別の小説を参考にしたりして書いてるので多少似ている文があるかも知れませんが、大目に見てくれると嬉しいです。
「エスさn」
「やだ!絶対に嫌だ!」
シオンがニコニコといい笑顔で俺の肩を叩いたが、即座に何を言おうとしているのか理解し速攻で拒否した。
俺はどうしてゲーム開始時、アバターを自分好みの女の子にしたのか激しく後悔した。
最初は普通に男にするつもりだったが、アバターをいじっていく内に試しに自分の好みのタイプの女の子を作ってしまい、そのまま消すのも惜しく、折角だからとネカマプレイを始めた結果。デスゲームが始まり、アバター変更が不可能となってしまう。
そして、例の女性アバタープレイヤー強姦事件が発生し、中身が男でもアバターが女ならヤれることが発覚してしまった。俺は死物狂いでLvを上げて、街の秩序を守るクランと協力し、ゴミクズは徹底的に潰した。
そして、現在最悪なことにモンスターが強姦してくるかもしれないと言う可能性に出会ってしまった。おかしい、ゲームパッケージにはちゃんと18歳未満でも遊べると書いてあった筈なのに。
「でも、カスミさんはLvに不安があるし、ソウタも魔法使いだから」
「嫌なものは嫌なの!絶対やだ!お前に分かるか?男プレイヤーにエロい目で見られる俺の気持ちが!?」
「ネカマにしたエスさんの自業自得では?」
「くっ!」
俺が拒否しても食い下がる気のシオンは呆れた様子で正論を言ってくる。確かに恥ずかしげもなく自分の性癖を曝け出した美少女アバターを使ってる自分が悪いのだが、それにしたって俺の貞操の危機なのに、笑ってるのは巫山戯ているようにしか見えない。
「薄々思っていたが、エスの中身は男だったのか?」
「ああ、つい出来心で……タイムスリップ出来るならあの時の俺を殴りたい」
俺がカスミの質問に素直に答える。
別に隠していたい事ではない。ネカマする奴なんて他にもいる。中身が男なら襲ってこないゴミクズもいるしな。それでも襲ってくるゴミクズもいるが……。
「ちなみに僕もエスさんと同じだよ」
「えっ?ソウタってロリっ娘エルフが好きだったん。ごめんロリコンはちょっと……」
「……ソウタさん」
「すまない。それは流石に私も許容外だ」
「違うから!別にロリが好きなんじゃない!普通にお姉さんが好きだから!」
「つまり、ロリになってお姉さんに甘えたかったと?」
「それも違う!単純にアニメキャラっぽくしただけ!」
ソウタが必死に弁解するが、カスミは汚物を見るような目でソウタを見ていて、シオンもドン引きしているので説得は無理そうだ。
俺はそれを見て、少しだけ可哀想になったので、これ以上ソウタを追い詰めるのを辞めさせた。傍から見れば身長140センチの幼気な幼女エルフを大の大人が囲って虐めてるように見える。
「で?結局どうすんの?」
ロリコンじゃないと言い続けるソウタを宥めていると、マサムネが痺れを切らしたのか、無理やり話を戻す。
俺はカスミに視線を向け、意見を促す。
シオンやソウタがいい案を出すとは思えないし、俺も誰かを囮にするなんて作戦を考えたく無い。
比較的に冷静なカスミに決めさせるのが一番良い気がする。
「誰も囮に成りたがらないなら正面突破しか無いだろう」
「けどそれは……」
「正面突破と言っても洞窟内部に入るわけじゃない。外から一方的に攻撃する」
カスミはそういうと、背負っていたリュックサックを置いて中から直径三十せんち程の黒色の丸い玉を何個か取り出す。丸い玉には一本の白い紐が飛び出で、まるで爆弾のよう……いや、爆弾だこれ。
「ソロで活動していると色んな場面に出くわす。MPが尽きたときなんかはよくコレを使ってる。50は持ってきたから全部投げ込めばオークキングも出てくるだろう」
そう言ってカスミは俺達に爆弾を配る。受け取った俺達はどういう顔をすれば良いのか分からず、取り敢えず爆弾を観察する。
カスミの話ではこれは魔法道具で、中に火薬と特殊な魔法石が入っており、衝撃を与えると爆発するらしい。しかも下手な魔法よりも威力があり、モンスターを複数巻き込んで攻撃することも出来る。
何でコレを使おうと思ったのか色々聞いてみたい気もするが、今は聞かないでおこう。今後聞くとは言ってない。
「……取り敢えず洞窟前のオークだけでも狩るか。シオン」
「了解」
まずは洞窟の前に立っているオークが邪魔なので先に討伐することにする。俺はシオンに目配せし、シオンは弓を構えて矢を放つ。
「ブギィ!?」
「ブヒ!?」
矢は槍を持ったオークの眉間へと吸い込まれるように突き刺さり、クリティカル判定を貰い、一撃で仕留めた。隣りにいた剣を持ったオークは突然隣りにいた仲間の頭に矢が刺さって死んだ様子を見て、不細工な鳴き声を上げて動転していた。
シオンはすぐさま新たな矢をつがえて、もう一発放つ。
今度は剣を持ったオークの眉間に突き刺さり、クリティカル判定で死んだ。
洞窟前のオークがいなくなったことで俺達は隠れていた茂みから出て、壁に雑に突き刺さった松明で明かりを照らしている洞窟内を覗き込む。
「誰も来てないな」
「本当に爆弾を投げ込むの?」
「じゃあソウタが囮になるか?」
「無理」
ソウタが本当にこの作戦で良いのか聞いてきたが、自分が囮になるのは誰だって嫌なので大人しく爆弾を手に持つ。
「せーので投げるぞ。せーのっ!」
「えい!」
「やー!」
「とう!」
「ふん!」
カスミの合図と共に俺達の爆弾が一斉に洞窟内部へと投擲される。
そして、俺達は洞窟の入口から離れてしゃがみ、耳を塞ぐ。
ドゴーンっ!!!
轟音と共に大きな揺れが発生し、洞窟の入口から砂煙が勢いよく吹き出す。
《レベルアップしました》
無機質な女性の声に似た音声がLvが上がったことを知らせてくれる。爆弾に巻き込まれて死んだオークがいたのだろう。ないし、爆弾でモンスターを倒しても経験値は入るんだと思った。
揺れが収まり砂煙が晴れ、俺達は洞窟の中をチラリと確認する。
カラカラと小石が転がり、壁に突き刺さっていた松明の何本かは地面に転がり落ちていた。
「思ってたよりエグいな」
「同時に5つも使えばこんなものだ。これでまだ出てこないなら追加で投げるが……」
「プギィィィイイイ!!!」
「「「「「っ!!」」」」」
甲高い豚の鳴き声が洞窟の奥から鳴り響いて来る。姿が見えないのにその凄烈な声はビリビリと肌を震わせ、敵が間違いなく怒っていることを知らせてくれる。
「来る!全員下がれ!」
俺の指示と同時にバッと瞬時に洞窟の入口から飛び退いた俺達は各自が得物としている武器を構えて奴が出てくるのを待つ。
そして、洞窟の暗闇の奥からドスドスドスドスと重量の重い生物が走って来る音が段々と大きくなって、地面も僅かに揺らしていた。
「オデの家を壊したのは誰だー!!!」
通常のオークの数倍の大きさを誇り、一番目立つでっぷりとした腹、他のモンスターの毛皮の腰巻き、丸太と言っても過言ではないほど大きな棍棒を持ったオークキングが怒りを含ませる大声で叫んだ。
デスゲームになった事でボスクラスのモンスターが喋る事は噂には聞いていたが、実際に見るとやはり驚いてしまう。
オークキングがその真っ黒な双眼をギョロリと動かし、俺達五人の姿をとらえる。
「オメェ達か!オデの家を壊したのは!!!許さん!!!」
「マサムネ!!!」
「『ガードシェルター』!」
オークキングは一番前にいたマサムネ目掛けてその巨大な棍棒を両手で思いっきり振り下ろす。
マサムネは盾を構えてダメージを10%カットする防御スキルを発動させたが……。
「重っ!」
ズドンと盾で棍棒を受け止めたにも関わらず、軽く地面が陥没し、小さなクレーターが出来上がった。
まるでそこだけ重力が何倍にもなったかのように、ズンズンとマサムネの足が沈んで行く。
「『ムーブステップ』、『ファイアスラッシュ』」
「ブギィ!?」
俺はマサムネが潰される前に、移動スキルで一瞬でオークキングとの距離を詰め、火属性が付与された剣技でそのぶくぶくと太った腹を斬り裂いた。
オークキングはその痛みに悲鳴を上げるが、俺の思っていた以上に剣が入らなかった。一見柔らかそうに見える腹だが、剣が奥まで通らないほど筋肉が詰まっている。
ならばと、一撃じゃ駄目なら二撃、三撃と攻撃するのみ。自慢の足を駆使して、オークキングの周囲を疾走しつつ、何度も剣閃を入れる。
「イデェ!クソ!女のくせに生意気だ!『ボディスタンプ』」
「っ!うわぁああ!」
剣戟の嵐に耐えかねたオークキングが大きく跳躍し、ヒップドロップを繰り出す。離脱していたマサムネは無事だったが、近くで剣を振っていた俺は直撃こそ避けたが、衝撃でゴロゴロと地面を転がる。
「エスさん!」
「エリアボスがスキル!?こんなの情報になかったぞ!」
以前までのエリアボスならそのモンスター特有の攻撃方法はあれど、プレイヤーが使うスキルの使用などはなかった。それはデスゲーム後も同じだと思っていたが、オークキングは間違いなくスキルを使用した。これは掲示板の情報には載っていなかった。他のエリアボスが使わなかったのか、それとも誰かが意図的に隠したのかは分からないが、オークキングがどんなスキルも持っているのか警戒しなくてはならなくなった。
「ブヒヒヒヒ!オデの力を思い知ったか!」
オークキングが汚い笑い声を上げ、棍棒を大きく振りかぶって倒れている俺に向かって叩き落とそうとしている姿が見えた。
俺はすぐさま横に転がって回避すると、振り下ろされた棍棒は地面を砕き、衝撃で砂煙が舞い上がる。
「エス!……クソっ!クソデブ野郎!こっち向け!『挑発』」
「誰がデブだど!オデは腹は筋肉だ!」
腰の小さいポーチに予め用意していた回復ポーションを体にぶっかけたマサムネは怒声を上げて自分へとヘイトを向ける。引っかかったオークキングはマサムネへと攻撃する。
「ソウタとカスミは攻撃魔法を!シオンも弓で頭狙ってけ!」
「「「っ!」」」
マサムネがオークキングを相手している間に動きについて行けてない三人に指示する。
ソウタとカスミは杖の先端をオークキングに向けて魔法の詠唱を始め、シオンは矢筒から矢を取り出して弓を引く。
「――天より訪れる一条の光、彼の敵に裁きを下だせ『ライトニングストライク』」
「――大地を駆ける旋風よ、吹き荒れろ『ウインドストーム』」
ソウタの杖の先とオークキングの頭上に同じ形の黄色の魔法陣が浮かび上がる。そして、白い稲妻が魔法陣から発生し、轟音と共にオークキングを穿つ。
さらに、カスミの魔法は同じように杖の先に黄緑色の魔法陣が浮かび、オークキングに向かって回転する風が襲い掛かる。
シオンの放った矢は雷と風の嵐に抵抗するオークキングの頭へと吸い込まれるように飛んでいき、見事に左目を貫通する。
「ブギャァアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」
全身に黒く焦げた跡がいくつも付き、鋭い風に何度も傷つけられ、体中を擦り傷だらけにしたオークキングが仰向けに倒れ込み、矢の刺さった左目を押さえながら悲鳴を上げ、地面を転がり苦しみ悶える。
「もう一回だ!畳み掛けろ!」
ここで攻撃を止めるなんてことはしない。むしろ、大きな隙を晒している今こそ追撃するチャンスだった。それに、スキルを使ったという未知の事柄が起こった以上オークキングがここから逆転する切り札を残している可能性もある。このまま一気に決着を着けるべきだと俺は判断した。
しかし、魔法を撃つには詠唱が必要だし、弓を撃つにしても、剣と違って直ぐには攻撃に移れない。
俺の判断は間違ってはいなかったが、俺の想像よりオークキングの復活のほうが早かった。
オークキングは目に刺さった矢を引っこ抜き、仰向けになった状態から飛び起き、手に持っていた棍棒を躊躇なく遠距離で固まっている三人に向かって投げ飛ばした。
「なっ!」
「うそっ!」
「やばっ!」
予想だにしていなかった武器の投擲に反応が遅れた三人は同時にぶっ飛ばされ、シオンは車に跳ねられたかのように宙を舞い、ソウタはその場に叩きつけられ、カスミはボールのように地面を跳ねて転がる。
「お前ら!うおっ!」
そして、三人がやられる光景を呆然と見ていたマサムネが大声を出すが、オークキングは隙だらけの棒立ちになっていたマサムネを殴り飛ばした。
オークキングはくるりと体を翻し、残った俺へと突進してくる。
「くっ!『ムーブステップ』」
四人の安否が気になるが、ここで俺がやられれば確実に全員殺されてしまう。移動スキルで上手く回避し、オークキングの側面に回り込む。
オークキングは勢いを止めるために足を踏ん張ってブレーキをかける。
よく見れば、オークキングの体についていた焦げや傷は全て無くなっていた。そして、矢が刺さっていた筈の左目もグチュグチュと音を立てながら再生していた。
「……怒ったど、完全に怒ったどー!!!」
「っ!」
オークキングの表情は憤怒に染まり、その気迫は空気をビリビリと揺らすほど凄まじく、真正面にいた俺だけではなく、離れた場所にいたマサムネ達も体を震わせ、怯えさせてしまうほどだった。
「オデの家を壊し、部下を殺し、オデもとんでもねぇ程痛めつけられた!オメェら全員許さんど!男は生きたまま食ってやるど!女は犯して一生苗床として使ってやるど!オデの怒りを思い知れ!」