板橋先輩は生き抜きたい 作:キンダ三
後、内容短くてごめんなさい。
読んでくれてありがとうございます。
尾ノ上の死体を見た、その後のことは記憶にない。気づいたらいつの間にか自分の教室にいたからだ。しかし、後に入ってきた担任が二年の尾ノ上が今朝方未明、首を吊った状態で発見されたと神妙な面持ちで伝え、授業は中止で即帰宅が告げられた❬らしい❭。
ここの話も聞き逃していたらしく、後から遠野と宗像さんから教えてもらった。どうやら普段よりも増して表情がなかったそうだ。「ミス研の仲間が自殺したことが悲しいのは分かるがあまり気を落とすな」や「板橋君はやさしいのね」とも言われた。...多分、魔術師の名を出さないのは気を遣わせないためだろう。
...だけど、俺には気がかりがあった。それは❬あの夜、本当は尾ノ上の死体は生物室にあった❭のではないか?という点だ。勿論、金田一達はなにもなかったと言ってくれたが、❬もしあそこにあったら...❭❬そしてすぐに旧校舎を調べていれば...❭❬それよりも前にもっと強く止めておくんだった❭と悪い想像に暇がなかった。
......後、これだけは言える
(ごめん、尾ノ上。守ることができなくて)
結局、板橋は昨夜誓ったことも守れず再度自分の価値を見失うのだ。
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「板橋ぃぃぃ!!どう責任を取る!これは副部長である貴様の失態だ!!俺が副部長ならばこんなことは起こらなかった!大事な部員をあんな無惨に衆人にさらすなど貴様は本当に......」
「止めてください!板橋先輩に何の責任があると言うんですか!?このような事態、誰も止められるはずが...」
「七瀬さんは黙っておいてくれ!これは僕とこの無能だけの話なんだ!」
帰る間際、俺はミス研のメンバー全員に集合をかけた。改めてミス研のメンバーに調査するのを禁止しようとしたためである。金田一達を伴って訪れた空き教室、そこで俺を出迎えたのは真壁の怒号であった。...返す言葉はない。でもこれだけは言っておかないと
「...ああ分かっている。だから今度こそお願いだ。もうこの件に関わるのは止めよう。見えている地雷を踏むようなものだ。」
「何を言う!そもそも...」
「そういえば今回の尾ノ上さんの件、七不思議の1つ目と良く似ていますね」
ふと、思い出したように言葉を発したのは以外にも一年の佐紀だ。きっと陰鬱な空気を変えようとしてくれたのだろう。急な話題転換に真壁だけじゃなくこの場の人間が視線を佐紀に向けた。代表として金田一が問いかける。
「それ、どういうことだ?教えてくれ佐紀」
「いや、確か1つ目が開かずの生物室で首を吊った死体が消えるというもので...消えるのは関係ないですけど実際、首を吊った死体は生物室で発見された訳ですし...」
一言一言、佐紀はゆっくりと言葉を紡ぎだす。それは自分の記憶の中にある情報を懸命に思い出して語っているのだろう。所々、声が震えている。
「ふん!それがどうした。お前、尾ノ上が放課後の魔術師に殺されたとでも言いたいのか?アイツはただの臆病者だ。七不思議を単独で調べるなんてそんな危険なことに首を突っ込むヤツじゃない。おそらく世を儚んでの自殺だ。きっと部長が襲われておかしくなったんだろう。そもそも部長達を襲った犯人は警察が言うには外部の線が濃厚という話じゃないか。わざわざ再び学校に来るはずが...」
結構な早口で言葉を捲し立てる真壁。その姿に俺だけじゃなく周囲のみんなも不信感を隠せない。これじゃまるで...
「なんか尾ノ上さんのことさっさと忘れたいみたいですね真壁先輩」
「な、な、何を言うか佐紀!」
急に話に割り込まれたためかそれともそれ以外の理由からか真壁は狼狽した。その姿は何か隠しているのが俺でも分かるほどだった。続けて金田一が問う。
「そういえば真壁先輩、昨日の夕方頃何してました?」
「お、俺は集まりが終わった後、板橋に言われてすぐに自宅に戻った。新しい作品を執筆しなければいけなかったからな!...まさか俺を疑っているのか!?」
冷や汗を流しながら真壁は答える。コイツのこんな姿見るの珍しいことでもないけど、どこかおかしい...マジで何か隠しているのか?
すると佐紀が鬼の首を取ったかのように話し出す。
「嘘ですね。証拠はこのビデオの中にあります」
「なっ...何を!...寄越せ!それをこっちに!!」
急に佐紀に掴みかかろうとした真壁を当人達以外の男連中で止めた。動きを封じられても真壁は佐紀へ歩みを止めない。ジリジリと近づき数歩までの距離になった瞬間、佐紀のビデオからノイズの入った音声が映像付きで流れ出した。
【キサマのような役立たず、俺の下につかせているだけで感謝するべきなんだ!!俺の推理大賞の名誉にすがり付いてきたくせに!!】
【へぇ~そんな風に僕の事見てたんですか。僕も初めは素直に尊敬してましたよ。...ところで話しは変わりますけどあの【ブレスレット殺人事件】本当にあなたが書いたんですか?】
「あっあ~!!...ァ、ァ...」
真壁はビデオが再生された瞬間、大声をあげ音声をかき消そうとしたのであろう。だが、ビデオの音声はそんな真壁を尻目に淡々と自身の役割を遂行し続ける。
【当たり前だ。アレは俺が1から執筆した傑作だ】
【そうですか。まぁアレぐらいの出来なら僕でも書けます。あのポスターもあんたのメッキも剥がれるのはそう掛からないでしょうね】
今は亡き尾ノ上が映像の中でそう告げた途端、映っていた真壁が拳を振り上げ殴った。あまりにも大降りな拳で格闘経験があるとは思えない一撃であった。
その様子を最後にビデオカメラは機能を停止した。残ったものは若者が集う校舎とは思えないほど静まり返った空気であった。
副題(ビデオカメラは裏切らない)にしようか迷いました。
後、すいません。最近忙しくて次の投稿はだいぶ遅くなりそうです。