AnotherSEED   作:another12

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禁忌の力

 

 

 

 

 “コペルニクス”を飛び出した途端、宇宙の深淵がヒロキを押し包んだ。一瞬、見当識を喪失する。それでも何とかヒロキは気流に流された機体を立て直し、慌ただしくモニターを切り替えて全方位を探る。だが周囲には例の三機は見当たらない。

 

「くっそ! どこだっ!?」

 

 

 焦りに歯噛みしながら、ヒロキはとにかくバーニアを噴かし、三機の痕跡を探し回った。当てずっぽうに飛んでもあいつらが見つけられるはずもない。宇宙空間は暗く、深い。Nジャマー環境下ではレーダーも当てにならない。

 あきらめて、機体を返そうかと思った時だった。

 

「ーーーっ!!」

 

 ぞわり。と先程と同じように背筋を伝う嫌な感覚に、ヒロキは反射的に周囲を見渡した。

 視界の隅にキラリと白い光が映った。ビーム砲で狙われていると気づき、慌ててビームシールドを掲げてそのビームを弾く。

 ヒロキは一瞬にして全神経を高ぶらせながら、周囲をチェックする。だが、ビームは何もない空間からーーそれもまったく別の方向から発射されたように見えた。

 

「ーーーどこからっ!?」

 

 戸惑うヒロキの目に、矢のように迫る純白の機体が映る。

 

ーーーモビルアーマー!?

 

 見た事もない形状のモビルアーマーは機体下部のレールガンを撃ちながら、“フォルテ”の横をすり抜けた。それを追ってビームライフルを構えようとしたヒロキを、まったく別方向からのビームが襲う。

 

ーーほかにも敵が!?

 

 ヒロキはそちらを確認しようとするが、影らしきものは見当たらず、代わりにふたたび四方からのビームにさらされた。なんとか機体を急旋回させて射線をかわす。回避する寸前、ようやく、高速で動き回る物体をヒロキの目がとらえる。

 ビーム砲を備えた特殊ポッドーー“ドラグーン”

 さっきの機体に付属する特殊兵装だろう。

 だが、暗い宇宙空間で高速機動するそれらの“ドラグーン”に対応する事は不可能に近かった。

 飛び回るドラグーンが矢継ぎ早にビームを放つ。ギリギリでシールドをかざし、ビームライフルで応戦するが、こちらのビームが空間を薙いだときには、すでにそこにドラグーンはない。

 全方位からの間断ない砲撃に、ヒロキは翻弄されるばかりだ。

 

「くっ…! このっ!」

 

 一基のドラグーンが正面に滑り込む。

 ほとんどパニック状態だったヒロキは、なんとかシールドで防いでみせた。

 

「予想以上……やるじゃない。」

 

 ティアは縦横無尽に四機のドラグーンを操り、着実に新型モビルスーツを追い詰めていた。

 “フェンリル”の宇宙用追加武装ーー“ドラグーンバレル”。

 重力圏内では制限されてしまうその武装も、無重力圏内では恐ろしい武装となる。

 しかし、この強力な武装はティアをもってしても四機を操るのが限界だった。ドラグーンを縦横無尽に操るには、高い空間把握能力が必要となる。

 生まれつきその能力が高い者もいるが、どちらかというとティアには発展途上の能力だ。同じ組織にいる高い空間把握能力を持つ男に鍛えてもらったものの、まだ四機を一斉に操るのが精一杯だった。

 量子インターフェースを改良され、レスポンスが大幅に向上したことにより使用者の空間認識能力に依存しない第二世代ドラグーン・システムも存在するのだが、システムに頼る為にその軌道を読まれやすいという弱点がある。ティアはそのシステムを拒み、扱いの難易度が高い第一世代ドラグーンを選んだのだった。

 しかし、その高速運動するドラグーンの狙いを捉えたのだ。ビームは撃ったと同時にほぼ目標に到達する。弾道を見切れる技術をあのパイロットは持っている。

 

そのときーー

 

ーーーこいつは、普通の敵じゃない!

 

 不思議な声をティアは聞いた。

 通信の混戦ーーいや、そんなものではない。全身の細胞がその声に共鳴したようだった。

 

「なに……?」

 

 戸惑いつつも、ティアは好奇心を覚えて“フォルテ”に砲撃を集中させる。そのことごとくを漆黒の機体を鮮やかにかわし、逆にビームライフルでドラグーンを一基撃ち落とした。

 

「ヘタクソ! ヘタクソ!」

 

「うるさいっ!」

 

 相棒に声を上げ、ティアは漆黒の機体のパイロットに舌を巻いた。

 

ーーーたしかに、コイツは普通じゃないみたいね。

 

 

 

 

 敵はドラグーンを背部のユニットに収納し、機体を高速でヒロキに向けた。

 

「来るっ!!」

 

 ジグザグに高速軌道を見せる敵に、ヒロキはビームライフルを放つ。が、純白のモビルアーマーに向かって放たれるヒロキのビームライフルがその照準が間に合わない。純白のモビルアーマーのスピードは、モビルアーマーの域を越えている。

 自分の目をもってしても、目で追いきれない。

 

「コイツっ!!」

 

 眼前に迫った純白のモビルアーマーに向けて、大型ビームサーベルを抜き放つ。が、その振るわれた光刃は空を切る。すでに純白のモビルアーマーはヒロキの背後に居た。

 このまま、また距離を取られる! そう思った瞬間、ヒロキは目を疑った。

 純白のMAがその姿を瞬時に可変させていたのだ。

 

「ガン……ダム……!?」

 

 そこに居たのは、特徴的な頭部、その似通ったフレーム、間違いないアレも自分と同じガンダムだ。

 だが、手元のデータには「unknown」と表記されている。

確かに自身もあの純白のモビルスーツの存在を知らない。見たことも、聞いたこともない。

 純白のボディに、肩と脛の部分に特徴的な尖ったウイング、背中にはMA形態の名残なのだろう、小さな可変翼が二枚付いている。右手にはひし形のシールドが備えられている。

 天使にもどこか似通ったその純白のモビルスーツは、ビームサーベルを抜き放つとヒロキに肉薄してきた。すぐにヒロキもビームサーベルで応戦し、互いの刃がぶつかり合い火花を散らす。

 

「くっ…! こいつ!」

 

「落ちてもらうわよ……黒いのっ!!」

 

 幾度となく、サーベルで斬り合うと純白のモビルスーツが目の前から消えた。

 いや、見失ったのだ。その異常的な早さに。

 

「ーーー上かっ!!」

 

 ヒロキが上を見上げれば、ヒロキの頭上から左手にビームマシンガンを構えている純白のモビルスーツの姿があった。ヒロキはなんとか寸前でビームシールドを展開し、放たれるビームの束を防いだ。しかし、迫ってきた純白のモビルスーツがシールドの上から“フォルテ”を蹴った。

 

「ぐっ……!!」

 

 コックピットを激しい揺れが襲う。しかし、敵を見失えばそれは死を意味する事になる。

 なんとかコチラにビームサーベルで斬りかかる純白のモビルスーツに自身もビームサーベルで切り結ぶ。

 

ーーー許さない。

 

 ふと、ヒロキの頭に誰かの声が響いた。

 聞き覚えのある女性の声だ。

 

「なんだっ……!?」

 

 頭の中から聞こえてくるその声に、ヒロキは耳を疑った。

 極限のプレッシャーに置かれた上での幻聴とでも言うのだろうか。

 

ーー世界を、許さないっ!!

 

 またもハッキリと聞こえたその声は、世界に対する憎しみの声だった。

 ヒロキはハッとして自身と切り結ぶ純白のモビルスーツを見やった。

 

「まさか……あの機体の……!?」

 

 敵のパイロットの声が聞こえたとでも言うのか。

 ヒロキはブンブンと首を左右に振り、敵に集中する。

ーーそんなはずあるわけがない。今は、敵に集中しなければ…!!

 

 互いに距離を取り、勢いをつけて再び切り結ぶ。

 再び離れ、先に純白のモビルスーツがビームマシンガンを放ってきた。

 ヒロキはその弾道から逃れるように機体を動かし、敵機に迫る。

 

「こんのおおおお!!!」

 

 雄叫びと共に斬りかかる。が、素早くその姿をMAに変えた敵機は驚異的なスピードでヒロキの振り下ろした光刃をかわして見せた。

ーー遊ばれてるってのか? 俺が!

 

 すでに距離を取った敵機はまたもやドラグーンを展開してきた。

 

「またアレかよっ!?」

 

 四方からビームがヒロキを襲い、機体をきりもみさせてなんとかその軌道から逃れる。

 機体の脚部をビームがかすめ、ジュッという音と共に機体の表面を溶かした。

 なんとか、慣れては来たもののこの武装に対してこちらはあまりにも無力だ。

 見れば、眼前にモビルスーツ形態に変形していた純白のモビルスーツがビームサーベルで切り掛かって来る。舌打ち混じりにその切っ先をかわし、ビームライフルを撃ちかける。しかし、敵もシールドをかかげてその熱戦を防いでみせた。

 互いに、一歩も譲らない激戦が続く。

 

 

 

 

「索敵急げ! “フォルテ”の位置は!?」

 

 ドッグを出るやいなや、シンは命じた。のんびりとしている状況ではない。索敵担当が声を上げた。

 

「インディゴ五十三! マーク二二ブラボーに不明艦一! 距離、一五〇!」

アーサーが呟く。

 

「あれが母艦か……!」

 

「諸元をデータベースに登録、以降、対象を“ボギーワン”とする!」

 

 敵をあらわすボギーという単語を用いて、アーサーは未知の艦にコードネームを割り振った。“ボギーワン”。懐かしい名前だな。とシンは一瞬感慨深くなる。

 アーサーもそう思い命名したのだろう。

 直後、官制担当のエリーがうわずった声で叫ぶ。

 

「ど、同一五七マーク八〇アルファに“フォルテ”……見慣れないモビルスーツと交戦中の模様…これは、ガンダム!?」

 

「ガンダムだと!?」

 

 アーサーがすばやく聞いた。

 

「は、はい! 我が軍の識別コードではありませんっ! “クラッシュ”、“フォートレス”、“バヨネット”のいずれとも適合しません!」

 

 どうやら、自分の嫌な予感は当たったようだ。

 と、シンは内心歯噛みした。

 

「呼び出せるか?」

 

「ダメです! 電波障害が激しくて!」

 

 例の新型三機はもはや母艦に持ち去られのか?

 だが、何故ガンダムを開発する技術を持っていながら奪取する必要があったのか。

 資金が足りない……もしくは、もう一つの勢力……?

 しかし、ヒロキが遅れを取るとも思えない。

 シンの予想はやがて映し出されたモニター内の映像に覆される。

 ビームが格子のように交錯し、ヒロキの“フォルテ”を追っていた。“フォルテ”は錐揉みし、急上昇しながらそれり避ける。そこを純白のガンダムがビームサーベルを抜き放って切りかかる。なんとかヒロキはシールドで防ぐも大きく弾かれる。

 

「ドラグーン……!」

 

 アーサーが愕然と呟く。ビームの軌跡は数多く、発せられる方向もデタラメだった。

 “フォルテ”のエネルギーは残り少ない。失った三機を嘆いている場合ではない。

 

ーーーデスティニーさえあればっ!!

 

 シンは内心毒づきながら、すばやく手を定めた。

 

「“ボギーワン”を討つぞ!」

 

 ついで、シンの口から矢継ぎ早に命令が飛び出す。

 

「進路インディゴデルタ、加速三十パーセント、信号弾及びアンチビーム爆雷発射用意ーーーアーサー! なにやってるんですか!」

 

 いつまでも呆然としているアーサーを怒鳴りつけると、彼は飛び上がった。

 

「うあっは……はいっ! ランチャーエイト一から四番“ナイトハルト”装填っ!」

 

 あわててアーサーは指示を下しはじめる。

 

「ーートリスタン、一番二番、“イゾルデ”起動! 照準、“ボギーワン”!」

 

 次々と武装システムが起動していく。

 ヒロキを救うために、敵を引き離す。

 

 

 

 

「戦艦……!」

 

 ティアは“コペルニクス”から出てくる灰色の戦艦に気付いた。港が復旧したのか?

 戦況は圧倒的にティアが有利だった。だが現れた戦艦に気をとられたわずかな隙に“フォルテ”にもう一基のドラグーンを撃ち落とされる。

 

「チッ……欲張りすぎはよくないかな……!」

 

『ティア!!』

 

ふと、耳のインカムからうわずったエリカの声が飛び込んできた。

 

「なに!? いま忙しいんだけどっ!」

 

『今すぐその場所から逃げなさいっ!』

 

「はぁ?」とティアは聞き返す。なにをいきなり、と聞きかけたティアの言葉を遮るようにエリカがインカム越しに声を上げた。

 

『かなりの数のモビルスーツがそちらに迫ってる! 少なくとも、二十は!』

 

「なんですって!?」

 

 二十機ものモビルスーツ部隊が何故ここに? コペルニクスからの援軍ではないはずだ。一体どこの

 

『恐らくは新型三機を奪取した部隊の後詰めよ! とにかく、あと数分でそちらに来る……悔しいけど、撤退して頂戴!』

 

「くっそ! ふざけんなっ!」

 

 これでは自分は何をしにコペルニクスに行ったのかわからないではないか。

 みすみす敵にガンダムの姿まで晒して、危険な橋を渡ってその結果がこれか……!

 本来なら目の前の“フォルテ”を撃ちと落とす。だが、ティアは捨てられて生きていくなかで引き際というものを知っていた。

 生きる為に、引く事も重要なのだ。それ以上エリカに反論せず、機体をMAに可変させて踵を返す。

 敵の突然の退却に、敵は反応できずあっという間に距離を開ける。

 

 あのモビルスーツーー機体の性能さしひいても、あれほど自身の動きに反応出来たのははじめてだ。まるでこちらの動きを前もって知っているかのようだった。

 それに一瞬、たしかに聞こえたあの声ーー機体よりもパイロットが特殊だというのだろうか。

 

「次に会ったら……必ず……!」

 

 ティアは後方で立ち尽くす漆黒の機体を恨めしげに睨みつけ、母艦を目指した。

 

 

 

 

 

 撃ってくるビームがいつの間にか途絶えていた。唐突に自分の激しい呼吸音が大きく聞こえる。あまりにも目まぐるしい戦闘だっただけに、目の前から敵が去ってしまってやっとそれに気づくありさまだった。

 

「ハァ、ハァ……なんで……!」

 

 ヒロキはすでに遠くにいる敵機を捉えて唖然とする。

 なぜ急にあのモビルスーツは逃げ出したのだ? あちらが完全に押していたのに?

 その答えはすぐにわかった。別方向から巨大な艦影が接近しつつあったからだ。

 

「“ミレニアム”……!」

 

 ヒロキは目をみはる。待機していた艦がここにいる。

 そのとき、ヒロキの耳に雑音混じりに聞きなれた声が響いた。

 

『……聞こえ……か!?』

 

「聞こえます! シンさん!」

 

 雑音混じりの音声だけだが、確かにヒロキにはその声が聞こえていた。

 

『電波障害……激し……! そこ……に敵の後詰めが迫って……!! 』

 

 後詰め!?

 あの新型三機を奪取した連中の後詰めがこちらに向かっているというのか。

 

『アレを使……許可す……!』

 

 音声越しにシンの声が聞こえ、ヒロキは呆然と自身の右腕を見つめた。

 ヒロキのパイロットスーツは、少し特殊だ。右腕の肘から先だけがパイロットスーツに包まれていない。それ以外はピッタリと空気が入らないように覆われているものの、右の前腕だけが露出している。

 ヒロキは、ゆっくとその露出している前腕を握りしめた。

 その腕は真っ黒の金属で出来ていた。

 十年前ーーーオーブで家族と共に失ったその腕は、そのかわりに真っ黒な金属で出来た腕が付けられていた。そして、この義手はただの義手ではない。

 “フォルテ”がヒロキにしか扱えない理由ーーそれがこの金属製の黒腕にあった。

 

「……」

 

 ヒロキの眼前には、ゆっくりとこちらに接近してくる大勢のモビルスーツ部隊が目に入った。

 

ーーアレか……

 

 手元のモニターには二十近い機影が表示されている。

ヒロキは右腕を握りしめ、目を閉じる。

 

 目を閉じれば昨日の事のように思い出すーーー

 身体を伝う冷や汗、気絶してしまう程の痛み、張り裂けそうになる心、目の前に広がる地獄ーーーそして

 

『……生きてる……のか……?』

 

 呆然とした声で自分に掛けられる涙ぐんだ赤い瞳の少年の声ーーーー。

 その人の為に役に立とうと生きてきた。弱かった自分を変えて、全てを守れるように力を手にした。

 もう、あんな悲劇は繰り返させないーー!

 たとえ、自分自身が殺戮兵器と化したのだとしてもーー!!

 

 

 

「モビルスーツーー数二十!! “フォルテ”に接近中……!」

 

 オペレーターのエリーの声と共に、モニターに大量のモビルスーツが映っていた。

 

「隊長……ヒロキにアレを使わせるんですか……!?」

 

 アーサーが狼狽えた声でシンを振り返る。

 

「今さら機密もなにもないだろう! それに、敵に逆らった相手を間違えた事を教えてやる……!」

 

 そうだ。

 ようやく平和になろうとしている世界で戦い続けて来た。

 殺して、殺して、何人殺したのかわからないほど殺してきた。

 かつての国も、かつての伝説も、かつての上官も、妻の妹もーー全て殺してきた。

 そこまで自分の手を血で染めた平和を、議長の理想を邪魔をする奴らを放っておくわけにはいかない。

 そうだろう? ヒロキ

 俺達は、業を背負い続けなければならない……

 平和の為に心を殺さなければならないんだ!

 

 

 

 ヒロキはゆっくりと目を開く。

 呆然と宇宙空間を漂うだけとなっているこちらに銃を向ける多数のモビルスーツの姿が映った。

 

「……敵……世界の、敵っ!!」

 

 眼前のモビルスーツに重なるかのように幼い頃に見た深紅の巨神の姿が見えた。

 その姿を見つめ、ヒロキは、機体のコンソールに自身の黒腕を叩きつけた。そして、叩きつけた手のひらからなにかが飛び出す。

 鍵だ。真っ黒の鍵が手のひらから飛び出し、コンソールの鍵穴に突き刺さっていた。

 

 ガチャリ。と独特の音がして、機体が解放され、震えだす。

 駆動音が大きくなり、封印されていた禁忌の力を解き放つ。

“フォルテ”のバックパックに備え付けられた巨大な砲身が右肩にのしかかる。

 

 機体の背中に巨大な四枚の翼が展開される。肩と脚部から冷却ファンが開き、有り余ったエネルギーを吹き出す。

 重たげに“フォルテ”がその巨大な砲身を抱える。

 ゆっくり、ゆっくりと駆動音を上げ、その巨大な砲身のその先に機体に残ったエネルギーが集まっていく。

 コックピットのコンソールにはエネルギーの全てがその砲身に集まっているのが表示される。

 ヒロキの目が、敵のモビルスーツ群を捉えた。

 

「……いっけえええええ!!!!!」

 

 そして、雄叫びと共にその禁忌の力を解き放った。

 大きな咆哮を上げ、砲口から溢れんばかりのエネルギーがモビルスーツ群に向けて射出される。

 射出された巨大なエネルギーの塊は、真っ直ぐに白い光が迸った。

 膨れ上がる光球があっという間に、モビルスーツを、艦船を飲み込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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