ざくざくアクターズ二次創作 竜宮恋憧   作:泉 とも

6 / 7
竜虎激突 後編

「なんの!」

 

『おおーっとレプトス渾身の飛び蹴り! しかし、おおっと!? ゼニヤッタこれを空中で避けた!まるで猫のような身のこなし!』

 

「しっしまった!」

「並みの相手なら、これで決着でしたわね」

 

『むしろレプちんは無防備な背中を晒すことになったでち!』

 

 迎撃を失敗したレプトスの着地を、虎悪魔が狙う!

 

 繁殖するトラバラの森、隆起する根、足場を見出しつつ、ホワイトローズで追撃する。

 

 徹底した地上戦での猛攻!

 

「波、そうだっ!」

 

『レプトスも負けじと水龍を呼び寄せるが、ああっと凍り付いていくー!』

 

『ゼニヤッタちゃんの冷気に負けてしまったんでち、でもこれでいい!これがいい!』

 

 滝の動きを逆再生したかのように、昇竜は凍てつき彫像と化す。

 

「ハイィィィィヤッ!!」

 

 その彫像を足場に蹴り、先ほどよりも遥かに威力を増した飛び蹴り、ドラゴントレインが放たれる。

 

 樹氷をバラバラに蹴散らし、駆け寄るゼニヤッタに突き進む。

 

「っ!」

 

 ゼニヤッタの表情が曇る。眉根を寄せ、その顔面に爪先が触れる瞬間。

 

 彼女は開眼した。

 

『うおっ』

 

 上体を低く沈ませ、足を大きく開く。

 長椅子の下を潜るかのような、曲芸染みた前進。

 額の端が切れ、髪の毛が切り裂かれる。

 

 正に間一髪。

 

『避け切った!まさかの回避!』

「まずっ」

「ご無礼」

 

 背後からの追撃に備え、全身の力を集中させたレプトスの背中に、ゼニヤッタの爪が食い込む。

 

「ぐっああああああーーーー!」

『ゼニヤッタのタイガーソード炸裂ゥ! そしてこれは!』

『ヅッチーのプラズマクローでち!』

 

 本家が電撃を拳に纏わせるのに対し、こちらは氷の爪で拳を覆っていた。

 

『ニクイことしてくれるぜ、そしてこれは』

『クラマくんの連続ステップでち』

 

 ――決まったナ。ゼニヤッタのご無礼が出た。あとは一方的な棒攻めあるのみだ。

 

 イリスの言葉を裏付けるように、ゼニヤッタの攻撃は苛烈を極めた。

 

「ぐっあぐ、くううう!」

 

 見る間にレプトスの体は血に染まり、虎を相手にした者の末路を見る者に思わせた。

 

『攻撃が途切れない!レプトス踏ん張って耐えるしかない!遂に試合が大きく動いたが、これは勝負あったかー!?』

 

『ああ、まさか、まさかあの技は!』

 

 それまでが爪による攻撃ならば、これこそが牙、大いなる顎。

 

「国王様、これが私の修行の成果です」

 

 ゼニヤッタが腰だめに両手を構えると、圧倒的な闘気が高まっていく。

 

『デーリッチ覇王砲!』

 

 本家を上回る虎の気が、竜の背を討ち、夜を照らす。

 

(まだだ、まだ耐えるんだ……。まだ私は、あの人に触れてさえいない。まだ)

 

「うおおおおぉぉぉぉーーーー!!」

 

『耐えた!?レプトス未だ倒れない!』

 

 ゼニヤッタの攻撃が途切れ、レプトスが振り返る。自分を仕留めるために費やした力は嘘ではない。

 

 そして、その隙も。

 

(だからこそ、彼女に応えなくてはならない!)

 

『行ったー!残り体力も僅かだが、だからこそ行く!』

『今しかないからでちね!』

 

 全身を捧げた必殺の肉薄、ゼニヤッタの捌きも搔い潜り、顔と顔が迫り、吐息が重なるほどの距離。

 

「おおおおおおおおおおおおーーーーーー!!」

 

 殿下の宝刀が抜かれ、臥せた竜が目を覚ます!

 

「くっごふ、かは!」

 

『決めたー!レプトス必殺のウェイクアップリューオー!いや!?』

「ああああああーーーー!」

 

『止まらない、止まらない、止まらない!これはアリウープの技、四連三連三連、難蛇龍王烈波!どこまで続くんだー!』

 

 レプトス自身は無意識で行っていた。その身に宿る水龍は、二つ!

 

 一つは再び繰り出した青き龍、そしてもう一つは、己が流した血が形作る、赤き龍!

 

 追い詰められた彼女が、生命の危機に陥り、生存への本能と、強敵(とも)に報いたいという愛が、秘められた力を爆発させたのだ!

 

 荒れ狂う二色の大波が、渦潮となってリングを飲み込んでいく。

 

「ほん、とうに、お強いですのね」

「ゼニヤッタさん……ぐっ」

 

 語り掛ける悪魔は、天使のように微笑んでいた。

 無我のままに繰り出されたコオリナックルが、レプトスの心の臓に突き刺さる。

 

 最後の抵抗であった。

 連撃が止まり、二人の視線が重なる。

 

『と、とまった……?』

 

 深紅の瞳の中に、自らの姿を認めると、レプトスはゼニヤッタを抱いた。

 

 ――えっこれまさか、まさかなの!

 ――えっちなやつ!? えっちなやつじゃん!?

 

『あっやば、レフェリーそろそろ止め』

 

 そして、二色の龍と共に天高く飛び上がると。

 

『そうだ、まだこの技があった!』

 

 二人はてこてこ山の山頂から、静かに落ちて行った。

 

『あ、き、救助―!』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。