【第1章完】ゲツアサ!~インディーズ戦隊、メジャーへの道~   作:阿弥陀乃トンマージ

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第1話(4)オレンジ、変身

「ふふっ、人間どもめ、覚悟しろ!」

 

「きゃあ!」

 

 先輩を含め、そのフロアにいた人たちが我先にと逃げ出す。

 

「……」

 

「お、おい、何をしている⁉ お前も逃げるんだ!」

 

 立ち尽くしている凛の手を輝が引っ張る。

 

「違うよ……」

 

「なにを言っているんだ⁉ さっき誰かが通報していた! 戦隊がすぐに駆け付けてくれる! 奴らの相手は任せれば良いだろう!」

 

「エ、エレベーターが使えない⁉」

 

「非常階段は……」

 

「怪人たちが塞いでいる!」

 

「なっ⁉」

 

「ほら、戦隊の人たちが来る前にこのフロアの人たちに危険が及んじゃうよ!」

 

「だからと言って、どうするんだ!」

 

「ど、どうしよう⁉」

 

 凛の言葉に輝がガクッとなる。

 

「それを聞いているんだよ!」

 

「アタシがなんとかする!」

 

「何を馬鹿な……!」

 

「いや、きっとこれだよ!」

 

 凛が鞄からコントローラーとコネクターを取り出す。輝が驚く。

 

「! そ、それは……⁉」

 

「なんかさっき、家に送られてきたんだよね!」

 

「それがなんだと言うんだ⁉」

 

「分からない! でもなんか……これをこうやって……」

 

 凛はコネクターを腰に装着する。

 

「む……」

 

「それでこうやれば……!」

 

 コネクターにコントローラーを付ける。

 

「お、おおっ……」

 

「それでこの『START』ボタンを押せば……!」

 

 凛が水色の眩い光に包まれる。輝が再び驚く。

 

「うおっ⁉」

 

 凛が水色の仮面で顔を覆い、全身を水色のタイツで覆われる。

 

「こ、これは……⁉」

 

 凛が自らの姿に戸惑う。

 

「……『遊戯戦隊エレクトロニックフォース』のEFシアンらしいぞ」

 

「! な、なんで分かるの、輝っち⁉」

 

「説明書に書いてあったからな」

 

「せ、説明書⁉」

 

「箱を確認していなかったのか?」

 

 輝も自分の鞄からコントローラーとコネクターを取り出す。凛が驚く。

 

「そ、それは……⁉」

 

「つい先日、わたしのところにも送られてきたんだ……なんとなく持ち歩いていたのだが……まさか使う時がくるとはな!」

 

「!」

 

 輝が手際よくコネクターを装着し、コントローラーを繋げ、ボタンを押す。

 

「『コントロールOK! ゲームスタート!』」

 

「‼」

 

 輝が眩いオレンジの光に包まれ、オレンジ色の仮面とタイツで顔と体を覆う。

 

「イ、EFオレンジ!」

 

 輝が戸惑い気味にポーズを取る。凛が声を上げる。

 

「ポーズがダサいね!」

 

「う、うるさいな! テレビとかの見よう見まねなんだから仕方ないだろう!」

 

「でもズルい! アタシもカッコ良く変身したかった!」

 

「そんなことは知らん」

 

「カ、カマキリ怪人さま!」

 

「うん?」

 

 戦闘員がシアンとオレンジを指差す。

 

「こんなところに戦隊が!」

 

「ば、馬鹿な! いくら戦隊ヒーロー飽和時代とはいえ、こんなところにまでいるとは!」

 

「どうしますか⁉」

 

「決まっている! 排除しろ!」

 

「はっ!」

 

 戦闘員たちがシアンたちに向かってくる。

 

「か、輝っち! 戦闘員さんたちがこっちに来るよ!」

 

「うろたえるな! わたしのことはオレンジと呼べ!」

 

「あ、もうすっかり入り込んでいるんだね……」

 

「な、なんでお前は醒めているんだ!」

 

「なんか上手く乗り切れなかったっていうか……」

 

 シアンが後頭部をポリポリと掻く。

 

「戦隊、覚悟しろ!」

 

「う、うわっ!」

 

「ふん!」

 

「どわっ!」

 

 オレンジが銃を取り出し、戦闘員たちを次々と打ち倒す。

 

「まさか、実際に銃を使うことになるとはな……」

 

「す、すごい……」

 

「シアン、お前が乗り切れないというなら、わたしがいただくぞ!」

 

「ぐわっ!」

 

 オレンジが戦闘員たちを全て片付ける。

 

「さあ、後はお前だけだ、カマキリ怪人!」

 

「一体どこの誰だ、貴様らは⁉」

 

「『遊戯戦隊エレクトロニックフォース』だ!」

 

「知らんな!」

 

「そうだろうな、覚える必要もないぞ! ここで倒されるのだから!」

 

「ふん!」

 

「⁉」

 

「……どうかしたか?」

 

「じゅ、銃弾を斬っただと……」

 

「どうやらまったくのルーキーのようだな……怪人の強さを知らんとは……」

 

「くそっ!」

 

「無駄だ!」

 

 カマキリ怪人が再びオレンジの放った銃弾を斬り落とす。

 

「ちっ!」

 

「オレンジ、銃撃を続けて!」

 

「! わ、分かった!」

 

「正確な射撃だが、何度やっても同じことだ!」

 

「それはどうかな?」

 

 シアンがカマキリ怪人の懐に入り込む。銃弾に対して大振りになった隙を突いたのだ。

 

「! しまっ……」

 

「『強パンチ』!」

 

「ぐはあっ!」

 

 カマキリ怪人が吹き飛ばされ、動かなくなる。

 

「格ゲー経験が活きた……決めた! アタシ、戦隊ヒーローになる! オレンジもね!」

 

「えっ⁉」

 

 シアンの宣言にオレンジが困惑する。

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