脳の破壊された上司と爆散するワンコ女の話   作:ここに文字を入カ

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立ち絵→ティーカップっぽいな
メモロビ→ティーカップか?
SD→コーヒーカップじゃね
と推測してるのでナギサ様は結構しっかりコーヒー飲んでると思ってます。異論は受け付けます。

小説書く前
脳内プロット「おんぎゃあ」
ぼく「よしゃ書いたるか!」


ぼく「え、ここどうするん?」
脳内プロット「知るかよ」


ゲヘナ行き準備回②


第8話 It's カフェ中!!!!!

「“工具を使っていたそうだし、メアリの忘れ物だろうね。届けておくよ”」

「────」

 

「───合格──」

「──明後日の試験でも────―」

「──100点」

 

 レコーダーを再生すると、会話以外にも足音や扉を開ける音、更には先生のお腹がなる音まで収録されていた。

 

 有線の盗聴器を仕込めたら最良だったが、如何せん時間がないため工事が目立って耳の良いハナコにバレる。

 

 無線式は電波を発する都合上、知識と道具で容易く特定される。ハナコ、アズサちゃん、先生の3人が居るためその可能性は高い。だから電波の出ないボイスレコーダーは丁度よかった。

 

 模試の問題を確認するが特別簡単という訳でもない。

 

 WiFiを通して印刷されたため覗きみた内容。

 いつになくご機嫌で嬉しそうなハナコ。

 ヒフミやアズサちゃんが言っていたご褒美とやらの意味。

 コハルちゃんの抱えていたプリントから読み取れた努力。

 録音機に残った会話によって裏付けられた結論。

 

「凄いじゃん、補習授業部」

 

 彼女たちは見事に要求水準まで達した。つまり、全員同時合格をその手の届くところとした。

 

 といっても手放しでは喜べない。

 早く裏切り者を確定しなければ。決め打ちにかかっているのだが、直感が違うと邪魔をする。

 

「防衛陣地だよなぁ……」

 

 手帳に記したアズサちゃんトラップの配置を眺める。

 地雷、ワイヤ、落とし穴、蛸壺どころか塹壕まである。今晩にでも鉄条網やバリケードが設置されてそのうちトーチカと地下坑道が作られるんじゃないかと思う。

 

 何か事件を起こしてここに逃げ込んで籠城。そういうつもりなんだろうか。だが、なんだか作りが妙だ。

 トリニティを相手取った時の主敵は正義実現委員会、それと護衛隊だ。シスターフッドは引きこもりなので除外する。

 

 まず、野砲がある。護衛隊の本体ことL118くんだ。こいつで陣地は消し飛ぶ。

 戦車がある。対戦車地雷も何も無いのでクルセイダーくんで走って撃ってで突破できる。

 

 重火器は使用不可、対空網も沈黙。戦力は歩兵のみとする。

 こうなった時にようやくこの陣地は効力を発揮するように思える。つまり、航空爆撃や砲撃への工夫がないのだ。

 

「仮想敵が違う?」

 

 ふと思った。でも、例えば人質をとったらその状況を作れるのでは?そもそも形だけで本命は別の可能性は?

 閃きを確信しそうになるが、ただの一案でしかないと思い直す。

 

 とりあえず、白洲アズサ要観察の方針だな。

 変な行動もだが、謎、そう謎が多いのだこの子。改めて転入の書類を見るとなんでコレで審査通ってるんだと思う。

 上の方にも裏切り者がいる?いやでも調べ尽くしたしな、以前も同じこと考えた気がする。

 

 /01

 

 

 青々とした草花は1歩間違えればただ繁茂しているとも捉えかねない。だが、そこには古い神社のような自然さと優雅さがある。

 

 それは緻密に、巧みに管理されたもの。無作為、非整形、アシンメトリーが予定された調和を起こす……庭園を作った生徒の技量であった。

 

 東屋には俺とナギサ様の2人。名窯の伝統的シリーズのハーブと小鳥の描かれたカップに、ハンカチに包んだクッキー。この光景すら庭園は吸収し、風情の1つとしてしまう。

 

 眼前の光景をトリニティのイデアとでも名付けて美術館に飾ってしまいたい。絵なら匂いも会話も伝わらないだろう。

 

 おはようにしては遅く、こんにちはの本領ではない時刻のためどーもから始まります。

 どーも皆さんコーヒー飲むって聞いてたのにコーヒーカップではなくティーカップを持ってきた間抜け野郎です。喩えるならご飯をよそうのにヘラを渡したようなものでしょうか。

 

 現在地は秘密の庭、報告の時間であります。

 

「補習授業部の模試の成績です。第2回で全員合格する可能性はかなり高いかと。また、手紙は無事相手方へ──」

 

 

 内容は補習授業部のこと、手紙のこと、フィリアから聞いたゲヘナのこと。先日の事件は報告書がきているはずなので簡素に、報告書には載っていない後始末は詳細に。

 

 先生が風紀委員長に話したことは問題ない。口止めも何もしていなかったし、想定済みのことだから。

 

「また、浦和ハナコの謎の行動の動機は政治から距離をとるためだったことが分かりました」

 

 取り出したのは1本のドライバーとペン。その正体はどちらもレコーダー。ドライバーには俺とハナコの会話が、ペンにはシスターフッドでの聞き取りが録音されている。

 

「息苦しくて仕方なかったそうで。シスターフッドも懺悔室か何かで彼女が悩んでいたこと、退学を考えていたことを把握していたようです」

 

 そうだ、そういえばハナコから聞いた話があった。合宿を抜け出した先で会った人の話。

 

「羽川ハスミ副委員長のゲヘナ嫌いの理由は、以前万魔殿へ挨拶に行った際にされた向こうの無礼が原因。コンプレックスに直撃することを言われ、かなり荒れていたことに尾ひれが着いて回ったことが顛末です」

 

「個人的な恨みで私的に組織や後輩を使う方でもありませんし、アクアリウムの事件対応や風紀委員会とのやり取りも他の委員共々極めて理性的でした」

 

 報告は以上、だけど本題はここからだ。

 

「これで被疑者は2人になりました。下江コハルは最初から潔白、浦和ハナコには理由があった。そして、その被疑者である阿慈谷ヒフミには疑惑はあれど人柄は善良なことが分かっていて、白洲アズサも校風に慣れていなくて戸惑っていただけだった」

 

 お前はなんのために監視して証拠を集めをしていたのかと言われそうなことを述べる。最終判断では必要になるかもしれないが、現時点では排除すべきであろう容疑者たちへの信頼。しかし、今からするのは裏切り者の特定でも決断でもない、説得と交渉である。虚飾と期待と推測でそれっぽければいい。

 

「どうでしょう、ここは退学ではなくミレニアムにでも交換学生として派遣でもしてしばらくトリニティから離れてもらうのに留めてみては?」

「……メアリさんはなんのために活動しているのかをお忘れになる方ではありませんよね?」

 

 愚問ですよね。裏切り者はいる、いるから探せ。なぜ勝手に諦めているのか、何が起きたのか忘れたのか、何を腑抜けたことを言っているのか。

 随分と冷たい目をされるようになったなぁ。

 

「俺も少し絆されていたようです。ですが下江コハルのように無罪だと分かっている者がいるのに全員退学というのは流石に惨いかと」

「……そうですね」

「それに正義実現委員会からの恨みも買います。可愛い後輩がこんな理不尽な目にあったと分かれば、彼女たちの正義と仲間を思う気持ちが行動へと繋がることになりかねません」

 

 これは最初から思っていたこと、ナギサ様も分かっていたことだ。だから何か考えていただろう、罪をでっち上げて退学にする、特例だとか恩赦とかで解放する、普通に成績を上げてもらって解放など。大方、正実に貸しを作る形になる何かを考えていたのではないだろうか。

 

「浦和ハナコもシスターフッドと関わりが深く、シスターフッド側も裏があるのか知りませんが救うべき対象としています。いたいけな1年生までもがハナコの心配している。何より裏切りの疑惑が薄くなった」

 

 俺とシスターな同僚とで調べた内容、シスターフッドはハナコを諦めていなかった。しかし、それは策謀ではなく、驚くことに本来の清廉な精神によるものであった。

 

「そしてヒフミも……は私情が入り過ぎですね、下江コハルと浦和ハナコの2人の処置は違うもの、慎重に行うべきかと」

 

 どうかな?雰囲気はあったと思うしそれっぽかったと思うけど。

 

 ナギサ様はここでコーヒーをひと口。カップをテーブルに戻しておもむろに言う。

 

「その通りですね」

 

 来たかコレ?興奮で頭が熱くなる。

 風……なんだろう吹いてる確実に、着実に……。

 

「コハルさんとハナコさんの退学はなしにしましょう。」

 

 その言葉が欲しかったんだァ……!言質と確約は大事だぜェ!

 数の問題では無いかもしれないが斬るのが4人から2人になったのは心理的にも良くなるかもしれない。疑わなきゃいけないのも2人になったし。

 いや別に全員切るつもりではなかったと……なかったと思うけど助命嘆願通ってよかったぁ!まぁ、補習授業部には予定通り追試は3回目まで受けて貰うことになるだろうから悪いけ──

 

「ところでメアリさん、お願いがあるのですが」

 

 ひょ?お仕事?俺の頼み聞いてもらったんだから張り切っていきまっせ?

 

「先日の事件は仕組まれたものであったようです」

 

 出てきたのは赤い機密(シークレット)の判の押された書類。見覚えのある、いや、見覚えどころではなく慣れ親しんだこの様式はシュガーポットの報告書、分析予測科の。内容は

 

「美食研究会のアクアリウム襲撃は誘導されたもの……?」

「ゲヘナの新聞、雑誌、テレビにネットの広告に遠く仲が良いとは言えないにも関わらずわざわざトリニティのアクアリウムが取り上げられていました。しかも味や料理の方法まで載せてあったそうです」

 

 ゲヘナでも条約は採択どころか承認されて後は締結を待つだけなはずであった。それなのにどうしてこんなことを?

 

「あちらも一枚岩ではないということでしょう。トリニティもミカさんが抑えているとはいえパテル派といった反対勢力が存在するように」

 

 反対派、それか面倒をトリニティに押し付ければいいとでも思った恣意的な輩いるのか。舐めやがって。

 

「あちらからはなんと?」

「知らないと。しかし何故かある地区の担当者の資料が送付されてきました」

 

 つまり首謀者はソイツなのだろう。そして自分たちで始末をつけるのではなく、やるならお前たちが勝手にやれと。どいつもこいつも舐め腐ってやがる。

 

「報復ですね」

「お任せしても?」

「ええ喜んで」

 

 吠え面かかせてやればいいんでしょう?俺のリードを離すのでしょう?躾けた犬の成果をみたいのでしょう?お任せ下さい。

 全身にゾワリと電気が流れるような感覚。なにせ愛しのご主人様からのお願いだ。

 こういったことの方が性に合う、ジメジメと足を踏み舌鋒を刺し合うのではなく、殴り込んで吐かせて黙らせる。なんて楽なんだ。

 

「それでは失礼しま──」

「もう1つ、よろしいでしょうか?」

 

 わっ今度はなんです?

 

「どうしてミカさんのことを隠されたんですか?」

「……失礼ながらなんのことでしょうか?」

 

 ほ、ほ、ほ、本当になんの事っすか!?心当たりがないっすよ!?この前ミカ様に構ってもらったのはいつものことだからご存知だしあれ以来会って……会って……

 

「前回の報告の後、補習授業部の合宿所で爆発がありました。アズサさんのトラップにシスターフッドの1年生がかかってしまったことが原因……でしたよね?」

「はい」

「そしてその日の訪問者はシスターフッドの1年生のみであった……と」

 

 そう、そうだ。あの日はマリーちゃんが来たんだ。だけど俺は騒動が起きた時には居なくて、そこに向かう時に俺は

 

「しかし訪問者は実際には2人いた、シスターフッドの1年生と……ミカさんが。」

 

 ミカ様に会ったんだ。

 

「正義実現委員会の協力者と共に常に補習授業部を監視している……あなた方の勤勉さはよく知っています。だからこそただ見落としたとは思えません」

 

 今日のナギサ様は少し調子が良いように見えていた。機嫌も良いように思えた。だが、それは見当違いもいいところだった。そう見せていた、そう繕っていた。どうしてか。

 

「意図的なものですよね?」

 

 俺を疑っているから。信用とか信頼とかが基礎から揺らいでいる。あずかり知らぬ所で俺は地雷の上に足を置いた、龍の逆鱗を掠めた、ミカ様を何かに使おうとしていたらしい。

 

 知らなかったなんて言っても意味が無い。ナギサ様は確信している。自らの無能を訴えたところで詮無きこと。協力者に裏切り者が居たとでも言うか。そしたら今までの前提が覆り全て意味のなかったことになる。なら、ならば。

 

「……報告の必要がないと判断したからです」

「なぜです?」

 

 うぉぉぉ頭捻れぇぇぇぇ!!!やってみせろよ、なんとでもなるはずだ!!!

 無理かもしれんが最悪土下座で許しを乞えばワンチャンあるぞ市民メアリーIRー3!!!

 爆発があった時間は?あの時のマリーちゃんは、補習授業部は、先生はどうしてた?ミカ様と出会した場所と時刻は?

 その時灰色の脳細胞がゲーミング7色に輝く。

 

「ミカ様は補習授業部を訪ねたのではなく、先生を訪ねてきたからです」

 

 駆けつけた正実ちゃんは補習授業部とマリーちゃんに聴取をした。補習授業部やマリーちゃんからミカ様のことは聞かなかった。先生についても言及がない。よって推定、ミカ様と先生はマリーちゃん騒動時に2人で居た。

 

「お忍びとのことだったのと、短時間かつ内容も先生の理解を確認する程度でしたので、報告するほどではないと判断してしまいました。申し訳ございません」

「……把握はしていたのですね?」

「はい、結果的に隠す形になってしまいました」

「次がないように気をつけてください」

 

 ナギサ様の情報源は恐くミカ様本人。そしてミカ様の話と俺の話に違和があった。虚実、隠蔽か。確かめるために問いただした。

 

 嘘でもはったりでも今これをやり過ごせなければ俺たちは内部崩壊を始めただろう。ナギサ様はミカ様を信じるだろうから。だから、信用を落とすにしても最小限にしなければ。裏切られたとナギサ様が感じてしまったらどうなるか分からない。

 

 あぁー、つら。なでなでを所望したかったんだけどこの感じだと言い出せねぇなぁ。

 

 

 

 /02

 

 

 

もっと直接的にいいましょうか、“トリニティの裏切り者“はどなただと思いますか?」

 

 感度良好……っと。

 

「“……前と同じになるけど、私は私のやり方で対処するよ”」

「……おそらく、ミカさんも接触してきましたよね?ミカさんと何をお話になったのか……よろしければ、教えていただけませんか?」

 

 矛盾チェックしてるぅ、信用下落しまくってるなぁ。俺も渦巻く疑心に仲間入り、助け出すどころかこの始末か。

 ナギサ様が勇気を振り絞り馬謖を切ってしまう前に何とかしたいだとか考えていたのに。

 

「“私は誰かを疑うことに時間を費やすつもりは無いよ。あの子たちの頑張りが報われるように最善を尽くすだけ。”」

 

 まあ騙されてやる気出ないのは分かるよ。ヒフミも密偵としての仕事何かしてるかと言えばなんもしてないし。にしても綺麗ごと吐くの上手いっすね。でも、頑張りがというならエデン条約に従事してきた人たちの頑張りはどうなんだ?ナギサ様の尽力はどうなるんです?

 

「“今の君はきっと、疑心暗鬼の闇の中だ。見たいものだけ見て、信じたいことだけを信じてるんだと思う。”」

 

 トリニティを纏める仲間で友人でもあるセイア様が暗殺された。時期からして反条約系の人間の可能性が高く、悲しみにつく前に次の標的は条約推進派の自身だと嫌でも察する。

 怯えながらホスト代行の座につき幼馴染の親友が巻き込まれないように嫌われる覚悟で“ミカ様は政治が苦手”と噂を流布し、遠ざけた。

 生まれつきの善性と良心の呵責に苛まれながら主犯特定のために身内を探ったら可愛がっていた後輩の名前が挙がる。

 

 暗殺の恐怖が常によぎり、ヘイローが割れるまで苦しむ夢を見る。人間不信に陥らずにいられるわけがないだろうが。

 

「“君を、そこから出してみせる”」

 

 ()かせよ、ぽっと出の先公が。

 どうしてナギサ様何回も裏切り者はいなかったかって聞いてると思う?私はナギサ様なりの救難信号だったんだと思うんです。でも先生は気がつかなかった。条約、セイア様の暗殺、補習授業部の設立理由を知ってなお裏切り者は探さないと宣言した。

 誤解だ、事情があったなんだと美辞麗句を並べた。ナギサ様が茶席に呼んで何度話をしていたのか貴方は知らないけれど。

 

 1度会っただけなのに名前を覚えていた、無理難題を解決してみせた、生徒に好かれ賞賛される。噂は事実で類まれなカリスマを持っている。私もその一端に当てられた。けれど……所詮、貴方もその程度だ。目の前だけを見て全てを救ってみせればいい。信じて何もせずに理想を抱いたまま溺れればいい。

 

 あぁ、撃ちたい。薬莢の海原ができて銃身が熱で溶け落ちるまで引鉄を引き続けたい。

 

 昼間にしては冷えた日の当たらない暗く湿気った部屋、湧き上がってくる衝動に動かされて椅子から立つ。

 

 足音が聞こえた。軽やかでどこか楽しげに近づいてくる。

 バニラのように甘く、魅惑的な香りがする。

 

「悪いことしてた?」

「……ミカ様」

 

 ツカツカと近づき、俺をもう一度座らせて後ろから抱きつく。柔らかな感触とより濃厚な毒のような蠱惑的な芳香に包まれる。そして俺の顔の前に出されたその手には盗聴器の写真。

 

 俺から片耳分のイヤホンをとり、自分の耳に装着して

 

「当たってたみたいだね☆ナギちゃんと先生の声がする!」

「妙な電波を拾ったので逆探知を試みていたんですよ」

「えー本当に?」

「えぇ、随分古いものみたいです」

 

 トリニティの古い建物、特に巨大なものほど()()()()()()()()ことが多い。誰かが知っていた、秘密にしていたことが失伝して迷路になったり秘密の通路として発見されたりする。

 もちろん、誰かの忘れ物なども。

 

「あそこはティーパーティーにとって大事な場所、由々しき事態です。急ぎ除去してまいります」

「いいよ、知ってたんでしょ?」

 

 ……嘘はひとつもついてない、あれは俺じゃない。昔の誰かだ。だけどミカ様の言うとおり存在を知っている者がいる。既に解読されており、極々小数がコードを知っている。例を挙げるならホストとシュガーポットの首長など。

 

「メアリちゃんは使わないと思ってたんだけどな。そういえばナギちゃんに叱られたんだって?」

「しょげてます」

「あっはは!耳としっぽがこんなにしおしおになってるの久しぶりに見たよ。このことナギちゃんに言ったらもっとしなしなになるかな?」

「ひぇ……またマシュマロ詰め込まれる」

 

 ミレニアムから変なお土産持って帰ってきたり、レッドウィンターで変な思想拾ってきたり、ゲヘナでつい暴れちゃったりと3回連続でやらかした時のお仕置は髄まで染みた。

 

「メアリちゃんさ、エデン条約は無理って思ってるのになんでそんなに頑張れるの?お仕事だからってのも嘘だよね?メアリちゃんトリニティ嫌いだもんね」

「嘘じゃないです。お給料払ってくれる所にはそれなりの義理があります。まぁ、半分以上の理由はナギサ様だからですね。無理でも割と何とかしちゃうじゃないですか」

「あ、たまに変なことやるとなんか上手いこといっちゃうこと多いよね」

「えぇ、それにナギサ様との約束があるので。そのままシュガーポットに入っちゃうくらいの殺し文句でしたし」

 

「それは何回か聞いたや」といいながら俺の端末を操作して音楽かける。俺はあまり聞かないジャンルだったけど結構いいな。

 

「ま、何かあったらいつでもおいでよ。ストレス発散には付き合うからさ」

「?はい」

「今度はゲヘナに行くんでしょ?先生たちと一緒に」

「へ?」

「今、ナギちゃんボソボソ喋ってたよ?」

 

 ミカ様との会話に集中してて聞いてなかった……!?しまったやらかしたというかゲヘナ!?ゲヘナ行くんすか俺!?そういや報復に行く予定だったわってか先生!?先生ナンデ!?

 

「部屋に入った時にまた誰か襲いに行きそうな顔してたから知ってたのかと思ったけど……」

「初耳っす。産地直送ダイレクト受け取りです」

「そっか~」

 

 ミカ様が立ち上がり、俺もつられて立ち上がれる。暖かい密着状態から離れたせいで触れる冷たい空気の感触がどことなく寂しい。

 

「とりあえずいつもみたいにガス抜きしとく?」

「お願いします」

「じゃあ、どっか移動しよっ!」

 

 俺はミカ様に手を引かれ部屋を出る。

 どうやらナギサ様は何か計画しているようだし聞きに行かないとまた色々すれ違いが起きたりしそうだ。

 

 ゲヘナかぁ、どうしたもんかなぁ。




この後めちゃくちゃボコられた。
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