ひろプリ SAMURAI GIRL HEROISM   作:MOZO

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其の十一

 ましろに会いたい。一刻も早く自分たちの気持ちを伝えたい。ソラとシグレは馳せる心に促され走っていく。

 そんな二人を後方から追尾してくる何者かの影があった。

 

「ソラ殿、気付いておられるでござるか?」

 

「はい。後ろから二人、追って来ていますね」

 

 追跡者の存在にソラとシグレは察知する。付かず離れずの速度を保ちながら追走して来る二人組が不審でならない。

 どうすべきか考える彼女たちの前方に分かれ道が見えてきた。

 

「あそこで二手になるでござる!」

 

「後で合流しましょう!」

 

 分かれ道に差し掛かると作戦通りソラは左、シグレは右の道に分かれた。二人組も同様、分かれて彼女たちの後を追って行く。

 背後をしつこく付いて来る追手を確認しつつ走り続けるシグレ。と、目前にもう一つの人影が現れ、道を塞ぐように両手を広げた。

 

「邪魔立て無用!」

 

 シグレは速度を緩めることなく、人影に突っ込んでいく。のかと思いきや、寸前で跳躍。塀の上に登るとそのまま駆けて行く。

 

「お主たちの考えなど、お見通しでござるよ!」

 

 追手を後目にシグレは幅の狭い塀の上を疾走していくのだった。

 一方のソラも、追われていようとも走る足を止めることはない。すると、大きな通行止めの看板があり、脇にはヘルメットを被った作業員が立っていた。

 

「今度は通せんぼ?」

 

 このまま止まってしまうと、追手に捕まってしまう。ソラに躊躇している時間は無かった。

 

「でも、そんなの何のその!」

 

 ましろとシグレの許へ行きたい。その想いが勝り、看板の下を構わず潜り抜け、続けて小さな看板も跳び越え、突き進んで行った。

 二人は広場で無事に合流を果たす。すると、

 

「ソラちゃん、シグレちゃん!?」

 

「「ましろさん(殿)!」」

 

 奇遇にも、ましろと出会うことになった。実はましろも、「ソラちゃんとシグレちゃんに会いたい」と二人と心同じくしてここまで走って来たのだ。

 

「どうしたの、こんなところで?」

 

「あの、ましろさんにどうしても伝えたいことが・・・」

 

「拙者たちの気持ちをましろ殿に聞いてほしいと・・・」

 

 ソラとシグレは真剣な眼差しでましろの瞳を一点に見詰める。

 

「わたし、今日ずっと変な感じがしてたんです。でも、やっとそれが何なのかわかりました」

 

「この胸のざわつき、何かが満ち足りぬ想い。今なら言葉にすることができるでござる」

 

「ソラちゃん、シグレちゃん・・・」

 

 ましろも二人の真に迫った言葉に耳を傾ける。

 

「「わたし(拙者)たちは、ましろさん(殿)と一緒に━━」」

 

「だーっ! ストップ、ストーップ!」

 

 まさに重要な場面だというのに、先ほどソラが無視した作業員が空気を読まずに割って入ってきた。ヘルメットの下の素顔は案の定カバトンではあるが。

 

「また現れたましたね、カバトン!」

 

「お主、拙者たちの相手ばかりしてそれほど暇でござるか!」

 

「暇じゃねーし! つーか、さっきはよくも無視してくれたのねん!」

 

 雑に扱われたのがよほど気に食わなかったらしく、カバトンは喚き散らす。

 

「聞け。前回のオレ、実はおでんは低カロリーでパワー不足。あえなく失敗に終わったが、今日はめっちゃ高カロリーをテイクアウトで!」

 

 どこから持って来たのか、カバトンは巨大なグラスに入った特盛のパフェを掲げて見せた。

 

「尺の無駄です。というか、あなたの出る幕は1秒だってありません!」

 

「今、拙者たちはましろ殿と大事な話をしているでござる。構ってほしいのなら日を改めるでござるよ!」

 

「邪魔しないで!」

 

 三人は相手をするだけ時間の無駄だとカバトンを全面的に拒絶した。

 

「ムッカー! じゃあ、お望み通りさっさとやってやるのねん!」

 

 カバトンが臨戦体勢になると同時に、周囲にいた群衆が三人を取り囲んだ。衣服を脱ぎ去ると、全てクロボーズの変装だったのだ。

 

「グッシシシ。今日こそ徹底的に潰してやるのねん!」

 

 懲りずに勝ち誇るカバトン。クロボーズも抜刀し、今にも一斉に斬り掛かろうとしていた。

 

「行きましょう、二人共!」

 

 ソラ、シグレ、ましろはミラージュペンを握り締め、勇敢に構える。

 

「「「ヒーローの出番です(でござる)(だよ)!」」」

 

 スカイミラージュに変形させ、スカイストーンを装填。

 

「「「ひろがるチェンジ!」」」

 

「スカイ!」

 

「レイニー!」

 

「プリズム!」

 

 ソラ、シグレ、ましろはステージ状の異空間で変身を開始。

 ソラは青いコスチュームを、シグレは銀色のコスチュームを、ましろは白いコスチュームを身に纏う。

 

「無限にひろがる青い空! キュアスカイ!」

 

「幾重にひろがる雨の波紋! キュアレイニー!」

 

「ふわりひろがる優しい光! キュアプリズム!」

 

 変身を完了させた三人は地を蹴ってジャンプする。

 

「Ready━━」

 

「「「Go!」」」

 

 そして、横に並んで決めポーズ。

 

「「「ひろがるスカイ!プリキュア!」」」

 

 プリキュアが現れると同時にクロボーズが総攻撃を仕掛け、彼女たちはそれを迎撃。スカイは得意の肉弾戦で蹴散らし、レイニーは華麗な剣裁きで斬り伏せ、プリズムは光弾を連射して撃ち倒していく。

 

「こうなりゃ、こっちも本気出してやるのねん!」

 

 ここぞとばかりにカバトンは持っていた特大パフェを一気に食べ尽くし、作業着とヘルメットを脱ぎ捨てる。

 

「カモン! アンダーグエナジー!」

 

 地に着けた右手から黒々としたオーラが沸き出し、今まで被っていたヘルメットに注入される。

 

「ランボーグ!」

 

 ヘルメットはランボーグへと変貌。

 

「景気付けにもう一丁! アンダーグエナジー!」

 

 カバトンは続けざまにアンダーグエナジーを放出し、一体のクロボーズに注入。

 

「クロボーグ!」

 

 クロボーズは巨大化、クロボーグとなる。

 

「ほんでもって、合体!」

 

 クロボーグはヘルメットランボーグを持ち上げると、自身の頭部に装着。携える長槍を構える。

 

「どうだ! これが最強にTUEEE合体ランボーグ&クロボーグだ!」

 

「そんなの、狙う的が一つになっただけです!」

 

 スカイが懐に飛び込もうとするが、合体ボーグが持つ槍の鋭い突きが襲来。スカイはギリギリでどうにか回避する。だが、合体ボーグは容赦なく攻撃を連発。リーチが長い上に素早い槍の動きを前に三人は近付けないでいた。

 一か八か、一撃が地面を突いたタイミングを見計らったレイニーが槍に跳び乗るとそのまま駆け上がり跳躍。

 

「やぁっ!」

 

 合体ボーグの頭部に一刀を食らわそうと振り下ろす。が、ヘルメットランボーグがそれを防いだ。

 

「くっ、なんと固い!」

 

 思った以上の固さにレイニーの斬撃でも為す術がなかった。

 と、ヘルメットランボーグから黒い煙幕が吹き出し周囲を覆い、見通しが悪くなる。

 

「にゃーっはっはっはっはっ! これでジ・エンドってやつだ!」

 

 カバトンは丈の長い竹馬に乗ってまさに高見の見物をする。

 

「ランボーグ&クロボーグ、トドメを刺してやれ!」

 

 命令を下すカバトン。しかし、

 

「クロボフッ、ボフッ、ボフッ!」

 

「ちょっ、何やってるのねん!?」

 

 ランボーグを被っていたクロボーグが巻き添えになってしまい、咳き込んでしまっていた。

 そうしていると、煙幕の中からスカイとプリズムが飛び出してきた。

 

「例え邪魔されたって!」

 

「そんなの、飛び越えれば解決です!」

 

 一方、レイニーは煙幕の中を気配だけで合体ボーグに接近する。

 

「足元がお留守でござるぞ!」

 

 合体ボーグは足首に一撃を見舞われ、バランスを崩して転倒。煙幕から脱出したレイニーは次にカバトンが乗る竹馬を上段斜め斬りで切断した。

 

「なんで~!?」

 

 落下するカバトンは受け身を取る暇もなく地表にズッテン叩き付けられた。

 

「決めるでござる。スカイ、プリズム!」

 

 レイニーの合図に、スカイとプリズムはスカイミラージュにスカイストーンWシャイニングを装填する。

 

「スカイブルー!」

 

「プリズムホワイト!」

 

 上空に巨大なバーサライタが出現すると、合体ボーグを吸い込む。

 

「「プリキュア・アップドラフト・シャイニング!」」

 

 二人が技名を叫ぶと、バーサライタから気流が発生する。

 

「「スミキッタァ~」」

 

 合体ボーグは浄化され、ランボーグはヘルメットに戻り、クロボーグは消滅した。

 

「これじゃあ、クワガオーガの奴にまたネチネチ言われちまうのねん。カバトントン!」

 

 またも敗北を期したカバトンは悔しそうに煙幕と共に退散していった。

 

 * * *

 

 夕陽が差す帰り道をソラ、シグレ、ましろはどう話を切り出そうか互いに探り合いながら歩いていた。

 

「「「あの・・・」」」

 

 同時に声を掛けたため、三人共遠慮してしまう。

 

「ましろさん、先にどうぞ」

 

「ううん、ソラちゃんたちからどうぞ」

 

 ソラとシグレは意を決して想いを口にした。

 

「ましろさん。わたしはましろさんともっと一緒にいたいんです!」

 

「半日、ましろ殿と離れていただけで心に穴が空いたような気持ちになって拙者たちは分かったのでござる。ましろ殿がいないと寂しいのだと!」

 

 素直な気持ちを言葉に込めたソラとシグレ。そして、今度はましろが言葉を紡いだ。

 

「わたしもね、今日同じこと考えてたよ。ソラちゃんとシグレちゃんがいないと時間が過ぎるのがゆっくりだなーって」

 

「わたしも、今日お家で掃除とかお手伝いを頑張ったりしたけど、早くましろさん帰って来ないかなーってずっと思ってて・・・」

 

 こそばゆくて、恥ずかしくて、でも大事な気持ち。三人は改めて互いが掛け換えのない存在であると確認した。

 ソラは胸中でアドバイスをくれたあげはに感謝をする。今頃、彼女はくしゃみをしていることだろう。

 

「どんなに離れていたとしても、拙者たちはずっと繋がっているでござるな!」

 

 シグレがソラとましろの間に入って二人と腕を組んだ。突然なことにソラはまた顔を赤くする。

 

「シグレさん、いきなり恥ずかしいですよ!」

 

「良いではござらぬか。拙者たちの仲、家に帰るまでこうしているのも悪くないでござろう?」

 

「あぅ・・・・・・」

 

(あれれれ?)

 

 シグレに対するソラの反応にましろもただならぬものを感じるのだった。

 虹ヶ丘家に帰宅した三人に驚くべき急展開が待っていた。

 

「えっ、じゃあ一緒に学校に通えるの!?」

 

「手続きはもう済ませたわ」

 

 ソラとシグレが外出していた間、ヨヨはましろの通う学園に連絡して二人の転入届けを申し込んでいたのだ。

 

「良かったでござるな、ソラ殿。これで拙者たちもましろ殿と一緒の学校に行けるでござる!」

 

「はい! ましろさんにシグレさんと学校、すっごく楽しみです!」

 

「わたしも! 二人の制服姿楽しみ!」

 

 三人は期待に胸を膨らませ、晴れやかな笑顔の花を咲かせるのであった。




原作6話部分終了です。
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