The New Order~Last Days of Splatoon~   作:re-moo

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海が明るくなる日は来るのだろうか?


ナンタイ危機

 軟体暦1962年1月5日

 

 

 イカ合衆国 シオカラ州 シオカラ都 首都シオカラシティ ブルーハウス

 

 

 曇りのせいか全体的に暗く、朝だといのに大都市は人工の光源によって照らされていた。

 

 その中でも、一際目立つブルーハウスでは、この国のトップである大統領がオクト軍侵攻について報告を受けていた。

 

 

 「現在合衆国軍は、占領された地域の大部分を奪還しハイカラ線まで押し返したとのこと。また、今回の報復としてオクト帝国領に4発の大陸間弾道ミサイルを発射、いずれも命中とのことです」

 

 「うむ、ご苦労であった。しかし、、オクタリアン共は何を焦っているのかわからんが、今度のことは我が国としても容認できるものではない。次の国際会議の際には非難声明を出しておかなければな」

 

 「ですが、帝国は素直に受け入れないでしょう」

 

 「まぁ、そうだろうなぁ、あの国の頭の固さといえば世界のトップを常に走ってるからな」

 

 

 実際にかつての大ナワバリバトルでは、優位に立っていたにも関わらずオクタリアンの指揮官は「せっかくの資源がもったいないから物量突撃で補う」という暴挙に及んでいた。

 

 

 そもそも、オクタリアンが領土としていた地域には資源が乏しく、必然的に資源豊富なシオカラ地方やハイカラ地方などへと進出しなくてはならなくなった。

 

 そこでオクタリアン側はイカ国側に対して、「資源地帯の一部の割譲」を要求した。だが、当然ではあるが、、イカ国がその要求を飲むことはなかった。

 

 結局オクタリアンたちは、既存の輸入により資源を確保することとした。

 

 

 1882年の事であった。

 

 

 だが、1900年代に突入すると、事態は急変する。

 

 この事態こそが、大ナワバリバトル開戦の原因となった『海面上昇』であった。このほかにも、海面上昇を理由にイカ側がタコに輸出していた資源を停止したことや、タコの数少ない資源地帯への不当占領なども要因のひとつであった。

 

 これらの要因により、オクタリアンにとって各種車両や戦略兵器などは、大変貴重に扱われる事となってしまったのである。

 

 

 「報告ご苦労であった。それと、次の国際会議の発言内容について事前調整を進めてくれ、」

 

 「わかりました」

 

 

 職員が去り、一人になった大統領は視線の先を窓の外へと向ける。

 

 窓の外には、超高層ビル群が群をなしブルーハウス周辺を取り囲んでいた。

 

 この場所は警備の観点から240mも埋め立てられていた。

 

 しかし、400mを優に超える摩天楼群は、240mもの埋め立てを軽々と抜かし周辺に文明の壁を形成していた。

 

 だが、その景色が一瞬、、"巨大なキノコ雲″が立ちこめ、その周辺が瓦礫の山と化す景色へと変化した。

 

 

 

 

 「まぁ、もしもタコ共が本気でそんなことを考えているのなら、、」

 

 

 

 

 「その時は、カラストンビ部隊を派遣するとしよう、、」

 

 

 大統領の憂鬱は続くのであった。

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 大オクト帝国 ハイカラ地方 ハイカラ市

 

 

 ハイカラ市は、かつてハイカラシティと呼ばれイカ国の首都として繁栄していたが、大ナワバリバトルでオクタリアンが勝利し統治されるようになると街は急速に衰退していった。

 

 確かに、オクタリアン達が多く居住していた地域などは優先的に開発され、その周辺にはビル群を形成している。

 

 

 しかし、かつての中心地であったイカス広場やイカスツリー周辺などは、荒廃していた。

 

 荒廃している地域は、大ナワバリバトルの最後の戦いと言われる『ハイカラ決戦』においてイカタコ両軍が激戦を繰り広げた場所も多く存在した。

 

 こうした地域は、オクタリンが多く居住している地域を除けば帝国国民へのプロパガンダの一環としてあえて放置されている。

 

 と言うのはあくまで建前上であり、現実はそのようなきれい事では収まらなかった。というのも、戦争で破壊された街を復旧させるほどの資金が無かったからである。

 

 

 まず、オクタリアン国の財政はイカ国と比べると圧倒的な差が生じていた。ただでさえ軍事力維持のために割かれる予算は膨大だと言うのに、そこに資源不足に資源輸入による予算が割かれてしまう。

 

 これら国家を維持するために必要な予算だけですでに予算の過半数以上を使ってしまうことになる。

 

 そうなれば、各種公共事業への投資は最初から最小限になり大規模な公務員雇用も行う事ができない。これにより、慢性的な公務員不足に陥り各種行政に多大な影響を生じさせていた。

 

 

 しかし、そんな彼らに転機が訪れる。

 

 大ナワバリバトルの開戦と戦勝であった。

 

 

 開戦により、さらなる予算の確保…いや、事実上の無制限使用が可能となった。これにより、個人への緊急徴税や国家総動員法による人員の確保が容易に可能になったのである。

 

 

 そして戦勝、、

 

 

 賠償金は圧倒的に低かったが、それと引き換えに豊富な資源が眠るハイカラ地方を併合することに成功した。

 

 併合によりハイカラ地方から逃げ出した旧イカ国民は大半を超えていたものの、これにより住居問題は大して起きることはなかった。

 

 

 そんな、長い歴史を持つハイカラ市ではとある企業のトップと帝国府長官が会話をしていた。

 

 

 「いやぁ~、先日のスクエア制圧作戦はお見事でした。さすがは栄えある帝国軍ですな」

 

 「いやいや、これもあなた方が開発した59式自動小銃のおかげですよ」

 

 「いえ、我々はただ武器を提供しただけに過ぎない。それに、現場の兵士が使えなければ無用の長物になるだけですから」

 

 

 59式自動小銃は、帝国軍の要求仕様書に沿って開発された最新小銃であった。

 

 この小銃に用いられる弾は6.62㎜であり、装弾数は20発から30発となっている。

 

 発射数は、1分間で640発ほどどなっており発射速度こそ合衆国のS26ライフルの900発と比べて劣るものの、その分合衆国の5.56㎜と比べて火力と安定さが高いことが特徴であった。

 

 実際、今回のスクエア侵攻作戦では59式が高い性能を持って、数が少ないとはいえ合衆国軍相手に終始後退を余儀なくさせるほどの成果を上げていた。

 

 

 「最初のうちは上手く事が進んでいた」

 

 「だが、占領したスクエアの大部分は奪還されてしまったからな」

 

 「今の装備では、相手を上回る事は出来ない事がわかっている以上、戦闘の継続が難しくなるだけだ。なにかいい方法がないものか、、」

 

 「では、我々の試作兵器を試されてはいかがですか?」

 

 「ん?それはどんな兵器だ?」

 

 

 企業トップの発言に関心を寄せる長官。

 

 彼は、待ってましたと言わんばかりに横に置いていた大きな袋を取り出す。

 

 その袋から出てきたのは、細長い筒状の、、40㎜はありそうな小型の火砲であった。

 

 

 

 「火砲か?それなら帝国軍にいくらでもあるが、、」

 

 「いえ、ただの火砲ではありません。これは、『原子爆弾搭載小型野戦砲』です」

 

 「原子爆弾搭載小型野戦砲だと?それだと、放射能による汚染が起きるではないか?」

 

 「そこに関しては、帝国技術研究所と我々先進技術研究部門により、従来の30%以下に抑えることに成功しました」

 

 

 この研究では、核兵器の有効活用と通常兵器化への取り組みであった。

 

 核兵器は、1920年代に入りさらなる大火力兵器の開発を目標に研究が開始され30年代に突入するとさらに研究が加速した。

 

 1941年には、イカ合衆国が世界初の原子爆弾を投下したことでその驚異的な威力を世界は見せつけられることとなった。

 

 

 しかし、おわかりの通り核兵器は威力が高い分放射線という人体に悪影響を及ぼす物質が周囲にばらまかれてしまう。

 

 そこで、必要となってくるのが放射線量の調整であった。

 

 この研究により従来の3分の1程度に押さえる事ができるようになった。

 

 そして、より多くの任務に適応できるようにしたのが今回の小型野戦砲なのである。

 

 

 「3分の1以下か、、わかった今度の帝国会議の時に軍務大臣にこのことを伝えておこう」

 

 「ありがとうございます。それと、すでにこの野戦砲は800門以上を生産しているのですぐに実戦配備が可能となっています」

 

 「さすがは、帝国随一の企業だな、そのときは頼んだ」

 

 「こちらこそ、よろしくおねがいします」

 

 

 この2日後に開かれた帝国会議において、同兵器の導入が正式に決定した。

 

 

 イカ合衆国では、極秘裏にある計画が進行していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『帝国軍、核搭載型野戦砲の導入を決定』

 

 「帝国軍は、先日に開催された帝国議会において、オルクト社が開発した『原子爆弾搭載小型野戦砲』の導入を正式に決定した。原子爆弾は、圧倒的な破壊力を持つがその分放射線による汚染が深刻なる恐れがある。これらの理由から帝国は、核兵器の戦略兵器としての運用はしても通常兵器としての運用は想定していなかった。しかし、先のハイカラスクエア制圧作戦では帝国軍部隊は思うように侵攻することができず、イカ合衆国軍に押されていた。このことから、帝国軍では地上兵器のさらなる大火力化を推し進めるために同兵器の導入を正式決定した。この兵器の導入は今後帝国にどのような変化をもたらすのか、イカ合衆国の反応も気になってくる。」

 

 1962年1月8日 タイヨウ新聞








 「平和とは、普遍的な平和のことを指すのか、何もなく生産性のない事を指すのかで意味が変わってくるものだ。」

                         ータコワサ国家将軍ー
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