東方龍白録 〜The End of Crossover Fantasy.   作:タミ

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紅い夢は終わり、全てが普通な夏が戻ってきた。
宴の時間だ。


其之八 謎を呼ぶ異変

レミリアは己の目を疑った。

 

これは夢だろうか。幻だろうか。

 

咲夜たちを横目で見ると全員例外なくぽかんとしている。

 

霊夢はもう慣れたと言わんばかりだ。

 

「うめえ〜!ここのメシもうめえなあ!」

 

悟空は料理を次々に平らげていく。

 

今、悟空たちは紅魔館の大広間にいた。

 

大広間には長テーブルがいくつもあり、その上に乗せられた数々の豪華な料理が、食欲旺盛な悟空によって次々と消えていった。

 

レミリアと咲夜、美鈴、パチュリー、フランは全員食べ進める手が止まってしまう。

 

その光景が面白くなったのか霊夢はニヤニヤしている。

 

「ほらほら、早く食べないと全部悟空に食べられちゃうわよ」

 

霊夢はそう言いながらレミリアたちの方を見る。

 

「こいつは本当に何者なのだ……人間のはずなのに」

 

レミリアは独り言のように呟きながら血液ジュースを口に含む。

 

「孫悟空、負けはしたがやはりおまえの力は惜しい……是非私の元で働いてほしい」

 

レミリアは真剣に頼み込む。

 

「うーん、やっぱりオラはそういうのは難しいな」

 

ごめんな、と悟空はきっぱりと断る。

 

「……うぐぐ、どうすれば部下になってくれるんだ」

 

「どうすれば、って言われてもよ……」

 

「お嬢様、悟空さんにも事情があるでしょうし、ここは素直に引き下がりましょう」

 

咲夜はレミリアを諭すがレミリアは引き下がろうとしない。

 

「嫌だ嫌だ!孫悟空さえいれば幻想郷の支配も……」

 

言い終わる前に咲夜はレミリアに拳骨を入れる。

 

「……何故ぶつんだ」

 

「必要でしたので……これ以上は悟空さんにも迷惑になります」

 

頭にできた大きなたんこぶをさすりながらレミリアは呟く。

 

「悟空さん!私からも是非頼みが!」

 

すると、美鈴ががたりと立ち上がる。

 

「そうだ美鈴!融通のきかない咲夜に代わっておまえも言え!」

 

レミリアは美鈴に期待の眼差しを向けるが、美鈴は申し訳なさそうに首を横に振る。

 

「いえ、咲夜さんの言う通りです……無理強いはよくありません」

 

美鈴は静かに椅子に座る。

 

「美鈴、おまえまで……」

 

レミリアは口を尖らせる。

 

「それで、頼みってなんだ?美鈴」

 

「私を、弟子にしていただけませんか!」

 

「……オラに修行をつけて欲しいってことか?」

 

悟空の聞き返しに美鈴はぶんぶんと首を縦に振る。

 

「もっと強くなってお嬢様や妹様をお守りしたいんです!それに……」

 

「悟空さんの技と強さに、武道家としての高みを見たんです」

 

美鈴は真っ直ぐに悟空の目を見つめる。

 

「うーん……オラでいいなら教えてもいいぞ」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!!」

 

「おめえは気も扱えるしすぐに上達すると思うぜ」

 

その様子を見ていたレミリアは空っぽになった血液パックを咥えて美鈴を指差す。

 

「よし、それなら美鈴!おまえが悟空より強くなれ!それなら悟空は必要ないからな」

 

レミリアの提案に美鈴は一瞬固まる。

 

「……わかりました、やってみせます!」

 

「ま、頑張ってね」

 

霊夢は他人事で食事を続けている。

 

「悟空さんを超える、か……いつの話になるのかな」

 

「オラも別にそこまで大したもんじゃねえさ、修行を積んでいけばおめえも必ずオラを超えられるハズだ」

 

悟空の心強い言葉に美鈴は元気に返事をした。

 

「あ、それと……」

 

「なんでしょうか?」

 

「強くなったらまたオラと闘ってくれ、それがオラが修行をつける条件だ」

 

その言葉を聞いた美鈴の表情が変わる。

 

それはとても嬉しそうな顔だった。

 

「はい、その時を楽しみにしています!」

 

「ああ、待ってるぜ」

 

「そういえば悟空、レミリアと闘った時のあの金髪になるのはなんなの?」

 

霊夢は興味津々で聞いてくる。

 

「超サイヤ人か?そういや説明するって約束してたな」

 

悟空は自らの出生について語り始めた。

 

まず、地球人ではないこと。

 

惑星ベジータのサイヤ人という宇宙人であり、超サイヤ人とはサイヤ人の中でも一握りのサイヤ人の限界を超えた者のみがなれるものであること。

 

「1000年に一度の伝説の戦士、ね……大層な」

 

レミリアは不満そうに毒づく。

 

「宇宙人か……それならその強さも納得かも」

 

その食欲にもね、と霊夢も爪楊枝を口に突っ込みながら呟く。

 

「ところで、私が悟空と闘ったときの記憶が何故か飛んでいるんだが、何か知らないか?」

 

レミリアの問いに、悟空は途端に真剣な表情になる。

 

「ああ、たぶんレミリアはあの時、誰かにカラダを乗っ取られていた……オラはそう考えてる」

 

「この異変を利用した何者かがいる……私もそう思うわ」

 

霊夢は悟空の意見に賛同する。

 

「その可能性は高いわね」

 

パチュリーも霊夢の言葉に同意した。

 

「……乗っ取る、だと……生意気な」

 

レミリアは歯を食いしばる。

 

「レミリア、なんか心当たりでもあるのか?」

 

「いや……皆目見当もつかない」

 

だが、私の身体で好き勝手にやった責任をそいつにとらせてやる、とレミリアは続けた。

 

「そいつはオラがサイヤ人ってことを知っていた……だから今ここにいるみんなはぜったい違うと思う、もちろん魔理沙もな」

 

「……じゃあ、一体誰が」

 

「わからねえ……だがきっとまた現れるハズだ」

 

悟空は確信を持って言った。

 

「そうか……」

 

レミリアは少し考え込むような素振りを見せる。

 

「まあいい、そいつには必ずツケを払わせる」

 

「お嬢様、あまり無茶はしないでくださいよ」

 

咲夜はレミリアに釘をさす。

 

「わかっているよ咲夜……」

 

「そういや……魔理沙、まだ帰ってこねえな」

 

「ほっときゃいいのよ、どうせ帰ってくるんだから」

 

「オラ、ちょっくら探してくる」

 

悟空はごちそうさま、と席を立ち、玄関へと向かっていった。

 

「お人よしねえ」

 

霊夢はお茶をすすりながら呟いた。




力の差と己の無力さを見せつけられ魔理沙は打ち拉がれる。悔しさと怒りの中で、魔理沙はある決断をする。次回、「ここで逃げ出したら」をお楽しみに。

感想やお気に入り、評価、ここすき等、是非お願いします。やる気が出ます。次回投稿が早くなります。……たぶん。
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