デュエルマスターズ~クソゲーハンター、クソカードを駆る~ 作:Saz_a_Nami
でも昔は確かに脅威だったんですよ。
「これは、想像以上だね」
引き攣った顔でドゥエカッツォが溢す。普段の俺であればその腑抜けた発言を捕まえてこれ以上ないほどに煽り散らかしていただろう。しかし、隣で同様の脅威を仰ぎ見ている俺も同様に、こう言うのはすこしあれだが、ビビっていた。
デュエルマスターズの原初の時代。水文明の海の底。俺とドゥエカッツォは水中での機動性に大きく制限を受けておりその動きは鈍重だ。対して襲い来るクリーチャーたちは四方を覆いつくさんばかりになり、全天から容赦なく襲い来る。
「ちょっと、多過ぎじゃねぇか!」
「量自体は大したことがないだろう!ただ、こっちの手数が足りてないんだよ」
噛みつくドジョウもどきを斧でそらし、殴りかかってくる魚人を躱す。カウンターに手斧の一撃を食らわせて魚人を倒したが、その間にも後続のクリーチャーがなだれ込むように押し寄せる
「カッツォ、マナはどれぐらい溜まった」
「ゲージ四個分ぐらいかな、軽量ぐらいなら使えるよ」
襲い来るドジョウもどきを足場に上方を周遊していたヒトデらしきクリーチャーを打ち落としながら頭を回す。速度、リソース、手数に火力。状況は歴然としてこちらが不利。処置なしに時間が経てば削り切られてまけるだろう。
「火力だ。でけーのでいくらか吹き飛ばせ!」
了解!と答えるとドゥエカッツォは俺と共有されているゲージを使い切り、赤い巨大な走行を呼び出した。鈍重そうだが確かな力強さを感じさせる。
「機神装甲!たのむよ、踏みつぶしてやる!」
手数で張り合っても磨り潰されるだけだろう。ならばゲームの王道、やられる前にやれ。手数勝負に付き合わず力で先に捻り潰してやれ。赤い腕を大きく振り、雑兵共を散らしながら水流がごうと音を立てる。流石はプロ格闘ゲーマーといったところか。周囲をよく見て効率的にクリーチャーを潰していく。ヴァルボーグに巻き込まれないように気を付けて俺は支援に徹する。
もろいもろい!好き勝手に嬲りやがって。でかい顔するのもここまでだ。火力を押し付ければどうってことねぇな!
高笑いしながら俺とカッツォはクリーチャーたちを殲滅する。このまま行けば勝っちまうかもしれねぇな。
「ん?なんだ、今何か変な感触が」
唐突に海中が眩い閃光に照らされる。どこからか降り注いだかのような眩い光。思わず俺とドゥエカッツォの動きが止まる。
「まさか、ホーリースパークか!」
悲鳴のようなドゥエカッツォの声の直後、どうにか目を開けた俺が捉えたのは貧弱な腕を振りかぶる幼児体型の魚人がいた。
「お前、まさかエメラうごぉ」
俺らの最初のデュエキングモードの挑戦は敗北に終わった。
「やばくね?」
「やばいよ」
あの後、結局物量に押し切られてボコボコにされたカッツォと感想を言い合った。
「数が多い、途切れない、反撃してるとシールドトリガーが飛んでくる」
「ゲームスピードが速すぎてマナが全然たまらないしよ」
予め覚悟はしてきたが、レガシーモードとは全然難易度が違っている。アストラルリーフを含めた敵軍はレガシーモードで一度出てきたが、その時はこれほど苦しい状況ではなかった。
「あれ、まだまだ序の口でね。情報によるとあれから更に進化クリーチャーたちが出てきて攻め手が苛烈になるんだってさ」
嘘だろ?ただでさえとんでもない物量なのにまだ後続がいたのか。だが…
「だけどまだなんとかなりそうに思えるな」
俺の言葉にカッツォがその通りと言うように頷く。
「そう、初期アストラルリーフはまだどうにかなる。実際攻略報告もちょくちょく見かけるし、挑戦してみて希望が見えないほどの難易度には感じられなかった」
「トライ&エラーを繰り返せば俺らだけでもどうにかなるだろ。他のメンツも誘ったのはなんでだ?」
「サンラクさ、何か勘違いしてない?アストラルリーフが中くらいの難易度のステージとでも思ってるのかな知らないけど、それぐらいならお前は呼ばないんだよ」
あきれたようにドゥエカッツォのアバターが肩を落として言う。それを聞いて俺は何か嫌な予感を覚えた。
「アストラルリーフは尽きない戦力と水中による行動の制約は確かに脅威だけど言ってしまえばそれだけだ」
プロゲーマー魚臣圭は語る。
耐久性が無限でない。速度は危険域に至らず、攻撃に爆発力もない。不可測な飛び道具も持たず物量は攻撃に偏重し壁としては心細い。
「何よりだ、アストラルリーフは本格的な段に至っても
「は?」
このゲームはプレイヤーキャラクターの強化に著しい制限が設けられている。レガシーモードではストーリーの主軸のクリーチャーがガンガン成長していく横でほとんど初期装備と変わらないスペックで追い縋っていくことになっていた。その差から生まれる難易度を緩和するシステムがマナなのだが。
「爆熱天守、ヘブンズゲート、零龍星雲、魔導管理室、エウル=ブッカ。未だに攻略されていないステージの中には当然のように内臓されているギミックだ。いいか、サンラク。ここはまだまだデュエキングモードの序の口なんだよ」
「なんだそれヒデェステージだな。まるで難易度調整を忘れた
それを聞いた俺は口角を上げていた。
どうも心を躍らせてくれるじゃねぇか。ステージ名もワクワクさせてくれるいいセンスだ。
「納得だよ。通りでお前が俺らを呼ぶわけだ。下手したら全一に挑むレベルの大事なんじゃねぇか。だが、いいな。気に入ったぜ」
良ゲーかと思っていたがそうでもないらしい。むしろ俺の好みだったようだな。
待ってろよ、デュエキングモード!俺が全部クリアしつくしてやるよ。
一点スパークは犯罪