【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第12話(4)決戦、決着!

「ま、まだ立ち上がるの⁉」

 

 シアンが驚く。

 

「な、舐めるなよ……」

 

「なんというタフネス……」

 

 ヘイアンジュウニヒトエが頭を抱える。

 

「お、俺はまだくたばってないぞ! 貴様らの絆の力とはこんなものか⁉」

 

「くっ……」

 

 狼怪人が叫ぶ。その迫力にシアンが気圧される。

 

「ビビったら負けよ! もう一度仕掛けるわよ!」

 

 ヘイアンジュウニヒトエが声を上げる。

 

「……」

 

「ど、どうしたの⁉ いきなり黙り込んで!」

 

「ヘイアンジュウニヒトエさん! こ、ここはアタシたちに任せてください!」

 

「ええっ⁉」

 

「一度手も足も出ずに負けたこの怪人を倒すことで、アタシたちは前に進めるんです!」

 

「!」

 

「だ、駄目でしょうか?」

 

「……分かった。貴女たちに任せるわ」

 

「ありがとうございます! みんな!」

 

「……!」

 

 シアンの声に四人が頷く。

 

「来い!」

 

 シアンが右手を空に掲げる。空から大きな拳が降ってくる。五人はそれを受け止める。

 

「こ、これはなんだ⁉ 拳⁉」

 

「オレンジ、それについて今は良い! とにかく攻撃だ! シアン、指示を!」

 

 グレーがシアンに声をかける。シアンが真ん中に立つ。

 

「みんな、それぞれの持ち手を掴んで!」

 

「……あの~持ち手がありまへんけど?」

 

 パープルが首を傾げる。

 

「えっ⁉ あ、ああ、じゃあ適当に支えておいて!」

 

 四人が二人ずつに分かれ、大きな拳の左右を支える。ブラウンが声を上げる。

 

「持ったで!」

 

「よし……3、2、1、『エレクトロニックナックル』発射!」

 

「ぐおおっ‼」

 

 マジックハンドのように伸びた大きな拳が狼怪人にぶち当たり、後方に勢いよく吹き飛ばされる。シアンがガッツポーズとともに声を上げる。

 

「やったあ!」

 

「……うおおっ!」

 

「ええっ⁉」

 

 立ち上がった狼怪人が咆哮とともに巨大化する。シアンたちが驚く。彩から通信が入る。

 

「おいおい、慌てんなや、自分らにはあれがあるやろ!」

 

「し、司令官⁉ な、なんでしたっけ⁉」

 

「忘れたんかい! おい、博士!」

 

「はい! 座標位置を確認! 転送します!」

 

「‼」

 

 五人のすぐ側にそれぞれ物体が現れる。

 

「あっ、キックボードだ!」

 

 シアンがキックボードに颯爽と跨る。

 

「わたしはスケートボードだな……」

 

 オレンジがスケボーに飛び乗る。

 

「ふむ、相変わらず悪くないね……」

 

 グレーがスポーツカーを華麗に運転する。

 

「うん、ええ感じどすな~」

 

 パープルが戦車を大胆に前進させる。

 

「だからなんでウチがこれやねん……!」

 

 ブラウンが自転車を普通に漕ぐ。

 

「よし、全員マシンに乗ったな!」

 

「今さらですけど、司令官! ウチのはマシンなんですかね⁉」

 

 ブラウンが彩に問う。

 

「な、何を言うてんねん、立派なマシンやろう……」

 

 彩が笑いをこらえながら答える。

 

「ちょっと笑うてますやん!」

 

「まあ、それはええやないか!」

 

「こ、今度はちょっとキレてる⁉」

 

 ブラウンが戸惑う。

 

「博士!」

 

「はい! ポチッとな!」

 

 真白が何かを押した音がしたかと思うと、マシンに乗った五人が眩い光に包まれる。

 

「⁉」

 

「合体ロボ『エレクトロニックインパクト』、出動!」

 

 シアンが大声を上げる。頭部と腹部が水色で、右腕がオレンジ色、左腕が灰色、右脚が紫色、左脚が茶色の合体ロボを見て、巨大化した狼怪人が驚く。

 

「……」

 

 巨大狼怪人が身構える。グレーが声をかける。

 

「巨大化しても爪の斬撃を飛ばしてくるはずだ! 先手を打つよ! オレンジ!」

 

「任せろ! 『インパクトショット』!」

 

 オレンジがエレクトロニックインパクトにライフルを発射させる。

 

「ウオオッ⁉」

 

 銃撃を受けた巨大狼怪人が後退する。

 

「お次はパープルだ!」

 

「任せといておくれやす! 『インパクトバースト』!」

 

 パープルが右脚を操作し、膝から爆弾を発射させる。

 

「ウオオオッ⁉」

 

 爆撃を食らい、巨大狼怪人がよろめく。

 

「ブラウン! 畳みかけろ!」

 

「任せとけ! 『インパクトシュート』!」

 

 ブラウンが左脚を操作し、膝からボールを出してバウンドさせる。エレクトロニックインパクトがボレーシュートのような体勢でボールを蹴り、巨大狼怪人に当てる。

 

「ウオオオオッ⁉」

 

 攻撃を食らった巨大狼怪人がさらに後退する。オレンジが声を上げる。

 

「グレー!」

 

「任せておいてくれたまえ! それっ! 『インパクトブレイク』!」

 

 グレーが左腕を操作し、腰部から鞭を取り出す。 エレクトロニックインパクトが鞭を振るい、巨大狼怪人に当てる。

 

「ウオオオオオッ⁉」

 

 攻撃を受けた巨大狼怪人がさらによろめく。パープルが声を上げる。

 

「これはいけますえ!」

 

「ウオオッ!」

 

「うわっ⁉」

 

 巨大狼怪人が一気に距離を詰めてきて、両手の爪でエレクトロニックインパクトの両腕両脚を切り裂いてくる。モニター画面を確認したグレーが叫ぶ。

 

「マズい! 今の攻撃で両腕両脚に異常が発生した! すぐには動かせない!」

 

「いいや、まだここがあるよ! どっせえい‼」

 

「⁉ ウオオオオオオッ⁉」

 

 シアンが頭部を操作し、強力な頭突きを食らわせる。巨大狼怪人が仰向けに倒れ爆散する。

 

「やったあ! カウンターが決まった! 『インパクトズツキ』!」

 

「そこは日本語なんや……」

 

 ガッツポーズを取るシアンの横でブラウンが苦笑する。

 

「ようやったな! お前ら! 凱旋や! 博士!」

 

「ええ! ミュージックスタート!」

 

 彩の呼びかけに応じ、真白がまた何かを押す。すると音楽が流れる。

 

「エレクトロニックフォース~ちょっと長い名前~」

 

「略してEF~Eフォース~どちらでもお好きな方で呼んでね~」

 

「そもそもeって何なのだろうかって~? それはeスポーツのe~」

 

「eスポーツ~エレクトロニックスポーツ~」

 

「それは五人を結び付けた素敵な競技~」

 

「そして五人の素晴らしい若人~」

 

「向こう見ずな~格闘ゲーマー~シアン!」

 

「ちょっぴりシャイな~シューティング好き~オレンジ!」

 

「ちょっと腹黒い~パズル得意~パープル!」

 

「チャリが似合う~スポーツ万能~ブラウン!」

 

「クールさが鼻につく~戦略的~グレー」

 

「そんな五色の戦士たち~」

 

「月曜朝五時に集合~」

 

「いつも寝ぼけ眼さ~」

 

「統一感のない武器で敵と戦うぞ~」

 

「とどめは有料ダウンロードコンテンツ~」

 

「課金のし過ぎにはご注意ください~」

 

「マシンにも注目~」

 

「キックボード! スケボー! 車! 戦車! チャリンコ!」

 

「これまた統一感の無いマシンで合体!」

 

「エレクトロニックインパクト! 巨大な相手にはこいつで立ち向かう~」

 

「変な……独特な……個性的なカラーリングが目印~」

 

「とにもかくにもゲツアサはお任せあれ~」

 

「遊戯戦隊エレクトロニックフォース~!」

 

 音楽が鳴りやむ。ブラウンが口を開く。

 

「……なんやこれは……?」

 

「自分らのエンディングテーマやがな! とりあえず仮の歌詞であたしと博士で歌ったやつを流しておいたで!」

 

「とりあえずで流すな! あとチャリンコいじりやめろ!」

 

「ま、まあ、とにかく帰ろうか……」

 

 騒ぐブラウンの横でシアンが苦笑交じりでエレクトロニックインパクトを操縦する。

 

「エレクトロニックフォース……あの娘たち今後伸びてくるわね。歌は要改善だけど……」

 

 エレクトロニックインパクトの後ろ姿を見ながらヘイアンジュウニヒトエが呟く。

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