チェーン。コストの死者蘇生を墓地へ送り死者所生発動します。何かありますか。   作:アクあか&アクみな大好きマン

4 / 10
星野アイが2度も息絶える小説があるらしい。
同じ日のことを書いているだけなのでセーフ。
アニメとかでよくある表現だからセーフ。
…セーフだよね?


星野アイ、死す。デュエルスタンバイ!

死者は蘇ってはいけない。

死者は永久(とこしえ)に眠るモノ。

そう彼の初代決闘王武藤遊戯は3000年前のエジプトの王に訣別を述べた。

概ね俺も同じ意見だ。

死者は蘇るべきではない。

光の中へ。

星の海へと、還らなければならない。

だが同時に辛い世の中なのだからちょっとぐらい、少しくらい神様のお目溢しがあってもいいとも思う。

たった1度の奇跡の対価はちっぽけな俺の才能。

与えられた贈り物(ギフト)が禁忌の対価なら安いもんだ。

もとよりこの身は誰かがそうあれと作り出した幻想(ユメ)なのだから。

 

「死ぬな!アイ!!」

「アクア、ルビー…愛してる……。あぁ…やっと言えた」

「アイ!しっかりしろアイ!」

「あぁ……でも……けっ…きょくきけ…なかったなぁ……」

 

千里眼*1で知った星野の家に辿り着くと、

事切れた瞬間だった。

 

「その死に対してチェーン『死者所生』を発動」

「なに、を…」

「手札の死者蘇生をコストに冥界へ誘われた死者を現世へ蘇らせる。

 対象は星野アイ」

 

致命的なことが起きてからやっとわかった。

俺は星野が好きだった。

人として、親友として、異性として。

光を失った瞳を見て気づいた。

いつだってそうだ。

無くしてから気づく。

大切だったことを。失いたくなかったことを。

ただ今回だけは。

今だけは失ったことを無かったことにできる。

 

「っ……かはッ……こひゅー…とぅ……くん…?」

「なんでアンタが…いやそれよりも一体何を……」

「聞き取れなかったがエンド宣言とみなし俺のターンドロー。

 手札から王家の神殿を発動。カードを1枚伏せる」

「こんな時になんでカードゲームなんてしてるんだよユーヤさん!!」

「伏せたカード、ギフトカード発動。LPを3000回復させる」

「聞けよユーヤァ!!!」

「これで俺はターンエンドだ。星野アクアマリン…多分大丈夫だが念のため医者を呼んでおけ」

 

どうしようもないくらいに焼かれていたのだ。

7年も目を逸らし続けた代償がこれだ。

星野アイを見殺しにした。

違うオレは未来が変わるのが怖かったのだ。

機械仕掛けの神(デウスエクス・マキナ)として動く覚悟がなかったのだ。

だがそんな恐怖(こと)よりもこのまま死なせたくない気持ちが上回った。

星野アイを失いたくない気持ちが上回ったんだ。

奇跡はもう起こらない。

次、殺されたらもう助けられない。

現実に反映させる能力はまだ使える、と思う。

感覚的だが。

コストとして失われたと思っていたがまだ使えるなら今のうちに、

黒幕に特攻をかけるしかない。カミキヒカルに。

 

「⭐︎1ブースト・ウォリアーに⭐︎4スターダスト・シンクロンをチューニング

 駆け抜けろアクセル・シンクロン」

 

シンクロ召喚したアクセル・シンクロンに乗り込み千里眼で見たカミキヒカルの居場所まで駆け抜ける。

間に合え……!まだ間に合うっ………!

「天使の施し*2、発動。3枚ドローして2枚捨てる」

「チューナーモンスターがいるので再度ブーストウォリアーを特殊召喚後、

 リリースしてジャンク・コレクターをアドバンス召喚」

間に合え……!移動する前に……!この能力が掻き消える前にっ…!

 

「これで僕はまた命の重さを感じられる…!」

 

間に合った……。

 

「……それはどうかな?」

「君は……ユーヤ・サカキ…だったかな?」

「そう言うお前はカミキヒカル、であってるよな」

「えぇ。決闘王が何か用ですか?」

「星の眼を持つものに用があってな」

「っ!?」

「悪いがキングは2歩先をいく。

 ジャンク・コレクターをリリースしてマインド・クラッシュ発動!

 対象はカミキヒカルの"星の眼"」

「があああああ!!」

 

間に合った、のか……?

マインド・クラッシュはカード名を指定して発動し相手の手札にあればそれを墓地へ送るカードだが、

相手の手札=才能と見做して無理やり現実に反映させたがちゃんと適用された……か?

ダメだ。意識が急に…。

人が、来る前に……退散しなくてはならない。

俺はアクセル・シンクロンに再度乗り込んだ

ライブへ行かなくては……。

約束、したから……。

ちょっと…だけ……寝かせてくれ……。

あとはたのむあくせるしんくろん。

 

♢♢♢

 

死とは救済である。

どこの言葉かは忘れた。

意味もよくわかってない。

死ぬほど苦しいなら死んでしまったほうが楽とかそういうアレなのだろうか。

死ぬ恐怖に侵された者はどうなるのか。

自分の熱という熱が刺されたところから漏れ出ていく、

奇妙な感覚に侵されてしまった者はどうなるのか。

 

「♬〜♪〜♪〜♫〜♬♪♫」

 

多分少なくともあんな風に元気いっぱいに走り回りはしないんだろうな。

B小町はスターダムを駆け上りアイドル史に偉業を刻んだ。

ライブが終わる瞬間まではそう思ってた。

 

「みんなー!ありがとうー!みんなのおかげで夢が叶ったよ!」

 

ドームを歓声と拍手が埋め尽くす。

ああ、なんか夢の続きを見てるようで満足しちゃったな。

もう覚めてもいいかも。空気に浸るように目を瞑る。

……まだ覚めない?もうちょっと夢を見なきゃダメな感じ?

そう……。

 

「最後の曲の前に、みんなにご報告があります!」

 

ぴたっと。先ほどまでの歓声と拍手が嘘のように静けさに包まれる。

 

「私、アイは本日を持ってB小町を卒業します!」

 

どよめき。

あ、この夢覚めないタイプだわ。

 

「ずっと考えてたの。体調不良で1年おやすみをもらった時に。

 このままじゃダメだ、もっと頑張らなきゃって。

 ファンのみんなや観客のみんなの声援ってすっごく元気もらえた。

 昔私の友達が言ってた熱くなるってこういうことなんだって思った。

 ずっと前からアイドルで天辺(てっぺん)を取ったら辞める、って社長とは話してた。

 このドームでのライブは私の夢だったし約束だったし集大成」

「アイ……」

 

至る所から啜り泣く声が聞こえる。

なんなら多分俺以外みんな泣いていた。

ステージ上のB小町のメンバーも、もちろん星野も。

 

「だからこれはみんなと楽しむ最後の曲!サインはー!!!」

「「「「Bー!!!!」」」」

 

アイドルグループB小町はこのドームライブを持って伝説になった。

あの伝説のアイドルグループB小町のセンター、アイ。

最も煌めいた1番星のアイドル。

……。

……………。

…………………。

正直、蘇生したところで心の方は救えないと思っていた。

刺された恐怖が愛に気づいた瞬間の記憶で掻き消されないかな、

なんて思ってた。そりゃ軽く考えてたわけじゃない。

何をどうしようとも烏が邪魔をしてきた。

なんど千里眼でアイの現状とカミキヒカルの現状を確認して邪魔しに行ったか。

今日だって間に合うはずだった。

だが3本足の烏に邪魔をされた。

いつだって決闘者の最大の敵、ドローロックを仕掛けてくるあの畜生。

見間違うわけがない。

何度対戦相手として見て何度自分が使役するモンスターとして見たか。

……結果だけを見たら蘇生は成功し、カミキヒカルにマインドクラッシュを仕掛けれた。

本当は千年アイテム的なやつで闇のゲームを(けしか)けた方が良かったかもしれない。

エジプト旅行、アリかもしれない。千年アイテム的なモノを探しにいくか。

幸い賞金がアホほどあるし出場しなきゃいけない大会はまだまだ先だ。

……。

「改めてドーム成功おめでとう、星野。さらば…。推しのアイドル」

 

そして。

さよなら……。俺の、この世界での初恋の人。

 

よし、行くか!エジプト

*1
カード効果としては永続魔法で相手のデッキトップを確認するだけのカード。

*2
現役禁止カード。死者を蘇らせる禁忌を犯しているのでレギュレーション違反もなんら問題ない。




ついでのようにマインド・クラッシュされたカミキヒカル。
そこから移動しなかったお前が悪い(暴論)
星野アイが蘇生されたので神の子です。(宗教戦争)
次の話は5日の0時とその1時間後に投稿されます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。