チェーン。コストの死者蘇生を墓地へ送り死者所生発動します。何かありますか。 作:アクあか&アクみな大好きマン
ピンポーンと部屋のインターホンが鳴った。
ドアチェーンをかけたまま扉を開けると
「やぁ、ワトソン君」
クソ探偵が花束を持って立ってた。
思わず閉めてしまった。
マジでコイツストーカーレベルで情報仕入れてくるな……。
「誰だったの?知り合い?」
俺の後ろから追いかけてきたアイが声をかけてくる。
ため息をひとつつきもう一度扉をあける。
今度はチェーンを外して。
「やぁ、ワトソン君、それにアイくん。ご成婚おめでとう」
「カミキ……!」
「おいクソ探偵まだ謝ってなかったのかよ」
「タイミングを逃す、ってやつさ。
改めてすまなかった、星野アイ」
カミキヒカルは玄関に入って、
謝罪の言葉と共に深々と頭を下げた。
「……。いいよ。私と遊也のキューピッドみたいなものだし」
「そう言ってくれると信じてた。これは祝いの花束だよ」
「お前マジで面の皮あついよな」
「よしてくれ。照れる」
「褒めてねえ。なんの用だ。アクアがお前探してたぞ」
「ライヘンバッハから飛び降りたことにしておいてくれ」
「ハチミツ農場のアテはあるのかよ」
「カミキヒカルの名にかけてなんとかするさ」
「はいはい。……それで?」
「君の奥さんにはあまり聞かせたくないお話なんだけどね?」
「……アイ、先に戻っててくれ」
「あとでお話ししようね、ユーヤ君?」
「……お手柔らかに頼む」
「愛されてるね、ワトソン」
「9割お前のせいだよ。それで、聞かせたくないってのは」
「B小町が狙われている」
「…それは、スキャンダルで?」
「…強制枕も合わせて、だよ」
「アクアは?」
「流石にわからない。彼は人一倍警戒心が強くてね。
元カノにも接触できてないんだ。あれ元々カノだったかな」
「おしい元々元々カノだ」
「おっと知らない間にまたくっついて別れてたか」
「ほんのつい最近な」
「僕の方でも気にはしているけど大手を振っては助けられないだろう?」
「まあ……そうだな」
「だから対策を講じようとお話をしにきたのさ」
「…アイに聞かせてもよかったんじゃないか?」
「ほら、僕が話しても信じてくれないだろう?」
「あ、自覚はあるのね、クソ探偵なりに」
「君だけが僕を信じてくれるからね、ワトソン君」
「まあ……そりゃ俺らでいくつ潰したよ、って話じゃん」
「芸能界の闇は深いからね……コレでもまだ氷山の一角さ」
「やってらんねえなマジで」
「本音を言えばアクア君もこちら側に引き込みたいんだけどね」
「ガキを巻き込むな」
「まだ巻き込んでないさ。少年探偵団として雇いたいくらいなんだけどね
そう睨まないでくれよ。君のオカルトパワーは身に染みてるんだ」
「できないことを知っててよくいうぜ。それで名探偵としての案は?」
「啓蒙活動くらしいかできない、だね。起きてからじゃないと動けない」
「GPSでもしかける、なんていうと思ったけど」
「流石にそんなことまでするわけないじゃないか」
……。だってよアクアくん。
君、お父さんよりやばいんじゃない?
「誰に注意しろとかあるか?こっちがスケジュール組む上で」
「真っ先に浮かぶのは島政則監督だね。彼は何度もすっぱ抜かれている。
それに妻帯者だ。1番面倒くさいことになるだろうね」
シマ、マサノリ……どっかで…。
シマ監督、シマカン…シマカン!?
やっべ
「それ、一足遅かったかもしれん」
「む、やはり探偵は事件が起きてからしか動けない職業のようだ」
「言ってる場合か! アイー!ちょっと出かけてくる!
お説教はあとでにしてくれ!」
「はーい。楽しみにしててね♡」
「すごいな……僕にも語尾にハートがみえた」
「感心してる場合かよ!島ってやつの家まで連れてけ!!」
「僕が知ってるとでも?」
「知らなきゃ来ないだろ!!大通りでタクシー捕まえるぞ」
「やれやれ。会話を楽しめって言ったりショートカットしたり、
わがままな人だ」
「状況考えろクソ探偵!事件起きてるんだからそれどころじゃないだろ!」
♢♢♢
「ここだよ」
「時間的には先回り、できたかもしれんな」
「あれユーヤじゃない。それに…その隣は……?」
「……ユーヤ・サカキ、それにカミキ社長。2人揃ってどうしたんですか」
「やぁ、いい夜だね。島監督。奥さんとの調子はどうだい…?」
「っ……。別に、関係ないだろ、あんた達には」
「え、なに?どういう状況?」
「間に合った…っ。大丈夫か有馬…カミキヒカル!?と、ユーヤ、さん?!」
「ふむ。ここで話すのもなんだし部屋に上がらせてもらえるかな、監督」
「ほんっとにお前図々しいよな」
「探偵とはみなこんなものさ」
「違うと思うよ」
男4に女1の変則パーティは連れ立って島監督の部屋へと移動した。
「はい。有馬君正座ね」
「なんで私だけ正座なのよ!」
「あと、アクアくん。僕ら別の部屋に行くから説教しておいて」
「……わかった」
若人を寝室に2人きりにして、僕らは居間で机を囲み座った。
おもむろに監督が口を開いた。
「……する気はなかった」
「まあ、みんなそう言いいますけど未遂だからセーフですよ」
「アウトだよばかたれ。
こんな時間帯に連れ込んで何もしてませんでしたは、
さすがに世間が信じちゃくれないだろ」
「それもそうだね。おそらくすでに張ってるだろう。
タクシーから降りるところも撮られたんじゃないかな」
「またか……」
「学習しないね、貴方も。
とりあえず向こうの説教が終わったら彼らは帰そう」
「1時間もせず帰ったら流石に騒ぎ立てにくいだろうしな。
あんたもそれでいいか?」
「…問題、ない。つーか聞いてないよ…?なに?苺プロは美人局やってるの?」
「逆だ。苺プロのキャストに手を出すな、といいにきたんだ」
「……今時みんなやってるよ」
「だからこそやらない子が偉いんだよ。なっちゃいないね監督」
「……君もやってないのかカミキ社長」
「僕はありとあらゆる秘密を暴くことに夢中でね。そんな暇はないのさ」
「悪趣味だな……」
「それは俺も同感だ」
「監督には負けるさ。何回歳下に手を出してすっぱ抜かれてるのさ」
「ぐっ……」
「まあそういうわけだから諦めてくれ」
「……ユーヤがいるのはわかったが、カミキ社長が一緒にいることにも納得したよ」
「そうかい?くれぐれも僕の存在はオフレコで頼むよ」
「……今回のことを黙っておく代わりに、ってやつか」
「話が早くて助かるよ監督」
会話がひと段落したタイミングで、向こうも終わったみたいだった。
「終わったよ、ユーヤさん。きつく言っておいた」
「よし、俺らもちょうど終わったから帰るか。
お邪魔しました」
♢♢♢
「何事もなくてよかったねぇワトソン君」
「なぁ…そろそろ聞いてもいいか。有馬も帰らせたし」
「なんだい、アクアくん」
「……お前が、アイを殺そうとしたのか…?」
「ああ。僕が殺させた。でも死んでないからいいだろう?」
「ふざけるな……ふざけるなよ!死んでないからいいだろうだって!?
アレは遊也さんがいたからだ!!
遊也さんがいなかったらアイは確実に死んでいた!!!
俺の腕の中で!!!!お前にわかるか!?
人が死んでゆく瞬間の!冷たくなっていく感覚を!!
なのに、なのにお前はのうのうと!
遊也さんも遊也さんだ!!
俺たちのアイを死へと追いやった黒幕なんだぞ!!
なんで仲良くできる!!!そんな程度だったのかよ!?
アイはこのこと知ってるのかよ?!」
「すまない、アクアくん。この通りだ。
言い訳もない。アイくんには今日ちょうど謝ってきたところだ」
「お前、謝って許されるとでも!!!」
「許されるとは思ってないよ。
だから心を入れ替えて裏から君たちを助けてた。
自分で言うのも白々しいけどね」
「なにを、いって……」
「嘘じゃないよ、アクア。俺とこいつは裏から色々なものを潰してた」
「遊也さん…?」
「大きいところでお前が関わってるのだと、
今ガチの騒動、JIFの騒動、刀リベの騒動、ぐらいか?」
「九州の白骨のアレとアイのストーカーもじゃないかな?」
「あー…それもあったな。俺たちはそういった面倒なことを潰して回ってる」
「まるでシティハンターだよね。許されるためだけにやってるわけではないよ。
まあ、贖罪も兼ねてはいるけど、ね」
「そんな…俺の復讐は…無意味だったのか……?」
「無意味じゃないさ。君は少なくとも3人の運命を変えている。
たとえ始まりが僕に対する復讐だとしてもそこは評価されるべきだろうね」
「何様だクソ探偵。詫び入れて坊主にしろ」
「実はそう言われると思ってね。五分刈りなんだ」
すぽっ。という擬音が聞こえてきそうな音と共に髪の毛を持ち上げた。
「……は?」
「引くわぁ……」
「ふふふ。やはり人が驚く顔ってのは何度見ても気持ちがいいものだ。
改めてすまない星野アクアマリン。君の母親を殺そうとして」
「え、あ、え…?」
「処理落ちしたぞ。どうすんだよ」
「んー……今日の晩ご飯はなにかなワトソンくん」
「おめーの飯は用意してない。ほらシャキッとしろアクア」
「あ、え、ああ……」
「俺も消化するのに14年かかったんだから、ゆっくりと消化してけ。
こき使いな、こんなクソ親父なんて」
「ふふふ。息子に使い潰されるのも悪く、ない」
「うるせえかっこつけんなクソ探偵」
『カッコつけてなんてないさ!』
「やかましい。とりあえず何かわかったらまた教えてくれ」
「ああ、勿論だとも。カレーを所望するよ」
「俺らの家にはあがらせないからな」
「苺プロにお邪魔させてもらうからいいよ」
カミキはそう言いながら後ろ手に手を振って都会の闇へと消えていった。
「お前、ほんと、ほんっとに……」
「なぁ…ユーヤさん……」
「悪いねアクア。まだまだアイや君たちに話せてないことは多々あるけど
そのうちの一つが話せて少しホッとしてるよ」
「アンタも…俺の復讐のこと……知ってたんだな」
「優秀な耳のいいクソ探偵がいてね。
まあ君が1番警戒心強かったらしいけど。
次に君の元々元々カノの黒川さんらしいけど」
「元が多い…。そっか…知ってたのにあいつとつるんでたんだな」
「死んでも仕方ないやつだとは思ってるくらいには嫌いだからね」
「そうか……」
♢♢♢
「ただいま」
「ただいまーん」
「遅かったねぇ遊也くん」
「あっ……」
「…俺は先に寝る」
「アクアも一緒に正座」
「はい…」
俺とアクアは揃って正座させられた。
「ふたりとも何してたのかな?」
「「有パ馬パをラパッパチかラら守ろうと」」
「なんて?」
「先に遊也さんから言ってくれ…」
「クソ野郎が昼過ぎに来たよな」
「うん」
「その時にB小町が狙われていると言う情報を持ってきた」
「なに、それ……」
「利権がらみ、だろうな。
とりあえず確率の高そうなところから行ったら、有馬がちょうどいた。
そこにアクアがきてみんなでお話しして帰ってきた感じ」
「俺はあかねから有馬が島監督と2人で帰るところを見たって聞いたから」
「ふぅーん?そうなんだ……」
「それでカミキヒカルをアクアに謝罪させてから帰ってきた」
「謝罪…謝罪か、あれ」
「謝られてないの?」
「いや……五分刈りで謝罪された」
「五分刈り…あ、坊主ってこと?なにそれ見たかったな」
「……どうせまた事務所にカレー食いにくるからその時に見れる」
「え、いつも来てたの?」
「事務所でカレー振る舞う時は大体あいつ食べに来てるよ」
「マジか…すれ違ってたのか……。なかなか大胆なことするんだな遊也さんも」
「堂々としてたらバレないもんだ。そういえばルビーは?」
「今日はミヤコさんとご飯食べてくるって」
「そうか。とりあえず明日、コンプラ関係のお勉強会やるか」
「そうだな。それがいいと思う」
「それじゃあ晩御飯のカレー食べよ?」
アクアやルビーにとっての大罪人。
アイにとってのキューピッド。
俺にとっては悪友。
世間にとっては新進気鋭の若手の才能溢れる事務所社長。
業界の陰にとってのタブー。
カミキヒカル。
なんで復讐対象から復讐の計画聞かされなきゃいけないわけ?
おかしいよなクソ探偵。
命の重さを感じるための殺人衝動は薄くなってるらしいが、
いつか裏切らないとも限らない。
その時は俺が責任を持って止めないといけない。
止めるのは俺の責任だ。
あの時殺さずにマインド・クラッシュだけにした俺の責任。
サンダー・ブレイク、チェーン、墓穴の指名者で
輪廻転生できないようにしてしまえばよかったのだ。
それは俺に人を殺す覚悟がなかったってのもある。
次は殺せるのか。
わからない。
だがもしそうなった時は刺し違えてでも止めるしかない。
しかし14年も連めば復讐の殺意は鈍くなる。
それがカミキの狙いかもしれない。
違うかもしれない。
人は矛盾した存在だ。
殺したいほど愛してる、なんてあるくらいだ。
その瞬間になるまで俺は悩み続けるのだろう。
ベランダで星を眺めつつ物思いに耽っていると、手元のスマホが震えた。
『言い忘れてたけど、ルビーちゃんとミヤコ夫人は斎藤社長がべそかきながらエスコートしてるよ
MEMちょは今ガチ女子会を楽しんでる』
やっぱりこいつ探偵じゃなくてストーカーなのでは。
今日1話だけです。申し訳ない。
ルビーへの謝罪が1番難しくない……?
生き続けることが贖罪なので。
安易な死は救済ではなく逃げ。
イケメンは坊主になってもイケメンだから許せねえ。
お前もブサイクになれ。
また、深堀の番組の流れを頭に突っ込む為しばらく休載します。
最短2,3日かかって4日ほど。
次回『キングに、深堀り!(仮)』(クソにわかタイトル)