ひろプリ SAMURAI GIRL HEROISM   作:MOZO

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今回から二ノ巻、原作4話部分です。
ご感想がありましたら、お気軽にどうぞ。


二ノ巻 新たな仲間と黒き影
其の一


 ある夜━━。暗い裏山の森でカバトンは毒々しいキノコを握り締め、にやけ顔を浮かべていた。

 

「ニッヒヒヒヒ。こいつを使えば・・・・・・」

 

「カバトン、今度は何を企んでいるのだ?」

 

 そこへ鬼面の男が姿を現し、妙に上機嫌なカバトンに尋ねる。

 

「オレ様、ナイスな作戦を閃いちゃったのねん。これで(にっく)きプリキュア共も一網打尽なのねん!」

 

 毒キノコ片手に自慢気にひけらかすカバトン。そんな彼の間抜け面に男は辟易(へきへき)と溜め息を漏らす。

 

「ハァ・・・・・・。また徒労に終わらなければいいがな」

 

「いちいちうるさいのねん! オレ様は毎日毎日、どうやってプリキュアを倒してプリンセスを頂くかを真剣に考えているのねん!」

 

 これまでプリキュアに全敗しているものの、めげずに幾度も挑み続けている。ある意味で彼の感心すべき点であろう。

 

「まぁ、貴様の好きにするがいい。ただし、その作戦に俺も加わらせろ」

 

「珍しいのねん。お前が自分から進んで動くなんて」

 

 カバトンは拍子抜けした顔する。傍観を決め込んでいた鬼面の男が積極的に参戦を希望しようとは。しかも、男はそこはかとなく楽しそうにしていたからだ。

 

「キュアレイニー、奴の力量を見極めたいと思ってな。剣客同士相対すれば斬り合うは本能も同然のこと」

 

「ヘッ、戦闘狂いの考えていることはよくわからん」

 

「それに、あの御方から(たまわ)った我が半身「ブライマル」が(ささや)くのよ。奴の生き血を啜りたいと・・・・・・」

 

 鞘から僅かに抜き出された黒光りする刀身は鈍く不気味な煌めきを放っていた。

 

 * * *

 

 仄かに明るい空の下、ソラとシグレは日課のランニングに励んでいた。

 

「シグレさん、何だか張り切ってますね?」

 

「拙者もプリキュアになった故、日々の鍛練も更に精進するでござる!」

 

 プリキュアになったことでソラと共に戦う機会が増えるとなれば、トレーニングにも一層気合いが入るというものだ。

 高台に着いた二人は、朝日に照らされ新しい日が始まろうとする街を一望していた。

 

「ソラちゃ~ん、シグレちゃ~ん!」

 

 後方から息も絶え絶えなましろが追い付き、到着するや地面にへたり込んでしまう。

 

「大丈夫ですか?」

 

「見ての通りだよ・・・・・・」

 

「無理は禁物でござるよ?」

 

 何の心境の変化か、ましろは進んでソラたちのランニングに参加したいと言い出してきた。

 ソラたちは休憩しようとましろをベンチに座らせ、水を手渡した。

 

「ランニングをして身体を鍛えたらもうちょっとソラちゃんとシグレちゃんの役に立てるかなって。でも、『千里の道も一歩から』だからね」

 

「それってどういう意味ですか?」

 

「毎日コツコツ頑張らないとダメってこと」

 

「良い言葉です!」

 

 ソラはおもむろにメモ帳を取り出すと、ましろの言葉を書き記した。ましろが覗き込むと、それは平仮名で書かれており、思わず驚嘆の声を上げてしまう。

 

「えぇ~!、いつの間に覚えたの!?」

 

「一日5文字ずつ。毎日コツコツです!」

 

「拙者も今、カンジというものを学んでいるところでござる!」

 

 シグレは小学校一年で習う漢字をドリルで勉強し、ソラと一緒に教え合っているらしい。

 

「すごいよ二人共。わたしも毎朝ランニングを続けたら、ソラちゃんとシグレちゃんみたいに強くなれるかな?」

 

 ましろの言葉に、ソラは(かぶり)を振った。

 

「だよね・・・・・・」

 

「いえ、そうではなくて。ましろさんは、今のましろさんのままで良いんです」

 

 どういう意味なのかといった表情をするましろにシグレが補足する。

 

「以前にもソラ殿が申されていたでござるが、ましろ殿には周りを思いやる優しさという力があるでござる。ましろ殿はありのままの自分を大切にしてくだされ」

 

 エルを泣き止ませたことを言っているのだろうが、ましろはイマイチ実感が湧かなかった。

 

 グゥゥゥゥ~。

 

 ソラとシグレは同時に空腹の音を鳴らす。

 

「アハハッ、腹の虫が我慢し切れぬと言っているでござるな」

 

 そろそろ朝食時と、ソラはましろの手を取った。

 

「飛ばしますよ!」

 

「ひゃああああ~!」

 

 ましろの手を引き、ソラとシグレは全速力で元来た道を走っていくのであった。

 

 * * *

 

 ランニングから帰ったソラたちはエルにミルクを飲ませながら朝食の準備をしていた。その最中、

 

 ピンポーン♪

 

 こんな朝早くにインターホンが鳴り、ソラが来客を出迎えるためドアを開けた。

 

「お待たせしまし━━」

 

「久しぶり!」

 

 突如として、何者かがソラに抱き付いてきた。

 

「ちょっと見ない内に背伸びた? 髪型変えた? あれ、髪色もなんだか・・・・・・?」

 

 ソラに抱き付いていた女性は彼女が人違いであることに気付く。

 

「誰?」

 

「こっちのセリフです!」

 

 騒ぎを聞きつけ、ましろとシグレが玄関に様子を見に来た。すると、ましろがその女性を目にした途端、大きく反応する。

 

「あげはちゃん!?」

 

「ましろん!」

 

 互いに名前を呼び合っていることを察すれば、この女性とましろは旧知の仲のようだ。

 

「何で? どうして?」

 

「ちょっとこっちに用事があってさ」

 

「ましろ殿、こちらの賑やかな方は知り合いでござるか?」

 

「えーっとね、あげはちゃんは━━」

 

「待ってましろん。わたしから説明するね」

 

 女性は自ら自己紹介をすると、ましろを引き止める。

 居間に場所を移すと、女性はタブレットを取り出し、いきなり紙芝居を始めた。

 

「むかーしむかし、ソラシド市に二人の女の子がいました。名前はあげはちゃんとましろん!」

 

 彼女の話によると、ましろとは小さい頃からの幼馴染でいつも二人で遊ぶ間柄だったそうな。ところが、母親の都合で遠くの街に引っ越すことになり、「ママ嫌い! こんな家出ていってやる!」と家出をしてしまったらしい。

 

「さて、お家を飛び出したあげはちゃんはこれからどうなってしまうのでしょうか?」

 

「どうなるんですか!?」

 

「これは一大事でござるな!」

 

 ソラとシグレは食い入るように話を聞き入っていた。

 

「日が暮れちゃうから手短にいこっか?」

 

 長くなりそうだと、ましろは簡潔に紹介してほしいと要望する。

 

「だね。わたしは聖あげは。18歳。血液型はB。誕生石はペリドット。ラッキーカラーはベイビーピンク。最近のブームは、イングリッシュティーラテ・ウィズ・ホワイトチョコレート・アド・エクストラホイップ! はい、そっちのターン!」

 

 あげはのマシンガントークに圧倒されつつ、ソラとシグレも自己紹介をする。

 

「初めまして。この家でお世話になっているソラって言います!」

 

「拙者は名はシグレ、姓はアマヤドゥーリ。ソラ殿と同じく、ましろ殿の家に厄介になっているでござる!」

 

「ござる?」

 

「シグレちゃんは、時代劇が好きで話し方とかはそれで覚えてて!」

 

 もはや恒例となったシグレの跪きながらの名乗りを目の当たりにしたあげはは唖然となり、透かさずましろがフォローに入る。

 

「イイじゃん! 逆にクールでイカしててアゲ~って感じ!」

 

「あ、あげえ・・・・・・?」

 

 予想外にもあげはに好評で、ギャルピースをする彼女を真似てシグレも両手で逆さにピースをする。

 

「二人はこの街の子?」

 

「いいえ。エルちゃんと一緒に別の世界から来ました!」

 

「別の世界?」

 

「ターーーイム!」

 

 ましろは両手でTの字を作って会話を中断させ、両の人差し指でバツの形にすると口元に当てる。

 思い起こしたシグレはソラの耳元で声を潜めた。

 

「ソラ殿、ましろ殿と約束したではござらぬか」

 

「そうでした! 大騒ぎになるからスカイランドのことやエルちゃんがプリンセスだってことは内緒にするってましろさんと決めたのに!」

 

「プリンセス?」

 

「しまった! あげはさん、今耳にしたことはキレイさっぱり忘れてください!」

 

「隠し事~?」

 

 色々と秘密が露見してしまい、慌てふためく三人。あげはは口をすぼめ、完全に怪しんでいる様子だった。

 

「ごめんね、あげはちゃん。でも、友達の秘密は言えないよ・・・・・・」

 

「OK。でも、いつかわたしにも教えてくれると嬉しいな」

 

 理解を示してくれたようで、どうにかその場を誤魔化すことはできた。

 

「って訳でよろしくねソラちゃん、シグレちゃん、それにエルちゃん!」

 

「えるぅ!」

 

 エルとも意気投合し、慣れた手付きで彼女を抱きかかえる。

 と、本題をすっかり忘れていたシグレはあげはに問い掛けた。

 

「して、あげは殿は何用でこちらに来たのでござるか?」

 

「フフッ、そ・れ・は・ねぇ~」

 

 含みのある笑みをするあげは。彼女が来訪した理由とは━━。

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