ゲームが上手いコミュ障底辺配信者が成り上がる話   作:グラタン二世

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第20話 「7/26(水)スクリム2日目 その①」

 

「朝か…」

 

スズメか何か分からんが鳥の鳴き声で目を覚ます。昨日、いや今日までabcxしてたんだったな。無限abcx編とか言って。今日も大学あるのに全然寝不足なんだよね。ちょっとやばいか…?

 

「帰って来てからちょっと寝るか…」

 

まぁ、いいか。今度は遅れないようにタイマーかけてから寝ればいいだろう。

 

そんな事を考えながら俺は朝食を作り、大学へ行く準備をした。

 

            ◇

 

「まだやってるんですか…やりすぎでしょう」

 

PCの画面を見ながらそう呟いたのは、空色ライブ1期生の青空あおい。彼女もカイと同じくRaising cupに出場するので毎日abcxの練習に勤しんでいた。

 

彼女のRaising cupのメンバーはlaughとspear。どちらも実力者だ。彼らは1回の配信時間が長く、あおいは配信活動以外にも仕事があるので途中で抜けることも多い。昨夜もスクリムの後、カジュアルを数戦して抜けてしまったので、彼らが既に10時間以上abcxをプレイしている事に気付けなかった。

 

「ちょっと休憩するように話ましょうかね」

 

そうして、彼らのいるデェスコードサーバーに入ると──

 

 

「…んで、俺はこう言ったわけよ。『タバコやめたいです』って」

「…縁切っていいか?」

「なんで!?」

「いつかするとは思ってたけど既にやってたとは…」

「いや、冗談よ?冗談」

 

なにか良く分からない話をしていた。

 

「えーっと、おはようございます」

「おっ、あおいさんじゃん!おはござ!」 

「おはようございます。どうしたんですか?」

「たまたま配信してるのが目に入ったので、少しぐらいは休憩したら良いんじゃないかなと思いまして」

「えっ?心配してくれてるんすか!?やっさしい〜」

「そりゃ10時間ぐらいしてるんですから身体大丈夫なのかなって心配になりますよ」

「…そうですね。そろそろ終わっとくか?laugh」

「そうね〜。一旦終わって夜のスクリムまで寝るわ〜」

「…身体に気をつけてくださいよ?」

「あおいさんこそ」

 

あおいは一度、オーバーワークで体調を崩した事があるので

長時間abcxをプレイしている彼らが心配になったのだ。大会が近いが身体を壊してしまっては出場することができなくなってしまうだろう。

 

「…はい。じゃあまたスクリムで」

「はーい」

「あっ、」

「どしたんすか?」

「いや何話してたのか気になって…」

「あぁ、俺が成人式の抱負で『今年こそタバコをやめる』って言ったんすよ」

「……」

「もちろんジョークですからね!ブラックジョークってやつですから!引かないでください!」

 

こんな感じの変な話を永遠にしていたりするのが、laughチームだ。これで相当の実力があるから大したものである。

 

「じゃあ、終わるか」

「おう」

 

彼らはあおいの言葉を聞き、素直に止める事にした。この後、スクリムにlaughが遅れてしまいあおいとspearに説教されるのはまた別の話。

 

 

            ◇ 

 

「おーい起きとるか?ゲームしながら寝とらん?」

「は、はい!起きて、起きてます!」

「まぁ頑張っとるしな?休むのも大切よ?」

 

──時刻は昼。今回の大会に向けて練習をしているのはスナイパークラン『ONESHOOT』のメンバーであるRUIN(ルイン)sizuka(シズカ)。そしてもう1人は──

 

「もちろんお目々パッチリですからね!」

 

アイライブ所属2期生──(きずな)つむぎだ。

 

「これ終わったら一旦休むで」

「えー!もう少しやりましょうよ!」

「今さっきも言ったんやけど休憩は大事よ?」

「そうやで。ここ最近長い間やってるんやから」

「はーい。分かりました…」

 

紲つむぎ──彼女は少々真面目なため一度目標を建てるとそれに向かって休むのを惜しんで努力してしまうのでストッパーが必要なのだ。その役をできるのが関西弁の二人──RUINとsizukaなのだ。

 

「今日もスクリム前にもちゃんとアップするから集合は19時でええな?」

「おう」

「じゃあまた19時に」

 

RUINとsizukaはスナイパークランであるONESHOOTの中でもスナイパーライフルの扱いが巧い。元々ONESHOOTは別のfpsゲームのランカーが集まったできたチームだ。そこからバトルシークエンスなどバトルロワイヤル系のゲームにも活動範囲を広げ今に至る。

 

 

「結構成長してるっすよね〜紲さん」

「おん。最初に比べて周りも視えてきてるしな」

「このまま行けば上位は固いんじゃないっすか?」

「そうだな〜ちゃんとワシらがやらんとね」

 

彼らも今回の大会で勝ちに来ている。カイ達の障壁になるのは明らかだ。

 

             ◇

 

「そろそろサーバー入るか」

 

大学から帰ってきて少ししたら既に19時前だった。スクリムは20時からなのでアップのために水無瀬さんと星乃さんがいるデェスコードサーバーに入る。

 

「お、お疲れ様です」

「あっカイさん。お疲れ〜」

「お疲れ〜」

 

2人共ずっとサーバーにいる気がする。

 

「SKさんはスクリムが始まるまでにはくるらしいよ」

「分かりました」

 

SKさんも色々仕事があるから忙しいんだろうなぁ。俺たちに時間を作ってくれてるだけありがたい。

 

「じゃ、アップ始めましょうか」

「おーけー!」

 

スクリムが始まるまでにちょっとだけ訓練場でタイマンしたりカジュアルを回したりした。

 

 

             ◇

 

──時刻は20時過ぎ。本日もRaising cupに向けてのスクリムが行われる。2日目のスクリムは前日の反省を活かして対策をしてくるチームしかいないだろう。

 

「──それで今回はこの構成で行くんですね」

「は、はい!」

 

前日の反省として俺たちはキャラ構成を変えた。

 

「イツキさんはそのままレイサーですね」

「まぁ、それしかちゃんと使えないもんでして…」

 

「で、ひかりさんがヴァラをすると」

「まぁ、頑張るぞということで」

 

「そしてカイくんがキーランを使うと」

「はい」

 

コンセプトは特に無いができるだけレイサー──水無瀬さんをフォローできるような構成だ。

 

キーランはディフェンス系のキャラだ。パッシブでLMGを強化。スキルではトラップを設置して相手を妨害できる。そしてアルティメットは巨大な防壁を作り出し味方のフォローができるし上手く使えば敵を孤立させることも可能だ。

 

 

「俺たちが水無瀬さんをフォローします」

「だから存分にアタシ達をこき使ってもろて」

「うん!こき使うね!」

 

彼のレイサーは未熟な所もあるかもしれないが十分にやれるだろう。それを俺と星乃さんがしっかりフォローすればキルポイントを稼げるはずだ。彼を俺たちがポイントゲッターにする。

 

「そろそろ始まるよ〜」

「ほ〜い」

 

さぁ、スクリム2日目が始まる。今日からは水無瀬さんにこき使ってもらおう。

 

             ◇

──今回の大会のマップはシーズン3に追加された『エランドセラル』である。ランドマーク数は19。初期マップである『グランドバーグ』と同じく大会で良く使用される。

 

「降りるよ〜」

 

1日目の最初に取っていたランドマークはサトウさんのチームに奪われたので別のランドマークをなんとか探し出してそこに降りることになったのが1日目だ。今日──2日目は部隊の動きを良くしていきたい。

 

「青アーマーあった〜」

「こっちもあった!」

 

順調に物資は揃ってきている。アーマーも武器も悪くない。これなら接敵しても戦える。

 

「もう少ししたら安地移動します」

「りょうか〜い」

 

安全地帯からは外れてしまったので移動しなければならない。俺たちはできるだけ早く移動して安地の中心を取っていた方が良いだろう。他の部隊に空いているスペースを取られないために。

 

ちなみに俺の武器構成はLMGとSG。水無瀬さんがSMGとSG。星乃さんがARとSR。武器は揃ってはいるがアタッチメントは全くなので移動中に見つけるか敵を倒して奪うしかないな。

 

「…移動します!」

 

第1収縮開始まで残り一分。カイ達は移動を始めた。

 

            ◇

 

「おっし!準備はできたな?」

「あぁ」

「はい」

 

カイ達のいる場所とは反対側。そこでは既に争いが起きようとしていた。

 

「──まずは1キル!」

 

3人の強襲によって少し部隊から離れていた相手は一瞬の内にダウンした。

 

「…こっち来れますか?」

「おーけー!spearそっちは任せた」

 

近応戦してくる相手チームのリーダーをあおいが倒そうとするが中々倒すに至らない。そしてまだ生き残っているメンバーと合流するように動いていた。

 

「ここでやられて貰いまーすよっと」

 

もう1人はリーダーとの合流を急いだが途中でspearに見つかり、抵抗するものの敗北。

 

「終わったぞ〜」

 

そして数秒後、laughの支援を受けたあおいも相手リーダーを倒した。

 

「やっぱ戦闘はテンポ良く終わらせれたら楽だわ〜」

 

 

第1収縮終了時、残り部隊数−−−19部隊

 

             ◇

「1部隊やられたわ」

「そうっすね。laughの所みたいです」

「ワシも戦いたいけどなぁ…」

「駄目ですよ!?作戦的に!」

「分かっとるって」

 

現在、第2収縮開始前。既に安全地帯内のRUINチームは見晴らしの良い高台を獲得していた。既にRUINとsizukaはSRを装備

しており、狙撃準備は万端だ。

 

「敵、見えます?」

「今んとこあんまりやね」

「ちょこちょこは見えるけどな」

 

倍率の高いスコープを装備しているためかなりの距離を観測する事ができる。が、RUINが言うように今のところ敵はあまり見えない。

 

「とりあえずアーマーを進化させるっすわ」

「はい。お願いします!」

 

この距離で仮にダウンさせたとしても倒し切る前に蘇生されるのがオチだ。だからスナイパーをチクチク撃ってアーマーを進化させる方が得になる。ちなみに全員青アーマーである。

 

「ほい、黒アーマー」

「ありがとうございます!」

 

三分後、つむぎから受け取った青アーマーは黒アーマーとなっていた。スナイパーでチクチクしすぎるのは嫌われるのであんまりおすすめはしない。

 

「…結構動いたっすわ」

「おぉ、そうね」

「このままここで大丈夫ですよね?」

「そらそうよ。このまま高台キープでおけ」

「分かりました!」

 

アーマーを進化させている間に第2収縮が終わった。各地で戦闘が起こったらしく、ある程度の部隊が減っていた。

 

 

第2収縮終了時、残り部隊数−−−14部隊

 

 

             ◇

 

「結構減ったな〜」

「そうね〜アタシ達とは全然関係ないけど」

 

第3収縮開始まで後数秒。カイ達安全地帯まで移動していた。

彼らのチームには安全地帯調査装置を使えるキャラはいないので完全に予測で入るしかない。

 

「この次の安地カイさん分かります?」

「…け、結構な択があるんで完璧には分からないですよ」

「じゃあ勘で!」

「か、勘で大丈夫なんですか?」

「まぁ大丈夫でしょ」

 

難しいな…。できるだけ確率が高い所なら──

 

「ここです」

「分かった」

「了解」

 

これはただの勘だ。それなのに信じてついて来てくれるのか。普通に間違ってる可能性の方が高いのに…。

 

「…誰もいない!ラッキー!」

「水無瀬さんは鉄塔側見てください。星乃さんは…」

「アタシは森林側見るよ」

「あ、ありがとうございます」

 

カイ達がたどり着いた場所はそれなりの高台。現在の安全地帯の中心ではないがかなり見晴らしの良い場所だ。だが射線は通りやすいので気をつけていかなければならない。

 

「な、何かあったら知らせてください」

「ほーい!」

 

戦いはまだ始まってすらいない。まだまだこれからだ。

 




お久しぶりですグラタンです。区切りがいいので一旦切ります。次はできるだけ早く完成させます。

お気に入り200件超えありがとうございます!これからも頑張っていくので応援よろしくお願いします!
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