誤字脱字があれば出来れば優しく教えてください。作者は豆腐メンタルなので赤ん坊に語りかけるかのように優しくお願いします。
城塞都市サンドマーレ、ここは多くの人々が行き交う街であり、多くのプレイヤーが最初に訪れる場所でもある。通称始まりの街とも言われ、ほぼ全てのプレイヤーがここに拠点を構えている。かくいう俺達もそれなりに大きな屋敷を持っている。が、今回はまだ拠点にしている屋敷には戻らず、先に冒険者ギルドへと向かう。
街を囲う外壁はモンスター達から守る役割も持つが、反対に人々を簡単に外へ出さない役割も持っている。そのため、街の中に入る為には東西南北にある門のどちらかを通らなくてはならない。ちなみに俺達が通ってきたのはBランク冒険者以上の資格が無いと通れない西門だ。全ての門はランクを満たさないと通れない仕組みになっている。東門は最低ランクのFから、南門はDから、そして強いモンスターが現れやすい北はAランクからだ。
この街には名物とも言える三つの巨大な建築物がある。一つ目はプレイヤーなら誰もが入るであろう冒険者ギルド。ここで冒険者登録し、初めて街の外へと探索に行くことができるのだ。身分証の変わりとなる冒険者カードが無ければ、街を守る門番に出入りを許してもらえない。他にも、プレイヤーが依頼を出したり、逆に受注したりすることもでき、冒険者ランクのランクアップや、武器の訓練所等、多彩な機能があったりする。
二つ目は大聖堂。この世界の
三つ目は騎士団の屯所でLvが50を超えたNPCがかなりの数いる。一番強い騎士団長はLv85もあり、街なかで暴れれば一瞬で捕まり、最悪殺される。だが、彼らのお陰で死が本物となったこの世界で問題を起こそうとする酔狂なプレイヤーは
俺達は冒険者ギルドに要らない素材を売り、ギルドの近くに建っている和風な建築物、酒場『勇者の飯処』に入る。
「いらっしゃいませー!ってエスさん達じゃないですか!ここに来たってことは依頼が終わったんですか?」
「ん、リリム久しぶり。ようやく終わったよ」
スライド式の扉を開けてのれんをくぐると、この酒場のウエイターをする金髪のポニーテールの少女、リリムが俺達に気づいて、笑顔で出迎えてくれる。
彼女はこの酒場の看板娘で、いつも明るく活発的な彼女に多くのプレイヤーが心を癒されている。いつも死と隣り合わせのこの世界で街の三大女神の一人とも言われている。中身も俺やソウタと違ってちゃんと女の子だ。
店内は相変わらずいい匂いを漂わせて、俺達は空いてる席に案内され、そこに座る。
メニュー表を開くとどれも高い値段が書かれていて、俺達が依頼で外にいる間、何品か新メニューも出ていた。
「一週間近くも顔を出されなかったので心配しちゃいましたよ」
「そんなに経ってたっけ?」
「エスさんはずっと走りっぱなしだったから……」
「嫌な出来事だったな……」
「お前らがやらせたんだからな?」
俺が威圧しながら言うと、三人は目を逸らし、乾いた笑い声をあげる。いつの間にか俺の時間感覚が狂ってしまっていた。
リリムは「相変わらず仲良しですね」なんて呑気なことを呟いていた。
「ご注文、どうします?」
「んー、俺はビーフピッグのステーキ、カリカリポテトフライ、エールをジョッキで」
「僕は、チーズハンバーグとオレンジジュース」
「僕もチーズハンバーグとコカトリスの唐揚げ、アップルジュース」
「俺は……この新メニューのクラーケンカレーで、飲み物は水でいいかな」
俺、シオン、ソウタ、マサムネの順で料理を注文する。リリムは笑顔で注文を聞き、メモにサラサラとメニューを書き、奥でフライパンで野菜を炒めるスキンヘッドの大柄な男、店長に伝票を渡してこっちのテーブルまで戻り空いてる席へと座った。
「サボってていいのか?」
「接客も大事なお仕事ですよ♪」
「コロッケさんに怒られますよ」
「コロッケちゃんにバレなきゃセーフです」
ごく自然に俺達のテーブル席に座って堂々とサボるリリムにジト目を向けるが、本人はのらりくらりと受け流す。
「それよりも!また聞かせてくださいよエスさん達の冒険譚を!」
リリムは目を輝かせて俺達に話すことをせがむ。
リリムはプレイヤーだが、この世界がデスゲームになってからは一度も外へと出たことがない『引き籠もり』と呼ばれるプレイヤーなのだ。『引き籠もり』はモンスターと戦わないプレイヤーの蔑称で一部プレイヤーはゲームの攻略を進めるためにモンスターを狩る自分達は街で引きこもってる奴らよりも上だと意気揚々に言ったりする。だが、『引き籠もり』にも前線で活躍するプレイヤーのために武器や防具等を作って攻略に協力する人や不安や恐怖に押し潰されそうなプレイヤーを支える為、料理や歌等で励ます人もいる。そうやって誰かのために頑張っている人達もいるから『引き籠もり』と呼ばれる人達を蔑称で呼ぶのは本当に一部の人だけだ。しかし、中には本当に引き籠もってる人達もいるから、どうしてもそう呼び続ける人はいなくならない。俺達は当然リリム達が引き籠もってるなんてことは言わない。むしろ助けられている。
リリムはずっと外への憧れが止められなく、唯一の親類に外に出ることを止められているのだ。
キラキラとした瞳に耐えられなくなった俺は仕方なく今まで経験した中でも面白そうなのを頭の中でピックアップする。リリムにはだいたいの話は聞かせてあるのでそんな面白い話が残っているだろうか……
「うーん……あっ、なら『オークキング』の話なんてどうだ?」
「オークキングですか?」
俺の提案にリリムは不思議そうに首を傾げる。
オークキングとは、オーク系のモンスターの中ではかなり上位のモンスターで、エリアボスを務めていた。まだデスゲームが始まったばかりの頃で、俺達も駆け出しだった頃の話だ。
「ちょっ!エスさん!あれは誰にも話さないって言ったじゃんか!」
ソウタが焦ったように俺を睨む。
まぁ、確かにあれはソウタにとってトラウマ物の出来事だった気がする。
「え?ソウタさんが凄い焦る程の話なんですか?聞きたい聞きたい!」
だが、リリムは逆にソウタの反応に興味津々で、身を乗り出して続きを催促する。
「あれは本当に駄目!僕の黒歴史だから!」
「エスさん!話して下さいよ!」
ソウタは俺を見つめて話すなと言うが、反対からリリムが話して欲しいと見つめる。
「別に話しても良いんじゃない?」
「減るもんじゃないしね」
マサムネとシオンはあの時は立ち向かえた側だったので特に気にした様子もなく好きにすれば良いといった態度だ。
「減る!確実に僕の中にある何かが減る!」
「エスさん、私もう我慢できなくて……お願いします。きゅるるん」
ソウタは頑なに俺の話を止めようとするが、リリムは潤んだ瞳で上目遣いで見つめる。
「うーん……ソウタ、オークキングは俺達しか戦ってないエリアボスだ。今後同じようなモンスターが現れた時、情報交換で結局話すことになるんだし良いんじゃないか?」
「で、でも現れないかもしれないじゃないか!」
「ソウタ、一週間森の中をマラソンするのとどっちが良い?」
「恨みすぎでしょ!そしたらシオンとマサムネだって!」
「安心しろ、二人の恥ずかしい話もある」
「「ブッフォ!!」」
ソウタが自分だけ報復されるのを嫌がりシオンとマサムネを指差す。しかし、俺は二人の黒歴史もちゃんと覚えるので次のネタにでもするつもりだ。聞いていた二人は同時に吹き出した。汚い。
「……分かりました!でも、リリム絶対に誰にも言わないでね!!!絶対だから!!!」
「言いませんって♪」
「はぁ~、最悪だ」
ソウタは諦め、項垂れる。
「んじゃ、話すか。あれはまだLvが15くらいだった頃なんだけど……」