デュエルマスターズ~クソゲーハンター、クソカードを駆る~ 作:Saz_a_Nami
攻略の全容をやるとどう考えても文字数が嵩み過ぎる上、各カードの役割にクローズアップすることになる。
強さを描写したらユザパじゃい!ゆるして
十三回の挑戦と三回の作戦会議を経て俺らはどうにかアストラルリーフ率いるクリーチャーたちを殲滅した。クソゲーマーとプロゲーマーの二人掛かりでもシンプルな処理能力不足は如何ともしがたい。マナの活用先もかなりの制限を課せられていた。結局軽量ブロッカーをガン積みしてメタを張った上で俺とカッツォでトリガーがないことを祈りながら殴り切った。一徹を代償にクリアしたと考えればそれほど悪い成果じゃ…ってマズいマズい。思考が午後十字軍の片鱗に触れている。
こういう時は一度エナドリをキメるといい。自室に備え付けの冷蔵庫から知らないうちに入っていたライオットブラットを開け、背後からのかぼちゃの視線を感じながらくぴくぴと呷る。味覚神経が脳下垂体に刺激を送り込みシナプスに多好感が染み渡る。ここから徐々に多数の添加物に助けられ吸収されるカフェインの気配を体で感じ、一つ息を吐く。
GOOD SHUGAR.FABULOUS COFFEIN.っは、無意識の内に妙なことを口走ってしまった。
軽くデュエキングモードの各ステージについて調べてみたがアストラルリーフはカッツォの言っていた通り
「一息ついたし、戻って続きに行くか」
デザインの都合から実質俺専用となっているハイエンドの椅子型フルダイブシステムに腰掛ける。デュエルマスターズサーガを起動させると筐体が作動しVR世界でオープニングムービーが始まる。
思えば、最近は強敵とばかり戦っている気がする。フェアクソの邪神から始まりウェザエモン、リュカオーンの影に全一やらシャチやら。マジカルソードウーマンを下して新大陸の赤に英雄コンプレックスドラゴン。謎の般若、皇帝サソリやミュージックプレイヤー、キレキレドラゴンにごん太蛇クワッズ+ワン。思い返せば大半がシャンフロ絡みだな。
どれもこれもぎりぎりの勝利だった。事前に十分に準備ができていたクターニッドにSaiga-100、オルケストラやトマホークあたりはともかく、準備不足のぶっつけ本番で挑むことになってた他のやつらは今やって同等の結果をだせるかどうか怪しいな。これがたった半年の間にあったことってマジなのか?忙しすぎだろ俺。
しかし、と思う。デュエキングモードのステージはシャンフロの強力無比極まるフィジカルギミックモンスターたちの持つ難易度とはどこか毛色が違うような、どこか懐かしさを覚える鬼畜さがあるような気がする。アストラルリーフの処理速度勝負は戦場の只中に一人放り込まれるコスモ・バスターに似たものを感じた。最も、あれほどの戦力差はない代わりにガチンコバトルを強制させられた訳だが。
俺は一足先にログインしていたカッツォを見つけて声をかける。
「遅かったね、サンラク。もうどっちも来てるよ」
しゃーねーだろ、帰宅前に妙なのに絡まれたんだからよ。
「へぇ、それは災難だったね。サンラク君。お姉さんに何があったか聞かせてもらえる?」
「嫌だよ。なんでお前に言わなくちゃいけねぇんだよ、
胡散臭い笑顔を浮かべるスレンダーな肌色が青いメカクレ女に視線も送らず適当にあしらう。通称ペンシルゴン、あるいは赤鉛筆のこの女は極めて悪辣な、腐れ縁の一人だ。
「しかし珍しいな。なんでメカクレになってるんだ。いつものリアルに寄せたキャラメイクはできなかったのか?」
「それがこのゲームね、人型キャラクターはほとんどがメカクレなんだよね。女性キャラクターはそれが特に顕著でね例外もストーリー上の重要キャラクターばかりでね。プロポーションを確保できるスプラッシュクイーンが一番似せられたんだよ。この髪の下にはいつもの顔があるよ。見たい?」
まじかよ、性能で選んだから知らなかったがキャラクタークリエイト結構不便なんだな。と、思ったがクリーチャー主体のゲームだから問題ないのか。常に自分の顔を再現しようとする変人は少数派というのもある。
「さて、カッツォ君。二人共が日和って簡単なステージを一つだけ攻略してきたってのは聞いたけど、次はどこに挑むのか決めているのかい?」
思考に浸る俺をバカを見たかのような反応を見せてスルーしペンシルゴンがカッツォに視線をやる。モデルをこなす美麗な容姿に関わらず平然と毒を吐く。これがカリスマモデルの皮を被った純粋極悪な愉快犯天音永遠である。
「ふん、もう決めてるよ。次は無双と竜機の大地だ」
「その心は?」
問うペンシルゴンに応えるカッツォ。カッツォが言うところによると、俺と攻略したアストラルリーフより上の難易度のステージに挑みたい。また、その中でも攻略法が明確なところを選びたい、とのこと。
「へぇ、攻略法が分かってるんだな。これももう攻略報告があるやつか?」
「そうだね。僕たちはまずこのゲームに慣れておくべきだと思うんだ。サンラクはもう経験したと思うけど、レガシーモードとデュエキングモードでは
思い当たるところはる。レガシーモードではマナを使ってストーリーの主要キャラをサポートしつつ攻め手を展開していくタワーディフェンスに近いゲーム性だった。主要キャラも攻撃に参加し、むしろそっちの方がメインのダメージソースになっていた。しかし準備不十分なままに襲い来るあの海鮮系クリーチャーたちとの戦いは、どこかリソースをぶつけ合う戦争ゲームのようなものだった。
「まずは慣らしていくべきだ。僕の見立てではいきなり最難関に挑んでも例えシルヴィアがやってもクリアは難しいんじゃないかな」
脳裏を流星が駆ける。超高速の超高精度な立体起動。ビルの間を縫うように滑るスーパーヒーローの姿は今も記憶に新しい。というか戦ったのはほんの数か月前だしシャンフロでも見かけたしな。しかしあれの個人スペックをもってしても無理なのか。あるいはあれの性質がこのゲームに適応してないのか。ともかく難しいのだろう。
「ふーん、なるほどね。それで?カッツォ君が言う攻略法ってのはなんなの?」
納得したように頷いたペンシルゴンその質問にカッツォがニヤリと笑う。
「持久戦だ」
俺とペンシルゴンは胡乱な視線をカッツォに向けた。
弱いデッキは強いデッキに淘汰される
強いデッキの間で有利不利が生まれ食物連鎖が構築される
強いデッキへのメタ構築がつくられる
別の強いデッキにメタ構築が狩られる
その間に強いデッキたちが不利相性を克服しようと進化を試みる
対戦コミュニティ内のデッキ情勢を環境と呼ぶのにはそう見立てるに足る変遷がある
蟲毒の勝者が弱い筈がない