私たちはお兄さんと別れた後、二人で学校の中を調査していた。
「ねぇ、あなた本当にあの凛なの?」
「?どういうことですか?」
「ずいぶん小さくなったのね、いや小さい時の凛が呼ばれた、が正解かしら」
「……えっと、あたしのこと知ってるんですか?」
「えぇ、あなたの未来の姿をね」
「?」
そんな会話をしていると、さっそく怪しい場所を見つけた。
そう、そこは学校七不思議でよく使われるあの理科準備室。
まぁ、人体模型が動いたところで何とも思わないけど。
「ほんとに入るんですか?」
「怖いの?人並みにそういう感情あるのね、小さい方が何倍も可愛いじゃない」
凛が怖がっていようが関係ない。
私は魔力探知を強くして中に入る。
中は何の変哲もないただの理科準備室だったが、警戒は解かない。
どこにトラップがあるか分からないし、慎重に進もうとしたそのとき。
「キャーッ」
後ろにいた凛が騒音と共に悲鳴を上げる。
何かあったのかと振り返ると、人体模型3体に押しつぶされた凛がいた。
どうやら1体目の人体模型をよけたら、背中に2体目の人体模型がいてそれに当たったことに驚いて尻もちをついたら、そこに3体目の人体模型が倒れてきてその衝撃で他2体も倒れてきたらしい。
「ぷっ、ごめんなさい笑いがこらえられなくて」
「わ、笑ってないで助けてくださいぃ~」
「あなた小さいままの方がよっぽど可愛いわ、あの赤い悪魔だってこと忘れるくらいに」
とりあえず凛を人体模型たちの中から引っ張り出す。
凛はすっごい涙目だった。
結局この部屋には何もなかったので、次の教室に向かうことにした。
それから私たちは、いろいろな教室を回ったが特に何もなかった。
凛が毎回転んだり棚が倒れてきたりとドジをやらかしたくらいで、何もなかった。
「うぅ、帰りたい...」
「あなたも魔術師でしょ、弱音なんか吐いてる暇あったらキャスターの痕跡を探しなさい、それにあなたの家この前爆発して無くなったでしょ」
「うぅ...思い出したくもない現実が...あ、あそこの教室、今までと違う雰囲気じゃないですか?」
「そうね、魔力が少しだけ濃い気がするわ」
そこは図書室だった。
他の教室はほぼ全部回ったしここに何もなかったら結界が張ってあった意味が分からない。
もしくは、お兄さんが回っているであろう外側にあるのかもしれない。
せっかく学校があるのに外側に工房を作るのも意味が分からないけど。
「ここには確実に何かあるはずだから気を引き締めていくわよ」
「は、はい」
図書室の中に入る。
中はクレヨンやそれを使って絵を描いたであろう紙が散乱していた。
これだけ物が散乱しているにもかかわらず、本棚の本は一切汚れていないし、きれいに並んでいた。
「これは...誰かがここを使っているのは間違いなさそうね」
「でもこれ、子供の絵?ですよね」
「あなたも子供でしょ、子供のマスターが何人いても驚かないわ」
「あ、ここに何かありますよ」
凛が何かを見つけたらしいのでそちらに行ってみる。
そこには桜?の形をした魔法陣が壁にあった。
「こんな魔法陣みたことないわね、解読できる?」
「中身の内容はわからないですけど、壊すことならできます」
「そういうところは変わらないのね」
凛が指を銃の形にして人差し指に魔力を込める。
ガンドだ、本来は当たった相手を風邪や病気にする呪いを発射するルーン魔術だが、それを凛は高出力にして弾丸のように使っている。
ここはわたしの知っている凛と同じだ。
そして凛が込められた魔力を発射する。
するとあっけなく魔法陣が壊れた。
「え、そんなに簡単に壊れていいものなの?」
「10発くらいは打たないと壊れないと思ったのに」
成長したかの凛ならともかく、今の凛は魔術的にも年齢的にも幼少期の凛だ。
それなのにあの魔法陣はあっけなく壊れた。
わたしでも壊せたかもしれない。
そんなことを考えていると、入口の方から声が聞こえた。
「あら、先客がいたのね」
こちらからは姿が見えないが少女の声でわたしたちに語り掛けてきた。
「あなたがこの魔術工房の主かしら?」
「いいえ、違うわ、私もつい先ほど着いたところだからここがなんなのか知らないの」
そういいながら、少女が姿を現した。
わたしたちは警戒態勢を維持しているが、少女はそうではなかった。
「まぁ、戦う気はないの、だからその手は降ろしてちょうだい」
「あなたは誰?わたしが調べたときにはあなたはこの街にいなかったはずよ」
「……つい先ほど着いたと言いましたよ?」
「あなたもこの聖杯戦争に関わっているの?」
「聖杯戦争?何のことかしら、あ、でもあなたたちが今壊した魔法陣はここへ来る間に何個か壊したわ」
どうりで何も見つからないわけだ。
こんな壊しやすいものが一つなわけがないと思っていたが、彼女がわたし達より先に壊していたということみたいだ。
「それより、仲のいいお兄さんとお姉さんを見なかったかしら?」
「あの二人のことを言っているなら、外でわたし達と同じように調査をしているはずだけど」
「まぁ、そうなの?早く見つかりそうでよかったわ」
そんなやり取りをしていると体育館の方で大きな音がした。
物凄い量の魔力と共に襲い掛かってきた少女は、サーヴァントであるメアではなく、マスターである俺の方に向かって飛んできた。
メアも自分の方が狙われると思っていたらしく反応が少し遅れた。
そのすきを逃すはずもなく、俺は少女の大出力の魔力が乗ったこぶしに殴られた。
「グッ...」
俺はそのまま校庭の方まで吹き飛んだ。
あれ?痛くない、そっと前を確認すると、俺と少女の間にひびの入った氷のようなものがあった。
「間に合ったわ、まだ死なれちゃこまるのよ」
そういってメアが俺の隣に現れる。
確かにあれをもろにくらっていたら即死どころか体が原型をとどめていなかっただろう。
「さてこれからどうする?あれはわたしでも苦戦しそうよ」
「でもあれサーヴァントじゃなくてマスターだよな?」
「そうみたいね、一魔術師にしては強すぎる気がするけどんな魔術師なのかしら」
「最悪逃げることも、考えよう。どんなに強くても弱点くらいはあるはずだ、様子を見ながら戦ってくれ」
「了解」
メアが空中に無数の氷柱を生成して少女に向かって飛ばす。
すべてあたったように見えたが少女は無傷でその場に立っていた。
「王様の真似をしてみたけど、やっぱこれ効率悪いわね」
「王様?それは私の王子様より強いのかしら?」
「喋る余裕まであるのね、面倒だわ」
「まぁ、どうでもいっか、私が全部殺しちゃえばいいんだもんね」
また少女に強力な魔力が集まる。
それは属性も何もないただの純粋な高出力の魔力の塊だった。
「あれ、やばくないか」
「防ぐのは無理そうね、躱すわよ」
「あのサイズの魔力どうやって躱すんだよ」
「逃げ場ならいくらでもあるわ」
そういってメアは虚数空間の扉を開いて、俺を突っ込んだ。
「おい待て!お前はどうすんだよ!」
メアは一緒に入ってこなかった。
「何!?何の音?」
体育館の方は彼らが調査していたはず。
そこで爆発音が鳴ったということは、彼らがやらかしたか、例のキャスターと戦闘になったか。
どちらにせよ、助けに行った方がよさそう。
「あっ待って、イリヤさん、何か来ます」
「何か来る?」
お兄さんに関してはあのサーヴァントがいれば何とかなるだろうけど。
こっちはサーヴァントを連れてない。
凛のサーヴァントが誰なのかすら私は知らない。
「凛!戦闘できる?」
「わたし、自分のサーヴァントに信用されてないらしくて、着いて来てくれなくて」
「どうすんのよ、とにかくここから離れるわよ」
あれ、さっきまで一緒にいた少女がいなくなっている。
そんなの今はどうでもいい、早くここから離れてバーサーカーと合流しないと。
そんなことを考えている間に、そいつは扉を蹴破りながら現れた。
「うん?マスターだけか、サーヴァントはどうした?」
「あいにくと、今は連れてないのよ」
「そうか、今回は様子見って命令されてるけど、これなら今殺した方が楽だよな」
そいつは、緑の髪で槍を持っていて、赤いスカーフを身に着けていた。
「ランサーかしら?」
わたしの魔術は糸を使って、防御から攻撃までいろいろ応用が利く、耐久力もそれなりに自信がある。
相手が速く動くなら、わたしの魔術で移動経路を塞ぎつつ、バーサーカーのところまで行けるはず。
「凛、逃げるわよ」
「は、はい」
わたしは凛の手をつかんで周りを糸だらけにしながら走り出す。
「お、逃げるのか?まぁ当たり前か、ただの魔術師がサーヴァントに勝てるはずないもんな、だが逃がさねえぞ」
思った通り相手は高速で走り出した。
わたしの狙い通りどんなに速く動いても、糸で相手の移動をはばめるはず。
あれ?すっごい真っ直ぐ来てるんですけど!?
「俺から逃げ切れると思ったのか?まずは一人目っ!」
終わった、さすがにサーヴァントの攻撃を防げるはずがない。
そのとき、聞きなれたあの雄叫びが聞こえた。
そして、彼が相手のサーヴァントとわたしの間に割って入ってきた。
「■■■■■―――」
「バーサーカー!」
「おっと、居るじゃねえか、サーヴァント」
バーサーカーとわたしたちを襲ったサーヴァントが激しく打ち合っている。
わたしたちは少し離れたところでそれを見ている。
バーサーカーはたいていの相手なら簡単に決着が着くくらいには強い英雄だけど、あのサ―ヴァントは全然余裕そうな顔をしている。
「手加減すんなよ、大英雄様」
「■■■■■――――」
「バーサーカーの知り合いなの?」
「実際にあったことがあるわけじゃねぇが俺のいたところじゃ一番有名な奴だろ」
「じゃあ戦ってる最中に隙を見せたらどうなるかも知っているでしょ」
「■■■■■■■――――」
バーサーカーが思いっきり相手のサーヴァントの脇腹を棍棒で殴る。
よけきれずに校庭側に吹っ飛ぶ。
バーサーカーは追撃を叩き込むために、あとを追う。
「ペッ、やるじゃねぇか、そろそろこっちも本気を出さないとな」
相手のサーヴァントが血反吐を吐きながら立ち上がる。
「ヒュー、さぁ、立ち塞がって見せろ!殺し合おうじゃないか......なぁ!」
すると三頭の馬が繋がれた馬車がどこからともなく現れた。
馬車というか見た目は戦車に近いかもしれない。
そんなものがバーサーカーの周りを超高速で走っている。
見た目からランサーかと思っていたが、この姿を見るにあのサーヴァントはライダーだろう。
「■■■■■■■――――」
バーサーカーはあの速さのライダーを目で追っているように見えた。
その証拠にライダーが攻撃する瞬間にそれを防いでいる。
さっきより打ち合いが激しくなってく。
「ふんっ」
どこからやってきたのか、横やりを入れるようにアーチャーが無数の剣を二騎の間に放つ。
「アーチャー!?」
「おっと、まだいたのか、あんた」
失敗した、ショウちゃんと一緒に逃げとけばよかった。
この少女めっちゃ強い、魔力の量だけでも押しつぶされそう。
それに一撃一撃がとんでもなく重い。
「ねぇ、あなたどこでこんな力、身に着けたのよ」
「生まれつきよ」
「じゃあ私と一緒ね」
一緒とは言ったが彼女の方が確実に強い。
ヤバい、だんだん意識が薄くなってきた。
ショウちゃんと離れすぎた、私は彼の近くじゃないと存在を維持できない。
「そろそろ疲れてきたんじゃない?」
「そっちは余裕そうね」
「だってあなたを殺すだけで願いが叶うなら、やるしかないでしょ?」
俺はメアに虚数空間を経由して学校の校門前まで飛ばされた。
なんで校門前なのかはわからないけど、すぐにでもメアを助けに行かないと。
「お兄さん、やっと見つけたわ、あれ?お姉さんは一緒じゃないの?」
「君は、あのときの虚数空間に居た少女か?」
「えぇ、さっきぶりね、実はあなた達に話があるのだけど」
「話?いや、今はそんなことどうだっていい、お前虚数空間に居たってことは虚数魔術使えるんだろ?今すぐ俺を彼女の近くまで送ってくれ!」
俺は食い気味に少女に頼み込んだ。
少女は困った顔をして、少し考えた後。
「できるわ。だけど、これが終わったら、ちゃんと私の話を聞いてくださる?」
「わかった、聞くから早くしてくれ」
少女が虚数魔術を使いポータルを作ってくれた。
「ありがとう、あとでちゃんと話聞くから!」
そういって俺はポータルに飛び込む。
ポータルをくぐって出たところは、校庭のど真ん中だった。
「キャスター!!」
「え、ショウちゃん、戻ってきちゃったの!?」
「俺だけ逃げても意味ないだろ、早くこの状況をどうにかする方法を考えてくれ」
「何も考えてないのに来たの!?」
メアの言う通り何も考えてなかった。
彼女なら何とかしてくれる、そんな気がした。
そんなことを考えていると、図書室の方からバーサーカーとアーチャーと知らないサーヴァントが撃ち合いながらこっちに来た。
「あら、賑やかね」
「マジかよ、あの少女だけでも大変なのにこれ以上増えるなよ」
いつの間にかメアと少女も混ざった、大乱戦になっていた。
知らないサーヴァントは馬車のような物に乗ってるし、多分ライダーだろう。
とんでもないスピードで戦場をかき乱している。
「あぁーもー!全員邪魔ぁーー!!」
メアがなんか叫んでいる。
「うるさい!考えるのめんどくさい!静かにしろー!!」
『
メアが何かの魔術を使った?
すると俺の足元から氷が全方向に向かって広がっていった。
バーサーカーとライダーはそのまま凍ってしまった。
アーチャーは空に避難して避けた。
少女には効かなかったのか、少女の周りは凍っていなかった。
それ以外のものはまるで時が止まったかのように、動かなくなった。
「ちょ、お前何したんだ?」
「うるさい人たちには静かになってもらったわ」
T「お前も”ゴッホ使い”にならないか?」
M「ならない」
T「見れば解るお前の手持ち、クイック使いだな?」
T「だがお前はどうだ、火力の出ない宝具、少ない倍率のクリティカル、微妙に足りない星の数、もう取り返しがつかない」
T「ゴッホ使いであれば瞬きも間にクリティカルで敵が消えていく」
T「どう足掻いてもスカディだけでは領域外の生命に勝てない」
T「ゴッホ使にになれ、Mち。そして俺とどこまでもTAをし、高め合おう。その資格がお前にはある。」
M「断る。単刀直入に言うが、俺はゴッホを持っていない!」
T「そうか...すまなかった」
M「誰もがゴッホを持っているわけじゃぁないんだよ、ヴァーカ!」
T「単騎でも強くね?」
はい、4話でした。
今回はみんな大好きアキレウスが出てきました。
他にもいろんな少女?たちが出てきましたが、いったい誰なんでしょうね。
次回も見てね!