Fate/bright shadow    作:怪文書大好きマン

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第12話 それでも希望は彼の手に

 

 

Q.聖杯戦争に連れていきたい鯖は?(概念系編)

 

有限会社T&M

 


 

「そういうことだ、構えろこの世界の()()()()()()()()()

 

 目の前に立っているのは一般人。

 いや、魔術師であるのは間違いないから一般人ではないんだけど。

 ここまで戦ってきたサーヴァントたちと比べるとただの人間と変わりなく見える。

 ただ、普通の人間とは明確に違うところがあった。

 纏っているオーラ―が完全に人間から逸脱している。

 

「あんた何者だ?」

「前に学校であっているはずだが?」

 

 確かにこいつは学校に転校してきたやつだ。

 名前は確かデイビットだったはず。

 

「まぁいいや、ただの魔術師なら俺だけでもなんとかなる」

 

 彼は魔術師として強そうには見えない。

 今まで会ったマスターたちと比べても、魔力がとんでもなく多いとか黒鍵を使ったりとか尖った部分が無いように見える。

 なんというか()()()()()()()って感じがする。

 ルーラーにマスターが居るのかって疑問は...今は考えないことにする。

 

「ふん、俺がただの魔術師に見えたならやはりお前は相応しくない」

「相応しくない?何のことだ?」

 

 俺の質問に答えは返ってこなかった。

 その代わりに俺の周りの空間が、景色が変わった。

 それは、宇宙?星空?のような遠近感が全くつかめない空間になっていた。

 これは頭が勝手に思っているのかもしれないけど、重力が少なくなったような感覚に襲われた。

 

「固有結界!?」

「ほう、それくらいは知っているか、だがハズレだ、お前がそう感じているだけだ」

「どういうことだ?」

「そのままの意味だ」

 

 俺が混乱していると目の前に人型の影?のようなものが現れた。

 それは見覚えのある形をしていた。

 一番知っていて、普段は何かを通さなければ絶対に見えない形。

 そう、それは俺の形をしていた。

 そしてそいつは俺のよく知っている動作で、こちらに向かってきた。

 

「コピーか?」

 

 直感でわかったそいつは俺の動きを完全に真似ている。

 だからこそ対処は簡単。

 

「うっ!」

 

 だと思ったんだけどなー。

 動きが完全に一緒なだけじゃなくて、考え方まで一緒らしい。

 俺がどう対応してくるかも知ってる動きだった。

 

「自分では戦わないのかよ」

「俺が手を出す必要があるか?今のままでも大分きつそうに見えるが」

「確かに、何もしないで欲しいな、()()

 

 そう今はまだ何もしないで欲しい。

 なぜなら俺はこいつに勝つ方法を思いついたかもしれない。

 でも、成功するか分からない、考える時間が欲しい。

 自分と戦うのは考えなくてもできる。

 悔しいけど俺は正面から戦うのは得意じゃない。

 

 そして()()()()()()()()()、だからそこをつく。

 あいつと俺の明確に違う点、それは、サーヴァントと繋がっているかどうか。

 でもこの場に呼ぶのはダメだ、デイビットの前に出したらメアもコピーされる可能性がある。

 呼び出さなくても繋がっていることで出来ること。

 そして通常マスターとサーヴァントの間では逆方向なのが正しいこと。

 

「考える時間をくれてありがとう、デイビット、やっぱりあんたは俺からしたらただの魔術師で、ただのマスターだ」

「何か思いついたようだが何をしようが俺には届かない」

「いいや届くね!俺はマスターとして破綻してるからな!」

「何のことだ?正規のマスターじゃないのは見れば解る」

「あー、そこはあんまり関係ないかな、まぁ見てろって」

 

 そいって俺は影から距離を取る、当然影は追いかけてくる。

 でも俺は知ってる、魔力は攻撃に使うより回避に使う方が圧倒的に燃費がいい。

 影の方もそれを悟ったのか無理に追うのをやめた。

 

「今だ!成功してくれ、あともってくれよ、俺の体!」

 

 俺は自分の魔力の流れを強く意識する。

 俺のマスターとして破綻している点、いや()()()()()()()

 それは魔力供給の方向。

 よく考えたらおかしいんだ、魔力が極端に少ない俺が大量の魔力使って動く英霊の現界を維持できるはずがない。

 それなのにメアは現界を維持できてる、しかも今は二人、これに関してはメアが自分で現界する分の魔力を用意してるからだ。

 

 問題はそこじゃない、メアが来てから俺は一度も戦闘で魔力切れを起こしていない。

 もちろん自分の魔力が少ないのは自覚している、だから基本的に魔力を使うのは最後の詰めか逃げるときにしている。

 でもサーヴァント相手にそんなことしてる余裕はなかった。

 だから結構な魔力を具体的には常時身体強化の魔術を無意識のうちに使っていた。

 それでも魔力切れを起こさなかった。

 最初は自分が少しは成長したのかな?とか思ってたけど、明らかにその限度を超えている。

 

 

 つまり何が言いたいかというと。

 ()()()()()()()()()()()()

 本来ならマスターがサーヴァントに対してやるべき行為サーヴァントがマスターに向けてやっている。

 マスターとしてはすごく、すっごく悔しいけど、今はそれを最大限に活かそう。

 

「魔力を寄越せ!メア!」

 

 俺がそう言うと待ってました、と言わんばかりに大量の魔力が流れ込んでくる。

 

「ッ!」

「気づいたか?でももう遅い!吹っ飛びな!俺の偽物と共に!」

 

 

―――接続(セット)

 

微調整なんてひつようねぇ!!

 

最大出力で吹っ飛ばす!!!

 

エーテル砲 発射!!!!

 

 

 銃の形にした指から放たれたのは、純粋な魔力の塊を極太ビームにしたもの。

 属性なんて小難しいものは付与していない。 

 サーヴァントには効きにくいかもしれないけど、ただの人間が高密度の魔力の塊を直にくらって生きていられるはずがない。

 土煙が晴れて周りが見えるようになり、あいつらを仕留め切れたかを確認する。

 俺のコピーは跡形もなく消え去っていた。

 だがデイビットは傷一つなく形を保っていた。

 

「嘘だろ!?」

「フ、届かないと言ったはずだ。だがまあ一般の魔術師にしてはよくやったと言っておこう」

 

 デイビットは服に着いた埃を払うしぐさをしながら淡々としゃべりかけてきた。

 

「なんだ、デイビットまだ終わってなかったのか?」

「ああ、こいつを見極めていた」

「そうか、なんだか楽しそうだなデイビット」

「そう見えるか?いや、そうだなこいつは俺を楽しませてくれそうだ」

「デイビットお前、キャラ変わったか?」

「ここは退屈だからな。テスカトリポカ、俺はサーヴァント戦がしたい。あいつとマスターとして戦いたい」

「おいおいまたそれかよ、ってことはそいつのこと認めたってことでいいんだな?」

「ああ、魔術師としては圧倒的に俺の方が強い、だがマスターとしての強さは測れない、だから試してみたい、あの歪な在り方のマスターを」

「だそうだ、歪なマスターさんよ。サーヴァント、隠してるんだろ?早く出さねぇと死んじまうぜ。マスター殺しはサーヴァント戦の基本だからな」

 

 そう言ってルーラーは持っていた銃で殴り掛かってきた。

 ???

 殴り掛かってきた!?

 

「待て待て待て!銃の使い方間違ってるだろ!」

「戦場ではルールも常識もねぇ、そして勝ち負けの概念も存在しない、重要なのは戦士が逃げずに戦ったかどうか、それだけだ」

「常識は元からなかった気がするけど、銃で殴って来るとは思わなかったんだよ!」

「避けているだけでは戦いには勝てないぞ、サーヴァント戦は何度か経験したはずだ、本気を出せ、人類最後のマスター」

 

 わかってるよ、このままやっていてもルーラーには勝てない。

 弱そうに見えたけど相手はサーヴァント、それだけで戦術兵器に匹敵する。

 人間の身で勝つのは無理だ。

 でもデイビットがいる限りメアをここに呼んでも戦力差は埋まらない。

 そもそもサーヴァントをコピーできるかなんてわかんないけど。

 

「なるほど、俺の魔術を警戒してるんだな、だが言ったはずだマスターとしてお前と戦いたいと、サーヴァントの援護はしても自分では戦わない」

「そんな言葉信じられるかよ、お前も聖杯戦争の参加者なら容赦なく倒せばいいだろ」

「俺は聖杯戦争の参加者ではない、ルーラーとして召喚されたテスカトリポカに引っ張られて来ただけだ、だから俺はこの戦いに勝とうが負けようが関係ない」

「もうなんでもいいや、約束守れよ」

 

 ルーラーかある程度距離を取ってから令呪に魔力を込める。

 

「令呪をもって命ずる、来い!メア!」

 

 しかし何も起こらない。

 確かに令呪は消費された。

 なのに何も起こらなかった。

 

「おいおい、嘘だろ、使えるって言ったじゃん」

「どうした?拒否でもされたのか?」

「拒否...したのか...」

「おいおい、マスター戦はどうなるんだよ、デイビットこれじゃぁお前が満足できねぇだろ」

「そうか、やはりお前は相応しくないようだ、やれテスカトリポカ」

「戦いを放棄したものは戦士とは呼べないな」

 

 ルーラーがさっきの銃を、俺の頭に振り下ろす。

 

「戦場で奇跡は起きない」

「そうでもないデース」

 

 絶望しきった俺の耳に入ってきたのは聞き覚えのある声。

 ん?なんか違う気がする。

 いや違くはないんだけど、なんか違う気がする。

 

「ライダーインストール!『それでも希望は彼の手に』ってね」

「おいおい、冗談きついぜ、何がどうなったらこの時代でお前の顔を見ることになるんだよ」

 

 白い方のメアがルーラーに向かって落ちてきた。

 拳を突き立てて、真っ直ぐに。

 

「遅い!ほんのちょっと遅かったら死んでたぞ」

「ほら言ったじゃないですか、バランスが大事だって、希望を使うならそれ相応の絶望を感じてもらわなくちゃいけないんデース」

「お前変なキャラ入ってない?」

「...そうですね、神霊はインストールするとそっちに引っ張られるみたいで...」

「そうなんだ...聞かなかったことにするね」

 

 格好も南米系の民族衣装?みたいなのになっていて白要素があまりない。

 確かルーラー、テスカトリポカってのも南米の神様だった気がする。

 やっぱりメアはみんな同じ戦法で戦うみたいだ。

 

「...さーあ、反撃開始デース!ルチャの神髄お見せしマース!!」

「ルチャ!?」

「あー格闘技の一種ですよ、多分」

 

 そう言ってニコッとしてから狂暴そうな目に変わり、ルーラーに素手で突っ込んでいった。

 

 

 







 A.Tパラドックス

 M二元論




あとがき


M「トロッコ問題ってあるやろ」
T「おう」
M「あれの正解を見つけたんだよ」
T「ほう、詳しく聞かせてもらおうか」
M「必ずどっちかは死ぬわけやんな、じゃあ一回片方を轢いて戻ってからもう片方も引けば目撃者なしで結果的に誰も死んでないことになるでは?」
T「倫理的に終わってる回答が出てきた...その理論で行くと赤ちゃんの方は目撃者になれないのでは?」
M「なにー!盲点だった!つまり老人の方に目が悪いって条件をつけ足せばこれも目撃者ゼロじゃないか!」
T「俺は、前輪が過ぎたあたりでレバーを引いて後輪を別の線路に行かせれば止まるのでは?って考えてるんだけど」
M「天才じゃねぇか、これで同時に轢けるな!」

 はい、ということで遅れた理由は二話連続投稿の準備のためでした。
 黒メアと白メアの主役回を一気に投稿したかったということです。まぁ結局白はこれから活躍するよ、みたいなところで終わってしまいましたが。
 四月に入ったのでこれから忙しくなると思うのでまた一カ月ほど空いてしまうかもしれませんが、ゆっくり待っていただけたら幸いです。
 次回もお楽しみに!


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