想像もできないようなパワーだったことを物語っている。

 

魔理沙の背筋に冷や汗が伝う。

 

(冗談じゃねーぞオイ……なんって膂力だ……!!あんな蹴りをまともに喰らえば……)

 

魔理沙の細身の身体などいとも容易く蹴り砕かれてしまうことは想像に難くない。

 

「どうしてこう今日は……格上とばっかり闘うハメになるのかね!」

 

悪態をつきながらも、魔理沙は再び戦闘態勢に入る。

 

魔符「ミルキーウェイ」

 

無数の星屑がフランを襲う。

 

フランはそれを全て弾き飛ばし、一気に距離を詰めてきた。

 

「クッソ〜ッ!簡単に弾き飛ばしてくれやがって……!!」

 

魔理沙は咄嵯に箒に跨り上空へ飛ぶ。

 

それを追いかけるようにフランも飛翔する。

 

魔理沙は上空から攻撃を加えようと試みるが、フランの圧倒的なスピードと旋回能力に翻弄される。

 

フランは手を広げ、そこから光輝く魔力を収束させる。

 

禁忌「フォーオブアカインド」

 

なんと、フランは4人に分裂した。

 

「そんなんアリかよ!?」

 

ポーカーやってんじゃねーんだぞ、と魔理沙は八卦炉を構える。

 

恋心「ダブルスパーク」

 

魔理沙はマスタースパークを2本放ち4人のフランドールを迎え撃つ。

 

4人のフランは分散し、それぞれが別の軌道で魔理沙に向かって弾幕を放ちながら飛んでいく。

 

魔理沙はそれら全てを撃墜するが、すぐに次のフランが現れる。

 

そして、とうとう捌ききれず弾幕が目の前まで迫ってきてしまった。

 

魔理沙は咄嗟に腕を交差させ防ぐ。

 

(……あれ、なんでかそんなにダメージを喰らってないぞ……なんでだ……?)

 

疑問が頭をよぎったが、今は考える余裕がないと判断し再び意識を集中させる。

 

最初に見せたあの蹴りの威力を考えれば、フランの放つ弾幕も並の威力ではないハズである。

 

「そうそう、玩具は可愛く踊ってくれなくちゃいけないわ」

 

フランはそう言って不敵に微笑む。

 

魔理沙はそれに苛立ちを覚え、歯噛みする。

 

魔理沙は体勢を立て直すために一度距離を取ることにした。

 

魔理沙は空中で静止し、呼吸を整える。

 

(思考を止めるな……並列させて考えろ)

 

あの分身技の詳細、この場の凌ぎ方、フランドールに勝つ方法。

 

魔理沙は頭の中で高速に思考を回転させる。

 

まず、フランの分身技について。

 

あの技は、おそらく質量保存の法則に則っている。

 

つまり、いくら分身しても力の総量、絶対量は1のまま、増えたり減ったりすることはない、ということだ。

 

4人に分身したのならばそれぞれの力は1人の時の4分の1になる。

 

だから先程喰らった弾幕はそこまでダメージにならなかったのだ。

 

次に、この場を凌ぐ方法。

 

いくら考えても、今の自分にはこの状況を無条件に打破できるような策は思いつかない。

 

だが、打開するためのヒントならある。

 

それは、フランの特性だ。

 

フランはレミリアと同じ、吸血鬼である。

 

つまり、フランにも日光などの弱点が存在するのだ。

 

その程度の知識は魔理沙の頭には入っていた。

 

しかし、今は夜だ。しかもあの紅い霧の影響で仮に太陽が出ていたとしてもフランにダメージを与えられはしないだろう。

 

(大蒜だとか、十字架だとか、そういうのがあったハズだ)

 

だが生憎、魔理沙はそういった類のアイテムを持っていない。

 

(詰んだ……のか?私はここで……)

 

魔理沙は諦めかけたその時、魔理沙はあることに気付く。

 

(……吸血鬼の……弱点……そうか、アレならあるいは……!)

 

魔理沙の目に光が灯り、ニヤリと不敵に笑った。




圧倒的な戦闘力を持つフランドールに手も足も出せない魔理沙。現状を打開するため、魔理沙はある作戦を閃く。
次回、「魔理沙の秘策とかめはめ波‼︎」をお楽しみに。

感想やお気に入り、評価、ここすき等、是非お願いします。やる気が出ます。次回投稿が早くなります。……たぶん。
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