一般農民になりたいのに最強達がそれを許してくれません   作:ワンカン

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農民になりたいのに、友達と妹が許してくれないよっていうお話です。

処女作というんですかね?よろしくお願いします。


一般農民の夢は終わりました

 エイリアスという村は、山の恵みに感謝しながら暮らさなければいけない村だ。村の住人は数百人といないし、力を持て余した若者の多くは村で農家を引き継ぐか狩人として引き継ぐかどうかなどの、いわゆる農民としてのどう生きるかという選択が与えられる。

 ここで話さなければいけないのは、魔法や騎士、それにスキルといったものの才能が決してないことだ。魔法というのは魔族の血筋が殆どだし、剣の才だって、王国に仕える者だけだ。スキルだって貴族しか持ち合わせていない。

 この村には別段と高等教育が備わっているわけでもないし、魔法の先生だってこんなド田舎の村にまで来ることはそうそうない。あるとしても、夏の長期休暇で来ました、くらいだろう。

 だからこそ僕もこの運命を受け入れている。というより、騎士になったり、魔法が使えるようになったりすれば、このエイシタン王国の都にある高等学校に行かなければならない。そのあとの未来は決まって皇帝に仕える兵士になるか、冒険者という肩書の旅人になるしかない。それ相応とめんどくさい未来しか約束されていない。

 冒険者というのは、パーティを組み、世界を旅することが目的だが、そもそも金にならないし、死ぬかもしれないというハイリスク・ノーリターンというものがつきものだ。

 ドラゴンに吸血鬼、スライムにゴブリン……。まぁ多種多様な生き物が多いってことだ。かくいうこの平穏なド田舎のエイリアスにも最恐と恐れられていた魔王がいたのだが、多分誰も知らないだろう。

 そういうこともあり、騎士になる素質がある者、魔法が使える者はそういう運命にあるということだ。残念賞というべきほかない。

 僕はまだ十五だが、農民として立派に労働している。父と街の市場に行き、彼らに野菜や麦を売り、お金を手に入れる。女性は家事をしながら、服を作りそれを街に流通させる。なんともまぁ無難な生活なのでしょう。たまにの大雨や強風等には悩まされることもあるが、それ以外は問題ない。強いて言えば、毎日労働しなければならないという問題だけだ。

 ということで、魔法も剣の才も全くない僕は、このまま世界を旅することもなく、王国に仕えることもなく無難に人生を謳歌することになるだろう。

 

 

 

 

 

 

 そう考えていた時期が僕にもありました。

 

 

 

 

 

「お義母様!!お義父様!!ハリネを都に行かせてください!!」

 

「そうだ!!ハリネは立派な騎士だぞ!!俺と一緒に騎士になるんだ!!」

 

「……魔法も使える」

 

 どこから話せばいいだろうか。いま幼馴染と妹を含めた三人が対面に座る我が父、母に向かって嘘をいっている。しかも目をバッキバキにしながら。妹のほうはいつものように眠たそうにしながら言っているが、もう二人はもうガンギマリ状態。一人に至っては、机をバンと叩きながら、どうしてこの二人はわかってくれないのかと嘆いている様子だ。

 

「きっと貴族にまで上り詰めるわよ!!」

 

 貴族は血筋って前言ってませんでした?

 

「きっといい騎士になる!!いや、もう俺以上だ!!」

 

 鍬と鎌ではなれません。

 

「国宝級の魔法も使える」

 

 雨ごい踊りが僕の限界です。

 なぜこのような展開になったのか、僕はテーブルにあるケーキや揚げ物を見ながら考える。

 今日は僕の誕生日だ。このように料理が並べられて、プレゼントも父からと幼馴染二人からももらった。ありがとう、大切にするよ。そう言いながら、一度も持ったこともない剣と魔力がなければなんの変化もおこさない水晶をもらった。父はお金を奮発して、街に行けるようにと馬をプレゼントされた。もちろん真っ白な馬ではなく、普通の馬だ。しかし、それだけでかなり興奮した。いつかは自分の馬に乗りたいと思っていたから、これだけはうれしかった。

 そういうプレゼントを受け取ってから、母が作ってくれた料理を食べ、幼馴染の一人である、アカネが都から持ってきた見たこともない肉料理を食べながら、和気あいあいと談笑していた。

 この時まではアカネに対して、僕はさすがだなと思っていた。エイシタン王国の貴族の一人であるアカネは一週間前にみたこともない肉料理が食べたいといったことを覚えていたのだ。いい幼馴染を持ったもんだ。あの日に都に行って助けた甲斐があった……助けたのは僕じゃないけど。

 平和な食事がある程度終わると、母は得意げにメインデッシュよと言いながら、ケーキを取りに行く。僕はテーブルに出されるまでわからなかったが、アカネとこの村の警護役として派遣された騎士の息子であるカズキは何が来るのかわかっている様子だった。なんだろうと期待したが、正体が食べたこともないケーキというものに良い意味で期待が裏切られた。

 これがケーキかぁ、と呟きながら顔を近づける。クンクンと匂いを嗅ぎながら、その白い物体をツンと指で触れる。個体と液体の中間のような白いものが、指に付着する。僕は息をのみながら、それをペロッと舐めてみる。舌全体に甘さが広がりもう一度舐めたくなる。僕は目を輝かせながら、歓喜した。

 

「すごい!!この食べ物すごいよ!!」

 

 隣に座っていた僕と同じ白い髪をした妹が僕の頭を優しくなでながら、こくりと頷きながら、反対側に座るアカネを指さした。

 やっぱりアカネだったか。ということはこれも都の食べ物か。

 僕がアカネに感謝を伝えると、彼女は艶のある長い赤い髪を恥ずかしそうに弄りながら、顔を赤らめた。

 

「アンタが前に食べたいって言ったのを覚えていただけよ」

 

「あの話覚えていたんだね。ありがとう、あかね」

 

「べ、別に六か月と十五日前のことなんか誰だって覚えているわよ!」

 

 そこまで具体的に覚えられるわけないじゃないか。アカネはすごいなぁ。

 そんな感想を抱いていると、僕たちの横に座っているもう一人の幼馴染のカズキが顔を近づけさせる。

 

「感謝しろよぉ?お前のためにわざわざ特注で作らせたらしいぞ」

 

 その言葉を聞いて反応したのは、母と父だった。母はあらあらといいながら、口元に手を置きながら、優しい目でアカネを見る。父はというと、こんなことがあるのか……おお、神よと別に信仰もしていない神様に対して祈りをささげていた。

 なんだろうと思ったが、そんなことよりも、目の前のケーキに無我夢中になり、どうでもよくなる。それよりも早く食べたい。僕はきらきらとした目でケーキを見つめていると、母が見かねて包丁を取りに行く。

 ああ、人生で最高な日だ。ケーキというものを食べれて、おまけに訳のわからない道具、馬をプレゼントされていうことないじゃないか。こんな日があってもいいのか、やはり持つべきものは友達だよね。訳の分からない道具はよくわかんないけど。

 

 僕はこのようにして浮かれていた。いや、浮かれすぎてしまった。そのせいで、アカネの次の質問にもテキトーに答えてしまった。それが今回の事件の始まりだった。幼稚すぎた僕をどうか母も父も責めないでほしい。だって初めてのケーキだったもん。仕方ないだろ。

 母が包丁を持って座ると同時に、彼女は僕の顔を覗くように見る。それと同時に我が妹も同じように僕を見ていた。

 

「こんな美味しい食べ物が都にはあるのよ?都、いきたくなったでしょ?」

 

「うん!!毎日でもいきたいよ!!」

 

 

 

 

 

 

「いいじゃんかよ!!息子が騎士になったら、お金も手に入るんだぞ!?」

 

 カズキ、君は今まで僕が剣を持っているところを見たことがあるか?因みに僕の記憶だと桑と鎌だけしか持ったことはないぞ……包丁ならあるけど。

 

「ハリネはスキルも使えるんだから!!私なんか歯が立たないわ!!」

 

 貴族娘がなんか言っているけど、気にしたら負けだ。

 

「……魔法は最強クラス」

 

 それあなたのことだよね?最強クラスの魔法使ったら山が一つ消えたのお兄ちゃん知ってるからね?

 そんな三人の唐突な訴えに何より困惑しているのは、父と母だ。いきなり、アカネが言質とったわよ、なんて言い出して、机をバンと叩いて、立ち上がりながら訴えをかます。貴族としての誇りはないのかと問いただしたい。

 それに拍車をかけるように、カズキもその場で拝むように手を合わせながら懇願する。君もハリフォント家以来の最高峰といわれているんだろ?誇りはないんか。

 それに比べて我が妹のミーナもお願いをしているが、育ち方がよかったのだろう、いつもと変わらない表情だ。ただ、お兄ちゃんとしては止める側に入ってほしい。ほら、ミーナしかこの二人止められないから。元最恐の魔王の生まれ変わりだろ?だったらお兄ちゃんの手を潰す勢いで握らないで、あの二人の暴走を止めてほしいものだよ。握った瞬間に潰れるからって、常時回復魔法発動させながら握らないでほしいな。お兄ちゃん、心も手も痛いよ。

 

「そ、そうはいってもハリネが剣を持っているところなんて見たこともないしなぁ」

 

 おっしゃる通りです。父上、剣なんて持ったことありません。なんなら、カズキに剣を教わろうとしたら、俺がいるのにお前が剣を持つなと言われました。彼、嘘言ってます。早く見抜いてください。

 

「ほんとよねぇ。魔法すら教わったことないのよ?ミーちゃんはなんでか使えるから、わかるんだけど、ハリちゃんが使えるのは初耳よ?」

 

 以前、街に行った時にちびっこ魔法大会があり、その中で一位にミーナは輝いたことがある。あの時は、あの幻のケンウルゴスという牛の肉が商品だったため、僕がお願いして、ミーナを参加させた。あの時の主催者の驚きの顔は今でも忘れられない。目が飛び出るくらい開いていたし、開いた口がふさがらないというのはこのことを言うんだと感じた。まぁ、世界記録叩き出したからね。村人の幼女が。元魔王様なめるではない。

 母にお土産として持って帰ると、すごく驚かれ、ミーナが魔法を使えることを知った。

 

「魔法なんて無理でしょう?」

 

「そんなこと、ない。ハリネ、最強クラス。街壊滅させられる」

 

「それこそ無理でしょう」

 

 母はミーナの言葉に苦笑する。 

 はい、無理です。絶対に無理ですね。村長直伝の雨ごい踊りは魔法には入りませんし、大雨で街を洪水にはできません。僕には何の才能もございません。

 

「でもよぉ、もったいねぇよ。素質あるし、なんなら地位も名誉ももらえるかもしれないんだぜ?」

 

「わかった、わかった。君たちのいうことは理解できた。ようは俺らの息子は、最強の騎士になる素質があって、街を壊滅できるほどの魔法が使えて、おまけにスキルも備わっているということだろう?」

 

 父よ、なにもわかっていない。僕はただの農民だよ?この村から出たくないよ。動かざること山のごとしだよ。

 

「スキルも最恐よ!どんな魔法も効かないんだから!!」

 

 それ君のことだろう?ニーナの魔法を無力化したの君じゃん。

 ていうか君はさっきから熱量半端ないぞ。ほかの二人と熱量違うぞ。どうした、今日どうしたよ、変なキノコでも食ったか、まさか村一番やばいキノコのハイニナルタケでも食べたか。あれは用法用量間違えると一日の気力全部持ってかれるやばいキノコだぞ。食べちゃったのか。アカネ貴族だからその辺のもの食べないと思ってたんだけどな。僕が染めすぎたかな。

 

「キノコなんて食べてないわよ!」

 

 さいですか。ごめんなさい。あとさりげなく心読まないでほしい。そのスキル自体人間やめてるよ。僕もそのスキル欲しい。なんで君たちがそんなに僕をやっばい扱いさせるのか。僕にわかるように説明してほしい。

 

「まぁまぁ……で?どうなんだ?ハリネ自身はどう思っているんだ?魔法とか云々は抜きにして、都に行きたいのか?」

 

「行きたいわよね!!」

 

「行くにきまっているだろ」

 

「行きたいって話してた。布団の中で」 

 

 父は僕が行きたいように思いますか?馬もらって目を輝かせていた僕が行きたいと思いますか?何に使うかもわからない水晶もらって、微妙な顔していた僕を見ていたでしょう?キラキラ光る剣をもらって、あまりの重さにこれ振っているお前すごいわって言ったの聞いていたでしょう?ましてやあの高等機関ですよ?王国直属の機関ですよ?バレたら死刑ものですよ。

 僕はケーキの甘さがなくなった口を舌で舐め、唇の渇きをなくしたと同時に、父の顔を見る。僕の決意を受け取ったのか、父の顔はいつもより真剣だった。

 

「父上、僕が……僕が一番やりたいのは、のうかおうえあ」

 

「……ん?」

 

 僕は口が思うようにうまく動かせず、変な言葉が出てしまった。農家を継ぎたい

そう言おうとした口は、意味の分からない単語として父に伝わってしまった。

 落ち着け、ほら、父が困惑しているじゃないか。これでは、どういう結果になるかなんて目に見えている。だったら、ほら、早く言おうじゃないか。農家として、剣じゃなくて桑を持って天候という敵を倒したいって。魔法で街を壊滅させるのではなく、畑を耕したいって。

 

「父上、僕は都に行こうと思います」

 

 …………は?

 

「僕の力を試したい。今まで、隠してきましたが、もう僕もこの二人同様十五になります。僕の妻である……いや、恋人……んんッ。友人であるアカネと親友であるカズキ、そして我が嫁……んんッ。最も尊い存在である妹とともに都に行きとうございます」

 

 口がすっごく変。いう言葉がなんか違うし。アカネのこと妻とかミーナのこと嫁とかいうし、もうどうわからん。やべぇよ。父、そんな目で見るな。僕だってわからないから。ほら母もドン引きしないで。

 

「お、おまえ……いまアカネちゃんのこと妻って……」

 

「それにミーちゃんのことも嫁って……」

 

 やべぇ。僕もう身が持たないよ。精神ゴリゴリ削られたわ。もう目の前が真っ暗だわ。

誰か助けて……。そう思いながら、横目でアカネを見ると、彼女はじっと僕を見ていた。いつもの綺麗な赤い瞳は金色の瞳に変化している……おまえ、まさか。

 ついでにミーナも横目で確認する。妹の瞳はいつもの緑色の瞳だったが、両方に小さな魔法陣が現れていた。その魔法は貴族娘に使っていただけないのですか?お兄ちゃんは悲しいよ。

 そんな思いとは裏腹に、僕の表情は一層真剣になりつつあり、父も母もまじめに僕が妻とか嫁とか言っていると解釈していく。父、母、僕がそんなこと言うわけないでしょう、いつ気付いてくれるのですか。

 

「そんことは些細な問題でしょう。今は僕を都に行かせてくれるのかという問題です」

 

 これはどっちだろうか。ミーナか?アカネか?

 父はその言葉を聞いてハッと我に返る。

 

「そ、そうだな……。認めてやっても俺はいいと思う」

 

「本当か!?よかったなハリネ!これでお前とまた暮らせるぞ!!」

 

 今まで静かに聞いていたカズキは僕の両手を掴みブンブンと上下に揺らす。嬉しさの表現はわかるが、そんなに激しく揺らさないで。骨が外れるから。てか揺らすたびに外れるんだが。

 

「ただし、俺も母さんもまだ納得ができていない。できていないというのは、この三人の事実だ。本当に使えるのか?剣も扱えるのか?」

 

 いえ、使えません。扱えません。もう本当になんでこうなったんだ。君たちの思惑を聞かせてほしいところだ。

 

「そこで、明日俺に見せてほしい。本当に騎士なれるか、街を壊滅できるのか」

 

 鍬でどう騎士になれと。雨ごい踊りでどう街を壊滅させろというのですか。

 

「話は以上、さぁケーキだ。ケーキを食べよう」

 

「……ええ、そうですね」

 

 この時点で口が思うように開くようになった。二人の目はいつもの色に戻っていた。

 母が切り分けていくケーキを見つめながら、明日のことを考える。どう頑張っても、明日でバレる。さすがにこの三人もこういうことになるのだなんて思いもしなかっただろう。だが、見てほしい。このすがすがしい笑みを……。

 

「やったな!!これで騎士になれるな!!」

 

「ハリネの力を見せるわよ!!」

 

「……明日は本気出す」

 

 ああ、神様。もし、もしもいるなら、僕を助けてください。

 僕は一般農夫を目指したいのに、最強達が許してくれません。

 

 

 

誕生日会終了後の会話

三人は涼みに行くといって散歩に出かける。ハリネは味のしないケーキを食べ、馬の様子を見に行った。

 

「ていうか、なんで嫁とかいうわけ?妹にそんな感情あるって知ったら、どの親でも普通に引くわよ」

 

「抜け駆け禁止、ルール作ったのアカネ」

 

「私は将来の予定を言ったのよ。血のつながっているアンタは嫁にはできないの」

 

「んあ?知らねぇの?ミーナ魔法で血のつながり消したんだよ」

 

「はぁぁ!?チートよ!そんなの!第一、そんなことしたって家族という現実はなくならないわよ?」

 

「俺やられたことあるけど、記憶改変とか朝飯前らしいな」

 

「……ぶい」

 

「ま、ますますチートね。その憎たらしいブイサインやめなさい。ていうか、なんでカズキは記憶改変されたのにミーナに記憶改変させられたって知ってるわけ?教えてもらったの?」

 

「そんなもの、こいつがいうか?自力だよ、自力で本当の記憶戻したんだ。んで、問い詰めたら、こいつがそんなことできるっていうから、チートだなって思った」

 

「あ、アンタもチートね。魔法もスキルもないアンタがそれできちゃうと自信なくなるわ」

 

「そうか?俺は二人ともすげぇと思うけどな。アカネはスキル使って、ハリネの口動かすし、それに対して魔法使って口を動かすミーナ……。すげぇ試合だった」

 

 

「アカネのスキルに初めて勝った……嬉しい」

 

「お願いだから分析しないで」

 

 アカネはそれだけ言うと、先ほど自身がハリネに言わせた言葉を思い出し、耳を真っ赤に染める。自分で言わせたが、彼の口からそのような言葉が発せられたという事実は現段階の彼女にとって相当のダメージを負った。

 




頑張ります。
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