パルデアの光と闇   作:體硬士

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ゼロの秘宝に夢中で、なかなか更新できなかった…


第一話 「VS ホシガリス」

 

 

 

 出発してどれ位の時間が経っただろうか。飛行機・バス・船と乗り継いだ長旅と船酔いの影響で、出発してしばらくは船室に籠もり寝ていたが、船内アナウンスが聴こえると目が覚め、体調もすっかり元に戻っていた。目を擦りながら船室から外に出ると、空は快晴であり、心地よい風も感じられた。

 

 再びアナウンスが聴こえ前方を見ると、ようやく目的地であるパルデア地方がハルトの目に入ってきた。その中でも大きく聳え立つ雪山に目を奪われた。手に持っていたパンフレットを見ると、その雪山は「ナッペ山」と書かれており、その下には詳しい説明も書かれていた。今まで見た中では一番大きく、新たに踏み入れる地に大きな期待が生まれた。

 

 形が大きくなるに連れ、ぞろぞろと乗客が出てきた。ハルトはそれを見て、もうすぐ港に到着することを感じ取った。部屋に戻って荷物を取りに行こうと、人の流れとは逆方向に歩き出した。

 

 ドサッ

 

 すれ違った際、その中の一人が物を落とした。落とし主はそれに気付かず、そのまま行こうとしたため、ハルトはそれを拾い、声を掛けた。

 

 「すみません、コレ落としましたよ」

 

 努めて優しく声を掛けたつもりであったが、落とし主は全身をビクッ!と震わせ、振り返った。

 

(そんなに驚かなくても…)

 

 ハルトは内心そう思ったが、表情には出さずに差し出した。相手は少し怯えた様子で素早く受け取ると、頭を下げて何も言わずに立ち去った。

 

「変な奴」

 

 良いことをしたつもりが、モヤモヤした気分になってしまった。それに、落としたものは複雑な機械のようなもので、あまり見られたくない様に思えた。一体何者なのかと考えたが、無駄だと思い、すぐさま自分の船室へと向かった。

 

 

 

 港に到着し、手続きを済ました。先程母親連絡があり、港でアオイ達が迎えに来ているとのことだった。しかし、会うのはかなり久しぶりなので、目印となりそうな場所を伝え、そこで待つことにした。

 

 数分後、こっちに向ってくる二人組が目に入った。何年も会っていないといっても面影はあり、すぐにアオイ達だとわかった。少しだけ大人びていたが、雰囲気は昔のままだった。

 

「ハルトくーん」

 

 アオイママがこっちに手を振ったのを見ると、ハルトも歩み寄り、頭を下げた。

 

「お久しぶりです」

 

「本当ね!とても逞しくなったわ!」

 

「ハハハ」

 

 アオイママは昔と変わらずとても明るく話しかけてくれた。軽く談笑し、今度はアオイの方を見た。嬉しいでも悲しいでも嫌そうでもなく、無表情でこっちを見ていた。

 

「久しぶりだな」

 

 ハルトは取り敢えず、挨拶をした。

 

「久しぶりだね、ハルト君」

 

 やけに素っ気無いとハルト感じたが、それを見たアオイママが口を挟んだ。

 

「なに緊張してんのよ、さっき迄あんなにソワソワしてたのに」

 

 するとアオイは顔が赤くなり、

 

「ちょっ、ママー!!」

 

 と叫んだ。それを見たハルトはふふっと笑った。

 

「アンタも何笑ってんのよ!」

 

「いやーそういう所は変わってないなーと思って」

 

「なんですって!」

 

 ヒートアップしそうになるアオイをアオイママはまぁまぁと収めた。

 

「アオイ、ハルト君は長旅で疲れてるんだから、困らせちゃダメでしょ?」

 

「だって~」

 

 このやり取りにもハルトは懐かしさを憶えた。成長しても、人となりは変わっていなかった。そこに嬉しささえも感じた。

 

「別に、今更畏まる必要もないよ。そのままでいーよ」

 

「えっ」

 

 アオイは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに笑顔に変わり、うん!と頷いた。

 

「これから宜しくな!」

 

「こちらこそ」

 

 二人は笑顔で硬い握手を交わした。アオイママもそれを微笑ましそうに見ていた。

 

 

 

 

 

 アオイママの車に乗り込むと、近況について話し合った。家族の事、学校の事、様々話し合った。それが終わると昔話に話を膨らませ、到着するまで話が尽きなかった。

 

 数十分すると到着したようで、車から降り、辺りを見渡した。

 

「どう?随分田舎町でしょ?」

 

 アオイはやや自虐的に言った。

 

「うん。でもこの雰囲気結構好きだな」

 

 それをアオイは驚くと同時に、少し嬉しく感じた。そしてハルトの前に立つと、町の説明を始めた。

 

「ここはね、コサジタウン!ちょっぴり控えめな町だけど、ここから見る景色は絶景だよ!」

 

 そう言って、海の方を指差した。時間帯的にも夕日によって、海がオレンジ色になっていた。

 

「おぉ~すげーなぁ」

 

「でしょう?」

 

 アオイは嬉しそうに言った。そして今度は反対を指差し、

 

「でね、あっちのでっかいお屋敷が…」

 

「アオイーハルトくーん!こっちよー!」

 

 途中で、アオイママの呼ぶ声が聴こえた。見ると家の玄関からこっちに向かって叫んでいた。

 

「ごめーん、今行く!」

 

アオイが走っていくと、ハルトもそれに続いた。

 

「もう、何やってたの?」

 

「ハルトにこの町を紹介してた」

 

「それも良いけど、明日からアカデミーに行くんでしょ?今から準備しないと慌てることになるわよ」

 

「はーい」

 

 アオイはそう言うと、自分の部屋へと向かっていった。

 

「ごめんねハルト君、疲れてるのにアオイが連れ回しちゃって」

 

「大丈夫ですよ、それに昔もこんな感じでしたし」

 

 一緒に遊んでいた頃もハルトはアオイによく連れ回されていた。非常に好奇心旺盛で、ハルト以上にわんぱくな子どもだった。今でもその面影が感じられ、懐かしいと感じていた。

 

「そうだったわね。あ、そうだ。ハルト君、今日泊まってもらう部屋何だけど、右曲ってすぐの部屋だから。少し狭いけど、ごめんなさいね」

 

「いえ、お気遣いなく。泊めて頂くだけでも有り難いです。」

 

「そんな謙遜まで覚えちゃて、アオイも見倣ってほしいわ」

 

 そう言うとアオイママはキッチンの方へと向かった。ハルトは持ってきた荷物を持ち、「おじゃまします」と言ってから上がった。

 

「えっと、右曲ってすぐだから…ああこれか」

 

 部屋のドアを見つけると、ドアノブに手をかけた。するとポンと肩を叩かれ、

 

「何してるの」

 

 と声が聴こえた。振り返るとアオイがこちらを睨んでいた。

 

「うわ!何だよいきなり!」

 

「何してるのって聞いてるのよ」

 

「いやだから部屋に行こうと…」

 

「そこ、ママの部屋何だけど」

 

「え?」

 

 ハルトは驚いて、固まった。アオイはハルト腕を掴むと、

 

「アンタの部屋はこっち」

 

 と言って、別のドアの前に連れて行った。

 

「ったく、ママの部屋で一体何する気だったの」

 

 アオイは腰に手を当て、再びハルトを睨んだ。

 

「ち、違うって!おばさんが右曲ってすぐの部屋だっていうから!」

 

「ホントに?」

 

「う、嘘じゃないって!」

 

 ハルトがそう言うと、ハァとアオイがため息をついた。どうやら誤解は解けたようだ。

 

「わかったわ、後でママに注意するから。ほら入って」

 

 アオイがドアを開け、ハルトに入るよう促した。中に入ると、確かに少し小さ目の部屋であり、そこにはベットがポツンと寂しく一つだけ置かれただけだった。

 

「ここ、少し前まで物置として利用してたから、何もないの。ごめんなさい。でも、掃除はしてあるから」

 

 アオイは申し訳無さそうにハルトに言った。

 

「気にしなくていいよ。どうせ明日からはアカデミーで過ごすんだしさ。ベットがあれば十分十分」

 

 そう言いながらハルトは荷物を置き、ベットに腰掛けた。それを聞いてアオイは少し安心した表情を見せた。

 

 モサッ

 

「ん?」

 

 真後ろから音がして、ハルトが振り返る。すると、少しベットの一部分がこんもりと盛り上がっていた。そしてモソモソと動くので、ゆっくりとめくり上げた。

 

「むちゃありー‼」

 

「うわ!!!!」

 

 黒い影がいきなりハルトの方へと飛びかかった。ハルトは驚いた勢いで、ベットの下にドシン!と音を立てて落ちた。

 

「イテテ…」

 

 そう言いながら目を開けると、リスの様な生き物が上に乗っかっていた。その生き物も可愛らしい目でこちらを見ていた!

 

「コラー!ジェリーちゃん!」

 

 アオイはそのジェリーという名の生き物に向かって叫んでいた。

 

「じぇ、じぇりーちゃん?」

 

「イタズラしちゃ、駄目でしょ!ごめんねハルト。痛く無かった?」

 

「いや、大丈夫だけど、その子は?」

 

 ハルトはジェリーに指差し、アオイに尋ねた。

 

「この子はね、ホシガリスのジェリーちゃん。私の家で飼っているポケモンよ。普段は大人しくて良い子何だけど…」

 

 アオイはそう言って、困った顔をしていた。ハルトはというとあまり気にしておらず、寧ろそのポケモンに興味を持っていた。

 

「可愛いね!抱っことかできる!?」

 

 ハルトは少し興奮気味に尋ねた。アオイは少し驚いたが、うんと頷くとハルトに渡した。触って見ると暖かく、毛並みも良く、とても可愛らしいかった。

 

 すると、ハルトは何かを思い出したようで、一旦ホシガリスを置くとバックの中からあるものを取り出した。それはアーモンドであった。袋を開けて二粒程取り出すと、手のひらに乗せて差し出した。ホシガリスは近づくとアーモンドを手に取り口の中に放り込んだ。

 

「あ、食べた!」

 

 ハルトは嬉しそうに言った。アオイもそれを微笑ましそうに見ていた。しかしホシガリスの方は物足りなかったのか、アーモンドが入った袋を見つけると駆け寄り、ガサゴソと音を立てて次々と口へと入れていった。

 

「ああ、ちょっと!」

 

 見ていたアオイが止めに入ろうとしていたが、ハルトの方は気にせずそのまま眺めていた。

 

「まぁいいって、好きにさせなよ」

 

「そうは言っても…って、ジェリーちゃん!!」

 

 ホシガリスは袋を持ったまま部屋から飛び出し、アオイもそれを追っかけていった。

 

「ハハハ、賑やかだなぁー」

 

 ハルトはそれを微笑ましそうに眺めるのだった。

 

 

 

 

 夕食を済ませ、お風呂にも入り、ハルトは用意された部屋から窓の外を眺めていた。空はすっかりと暗くなり、僅かな証明と月の光が照らされているだけだった。

 

 最初緊張していたものの、アオイとアオイママ、そしてホシガリスのジェリーのお陰で全く無くなっていた。ここでならもう一度ポケモンと触れ合える。そう感じていた。

 

「ふぁぁ~〜」

 

 ハルトは欠伸をかくとベットに行き、眠ることにした。明日はいよいよアカデミーに行く日だ。大きな期待に胸を膨らませ、ハルトは眠りについた。

 

 




次はいつになるのやら天
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