再帰啓発のブルーアーカイブ   作:ゆーざーねーむ

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初めての小説執筆、初投稿です。
誤字とかあれば教えていただけるとありがたいです。


多事多端なシャーレ

「暑い」

 

キヴォトスにも夏はあったらしい。

まだ日本の夏ほどではないが暑いものは暑いのだ。

 

「これほど暑いというのに生徒たちは元気なものだ」

 

いくら生徒のためとは言え、こんな暑い日に各学園を行き来するのは大変だ。

早くシャーレへ帰ってドクペを、いや、キヴォトスには無いんだったな。

そんなことを考えながらシャーレへ向かっていると、前方から生徒が歩いてきた

 

「オカリン先生だ!ご主人様は一緒じゃないの?」

 

俺をオカリン先生、そしてシャーレの長である先生をご主人様と呼ぶのは一之瀬アスナだ。

 

「ああ、先生は今日中の書類に追われてユウカと仕事中だ」

 

「そうなんだ、オカリン先生は?」

 

「俺は自分の書類、そして先生が既に作成した書類を連邦生徒会に提出して、そのついでにゲヘナの風紀員の手伝いをしてきたところだ」

 

「忙しそうだね

 そうだ!私もシャーレに行って御奉仕しよっと」

 

「お前の予定が空いているなら手伝ってやれ

 この調子だとまた先生が不摂生で救護委員の面々に叱られそうだ」

こうしてJK(女子高生)と話していると、まゆりとそのコスプレ仲間達と話していたことを思い出す。

だがここの学生が身につけている重火器を見ると、嫌でもここが秋葉原ではなくキヴォトスであることを理解してしまう。

 

「オカリン先生どうしたの?そんなボーっとして」

 

昔の事を思い出していると不意にアスナに話しかけられた。

自分が思っている以上に時間が経ってしまっていたようで、少し心配をかけたようだ。

 

「あまりに暑くてな。そうだ、ジュースとアイスを買ってやろう」

 

「オカリン先生の奢り!?やったー!」

 

途中でエンジェル24に寄ってジュースとアイスを買い、俺たちはシャーレへ到着した。

“ユウカ、この書類お願いしてもいいかな?”

 

「わかりました。あとこの書類のここが間違っているので直しておいてください」

 

“どれどれ?”

“あちゃー見逃してた”

 

出発した時は座っている先生の顔が隠れるほど積まれていた書類は、ユウカの手伝いもあってか顔が見える程度には減っていた。

 

「今戻ったぞ。だいぶ片付いてるな」

 

「岡部先生、おかえりなさい」

 

“おかえり、岡部先生。ユウカが頑張ってくれてね”

“連邦生徒会と風紀員の娘達はどうだった?”

 

「連邦生徒会は少し前にまた強襲を受けたらしくてな、被害を受けた部署の生徒は忙しくしていた。とは言ってもある程度は落ち着いてきたらしい。

 風紀員は相変わらず忙しいようだったが、それでもシャーレがいくらかの書類仕事を請け負ったのと、シャーレ主導で実装したミレニアムの補助システムのおかげで少しずつではあるが休める生徒も増えてきたらしい」

 

“そっか、連邦生徒会の方には私も今度訪ねて見るよ”

 

“風紀員の負担が減ってくれてよかった”

 

“暑い中ありがとうね、岡部先生”

 

「ああ、あと途中にアスナに会ってな、シャーレの更衣室でメイド服に着替えてから来るらしい。

ジュースとアイスを買っておいたから、今の仕事が一段落したら休憩にしたらどうだ?」

 

“それなら早く終わらせないとね”

 

そう言って各々の残りの仕事を片付け始めた。

途中メイド服に着替えたアスナがやってきて、先生といくらか話したあとはオフィスの掃除をしてくれた。

 

“一通り終わったね”

 

“休憩しようか”

 

こうして俺はキヴォトスで教師をしている。

 

おそらくここは俺が知っている地球とは違う場所なんだろ。

ヘイローという天使の輪のようなものを出し、銃弾をその身に受けても痛いですむ人種など聞いたことがないし、その上各地の宗教に真っ向から喧嘩を売るような姿形をした人間などがいたら確実に歴史に残り、日本人であれば確実に義務教育で学ぶような事件があったはずだ。

さらにこの規模となれば如何にSERN等といった裏組織があったとしても隠し通せるようなものでもあるまい。

 

元科学者としてはヘイローやこのキヴォトスについて研究したいという思いがあるが、今は教師として生徒の手助けをするべきという気持ちが強い。

 

そう思い込もうとしているのかもしれない。

なぜなら俺はあの日、あの夏を乗り越えた先の未来でSERNのラウンダーに…

 

恐怖混じりの思考から逃げるように仕事をし、その日の活動を終えた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「おはようございます!先生、岡部先生!」

 

今日一日の始まりはシッテムの箱に宿るアロナの挨拶から始まった。

スマホやタブレット端末に宿るAIと聞くと、一度折れ、戦いが始まってから立ち上がった俺をあいつのように支えてくれたアマ、、、

 

まただ、実感のない、おそらく別世界線の記憶が一瞬だけ脳裏をよぎった。

キヴォトスに来てからたまに起こるこの感覚はなんだ?

 

「本日はえぇっと、ミレニアムサイエンススクールから要請が届いています」

「送り主は・・・・・・ミレニアムのゲーム開発部?みたいです。読んでみますね」

 

「ゲーム開発部は今、存続の危機に陥ってます。

 生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手はあなたたちだけです。

 勇者よ、どうか私たちを助けてください!」

 

「なるほど。すごくおもしろいと言いますか・・・・・・すごく切羽詰まっているということは、ひしひしと伝わってきますね・・・・・・」

「あ、先生方はミレニアムサイエンススクールについてご存じですか?」

 

“うん、ユウカ達がいるところでしょ?”

 

「メイド共がいるところだったか」

 

「そうでしたか、ミレニアムサイエンススクールはご存じの通り」

「トリニティ、ゲヘナと合わせてキヴォトス三大学園と呼ばれる大きな学園です」

「通称ミレニアム、他のどんな学園よりも合理と技術に重きを置いています」

「科学の研究に特化しており、理系の生徒さんたちが多く集まっていることが特徴ですね」

「伝統ある名家のような他の二つ、ゲヘナとトリニティに比べると歴史は長くありませんが、影響力という点においては引けを取りません」

「キヴォトスで「最新鋭」或いは「最先端」の名を冠するものは、そのほとんどがミレニアムから生まれると言っても過言ではないくらいです」

「そんな学校なのですが・・・・・・一体なにがあったのでしょうか?」

 

“とりあえず行ってみようか”

“それにしてもゲーム開発部か、いったいどんなゲーム作ってるんだろうね?”

 

「前評判やユウカの話を聴く限り、ミレニアムサイエンススクールは高校などというよりも大学に近い印象があるな。

 それにしても科学の研究か」

 

“岡部先生は教師を始める前は研究者だったんだっけ?”

“どんな研究をしていたの?”

 

「ふん、世界の支配構造を作り変え、狂気のマッドサイエンティストである鳳凰院凶真が世界を支配する偉大なる研究だ

 今は教師という影に隠れているが、いずれキヴォトスおも支配してやろう」

 

“じゃあその暁には、一杯巨大ロボ作ってね”

 

「愚問だ!

 フゥーハハハハハハ!!!」

 

“じゃあ行こうか、岡部先生、アロナ”

 

「いや、俺は残る。

 本日分の書類もあるし、シャーレを無人にするのは何かあったときの事を考えて避けた方が良いだろう」

 

“確かにそうだね。それじゃあ岡部先生は留守番よろしくね”

“アロナは案内を頼むね”

 

「はい先生!

 岡部先生はお持ちの端末からシッテムの接続を切らないようにしてくださいね」

 

キヴォトスで生まれ育った者は皆、銃撃を受けても痛い程度で済むほど頑丈であり、また学生が主に統治している影響か銃撃戦が日常となるほど治安が悪い。

そのような場所では俺達のような人間は銃撃を受けてすぐに死んでしまう。

生徒を殺人者にさせるわけにいかないし、なにより俺達も死にたくない。

そんな俺達を守ってくれるのがシッテムの箱というタブレットであり、それに入っているアロナだ。

いまいち仕組みは理解できていないが、シッテムの箱とアロナの力により外出時は銃弾を弾くバリアを貼っているらしい。

しかしシッテムの箱は1つだけであり、俺達2人を同時に守り続ける事はできない。

そこで端末をもう1つ用意し、シッテムの箱にサブ端末として接続する。

そうすることでシッテムの箱には劣るが、ただの銃撃戦程度なら何とか無傷で切り抜けられる。

 

「行ってきます!」

“行ってきます”

 

 

 

 

シャーレ、正式名称「連邦捜査部S.C.H.A.L.E」は単なる部活ではなく、一種の超法規的組織だ。

キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを際限なく加入させることが可能で、各学園の自治区で制限無しに戦闘活動を行うことができる。

そのような大きな権力を持った組織であるから、当然のことながら1日で処理しなければいけない書類が多い。

その上生徒が持っている様々な問題を解決するために動いていることもあって、1日書類仕事を放置するだけで次の日は寝れないほどの仕事量になってしまう。

 

「こんな書類仕事は、どれほど大きな組織でどれほど大きな力を持っていても変わらないものだな」

 

そんな風に一人考えた事を口に出しながら仕事をしていると、唐突に自分が持っているスマホから通知音が響いた。

 

「なんだ?

 今までモモトークを使っていたからスマホの通知音なんて久しぶりに聞いたな」

 

スマホにはこんなメッセージが届いていた。

 

「岡部先生

 先生がミレニアムサイエンススクールで倒れました

 位置情報を添付したので急いで来ていただけますか」

 

「な!?

 先生!!」

 

俺は椅子に掛けていた白衣を手に取り、急いでミレニアムサイエンススクールへと向かった。

 




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