AnotherSEED   作:another12

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戦いを呼ぶ者達

 

 

 

 

 

「こいつはなに…!?」

 

 

 突如現れた漆黒のモビルスーツをティアは唖然として見つめた。

 情報には無かった漆黒のガンダム。間違いなく奪取されている三機と同シリーズに違いない。

 

ーー情報にない新型!?

 

 ティアが気を飲まれているうちに、目の前の漆黒の機体は大型ビームサーベルを振るってウェインの“クラッシュ”に飛びかかった。

 

『なんだよ、これ!?』

 

 ウェインがかろうじてその刃をかわし、後退しながら頭部バルカン砲を乱射した。

 だが、同じく“RPS”装甲を積んでいる“フォルテ”に実弾等聞くはずもない。

 自分達同様に、この機体には実弾は効かない。となるとビームかレーザーを用いるしかない。

 “フォルテ”は腰からビームライフルを抜き放ち、滞空中の“クラッシュ”を狙う。

 

「おのれっ! アレも新型か!?」

 

 ジェイムは援護のヒートロッドを振りかざしながら、モニターに現れた“unknown”の文字を見て毒づく。

 

「どういう事だ…! あんな機体の情報は…!」

 

 この工廠に新型のガンダムが三機ある。それを取って来い。としかジェイム達は言われていない。四機目があるなんて話が違うではないか。

 その間にも“フォルテ”と“クラッシュ”は激しく交錯している。

両手の甲からビームソードを展開させた“クラッシュ”に、“フォルテ”大型ビームサーベルで立ち向かう。その刃をかわしてすれ違った“クラッシュ”が振り向きざまにビームソードを振るう。が、背面からの攻撃を“フォルテ”はレーザーシールドを展開してレーザー刃を受け止める。そして大型ビームサーベルを“クラッシュ”に向けて切りつける。

 

「っ!?」

 

 ウェインは危ういとこでビームシールドを展開して受け止める。

 互いにシールドで互いの刃を受け止めあい、火花が散る。

 

ーーあのパイロット…!

 

 ティアは“フォルテ”の戦い方を見て口元を引き締めた。

機体だけじゃない。パイロットもかなりやる!

コイツも侮れない相手だ。

 

 

 

 

 

「そろそろ時間だな。行くぞ。」

 

 時計を確認した艦長席に座る細身の男性が号令し、ついでに嘲笑うように付け足した。

 

「慎ましく、な。」

 

 特務艦“アラクネ”のブリッジはその指令を受けてにわかに活気付いた。

 

「“ゴッドフリート”、一番、二番、起動! ミサイル発射艦一番、二番起動!“コリントス”装填ーー!!」

 

 装艦に従事している者達はみな、見慣れない制服を身につけていた。

 “ZEUS”のものでも、“RAVEN”のものでもない。

 最初に命令を下した美少年は、手元のモニターを見つめている。

 そう、この艦を指揮するのは中性的な顔立ちをしたまだあどけなさ残る少年なのだ。細身の身体に、朱色の短髪に、オレンジの瞳。レン・リューイン。この艦を指揮する艦長であり、階級は大佐だった。

 モニターの中央には、ゼウスのナスカ級艦が浮かんでいる。すでに射程距離に入っているというのに“アラクネ”に気付いた様子はない。

 それもそのはずだ、“アラクネ”の存在する宙域にはいかなる艦影も見て取れない。それは視覚的にも、レーダ等の観測機をもってしても。

レンは不敵な笑みを浮かべ

 

「主砲照準、左舷ナスカ級。発射とともに“ミラージュミストコロイド”を解除、機関最大。ーーようやく俺達の出番だ。神に逆らいに行くとするか。」

 

この世の神ーー“ZEUS”。

 

「“ゴットフリート”、てーっ!」

 

 レンが声を張り、“アラクネ”の二二五センチ二連装高エネルギー収束火戦砲“ゴットフリート”Mk.80が火を噴いた。おそらく標的となったナスカ級からは、なにもない空間かわいきなり撃たれたように見えただろう。いや、それさえ見る事が出来たものはいないかもしれない。太い熱線は真っ直ぐにナスカ級の機関に吸い込まれ、一瞬ののちに艦は激しい爆発を起こして四散していた。

 

 エンジンが唸りを上げて“アラクネ”の船体に急激な加速がかかる。同時に揺らめきながら帳が落とされたように、虚空から灰色の艦影が現れた。“ミラージュミストコロイド”

システムが解除されたのだ。この艦は世界最新鋭の技術を積んでいる艦だった。

 

 突然現れ、主砲とミサイルを連射しながら突き進んでくる“アラクネ”を前に、はじのナスカ級だけでなく、付近を紹介中のゼウス艦、また“コペルニクス”の管制が完全に虚を衝かれたのは間違いなかった。

 二隻目のナスカ級がかろうじてミサイルを迎撃してコチラに応戦してくる。

 

「来るぞ。迎撃準備!」

 

 レンは冷静な口調で言い、矢継ぎ早に命令を下す。

 

「モビルスーツ発進後に回頭二十! 主砲照準インディゴ、ナスカ級ーーー!!あいつらの砲には当たるなよ。」

 

 その警句にブリッジのクルー達は不敵な笑みで答える。

 

 “アラクネ”の開いたハッチから、GAT-X02L2“ダガーL”が飛び立って行く。それだけではない、MVF-M11C ムラサメまで飛び立つ。一方は地球軍のかつての量産機、一方はかつてのオーブの量産機。どちらも十年前に活躍したモビルスーツ達だ。

今となっては時代遅れの機体を発進させて尚、レンの余裕は消えなかった。

 

 

 

 かすかな、だが無視できない揺れが踏みしめた大地から伝わる。

 それはジェイム達にとって時間切れをあらわしていた。

 目の前にはなおも漆黒のモビルスーツが立ちふさがっている。

 幾度となく“クラッシュ”の二刀のビームソードとぶつかり合うも漆黒のモビルスーツを仕留めるには至らず。ジェイムがクダを巻く。

 敵がバックステップで後退し着地したタイミングを見計らって、ジェイムもヒートロッドを振りかざす。が、二段構えの攻撃にも機敏に反応しジェイムのヒートロッドをビームサーベルで切り裂き、その勢いのまま横薙ぎにコックピット狙ってその刃を振るう。

 

「チッ!」

 

「任せろってうぉ!?」

 

 ジェイムは舌打ち混じりにやむなく後退し、代わりに飛びかかろうとした“クラッシュ”を上空から砲弾が襲った。二機の“ディンⅡ式”が漆黒のモビルスーツの加勢に入ったのだ。が、別方向からのビームが空中の二機を貫いた。

飛来したのはリーブの“フォートレス”だ。

 

「そう簡単に近づかせませんよぉ〜!!」

 

「リーブ、時間だ。」

 

興に乗っているリーブにジェイムが冷静に告げる。

 

「なんですって!? もうタイムオーバーですか!?」

 

「もうすでに遅れてる。置いていかれるぞ。」

 

 苛立ち混じりにリーブに返す。

“フォルテ”と“クラッシュ”が離れたところをジェイムのビームライフルが狙う。

だが敵はその射撃すらもシールドと跳躍でかわしていく。

 

『一体コイツはなんなんだよ!? 新型は三機の筈だろ!』

 

 ウェインが非難混じりに言うからジェイムもむっとして言い返した。

 

「俺が知るものか! 」

 

 『どーします!? あんなのは我々の計画にないですよ! レンのクソガキめ…!』

 

 今度はリーブが今はいない指揮官に向けて毒づいた。

 それにはジェイムも同感だ。

 この三機の情報は手に入ったのに、なぜあの機体だけノーマークなんだ。

 

「放置も出来んだろう。追撃されても面倒だ。」

 

 言いながらジェイムは背後から接近してくる“ザク”に向けて銃口を向ける。たった一射で“ザク”は撃ち落とされる。敵も最初の襲撃から立ち上がりつつある。今のうちに退却した方がいいのはわかっていた。

 だが、ジェイムはビームサーベルを構えて“フォルテ”に躍りかかる。

 

『あらあら? 首でも土産にしようと言うのですか?』

 

 馬鹿にしたように言いながら、リーブもその後に続いた。

 

『不潔っていうんですよ! そういうのっ!』

 

 

 

 

 

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