【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第7話(2)対戦闘員戦

「うおおっ!」

 

「かかれっ!」

 

「皆、こういうときこそ冷静になるんだ!」

 

 グレーが声をかける。

 

「む!」

 

「ボクたちは現在、高所の上に陣取っている! これは大きなアドバンテージだ! これを活かさない手はない!」

 

「なるほど!」

 

「的確な状況判断どすなあ~」

 

 オレンジとパープルが納得したように頷く。

 

「燃えてきた~!」

 

「やったんで~!」

 

「⁉」

 

 シアンとブラウンが高台から勢いよく駆け下りていく。

 

「高所のアドバンテージを自ら捨てた……」

 

「端的に言って……アホどすな」

 

 オレンジが頭を抱える横で、パープルが率直な一言を言う。

 

「ふ、ふふ、ふふふ……!」

 

「グ、グレー?」

 

「これくらいは想定内さ! こんな時こそ、冷静さが求められる!」

 

「おおおっ!」

 

「ええい! やかましい!」

 

「うおっ⁉」

 

 グレーが鞭を振るい、高台を登ってこようとする戦闘員たちをことごとく叩き落とす。

 

「静まれ! 静まれ! 静まれー!」

 

「うおおっ⁉」

 

「おお、情け容赦ない! なんとも見事な鞭さばきどす!」

 

「い、いや、そうでもないぞ⁉」

 

 オレンジの言う通り、グレーの振るった鞭がオレンジたちの方にも当たりそうになる。

 

「これは困ったどすなあ~」

 

「お、落ち着け、グレー! 冷静になるんだ!」

 

「はあ、はあ……ま、まあ、シアンとブラウンは近接戦闘でこそ力を発揮するタイプだからね。そもそも迎撃戦に不向き。今後はその辺も考慮に入れて戦闘に臨むこととしようか……」

 

「どうやら冷静さを取り戻したみたいどすな……」

 

「苛立ちを発散しただけのような気がするがな……」

 

 パープルの囁きにオレンジが応える。

 

「なんや知らんけど、相手の勢いが弱なったな!」

 

「こういうのは先に弱気になった方が負けだよ!」

 

「ええこと言うな、シアン! そん通りや!」

 

「ぐおおっ!」

 

「高台から降りてきた二人を囲め!」

 

「囲めるもんなら囲んでみい!」

 

「なっ⁉」

 

 ブラウンが独特のリズムから繰り出される巧みなステップワークで戦闘員たちの間をすり抜けていく。ブラウンが笑いながら声を上げる。

 

「ははっ! どんなもんじゃい!」

 

「逃げているだけだろう!」

 

「包囲網を狭めろ! やがては逃げ道がなくなる!」

 

 相手の言葉通り、ブラウンがすっかり囲まれてしまう。

 

「がははっ! 口ほどにもない!」

 

「ふふっ、まんまと引っかかりよったな?」

 

 ブラウンが悪戯っぽく笑う。

 

「なにっ⁉」

 

「引き付けただけや! 食らえ! 『ダンスダンスエボリューションキック』!」

 

「ぐおおっ⁉」

 

 体勢を低くしたブラウンが両手を地面に着き、両脚を勢いよく回転させる。予想だにしない方向から攻撃を食らった戦闘員たちは足払いをされるような形になり、次々と転倒していく。体勢を元に戻したブラウンが胸を張る。

 

「どんなもんや!」

 

「そ~れ~!」

 

「のあっ⁉」

 

 ブラウンとわずかに残っていた戦闘員たちのところに水流が流れ込んでくる。

 

「あ~青い玉をくっつけると、水流が発生するんやな……勉強になったわ~」

 

 高台の上から水流を発しながら、パープルが呑気に呟く。

 

「パ、パープル⁉ 味方を巻き込むなっちゅうねん!」

 

 ブラウンが声を上げる。

 

「そんなとこにおるのが悪いおす」

 

「そ、そんな⁉」

 

「まあ、ブラウンはんなら、それくらいスイスイと泳ぎ切れるやろう?」

 

「う、うおおっ!」

 

「おおっ、さすが~運動神経抜群~♪」

 

 水流を泳ぐブラウンにパープルがパチパチと拍手を送る。

 

「……実はボクよりも苛立っていたってことかな?」

 

 グレーがパープルの背中を見つめながら、小声でオレンジに話しかける。

 

「かもな……」

 

「今後はパープルのことを極力怒らせないようにした方が良いね……」

 

「ああ……」

 

「なんだい、心ここにあらずだね?」

 

「すまない、『集中』させてくれ……」

 

「おっと、これは失礼……」

 

 グレーがオレンジから離れる。オレンジは銃を構えている。

 

「固まるな! 奴らの思うつぼだぞ!」

 

「水流は一部にしか流れていない! 距離を取れ!」

 

「体勢を立て直すことを優先しろ!」

 

「同じ白色タイツの集団かと思ったが、どうやら隊長クラスが何人かいるようだな……つまり奴らを優先的に倒せば、連中は……たちまち! 瓦解! する!」

 

「うぐっ!」

 

「おぐっ‼」

 

「むぐっ⁉」

 

 オレンジの正確な射撃が決まり、三人の戦闘員が崩れ落ちる。

 

「た、隊長たちがやられた!」

 

「なっ、どうすれば良いんだ!」

 

「お、落ち着け! ここは副隊長の俺が指揮を執る!」

 

「ははっ、ビンゴ♪」

 

「な、なにっ⁉」

 

 副隊長と名乗った戦闘員の懐にシアンが飛び込んでいる。

 

「良い面構えしていると思ったから、お偉いさんだと思ったよ!」

 

「面構えって! 皆一緒のマスクとタイツ姿だろうが!」

 

「あ、そうか……そのオーラにピンと来たよ!」

 

「言い直した⁉」

 

「食らえ! 『中パンチ』!」

 

「ごはっ⁉」

 

 シアンの鋭いパンチが決まり、戦闘員は吹っ飛ばされて倒れ込む。

 

「これで終わりかな?」

 

「まだだ!」

 

「我らを倒しても、まだ幹部怪人さまがいるぞ!」

 

「幹部怪人⁉」

 

 戦闘員たちの言葉にシアンたちが身構える。

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