ひろプリ SAMURAI GIRL HEROISM 作:MOZO
スカイたちが友情を取り戻していた間に怯んでいたカバトンの視界が回復する。
「マ~ジ~でキレた!」
カバトンが怒りを爆発させ、呼応してランボーグの白色灯が『超特急』に切り替わり、猛攻を仕掛けようとしていた。
そして、レイニーに突き落とされたクロボーグもその背中にクワガオーガを乗せてビルを這い上がってくる。
「痴話喧嘩は終わったか?」
「えぇ。お陰様で、わたしたちは自分たちの胸の内を打ち明けることができました!」
「そしてわかったの。わたしたちは互いに思い合い信じ合う、親友だってことに!」
「『三人寄れば文珠の知恵』。拙者たちが揃えばどんな逆境も乗り越えられるでござる!」
「下らない御託を。ならば、仲良く刀の錆にしてくれる!」
クワガオーガが覇気を強めると同時にクロボーグが太刀を振り
「やろう、スカイ、レイニー!」
「はい、プリズム! レイニーも!」
「共に参ろう。スカイ、プリズム!」
スカイ、レイニー、プリズムは絆を確固たるものとするように互いの名前を呼び合う。敵を前にしているにも関わらず三人からは笑みが溢れるのだった。
「やっとその名前で呼んでくれたね」
「今更ではあるが、ちと照れ臭いでござるなぁ」
なんとも和やかな雰囲気に包まれていた。その刹那、
「ぷいきゅあ~!」
叫ぶエルの両手から紫色の光が放たれる。光はそれぞれ三人の手元に収まると、プリズムは青とピンクのツートーンカラーのスカイストーンWシャイニングを。レイニーは青と銀色のツートーンカラーのスカイストーンWレイニングを。スカイはその両方を手にする。
「これは・・・?」
「エルちゃんの新しい力?」
「であれば、使わぬ手はないでござるな」
新たな奇跡を授かり、三人は俄然闘志をみなぎらせる。
させるものかと電車ランボーグとクロボーグが同時に急襲。それを三人が迎え撃つ。更に勢いを増して電車ランボーグが突進してくるも、スカイとプリズムは連携して難無く躱していく。レイニーもクロボーグが振るう太刀の軌道を読んで迷い無く避け、横薙ぎを跳躍で躱した。
その瞬間、レイニーの脳裏に覚えのない人物のイメージが浮かぶ。その者は腰に刀を携えた、
「スカイランド剣術。秘技━━」
無自覚にレイニーが空中で光の刀を突き上げると、周囲に何十本もの刀が出現。切っ先がクロボーグへ向けられる。
「
光の刀を振り下ろすと、無数の刀がクロボーグ目掛け豪雨の如く降り注いだ。
「くそっ!」
不本意ながら状況が不利と悟ったクワガオーガは刀の雨が直撃する寸前に離脱。後には足許を刀で打ち付けられ、身動きが取れなくなったクロボーグのみ。
自分の中で何かが覚醒した感覚に唖然とするレイニーであったが、今は考えている場合ではない。スカイとプリズムの助太刀に今度は電車ランボーグへ刀の雨を放ち、カバトンが乗る先頭車両を直撃させた。
「拙者もいることを忘れるな!」
「この! お前から先にぶっ潰してやるのねん!」
電車ランボーグが矛先をレイニーに向け突進。両手で思い切りバシンと挟み潰した。かに見えたが、その掌にレイニーの姿は無かった。
「なっ、奴はどこ行ったのねん!?」
「ここでござる!」
突然頭上から声がしてカバトンが見上げると、レイニーがいつの間にか屋根の上に立っており、そのまま後方へと駆けていった。
「はぁああああああ!」
レイニーは疾走しながら連結部を次々に切断していき、最後尾からビルの屋上に着地。ランボーグは車両がバラバラになって地表へ落下していった。
「今でござる!」
レイニーの合図にスカイとプリズムは互いに目配せする。
二人はスカイストーンWシャイニングのツマミを押し、スカイミラージュに装填する。
「スカイブルー!」
「プリズムホワイト!」
それぞれのスカイミラージュのバーサライタに『BLUE』『WHITE』の文字が浮かぶと上空に巨大なバーサライタが出現。ランボーグを吸い込んでいく。
「カバトントン!」
嫌な予感がしたカバトンは黒い煙と共に即行で逃走した。
「「プリキュア・アップドラフト・シャイニング!」」
スカイとプリズムは互いの手を繋ぎながら掛け声を叫ぶ。バーサライタから猛烈な気流が発生し、その勢いは二人を前へ押し出すほどだった。
「スミキッタァ~」
ランボーグは浄化され、元の電車に戻された。
残すは、拘束を外そうと
「今度はこっちの番でござる!」
「行きましょう、レイニー!」
スカイとレイニーはスカイストーンWレイニングをスカイミラージュに装填した。
「スカイブルー!」
「レイニーシルバー!」
バーサライタに『BLUE』と『SILVER』の文字が浮かび、またも上空に巨大なバーサライタが出現すると、今度は中から一振りの光輝く大剣が降臨する。
「「プリキュア・シャワー・ドロップストライク!」」
スカイとレイニーは手を繋ぎ、スカイミラージュを同時に振ると大剣も振り下ろされ、クロボーグを一刀両断。その際に発生した
「スミキッタァ~」
クロボーグは光の粒となって消滅していった。戦闘で破壊された街もみるみる修復され、平穏が戻るのだった。
「キュアレイニー、あの土壇場で真価を発揮するとは。
退却を余儀なくされたクワガオーガは「ブライマル」で空間を斬り裂くと、できた裂け目に入り込み姿を消した。
戦いを終え、西に沈む夕陽をスカイ、レイニー、プリズムは手を繋ぎ眺めていた。
「もうちょっとだけ、手を繋いでいてもいいですか?」
「うん!」
「拙者たちで良ければ、いつまでも」
三人は共に手と手をしっかりと握り合うのだった。
* * *
翌日の朝。ソラが自室で手帳に何かを書き記していると、ドアをノックしてシグレが顔を出した。
「ソラ殿・・・・・・」
「シグレさん、どうかしましたか?」
ソラはシグレを招き入れるが、彼女の表情はなぜだか曇り強張っていた。
シグレは部屋に入るや、いきなり土下座をした。
「申し訳なかった!」
「えぇ!? 急にどうしたんですか!?」
「昨日、ソラ殿が思い悩んでいたというのに拙者は感情に任せて殴ってしまった。友と言いながらそのような仕打ちをしてしまい、償いに腹を切って侘びるでござる!」
「いやいや、そんなことしなくても大丈夫ですよ!」
「ならばせめて、昨日と同じように拙者を一思いに殴ってくだされ。さぁ!」
「だからしませんって!」
律儀に平謝りするシグレを宥めつつ、ソラは彼女へ右手を差し伸べた。
「わたしはシグレさんにお礼を言わなければなりません。シグレさんがああして目を覚まさせてくれなかったら、わたしは今でも迷っていたかもしれません。だから、シグレさんが側にいてくれて本当に良かったと思っていますよ」
「ソラ殿・・・」
シグレはソラの右手を両手でひっしと包み込んだ。伝わってくる温もりにソラは少し戸惑いを見せた。
「拙者の方こそ、ソラ殿と巡り会えて本当に良かった。拙者はあの日、ソラ殿と出逢うために都を訪れたのやも知れぬと思うくらいに。こんな拙者ではござるが、どうかこれからも共にいてくだされ」
「はうっ!?」
瞬間、ソラの胸の鼓動がドクンと高鳴り、頬を赤らめた。シグレのはにかんだ微笑みにソラは
「朝ご飯できたよ!」
「わかったでござる! ソラ殿、行くでござるよ!」
「は、はい!」
ましろの召集に急ぐシグレ。その後をまだ心の整理がつかないソラが付いて行く。
机の上に置かれた手帳にはソラたち三人の似顔絵が描かれ、その傍らにはこう綴られていた。
『わたしたちはプリキュア』
原作5話部分終了です。
ご感想がありましたらお気軽にどうぞ。