本作をご覧いただきありがとうございます。
最近アイカツにハマり、衝動書きしてしまいました。拙い文章ですが、どうぞよろしくお願いします。
「ここが、スターライト学園......!」
視界に収まりきれないほどの、広大な土地に設けられている目の前の建物は、スターライト学園。その壮大さに、
ここ、スターライト学園は言わずと知れたアイドル養成の名門校であり、ここに所属する生徒は全員、もれなく現役アイドルとして活動している。そして今日、スターライト学園の編入試験が行われようとしており、夕哉はその試験に臨むため、ここに足を運んできたのだ。
夕哉は、しばらく門の前から学園を呆然と眺めた後、左右に首を振って、辺りを見渡す。当然、名門校とまで呼ばれるこの学園の編入試験の受験生は夕哉だけではない。この試験は毎度のことながら多数の受験生が集い、多い時には1000人以上。その中で合格できるのは指で数えられる程度という、狭き門だ。
それに加えて、男性アイドルというのは世間的に見ても数が少ない。それはつまり、アイドルにおいて必要なポテンシャルを秘めているのは、大体が女性であるということを暗示している他ならない。故にスターライト学園は共学ではあるものの、その比率は圧倒的に女子に偏っており、男子受験生の合格率はほんの一握りと言っても過言ではないだろう。
その事実を再認識したところで、夕哉はごくりと固唾を呑んだ。その時だった。
「わぷっ!」
「うわっ!」
背中から、勢いよくぶつかる衝撃と、女の子の声。ぶつかった拍子にズレた眼鏡を直しながら、夕哉は振り向く。そこには、大きな赤いリボンのカチューシャをした金髪の少女が、背中にぶつけた顔を押さえていた。
「す、すみません! ぼーっとしちゃってて......」
慌てて謝罪に入る夕哉に、金髪の少女はハッとして顔を押さえていた両手を空ける。
「ううん! ちゃんと前を見てなかったわたしが悪いんだよ! こっちこそごめんなさい!」
深々と頭を下げる少女に、夕哉もギョッとしながらも、さらに謝罪を続ける。
「いやいや、こっちも立ち止まってないで、さっさと動いてればぶつからなかったんだし......!」
「違うよ! 絶対にわたしが───」
「ストーップ! 2人ともそこまでにして!」
まるでイタチごっこのように
「今回はお互い様ってことで、それでいいでしょ?」
その言葉に、落ち着きを取り戻した夕哉は頷いた。
「......そうだね。あ、ケガとかない?」
「うん、大丈夫だよ! 心配してくれてありがとう!」
「うんうん。それでよし! ところで......」
事なきを得たところで、青髪の少女はしんみりとした空気を変えるためか、話題をすぐに切り替える。
「あなたもスターライト学園の編入試験を受けに来たんだよね?」
「う、うん。そうだけど......」
「だよね! 男の子のアイドルなんて数少ない貴重な存在だし、その卵に出会えるなんて!」
「卵なんてそんな。アイドルのことだって、ついこの間、やってみたいって思ったくらいだし......」
夕哉はもとからアイドルが好きだったわけでもなく、その知識も乏しいものだ。きっとアイドルに対しての熱意も、ここに来ている受験者の中では、まだまだ甘いものだろう。だが、どうしてもアイドルになりたい理由が、彼にはあった。
「それなら、わたしと一緒だね!」
「え? そうなの?」
「うん! わたしもアイドルのこと、あんまり知らなかったんだけど、この前美月ちゃんのライブを見に行って、やってみたいって思ったの!」
「そうだったんだ......」
同じような境遇の人間と出会ったことに、夕哉は少し親近感を覚え、安堵する。
「あ、そういえば自己紹介してなかった! わたし、星宮いちご!」
「私は霧矢あおい! よろしくね!」
金髪の少女はいちご、青髪の少女はあおいと名乗り、煌びやかな笑顔を夕哉に向ける。その眩しさに照れくさそうに目を逸らしながら、夕哉も自分の名前を2人に告げる。
「お、俺は
「わたしのことはいちごでいいよっ」
「私もあおいでいい。さん付けなんて堅苦しいもん」
初対面で距離感がまだ掴めずにいた夕哉は、無難に敬称をつけて呼んでみたものの、2人はフレンドリーな性格のようで、名前で呼んでくれと夕哉に頼む。
「......わかった。よろしく、いちご、あおい。俺のことも夕哉でいいから」
それを承諾した夕哉は、名前で2人を呼ぶ。そして夕哉と2人は、友好の誓いである握手を交わした。
そこで何かを思い出したあおいは、慌てていちごに声をかける。
「って、あんまりのんびりしてる場合じゃなかった! 受付の締切、間に合わなくなっちゃう!」
「そ、そうだった! 行かなきゃ!」
試験の受付は男女別になっており、男子の受付の方はあまり人数がなく、スムーズに受付が行えそうだ。一方、女子の方は長蛇の列ができており、その列に並ぶ時間も考えると、編入試験の受付時間は残り少ない。同じ試験に臨む仲間として親睦を深めるのも大事ではあるが、遅刻して受験できないという事態に陥ってしまったら本末転倒である。
「それじゃ、またね! ゆーやくん!」
「夕哉くん、お互い頑張ろうね!」
「うん。頑張ろう!」
3人は、握り拳を掲げて健闘を祈り合う。そのまま待機列へ向かういちごとあおいの後ろ姿を、夕哉は見送った。
(いちごとあおい、か。すごく、キラキラした子たちだったな......)
2人から向けられた笑顔が脳裏に浮かぶ。
なんとなく、予感がする。あの2人なら、大丈夫だと。根拠はないが、2人にはアイドルになれると思わせられる匂いがした。
あの2人ともう一度顔を合わせられるように。そして、自分のアイドルになるべき理由のために。この試験は絶対に合格しなければならない。
「絶対に、合格するぞ......!」
想いを胸に、少年は門を潜り抜けた。