「これでよし、と」
最後のロープの先端に能力で作った泥をべたっと付けるとそのまま床にポイと投げる
「なー…こんなので帆が張れるのか?」
「張れてるからいいんだよ」
レイヴンの言う通り、帆は風を受けて膨らみ先程よりも船が速く進み始めた。
「船を調べたらある程度金に変えれそうな金品あったし、食料に武器もあった。実質的に僕の戦力強化だね」
そう言って袖口からニュッとピストルを出してクルクルと回すレイヴンに、ファランは溜息を吐きながら問いかける
「で、どうすんだよこんなでかい船…有人島で船探すって言ってたが、こんな見るからに海賊船って感じじゃ海軍に通報されたりとかするだろ」
「ある程度の所まで行ったら乗り捨てるから大丈夫」
ピストルを沼に収納しながらあっけからんと言うレイヴン
「せっかく手に入れたのにか!?」
「そもそもこんなでかい船で島の港に入る気はないしね、適当な所に行ったら小舟を降ろして目指すだけだよ」
そう言って船の中から見つけてきたのか、折りたたみ式の椅子に腰掛けて欠伸を零す。
「でもしばらくはこの船なんだろ?海賊とかと遭遇したらどうするんだ、大砲の一発貰って船体に穴が空いたら大事だぞ…」
「大丈夫大丈夫、大砲打って来たらヌマヌマで取り込むだけよ」
「…取り込めるのか?大砲の弾を…?」
「前の時に取り込めるかやってみたらいけたしね、どっかで消費したいけど」
うっかり出して爆発させると面倒だしね、と呟いて欠伸をするとそのままスヤスヤと居眠りを始めるレイヴン
「ちょ、寝るなって…私のご飯どうするんだよ!!」
そう言ってファランはレイヴンをゆさゆさと揺さぶった。
その後、痺れを切らしたファランにビンタされて起こされたレイヴンは不機嫌な顔をしたまま昼食を出した。
そのまま特に嵐に巻き込まれると言ったハプニングもなく順調に航海を続けていたレイヴン達だったが
「レイヴン、起きろって!遠くから海賊船が近づいて来てる!」
「海賊ぅ…?あー…幽霊船には見えないもんなー…」
船内の一室…恐らくは元々船長部屋であったであろう部屋に置かれた大きめのベットの上で寝ていたレイヴンは、ファランに起こされ目をしょぼしょぼさせながら起き上がる
「まー…自分一人で殲滅しとくから、ファランは船の中に居なよ」
「わ、私だって武器持ってんだぞ!戦える!」
そう言って買った鉄の棒を見せるファランに、レイヴンは冷たく言った。
「海賊は鉄の棒一本で倒せるような相手じゃない、そもそも実践経験もないのに戦いに挑むのは無謀過ぎる、今回は自分一人で片付けておくよ。終わったら戦闘訓練の手解きするから、この部屋で待っててね」
「ん…うわっ!?」
そう言ってレイヴンはファランの頭を撫でて、ベットにポイと投げると、そのまま部屋を出ていく
「じゃ、行ってくるから」
そう言ってレイヴンが扉を閉めた。
「…私はお荷物なのかよ…」
ファランはそう言って、ベットの上で蹲った。