脳の破壊された上司と爆散するワンコ女の話   作:ここに文字を入カ

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 生徒たちのイチャつきを書くでも、解釈を述べるでもない、妄想を書き綴った話です。不良たちがこんなんしてるんかなとか、トリニティでこんなこと起きてないかなとか。

 あと、アビドス4章を読んだら過去編プロットが転生してしまい、過去編と本編はあんまり関係なくなりました。

つまり読み飛ばしてOK!

この話には設定無視、独自設定、キャラ崩壊、オリキャラ……妄想がいっぱい

ド素人が書いた小説だしな……と、いつものように許しておくれ!!!(土下座)

いつも感想ここすき誤字報告ありがとな!!!



過去編 天使と迷い犬
|第24話| 毒!飲まずにはいられないッ!


 銃口を向けることを厭わなくなったのはいつからだろう。

 

 擦り傷のようなじゅくじゅくとした痛みの中に、優越の快感を覚えたのはいつだろう。

 

 倒れた相手を踏みつけて笑えるのはどうしてなのだろう。

 

 トリニティの闇で犬はさまよっていた。

 

 犯人は櫛井メアリ。

 

 だが、それだけで済ますわけにはいかない。

 

 犬を探して、足跡をたどって、闇を見た。影を踏んで、犬が追った闇を見た。

 

 暴力と復讐の世界の終点であり、始発点。これはそんな大一番。

 

「勝負をしましょう。私が求めるのは──櫛井メアリさん、あなたです」

 

 

 

 /01

 

 

 

 テストは好きだった。褒めてもらえるし、お菓子も貰えた。花丸ひとつクッキーひとつ、100点ならアイスクリーム。

 

 だけど学校は好きじゃなかった。いつも黒板の上の時計を眺めて、16時を待ちわびた。

 それから教会に行き、牧師さんと勉強して、歌を歌って、日が沈んた頃にカークさんが迎えにくる。

 

 家は好きだった。カークさん*1は料理が上手だったし、お風呂あがりのカークさんの尻尾はサラサラでさわり心地がよくて、寝るときはいつも当然のように抱きついた。

 

 銃も同じものがよくて、散々オートマチックにしたらとか、機関銃にしたらどうかとか言われたけれどリボルバーにした。なんだかんだカークさんは嬉しかったみたいで扱い方や技術をよく教えてくれた。

 

 中学生になると私の生活は随分と様変わりした。

 

 毎日病院に行ってカークさんやお医者様と話した。

 カークさんは「“お前の花嫁姿を見るまでは死ねんさ”」なんて言っていたけれど日に日に弱っていく。

 

 そしてある夜、私は面会時間を過ぎても病院に残った。

 教会から家に帰って、入学祝いの文字の入った箱と遺書を抱えて、何をするでもなくうずくまっていた。

 

 でも、世界とってそんなことはどうでもよかったらしい。

 

 不良が遊び半分に榴弾を撃ち、家と私を焼いた。匂いも、文字も、景色も全部炭と灰になった。

 

 それ以来、放課後になろうが、日曜日になろうが、家に帰ることはなかった。誰も頼れず、すり減るばかり。

 

 学校の中も外も変わらない。病院の帰り、私は暗い路地裏で地面に転がり、角と尻尾の生えた不良に囲まれている。

 

「……はぁ……はぁ……だぁ畜生!なんだよコイツ、何も持ってねぇ!大赤字だ!」

「まぁ、捕まえたしいいじゃん。報酬もらえるし、身ぐるみ剥いで売り飛ばせば大幅黒字よ」

 

 痛い。

 

「おいおい、可哀想だろ」

「コイツ睨んでやがった。あー、クソ、ちょー嫌な気持ちになったんだけど。どうしてくれんの」

 

 なんなんだ。

 

『なんです?その目は?まだ調子づいているんですか?二度と逆らえないように教えてあげるわ』

『誘いがあっただけでも光栄なのに断る気!?恥かかせないで!立場をわきまえなさないよ!』

『何見てるのよ』

 

 そんなつもりはない

 

 うるさい、黙れ

 

「あーあ、汚れちゃったじゃん。責任取って綺麗にして。ほら」

「いや、そうはなんなくない?」

「でたよ、いつもの」

 

 いや、やめて

 

 寄るな、触るな

 

『普通の学園生活を送りたければ今見た事を忘れなさい』

『また100点。また1位。不思議ですねぇ?気になりますねぇ』

『はじめまして、メアリさん。同室(シスター)の──』

『櫛井、後で生徒指導室に来い』

 

 私が何をした

 

 その顔、覚えたからな

「あぁ~いい。ほれ、その無駄に整った顔をグチャグチャにして謝れよ。ごめんなさいって。なぁ?早くしろよ」

「なんでコイツこんな興奮してるん?」

「トリニティ生相手だといっつもこんな感じなんよ」

 

 “悪口も暴力も簡単に人を傷つける”

 

 なんでそんなことができるんだ?ダメだって教わらなかったのか?

 

『どこで知った?』

『その怪我は?一体何があったんですか?』

『教室が嫌ならココにいればいい。いつでも来い。紅茶くらいだす』

『……櫛井メアリさん、アナタが黙っていれば手間がないんですよ』

 

 私が違うのか?私がおかしいのか?

 

 やってしまえばいい

『燃えカスが』

『あははっ!マッチごときに怯え過ぎじゃない?』

『痛い?ねぇ痛い?ダメよ閉じたら。ほら、もう一度よ』

 

「へっははっあはっ!ここからがお楽しみだ……お前が悪いんだからな!オラ脱げよ!」

「ちょ、待て待て待て!中学生相手だぞ!?」

「中学生関係なくソレはダメだわ。火消せ」

「あぁ!?コレ以前に全部ダメなんだよ!!なに今更日和ってんだ!?」

 

 ……火、灰

 

『別に?バーゲンで買った榴弾なんかに使えないかなって。とりあえず撃ってみたらそっち飛んだだけ。なんか大変だったんだって?』

 

 撃て。

 

 

いやだ。

 

 “忘れがちだけど、銃は人を殺せる。危険なんだよ、ホントは”

 

 もういいだろ?

 

 この悪感情は間違いなく私のもの。先天的で、根源的な感情。ずっと対処してきただろ?できることをしただろ?

 

 助けを求めた。相手に言われた罵倒を、されるがままに受けた屈辱を、自分の口から話した。袖にされても、証拠を集めて資料を作って訴えた。

 

 だけど、どうにもならなかった。

 だから、もうおしまいだ。

 

 “安易に振りかざすものじゃない”

 

 長いこと耐えた。1発も撃たなかった。

 でも、もう無理だろ?

 

“考えて使え。最終手段だから”
 撃て ! !
                      

 黙らせろ

 

 ぶっとばしてしまえ

 

 顔を踏みにじってやれッ ! ! !

 

 堰を切ったように溢れる衝動。狂ったように心臓を荒ぶらせ、ガンガンと血を流す。急増した血流は思考を最高速へ、レッドゾーンまで引き上げる。

 

 頭は真っ白になっていくのに、視界の解像度、フレームレートは上限なく上がり、詳細に世界を認識する。空間が、構造が、位置が脳に広がる。頭の中にもうひとつ世界ができる。主観の視野と、俯瞰の視野が並列して存在している。

 

 内輪揉めを始めたクズどものどこを狙うべきか、どこが最も痛く、効果的かが分かる。見えない何かが見える。直感で理解できる。

 

 理性も、忌避感も、拒否反応もなくなって無重力。抑制できない何かが体を動かす。

 

 でも、それでも……!

 

 手が止まる。

 

 6インチの銃身はホルスターに収まったままだった。

 

 

 

 /02

 

 

 

 すっかり日は落ち、雲の狭間で寂しく星のきらめく夜。寮の門限は過ぎてしまった。また、寮長たちに詰められるだろう。

 

 しかし寮の中は最低限の光がこそあれど、暗く、人影がない。この時間はみな勉強しているから、誰もいないなんておかしい。

 

 疑問に答えてくれるように張り紙があった。どうやらボイラーの操作ミスによって風呂が使えないそうだ。そのため自習や風呂の時間を入れ替え、別の寮の風呂を使うらしい。

 

 なんにせよ都合はいい。集合と点呼もズレるし、誰かに見られずに済む。言い訳は必要なさそうだ。

 

 急いで自室に向かう。しかし、足音はしない。館内は静寂に包まれたままだ。

 

 それゆえかその甲高い音はよく響いた。

 

 扉を開けたとき、磁器が断末魔の悲鳴をあげた。

 

 薄い星明かりは床散らばる真っ白な破片を照らすのには十分であった。暗がりに慣れた目は乱暴に開かれた入学祝いの箱を認識した。怯えた顔をした同級生を認識した。心が発した命令は何かを介することなく受理される。

 

 銃口は下手人を捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「外した……!」

 

 苛立ちをこめて吐き捨てた。

 

 人を撃ったのに、撃たれた相手は床で物言えぬ状態になっているのに、最初に気にしたのは外した1発のことだ。

 

 先行した感情に脳が追いつき、だんだんと状況を飲み込む。

 

 撃った。撃ってしまった。何も考えずに感情任せに。

 

 現実と良識を照らし合わせる。どろどろと罪悪感が湧く。正常な呼吸は失われ、焦りと恐怖が加速する。

 どうしようと見回しても、見つかるのは砕けた最後のプレゼントの姿。両の手に握っているリボルバー。

 

 そんな冷静さを失った頭に付いた耳が足音を聞く。どうしてこんな、よりにもよって!?

 

「なにごとですか!?」

 

 飛び込んできたはブロンド髪の白翼。

 

 その顔は状況を理解するにつれて驚きから悲しみへと変わる。

 

 顔を見た瞬間、窓から飛びです。

 

 背を向け、逃げる。桐藤ナギサから。

 

 

 

 /03

 

 

 

「風邪をひきますよ」

 

 ビニール傘を差した黒スーツの男が少女に話しかける。

 雨に濡れた少女の虚ろな目は闇を映すばかり。

 

「……ほおっておいてください」

「顔見知りとしてほっとけませんね。しかも部下の忘れ形見となれば、そうそう見捨てられませんよ」

 

 男は傘を傾け、少女を傘に入れる。

 

「何がありました?」

 

 長い長い沈黙。沈黙に溶けるか細い声で返答があった。

 

「……人を撃ちました」

 

 この世界において銃は常識だ。

 

「キヴォトスではなにか裁きがある訳でもないでしょう?」

 

 撃つこと、撃たれることは日常茶飯事。だからこの少女は法とか罰とかを恐れているのでも、道徳に反したことを嘆いているのでもない。

 

 矜恃を、自らの戒律を破ってしまったことを悔いているのだ。

 

「……カークさんと約束をしていたんです」

 

 悪口を言わない、暴力をふるわない。

 

 言いつけは、どれだけ内面が穢れても自分を許せる根拠だった。守ることで自身を保証してくれた。自らは正しく、相手が絶対的に間違えていると。

 

 だが破ってしまった、自らの手で、守ってくれていた殻を。

 

「こんなロクデナシ、ほおっておいてください。逃げだして……逃げた挙句、もういいやと開き直ろうとしている」

 

 一度外れた蓋は戻らない。

 

 目を逸らしていた憎しみや怒りがとめどなく溢れてパニックになる。考えないようにしていたことを考える。異常な欲求に苛まれて胸を掻きむしりたくなる。

 

 今まで培ってきた良心の呵責で気が狂う。罪悪感が肺に溜まって溺れていく。

 

 だからその前に──

 

「これからどうするか決めていますか?」

「……なにも」

「では、私の手伝いをしてみませんか?」

「……手伝い?」

 

 ──手元に置いてしまおう。

 

「はい。その過程で何かを見つけたり、感情との付き合い方や世間の歩き方を学ぶもよし。いかがでしょう?」

 

 少女の目がコチラを向いた。もとより、そんな聖人じみた生き方はこの少女に合わない。内包している凶暴さを抑えるよりももっと有効な活用法がある。

 

「もしかして悪い人……だったんですか?」

 

 どうしてそう思ったのか、素朴に少女は尋ねる。

 

「ククク……さてどうでしょう?ある方にとってはただの取引相手、別の方にとっては商売敵。あなたにとって私がどうであるかは……あなたとその行く末次第です」

 

 何ら嘘はない。

 

「心配ならお約束しましょう。この実験に協力して頂けるならば、あなたに新しい道を授け、支援すると」

「実験?」

「えぇ、治験とでも言った方がより正確かもしれません」

 

 手渡したのは、紫の煌めく液体が入った小さなガラス瓶。

 

「憎悪を取り除く薬です。甘い物には荒れた心を癒す効果が期待できるそうですから」

 

 少女は薄く笑う。

 

「わかりました」

 

 提案を了承する、物珍しげにガラス瓶を眺めた後、液体を飲み干す。

 

 賢く、よく働き、忠実。キチンと育てれば猟犬にも番犬にもなんにでもなる。

 

 寄り道で見つけた掘り出し物、ただ廃棄するにはあまりにももったいない。若く、才能に溢れ、優れたセンスがある。だが神秘だけが弱い。

 

 素晴らしいサンプルだ。

 

 どうか未知の、私の予想だにしない結果を見せてくれ。

 

 

 

 /04

 

*1
櫛井メアリの保護者

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