脳の破壊された上司と爆散するワンコ女の話 作:ここに文字を入カ
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それでもokな方はその他全部もついでに許しておくれ!!!初投稿and初書きで国に家族がいるんだ!
第1話 もしかして:ヒフミ ヤバイ
「ちょっと前にデカい銀行強盗があったな。お前さん知らないのかい?は?銀行っつったらココじゃ暗黒銀行以外ねぇだろ」
「その覆面水着団ってのは分かんないけどトリニティ生は……あー、知ってるようなー、知らないようなー、あとちょっとで思い出せるような……。
……ヘヘッ、分かってるじゃん。たまに見かけるよ。最近もこの辺でウロウロしてたぜ」
「覆面水着団ってのはそういうネタっスよ、姐さん」
「例の銀行強盗だの、どっかのPMCの特殊部隊だの、マーケットガードをひき潰しただの、雑に話盛って遊んでるんス」
「わ、悪かった!やめてくれ!もうトリニティ生は襲わない!二度としない!だからやめ──っう!?…………がぁ!……ぁ……」
「彼女たちに」
カウンターテーブル上を皿が滑る。皿は赤髪の少女たちの前で止まり、店主が口を開く。
「あちらのお客様からです」
赤髪の少女は特に驚いた様子もなくこちらを見る。
「少し聞きたいことがあってね」
「何かしら?」
ぶっきらぼうな返事に苦笑いしそうになる。所作から漏れる実力を見るに、アウトロー気取りってわけでもない。本物の類だろう。気圧されてしまいそうだ。
「この辺りであった銀行強盗について何か知らないか?」
「知っているわ。その場にいたから」
アタリ、しかもその場に居たとは。思わずガッツポーズをしたくなる。
「その時の現場、何があったか教えてくれないか?」
「そうね。
まず、停電が発生。その瞬間ガードが倒され、流れるように制圧。1人が銀行員に要求し、その間に4人が退路の確保。金が詰め終わるとすぐさま逃走。
追っ手を撒き、マーケットガードの網にかかることもなく夕日に消えたそうだ。
停電から逃走まで僅か5分、驚くべき手際の良さだ。逃走経路を含め、綿密な計画がされていたのだろう。
どこかの特殊部隊か?そんな感想を抱かずにはいられなかった。
「この写真に写ってるヤツに見覚えはないか?」
1枚の写真を彼女に見せる。
写真にはペロロというキャラクターを模したリュックサックを抱えた、見るからに優しそうな少女が写っていた。
「いえ、ないわね」
その答えに
「ところで、覆面水着団って──「ブフッ」大丈夫か?」
「えぇ、少し驚いただけよ。残念だけど何も言えることはないわ」
踏み込まない方が良いと勘が告げている。彼女の連れが色めきたっている。1VS1ですら勝負になるか分からないのに、4人が相手では逃げることすら叶わない。
「ありがとう、聞きたいことは以上だ。こいつはお釣りみたいなもんだけど、ゲヘナとトリニティの境には近づかないほうがいい。例の条約とやらで風紀委員も正実もささくれだってる。それと
椅子に掛けてあった緑の上着を羽織り、席を立つ。
「餃子、おいしかったわ」
背中にかけられた言葉に振り返らずに手を振る。
ガラガラ音を立てる戸を開き、中華屋の暖簾をくぐった。
/01
制服に着替える。金の刺繍をあしらわれた白い制服は、気品だとか清楚を具現化したみたいだ。
ティーパーティー所属を表すこの制服を着るからには、身だしなみを疎かにはできない。なによりナギサ様に会うのだから。
ピアスやヘアピンなどの飾りを外し、荒々しく雑に纏められた髪を下ろして化粧を直す。最後にリボンをピンと整えたら、もはや別人のような自分が鏡に映っている。
いつもならばナギサ様に会うというだけでニヤついてしまう。早く話したい、褒めてもらいたいと早足で歩く。
しかし、廊下を行く足取りは重く、窓に写る姿は俯いていた。
ありえない、そんなわけがない、ちょちょいと調べてバカな噂話に事実無根の烙印を押してやる。そう息巻いて調査におもむいたのに……
プラチナブロンドの髪、月をはめ込んだような瞳、真っ白な翼──桐藤ナギサ様は夜にも関わらず紅茶を飲んで待っていた。
「阿慈谷ヒフミはブラックマーケットに頻繁に出入りしています。
それどころか地形や危険エリア、更にはマーケットガードの警戒線にまで精通しています」
茶葉やお茶請けから察するに、目をかけている後輩の噂を俺が斬り捨てることを楽しみにしていたのだろう。
しかし、出てきたのは逆。噂を肯定していくものばかり。使い込まれた手帳をペラペラとめくりながら、ツラツラと調査結果を報告し続ける。
「ヒフミとおぼしき証言が多数あり、本人に聞いたところブラックマーケットへの出入りを認めました。その上、俺と共にブラックマーケットへ行くと、道や店の見極め、気をつけること、万が一の時は等々、ブラックマーケットの
カップはソーサーの上に置かれ、力の抜けた手は落胆を表していた。
「また凶悪な犯罪集団の存在についてですが、謎や嘘が多く、正体は不明。水着姿で覆面をしている、銀行を襲ったといった旨が共通しており調査を行ったところ、銀行強盗については実際に発生していました。
銀行は立地の都合上一般的な銀行よりも警備が強固でしたが、強盗団は短時間で目的を完遂し、逃走。行方は現在も分かっていません。
加えて、事件現場近辺でヒフミの目撃証言がありました」
…………。
……。
世界が凍りついたみたいだった。
部屋に静寂という氷水が満ち、全身の冷や汗が氷柱になって肌に突き刺さっているかのように痛い。
緊張で沸騰しそうな頭は12.7mmをくらった時みたいにグラグラする。
しかし、それでも視界にはクッキリとナギサ様の表情が、
美しく華やかで品位があって陽だまりのように輝いて微笑んでいない
希望が絶たれ、真っ黒な泥を拭いつけたみたいな仮面の表情が
俺の網膜に投影されている。
「続いてゲヘナの動向です。境界地域における風紀委員会の活動が活発化しており、ゲヘナ情報部からの──―
トリップしたかのように薄れる意識の中、それでも口だけはペラペラと仕事の成果を主人に告げていた。
/02
「報告は以上です」
「ありがとうございます。“
「いえ、ティーパーティー、トリニティのため、義務を果たしたまでです」
気がつけば報告は終わっていた。そして“シュガーポットの”ということは
「メアリさん、私たちはヒフミさんについて何も知らなかったようですね」
潔白だと思い込んでいた、私もナギサ様も。だが、調べれば調べるほど怪しくなる。
「ヒフミがブラックマーケットに行っている。驚きました。でも、私はソコに入り浸っていました」
出入り禁止のブラックマーケット、トリニティ生は珍しいものの全くのゼロではない。
「知識や状況から強盗団や違法組織との繋がりも疑ってしまう。でも、まだ決定的でない。証拠がない」
彼女の持ち物を調べても普通の範疇であった。文房具やスマホなどの一般的な物品、モモフレンズのグッズ、他はせいぜいたい焼き屋の袋。
「だけど不自然だ。調べていると証拠や痕跡が突然消える、パッタリと。自分の正体に繋がるものを消し、疑われないように私たちを欺いていたのかもしれない」
今回駆けずり回って分かったこと、それは火のないところに煙は立たなかったというとこと。
「そう考えてしまう。だから、正直なところ私はヒフミを心から信じることはできない……です」
言い切って見上げると、ナギサ様は私をみていた。
目に輝きはなく、眼窩を覆う蓋のようでそこには何も映っていないのではないかと思える。
「信じていたからこそ見えなくなっていた。盲目であったのかもしれません」
ナギサ様が話す。
「いまでも私のヒフミさんへの思いは変わりませんし、信じたいと思います」
足元には、白い羽根が落ちていた。
「しかし、それでもティーパーティーのホストとして疑わしきを罰しなければなりません」
根元には血が付着している。
「シュガーポットのおかげで容疑者もかなり絞り込めました。白洲アズサさん、浦和ハナコさんの2人。あとは、ハスミさんを抑えるために正義実現委員会から誰か見繕うと丁度いいですね」
「もしかして、以前おっしゃっていたシャーレの権限を利用した……」
補習授業部──落第寸前の生徒に対して補習を受けさせることで成績の向上を狙う特例的な部活。しかし、それは建前に過ぎない。
「その通りです。ヒフミさんにはそこで裏切り者探しを手伝っていただきましょう」
真の目的は裏切り者を見つけること──
「でも、もしも見つからなければ
皆さん仲良く消えていただくしかありません」
見つからなかった時、全員まとめて退学にするため。
「冷静に考えればもとより難しい話でした」
「そうですね。犯罪集団である、というのではなくそうでないと言うにはどれだけ証拠を集めても足りません」
「他人の心を覗くことができない以上、ヒフミさんの本音も真実も分かりません」
「悪魔の証明……」
「ですが、
なぜなら百合園セイア様のヘイローが破壊されたから。セイア様はサンクトゥス派の長でありティーパーティーのホスト、そんなちゃちな警備はしてない。
だが、暗殺者は誰にも気がつかれずにセイア様のもとへたどり着いた。
誘導した者が必ずいる。ミレニアムの保安部でもゲヘナの情報部でもなくトリニティの中に。
/03
「これから行われる悪辣で凄惨な行為の責任は全て私にあり、メアリさんは私に命令されただけです」
粛清、善良な生徒を巻き込んだ不当な追放
「だから補習授業部の一切に関してメアリさんが気に病む必要はありません」
ダメだ、全然大丈夫じゃない。
「すべてを私のせいにしてください」
違う、私のせいにしてくれればいい。
「あなたくらい守ってみせますから」
そんなことをしたら貴方は自身の善性が首にかかって死んでしまう。
「もしも私に何かあったらこの
死に怯えて、次は自分だと恐怖して、既に限界なのにひたすら友を案じて備えているような貴方が耐えられるわけがない。
「その時はミカさんをお願いします」
えぇ、必ずミカ様を守ってみせます。そしてあなたも絶対にお守りしますから。
/04
夜半前、セーフハウスの1つで仕事の続きをしていると連絡通りの時刻に彼女は帰ってきた。
依頼していた内容の報告が終わると、当然のように私の椅子の傍で膝をつく。
「以前、これで卒業と言いましたよね?」
「メアリさんも私ももう高校生で最近ではメアリさんにも後輩ができて随分慕われているそうじゃないですか」
小耳に挟んだ話は、素の彼女を知っている身からするといつも見当違いの別人の話かと思う。
明るく、気さくで、カッコイイ先輩。
だが、目の前にいるのは無口で甘えたがりな可愛らしい後輩。
上目遣いで何かを待ちわびている中等部の頃から全く変わらない彼女がいる。
ダメです、とぬるい紅茶に口をつければ尻尾がみるみるうちにしょんぼりと垂れ下がる。
出会った時の鋭さはどこへいったのでしょうか。
ついつい手が伸びそうになる。しかしグッと堪える。ここで折れてはいけない。心を鬼にして突き放さなければならない。なぜなら折れた結果がこの1年だから。
彼女をあまり見ないようにしつつ、空になったカップに紅茶を注ごうとティーポットに手を伸ばした時、
キュッと手を掴まれる。
どこからかクゥーンと聞こえてくる、泣きそうな顔*1が見えてしまう。
「……しょうがないですね」
手を持ち上げれば待ちわびたとばかりに頭頂部の犬耳は倒れ、撫でれば尻尾がちぎれんばかりに振られる。
気持ちよさそうに目を細め、心底幸せそうに笑う*2彼女が、かつて不敗の決闘者として名を馳せた無頼だと誰が信じるのだろうか。
仕方ない、誰も見ていないからと心の中で言い訳を述べてサラサラと指の間を流れる消炭色の髪を楽しむ。
渾身のアニマルセラピー
・櫛井メアリ
髪は黒に近いグレー、ケモ耳は半立ち
尻尾は毛が長いため結ってリボンで止めてある
ヘイローと瞳は深緑色