チェーン。コストの死者蘇生を墓地へ送り死者所生発動します。何かありますか。   作:アクあか&アクみな大好きマン

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カミキヒカルのその後について。


出エジプト紀(今ガチダイジェスト)

 

「やあ、ユーヤ・サカキ。いや武藤遊也と呼べばいいかな?」

「どこでそれを……?」

「鳩が豆鉄砲を食ったような顔してるね。愉快だ。

 なに、お礼をしなくちゃと思ってね」

 

いつだってどうしようもない瞬間ってのは意図していない時にくるもんだ。

 

「俺はお前にお礼をされるようなことはしていない。

 というかエジプトまでお礼しに来たの……?

 や、ドヤ顔で返さないで。んで?ほんとは?」

「いや、本気だよ」

 

まじ?

お礼参りのためだけに俺の本名まで調べて、エジプトまできたの?

やば……。マインドクラッシュ失敗してない……?

 

「まじ?」

「まじさ。それにエジプトでオカルト現象の報告はないよ、

 っていう情報もついでに持ってきたんだ」

「っ?!」

「ワトソンくん。君が名探偵を作ったのだよ」

「ストーカーの間違いだろ、クソ探偵。好きに言ってろ」

「そんなことよりお腹空かないかい?僕はお腹が空いてどうしようもないんだ」

「いや、空かないから……。え、路銀は?」

「サイフ、擦られてしまってね……。あ、パスポートとかはあるんだけどね」

「お金だけ持ってかれた、ってことか」

「そうなる。あーあ!情報提供者を無碍にする人が決闘王だったなんてなー!」

「ばっ、おま声がでけえ!!こっちこい!!」

 

とりあえず借りてる部屋までカミキを連れ込んだ。

なに、どういう状況なの?

おっちゃんよくわかんなくなってきたぞ……?

 

「へぇ、どれくらい…いやこの感じ半年くらいかな?」

「クソ探偵プロファイリングする暇があったら手洗ってこい」

「はーい」

 

なんでトリプルアクセル決めて俺の前に立ってんだアイツ。

 

「普通に戻ってこれないの、君」

「これが僕の普通さ。それで、何を振る舞ってくれるんだい?」

「モウヤンのカレー」

「カレー?エジプトなのに?」

「うるせえ黙って食え」

「むぐっ……ガツガツガッ」

「いやそんなに危機迫る食い方されてもこえーよ」

「武藤遊也、これのおかわりが欲しい」

「ユーヤでいい。むしろそう呼んでくれ。おかわりね、はいはい」

「断言できる僕はカレーというモノを未だかつて食べていなかったと」

「大袈裟がすぎる。俺はとりあえず日本に帰るけど、お前どうするの?」

「奇遇だね僕も帰ろうと思ってたんだ。一緒に帰らないか?」

「ぬかせ。俺の親友を殺した男だぞ」

「なのにご飯は提供するんだね」

「……目の前で死なれると目覚めがわるいからな」

「んー矛盾してるねぇ」

「そんなもんだよ人間ってのは」

「なるほどね、君はそういうふうに捉えてるんだ」

「うるせえ食い終わったら出てけ」

「わかったよ、ワトソンくん。また会おう」

「会いたくねえわクソッタレ」

 

俺のエジプト旅行はカミキヒカルの出現によって終わった。

得るものはあったが。オカルトが根付いていない、っていうオチが。

ワトソン、ね。

ワトソン(コナンドイル)がシャーロック・ホームズを作った、っていう説は考察としてあるが……。

俺があんな化け物を探偵という枠に押し込めたってこと、なのか?

いや、そんなはずは……。

 

 

♢♢♢

 

「ユーヤさん!手伝ってくれ!」

「ただの一般人のおっさんをこき使うんじゃないよ!」

「困ったら頼れって言ってただろ!?」

「問題がデカ過ぎるわボケ! どこまで探した!?」

「あとは角のコンビニの近くだ!」

「歩道橋の手前のあそこか?!」

「そうだ!」

「また連絡する!」

 

悪意が俺たちの時より目に見えてはっきりと分かるようになってしまった。

便利になった弊害、なんだろうな。

ネットリテラシーが低下してるの。

当時はそれこそ掃き溜めのようなところに行ってやっと悪意と対峙するって感じだったのに、

今じゃ気軽に地獄に行けてします。

道を曲がればまずは地獄の1丁目。

さらに進めば悪意による負の連鎖。

多感な時期の子どもにはキツ過ぎる場所。

 

「おいカミキ(・・・)!ほんとにあってるんだろうな!」

「『僕が人探しにおいて間違えたことはないでしょう?』」

「それ以外で前科しかねえから言ってんだよ!」

「『初歩的なことだよ、ユーヤさん。

 癖というのは不思議なことに誰もそれを持っているのに気づかないのである、てやつさ』」

「ドイルなのかクリスティなのかどっちかにしてくれ。結論は?」

「結論。黒川あかねは貴方の向かってる歩道橋から飛び降りる、だろうね」

「それだけ聞けたら充分だ!」

「『報酬はいつも通りに』」

「わかってるって!」

 

カミキヒカル

大手芸能プロダクション社長。

しかしそれは表の顔にすぎない。

彼には芸能関係の安楽椅子探偵として、

様々な闇を暴き真実を求めるもう一つの顔があった。

匿名探偵カミキヒカル。

……というかマインドクラッシュしたらそうなった。

報酬は再現したモウヤンのカレー。

いいのかお前そんなんで。

助かってるからいいんだけどさ。

 

「あれは…黒川あかね!?マジで歩道橋から飛び降りるのかよ!」

 

雨で視界が悪いが欄干に登ろうとしてる人影が見えた。

また間に合わないのかよ……!

ふざけるなよ、武藤遊也っ!

諦める前に一歩でも早く向かえよっ…!

タッチの差で反対側から駆け上ってきたアクアが黒川を抱き止めた。

 

「はやまるな!」

「嫌っ!離して!」

「落ち着け、俺は、おまえの、敵じゃない。落ち着いてくれ」

「間に合ったか、アクア!」

「遊也さん!なんとか、間に合ったよ」

「重要なことは、早く言えって、言った、でしょ。ハァ…ハァ…ハァ……。

 おじさんを、あんまり、走らせないでくれ」

「あくあくんと…きんぐ、ゆーや…?どうして……」

「MEMが教えてくれた。台風の中あかねが出かけて返信がないって。

 それと"元"キングだぞ、あかね」

「俺はそこのクソガキに切羽詰まった声で助けを求められたからだよ、黒川ちゃん。

 とりあえずさっさと移動すっか」

「そこの君たち!何してるんだ?!」

「あー……こうなるんだよねぇいつも……」

 

はーい任意同行しまーす。

 

♢♢♢

 

隣の部屋で黒川の泣いている声が聞こえる。

 

「今回は間に合ってよかったよ、ほんと」

「笑えないジョークだな、それ」

「人は簡単に死ぬ、からな」

「ああ、だから誰かが悲鳴をあげたらすぐ動かなきゃ手遅れになる」

「違いない」

 

1度掴み損ねた者同士故のやりとり。

がちゃり、と扉が開いた。

 

「ん?」

「あかね!」

「うっ」

今ガチメンバーがみな駆け寄ってくる中、

先頭を走っていた鷲見が涙を流しつつが黒川にビンタをした。

 

「あ…」

 

その後ろを走っていたMEMが所在なさげにオロオロと手を上下に動かしていた。

 

「なんで…こんな心配させて…!なんでよ…相談してよ!」

 

嗚咽混じりに鷲見が黒川に抱きついた。

 

「ごめん…」

「あかね。お前、これからどうしたい?」

「どうって……」

「このまま降りる、って選択肢もあるってこと、だろ。アクア」

「ああ」

「「「「キング・ユーヤさん!?」」」」

「"元"キングだろ」

「こだわるねぇ……アクアくんは。やぁ若人共。

 話を戻すけど番組側が未成年者を扱う上での監督責任を問われるモノだ。

 こういう状況になった以上やめることに関してはとやかく言わないだろう」

「それに、黒川あかね、って本名で活動してるんだ。引き時はちゃんと自分で見極めろよ」

「……私、もっと有名な女優になってこれからも演技続けていくために頑張ってきた。

 みんなにもいっぱい助けてもらって……。でも……こんなことになっちゃって……」

「あかね……」

「怖いけど…すごく怖いけど………。

 ユーヤさんを見て私、思い出したんです。かっとびングのこころ。

 だから……続ける。このまま辞めたくない!」

 

それ、俺じゃなくて遊馬先生だよ。

ああ、でも俺が1年やり続けたからみんなの記憶に残ってるのか……。

 

「わかった…。だってさ? 問題ないよな?」

「当たり前だろ!」

「最初からそう言ってるんだけどなぁ」

「私たちもできる限りフォローするから…!」

 

俺らもあんな感じだったかもなあ、なんてしみじみ見てると。

 

「なんだよ懐かしいものを見た感じの顔して」

「俺たちもお前らのように仲良くやってたな、って思ってさ」

「どの今ガチも同年代の現場だからな。多分その時々のこういう場面に

 みんなで協力して色々言われながらも番組やり切るだろうよ。

 遊也さんだってそうだったんだろ?」

「そうだなあ。多分そうだったんじゃないかな」

「でも……このままってのはちょっと気分悪いよな。

 煽ったまんまの番組サイドも…好き勝手いうネットの奴らにも

 腹が立ってしょうがないんだよ…!」

 

なぁカミキ。

血は争えない、って本当のことっぽいぜ。

あの激情に身を委ねつつも冷静にやり返すやり方。

まるでお前が自身の全てで他人を追い詰める時の姿にそっくりだ。

とりあえずミヤコさんに頭下げに行こうかなあ……。

 

♢♢♢

 

「それで?」

「あとはお前の知ってる展開さ。アイツら目線の今ガチの映像を作り投稿。

黒川あかねの復帰とアイのトレース。アクアと黒川あかねのカップル成立」

「ビジネスかガチかどっちだと思う?」

「あー…黒川はガチよりアクアはビジネスより」

「うんうん。僕も同じ答えだ。誰に似ちゃったんだろうねぇ」

「お前だよお前。鏡見たことあんのかクソ探偵気取り」

「心外だなー。ちゃんと君が動けるよう色々情報渡してるじゃないか」

「あのねぇカレーが食いたくなったからって電話で情報投げつけるのは、

 俺の界隈では渡すって言わねえんだわ」

「じゃあなんて言うんだい?」

「乞食」

「ひゅー!日本広しといえど僕に対して乞食というのは君くらいなもんだろうね遊也さん」

「ところでお前アイに謝罪したの?」

「……」

「おい」

「いやぁ……もう12年だよ……どの面下げてじゃない?」

「お前の厚顔無恥さ加減ならいけるいける」

「厚顔無恥さなら遊也さんも人のこと言えないでしょ。

 親友(・・)を1度殺したであろう僕に対してこんなに親しく接してるんだから」

「普通ならそうだろうな。だが清濁合わせて飲み干してこそのキングってもんさ」

「"元"キングでしょ」

「息子と同じこと言うんじゃねえよ」

 

別に、情が湧いたから、ではない。

今でもこいつをどうにかしたい、と言う気持ちはある。

だがそれは俺の役目ではなくアクアの役目であろう。

アクアからしてみたらアイは死んではないが、

いつまた殺されるかわからない、と言う状況だ。

黒川あかねの生存のためにコイツとの関係を黙っていた、

と言うわけでもない。ただタイミングを見失っただけだ。

俺がキングをやめたのと同じように星野もアイドルを引退したのだ。

それにコイツはマインドクラッシュにより"星の瞳"を奪われ、

精神の再構築が行われた結果、トラウマが幾分か軽くなったのであろう。

命の重みに対する欲求が軽くなり、そこに回すリソースが浮いた。

浮いたリソースを彼なりに使いこなし"星の瞳"を再現したが、

生来の漆黒ではなく、星野アイがもつあの魅了する光の眼になったそうだ。

黒川あかねと同じ感じ、なのだろうな。

 

「それにしてもあの眼の再現はびっくりした。

 流石黒川あかね。天才が女優をやっているだけのことはあるね」

「なんだそれ」

「彼女は役を理解するためにプロファイリングと心理学的アプローチを行っている。

 おそらく今ガチの再現はアクアの理想の女性を再現したんだろうね」

「流石クソ探偵。よく見てる」

「報酬にカレーのおかわりをいただこうか」

「つけあがるなクソ探偵。先に皿よこせ」

「君はやはり優しいお方だ」

「つけあがるな、っていってんだよクソ探偵が」

 

黒川あかねの手法は知識としてはある。

だがそれを実際に眼の前でやられるのとは受け取り方が全く違うのだ。

星野アイと同じように。

 

「そんなことより遊也さん。B小町再始動って本当かい?」

「耳が早すぎんだわ。なんで知ってんの?」

「壁に耳あり障子に目あり、てやつさ」

「俺も詳しくは聞かされてないから、語れないぞ」

「それもわかっているよ」

「だりぃなこの探偵。会話を楽しもうって気持ちないのかねぇ」

「カレーなら楽しんでるとも」

「そーっすか。それ食い終わったら帰れよ」

「わかってるとも」

 

これでよかったのか、なんてもうわからない。

あのカードのテキスト外のコストはまだあった。

それは今の世界の未来についての知識。

最初は歳月によるモノだと思っていたが違った。

元々アニメやマンガ、ドラマに映画といった創作物の知識は割とあった。

特に推しの子は大切な友人、だったと思われる奴から薦められた物語だ。

その逆で自分自身についてはそんなに記憶に残っちゃいなかった。

名前、顔、友人関係、家族構成。

だが今はどうだ。

遊戯王関係以外の記憶は全て(もや)がかかりつつある。

思い出そうとしても思い出せない。

覚えていたくても覚えてられない。

未来なんて知らないのが当たり前なんだから、なくていいけど。

けど、自分の半身をもがれるような。

もう1人の自分がいなくなるような。

そんな人肌恋しさ、みたいなのがカミキヒカルには筒抜けなのだろう。

俺とアイツの関係はまさしく悪いことをする意味での、悪友であろう。




今ガチ関係はどう書いてもギャグになっちゃうので書きません。
ハーモニカ吹いてる遊也見たい?俺は見たい。
プロット的には
アクアくんのチャラ男演技は誰の真似?→
過去の今ガチに遊也くん出てるじゃん→
過去の今ガチみるか→
遊也くんの真似だったんじゃね→
遊也くんハーモニカ吹いてるん草

みたいな感じです。
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