ひろプリ SAMURAI GIRL HEROISM   作:MOZO

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キュアレイニー
シグレ・アマヤドゥーリが変身する雨のプリキュア。
腰まで届く白銀のポニーテールで毛先に青いグラデーションが入っており、端が鳥の羽根の形をした細長いリボンで蝶々結びにしている。両耳に滴型のピアスを装備。衣装は銀色とネイビーを基調とし、ノースリーブのトップスは和服風のデザインになっており、腕に振り袖を装着。胸の星マークのバッチに付いているリボンの色は紫。腰から二本の菱形の帯が垂れ下がり、銀色のミニスカートの下に黒のスパッツ。黒いソックスに銀色のブーツを履いている。
変身前よりも身体機能が飛躍的に上がり、素早い動きで相手を翻弄。手から銀色の光の刀を具現化させ、持ち前の「スカイランド剣術」を主力として戦う。
浄化技は「ひろがるレイニーセイバー」。光の刀を時計回りに回し、「ひ~ろ~が~る~レイニーセイバー!」の掛け声と共に跳び上がり、一刀両断に斬り込んでいく。


其の十三

 二人目のプリキュア━━キュアレイニーの登場に、その場にいた全員が凝視する。

 

「シグレちゃんも、プリキュアになっちゃった!?」

 

「新しいプリキュア・・・、キュアレイニー!」

 

 スカイとましろは彼女の洗練された姿に息を飲んだ。

 

「くそぉ、面倒な奴がまた増えたのねん。力を使い(こな)す前にぶっ潰してやるのねん! ランボーグ!」

 

 カバトンの指示の下、ランボーグはレイニー目掛け両手のタケノコをミサイルのように発射。

 直撃する手前で、レイニーは右手から銀色に光る刀を出現させると、瞬く間にタケノコミサイルを二つ共斬り刻んでゴロゴロと乱切りにしてしまった。

 

「う・・・、うそ~ん!?」

 

 尋常でない剣速にカバトンは目を疑った。狼狽(うろた)えるカバトンにレイニーは切っ先を差し向ける。

 

「推して参る!」

 

「舐めた真似しやがって。絶対に痛い目に遭わせてやるのねん! やっちまえ!」

 

 自棄っぱちのカバトンは、残りのクロボーズをすべて投入し総攻撃を仕掛ける。だが、レイニーの敵にはならず、電光石火の早業で3秒も経たずに全員を薙ぎ倒した。

 続け様にランボーグの竹槍が襲ってくるが、それも容易くすべて斬り払い、ランボーグの懐へと疾走。鋭い蹴りを食らわせ転倒させる。

 畳み掛けようとした瞬間、スカイがクロボーズに苦戦している光景が目に入り、切っ先をそちらに変えて構えを取る。

 

「スカイランド剣術。三の型━━」

 

 レイニーは地面を強く踏み締め、猛烈な勢いで突進していく。

 

疾風突(はやてづ)き!」

 

 その一突きはクロボーズだけを捉え、影も残さずまとめて散らしたのだった。

 

「大事無いでござるか?」

 

「・・・・・・は、はい!」

 

 レイニーの華麗で勇ましい姿に、スカイは思わず見惚れてしまっていた。

 そんな彼女たちへランボーグのタケノコミサイルが飛来。すれすれのところを二人は飛び退き、レイニーは驚異的な跳躍力で川の対岸に着地する。

 光の刀を携え、レイニーは川の水面を駆け抜ける。あまりの俊足に足を濡らすことはなく、川を渡り切ったところでランボーグが竹槍攻撃を仕掛けるも、レイニーは次々に斬り倒していく。

 ランボーグの注意が逸れている隙に、スカイが飛び掛かり胴体にパンチの連打を見舞った。

 その間にレイニーは刀を横に構え、左側へ体を捻る。

 

「スカイランド剣術。四の型━━」

 

 レイニーは捻った体を解放させて右方向へ高速回転。大気を巻き上げると彼女を中心に竜巻が発生する。

 

刃利剣旋舞(はりけんせんぶ)!」

 

 竜巻はふらつくランボーグに向かって進撃して飲み込んだ。刃の旋風が胴体を削っていき、竜巻が過ぎ去った後にはランボーグの表皮はツルッツルのベージュ色に剥かれ、両手のタケノコも皮が綺麗に剥がされていた。

 

「ラ、ランボ~グ・・・・・・」

 

 ランボーグは恥ずかしそうに両手で全身を隠す仕草をする。

 

「トドメでござる!」

 

 戦意喪失となった敵にレイニーは勝負を決めるべく、光の刀を握り締めた。

 

「ひ~ろ~が~る~レイニーセイバー!」

 

 刃で時計回りに円を描き、切っ先が頂点に戻ると力強く身構え、そして跳躍。降り(しき)る雨の如く斬り込んだ。

 

「はっ!」

 

 銀色の刀身は光の弧を引いてランボーグを一刀両断にした。

 

「スミキッタァ~」

 

 ランボーグは浄化され、消滅。一本の竹に戻ったのであった。

 

「グゥ~、こうなったらこれだ!」

 

 後の無いカバトンはあるものを取り出した。それは、ついさっきソラとシグレが抜こうとした毒キノコ。それを両手に二本も持ったカバトンは躊躇いなく口へ放り込んだ。

 

「これでパワー全開なのねん! いくぜ!」

 

「えぇ~! まさかの二回目ですか!?」

 

 勢いを吹き返したカバトンにスカイとレイニーは警戒する。だが、その直後。

 

 ギュルルルルル~!

 

「イテテテテ~・・・・・・」

 

 地獄のような腹痛に襲われるカバトンの紫色の顔はみるみる青ざめ、腹部を押さえ悶絶する。

 

「まったく、自業自得でござるぞ」

 

「もう、無闇に山にあるものを採ったり食べたりしちゃダメなんですよ。めっ!」

 

 自分たちも考え無しに採ろうとしていたことも忘れ、カバトンを叱責する二人。

 

「覚えてろ! カバトントン!」

 

 カバトンは血相を掻きながら黒い煙に紛れて退却した。

 変身を解いたソラとシグレ。ソラは美しくも勇壮に戦ったシグレを絶賛する。

 

「すごいです、シグレさん! まさかシグレさんもプリキュアに変身できるなんて。まるでヒーローのようでした!」

 

「拙者はただ無我夢中でござったから。それに、ソラ殿であったらこうするだろうと思っただけでござるよ」

 

 あくまでソラを真似ただけだとシグレは謙遜(けんそん)するが、結果的にはソラのピンチを救い、ましろとエルを守り抜いた。讃えて然るべきことである。

 

「では、早く戻ってヨヨさんにスカイジュエルを渡しましょう!」

 

 スカイジュエルも回収でき、ましろとエルの無事も確認できた一行は馳せる気持ちで下山していく。

 その一部始終を、竹林の中から鬼面の男が気配を殺して覗いており、意味深にほくそ笑んでいた。

 

 * * *

 

 帰宅したソラたちは早速ミラーパッドにスカイジュエルのエネルギーを注入。

 すると、鏡面に映像が映し出される。

 

「通信が復旧したぞ!」

 

 誰かの声がしたかと思えば、髭を蓄えた男性と美しい女性の顔が映り込む。

 

「エルちゃん、見える?」

 

 エルは男性と女性の顔を真っ直ぐ見詰める。

 

「エル・・・・・・」

 

「プリンセス・エル!」

 

 彼らはエルの顔を見るなり驚きの声を上げた。

 

「「「えぇー! プリンセス・エル!?」」」

 

 ソラたちもまたエルの名を聞いて驚いてしまう。

 

「わたしが付けた名前、合ってました!」

 

「そこじゃないよね? プリンセスってことは・・・」

 

「スカイランドのお姫様ってことですか!?」

 

 エルがプリンセスということは、鏡に映っているのはスカイランドの国王と王妃ということになる。

 

「誠の姫であられたのでござったか! 数々の非礼、何とぞ御容赦を!」

 

 噂に聞いた姫だと知るや否や、シグレは赤ん坊のエル相手に土下座をするのだった。

 

「怪我は無い? 変わりは・・・無いようですね」

 

「よく無事で、プリンセス・エル。キラキラ輝く私の一番星・・・」

 

 国王と王妃は涙を流し、娘の無事を喜んだ。エルも両親と再会することができたものの、小さな手の温もりは鏡に隔たれて伝えることができない。

 

「王様、王妃様。そちらの世界へ戻る手立てが整うまでプリンセスをお預かり致します」

 

 ヨヨが国王たちに呼び掛け、エルを責任を持って保護することを約束した。

 

「あなたは、スカイランドのハイパースゴスギレジェンド名博学者のヨヨ殿!」

 

 国王はヨヨの顔を見て目を丸くする。何やらすごい称号で呼ばれていたようだが、確かにヨヨが高名な人物なのだとましろは確信する。

 と、映像が薄々とぼやけ始める。エネルギーが尽き掛け、今にも通信が切れそうだ。

 

「皆さん、プリンセス・エルのこと」

 

「よろしく頼みます」

 

「承知したでござる。拙者たちが命を()しても必ずやエル姫を御二方の許に帰すと誓うでござる!」

 

 シグレが決意を述べてすぐ、映像が消えていつもの鏡面に戻ってしまっていた。

 国王と王妃から大事なエルを託され、ソラ、ましろ、シグレは気持ちを引き締めるのであった。

 

 * * *

 

 国王たちとの通信の後、縁側でソラたちは夕刻の空気に浸っていた。

 ふと、ましろはシグレにした同じ質問をソラにも聞いてみた。

 

「ねぇ、ソラちゃんは寂しくならないの? 家族に会えないのはソラちゃんだって同じなのに」

 

「わたしにはやる事もあるし、大丈夫です。それに・・・・・・」

 

 ソラは両脇に座るましろとシグレの顔を見てニコッと笑って答えた。

 

「隣に友達がいますから!」

 

 数奇な巡り合わせで出会った二人はソラにとってはもう掛け替えの無い親友なのだ。

 と、今度はシグレが改まった面持ちでソラとましろに向かい合う。

 

「ソラ殿、ましろ殿。拙者はサムライとしてもプリキュアとしてもまだまだ未熟の身でござる。そんな拙者が、御二人の友でいて宜しいのでござるか?」

 

 シグレの問い掛けにソラとましろは顔を見合せてから笑顔で返答した。

 

「「もちろん!」」

 

 二人の暖かい言葉を聞きたシグレは、満面の笑みを浮かべた。




原作第3話部分終了です。
次回の原作第4話部分から二ノ巻をお送りしますので、どうぞ楽しみにしてください。
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