板橋先輩は生き抜きたい   作:キンダ三

4 / 10
話が...話が進まない...
お前らいつまでもしゃべってねぇで魔術師さん出せよ。
おかげでいつもは1500文字くらいなのに4000文字越えだぞ。
勝手に動くな。



忙しくなってきたので投稿頻度落ちます。誠に申し訳ない。


板橋君は信用されている

「...なの。どう思う?」

 

「何が?」

 

「質問を質問で返すのは御里が知れているわよ。親の顔が見てみたいものね」

 

「今朝見ただろ。というか、普段から交流あるだろ。たまにおばさん含めた三人で服とか買ったりコーヒー飲んだりしてるの知ってるんだぞ」

 

この女子会に見せかけた家庭や学校での暴露大会のせいで俺と父さん達のプライバシーは完全に消失している。ついこの前も父さんが密かに買った高級ブランデーを、桜樹パパと飲んでたところをなぜかリークされ我が家と桜樹家に2つの雷が落ちたことは記憶に新しい。今世の両親の記憶を、思い返した時真っ先に浮かんだのがこれだ。というか俺も最近の学校態度について話されてしまったので今は、母さんの機嫌を取ることを第一優先にしているそうだ。マジでコイツ探偵向いているんじゃなかろうか。これからはバラシ屋 るい子と呼んでやろう。

 

「来週また三人でランチに行く予定よ。と、それは置いておいて七不思議の話よ。なにか気になる事はない?」

 

先の話しは聞かなかった事にし、俺は思考を巡らせた。というか事件の真相は分からないので、七不思議の秘密についても分からない。諦めて2人で放課後デート(笑)でも洒落込もうとかいう最低の考えまで浮かぶ始末だ。花子&太郎さんだってトイレじゃなくもっと楽しい場所ではっちゃければいいのに。ゴールデンウィークも近いし暑くなってきたから川なんてどうだろう。2人で仲良く水に流れろと、終末めいたことを思考した時ふと、ある疑問が浮かんだ。

 

「トイレの花子さんとかベートーベンの目が光るとかそんなありきたりな怪異はないよな。そういえば」

 

「ええ、どれも自殺や事故で亡くなったらしいものばかりよ。でも、実際には亡くなった生徒は存在しないし、噂が尾ひれをつけてうろついている説が濃厚なのよね...」

 

まぁそうだよな。普通、自殺や事故が頻繁に起きていたらこの高校、廃校にするべきだし、全国ニュースになって教育委員会のクビが飛ぶまでがセットだ。あ...でもここ不動高校だった。

 

「何か情報とかないのか?当時の学生の証言とかそんなの」

 

「あるわよ。これ1987年のミス研の冊子。私が不動高校七不思議について調査を始める切っ掛けになった本」

 

桜樹は自分の鞄の中から少々古ぼけた薄ピンクの冊子を取り出した。マジか。聞いてみるものだな。そんな本があったなんて。

 

内容としては当時、不動高校【六】不思議を調べていた【青山ちひろ】なる生徒が警察の捜査の甲斐なく行方不明になったことが記されていた...ってちょっと待て

 

「六不思議?当時は七不思議じゃなかったのか?」

 

「ええ、当時は六つ目を知ってはいけなかったみたい。でもね、板橋君。ここで私、閃いたの」

 

ふと、冊子から顔を上げると桜樹は目を輝かし、上機嫌な声をあげてこう言った。

 

「この旧校舎には、意図的に誰かが何かを隠してる。不思議の数を増やしてもね。それを見つけるのがミステリー研究会の...いいえ、桜樹るい子の使命なのよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「そういえば、板橋君。お母さんに連絡しておいてくれた?」

 

変な使命感に突き動かされている桜樹を止めるのは無理だと改めて判断し、共に旧校舎探索をしているとすっかり夜になっていた。部室に戻り、時刻を見ると19時を大きく回っている。

 

「あっ忘れてた。ゴメン」

 

「全く、与えられた命令をこなせないなんて下b..部下としての自覚はないの?」

 

「今、僕の耳がおかしくなければヒエラルキー下層の住人の名称で呼ばなかったか?さすがに僕にも人権はある」

 

「あらそうなの、ごめんなさい。気づかなかったわ。でも、奴隷よりはましでしょ。平民さん」

 

ちくしょう。奴隷は2度刺すんだぞ。と、どっかの逆境無頼の名シーンを、思い浮かべながら俺は、我が家と桜樹家に連絡を入れていないことを思い出した。桜樹と離れるわけにはいかないと一緒に居たことがこんな弊害を生むとは。...ちょっと待て今、桜樹を一人にするのは危険なのでは?

 

「分かった。連絡するから一緒に来てくれ。」

 

「...?何で私も行かないといけないの?家の電話番号は昔から変わってないわよ?」

 

まぁそうだよな。ここでも幼なじみという関係性が足を引っ張る。ああ面倒くさい。もう洗いざらいぶちまけてやろうか。いやでも、信じてもらえないどころか扱いが奴隷から変人になる可能性が高い...あれこっちの方が良いんじゃね?

 

「ほら、おばさんにも娘の声を聞かせて安心させてあげようかなって」

 

「私、もう少し部室で調べたいことがあるの。だからお願い。お母さんも浩二くんなら安心だって言ってたし」

 

何故か桜樹家で俺の評価が高かった件について。いやなんで?それにしてもマズイ。他に着いて来てほしい理由が思い付かない。

 

「分かった、連絡してくる。だけど約束してくれ。僕が戻ってくるまで部室に鍵をかけて閉じ籠っておいてくれ。頼む」

 

「厳重ね。なにもそこまでしなくても「頼む」...」

 

俺がここまで強情な姿勢を見せることは今まで滅多になかった。さしもの桜樹も勢いに負け、鍵をかけることを約束してくれた。俺が部室から出た後に、[カチャッ]という鍵の音が静まり返った廊下に響いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

❰クソッ...クソッ‼️またしても七不思議を調べる奴が出た来てしまった!...もしあの事に感づくようならば...❱

 

そう思考する者の手には透明なナニかが握られており、鈍い光を放っていた。そして、本来顔がある部分にはおどろおどろしい不気味な仮面が着けられており、その者が人ならざる道に進む怪人であることを運命付けていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

桜樹家と我が家の連絡は案外スムーズに済んだ。向こうも心配していたが俺が近くにいれば大丈夫とのこと。...あんまりにも幼なじみを、信頼しすぎではなかろうか。

 

部室に戻る途中に警備員の【立花】さんに遭遇した。早く帰れと言われたので調べものがすんだら帰ると伝えると納得したのか去っていった。ここでこの人と一緒に部室に行く選択肢も頭に浮かんだのだが誰が放課後の魔術師なのか分からないのでなくなくスルーすることにした。あ~あ金田一達にも残ってもらった方が良かったかもな。

 

部室に戻り、ノックをしようとした瞬間、大きな揺れが身体を襲った。立ってられない。これは地震だ⁉️

 

「キャアァァァァァ」

 

甲高い悲鳴が部屋の中から聞こえる。クソッ襲われているのか、地震にびびっているのか分からん。「落ち着け!!」と声をかけ続けて数秒、地震は止み軽い余震が残った。余震が止めばもう安心だ。

 

「桜樹、無事か?僕だ、板橋だ。頭とか打ってないか?」

 

「.........」

 

返答がない。マジで頭ぶつけているのか⁉️それとも放課後の魔術師に⁉️

 

「おい!おい!返事をしてくれ!桜樹!...るい!!」

 

「...大丈夫よ。少し驚いてただけ」

 

良かった。最悪、いつ殺されてもおかしくないからな。マジでホっとした。

 

「そうか、無事なら良かった。なら開けてくれ。ここも古いしまた更に大きな地震が来るとも限らないしな。早く帰ろう。」

 

「...ちょっと待って」

 

何かをカタカタ入力し、ゴソゴソと物音を立てること数分、桜樹るい子はいつもと変わらない美しい顔をしながら扉から出てきた。いや違う、いつもよりもまぶしい笑顔をしていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「板橋君。私、七不思議の謎解けたわ」

 

桜樹は帰り際、そう俺に告げた。それはまるで明日の夕食は好物が出るよと同様のリズムで伝えてきた。

 

「えっ本当?」

 

「私こんなところでくだらない冗談を吐く女じゃないわ。ええ、解いたの七不思議の秘密。でも、教えない」

 

やっぱコイツ天才だな。と改めて思ったらこれである。

 

「これはミステリー研究会で扱うには荷が重すぎるわ。然るべき場所に通報してからよ」

 

「そんなに危険なことなのか?」

 

違った。ちゃんとリスク管理が出来ていただけだった。そういうところは真面目だな。そして俺達は旧校舎の入り口に着いた。

 

「じゃあ帰りに警察に寄っ..ガハッ⁉️」

 

突如、灼熱が俺の後頭部を襲った。いや何か頭に叩きつけられたのか⁉️前のめりに倒れる俺を尻目に加害者は俺に駆け寄ってきた桜樹に目を向けていた。頭がグラグラする。俺がすぐに立ち上がった時には加害者...いや❰放課後の魔術師❱は例のマスクを着け、透明なヒモ状の何かで桜樹の首を絞めていた。桜樹はもがき苦しんで抵抗していた。だけどだんどんと力が弱まり...

 

「止めろぉぉ!!!」

 

俺は放課後の魔術師に全身全霊の力で突っ込み注意を俺の方に向けた。案の定俺が向かってくることを知った魔術師は一瞬、首を絞める力を抜いた。その瞬間俺は桜樹の身体抱き抱え取り戻した。

 

「桜樹..!!るい!!るい!!」

 

声をかける俺を見て体勢を立て直した魔術師は今度こそ目の前の2人を、あの世へ送ることを決意し近づいてくる。さぁ今こそ全ての七不思議を知った哀れな罪人共をこの手で...

 

 

「そこで何をしている❗️」

 

暗闇が支配する旧校舎に差し込む一筋の光明いや、古ぼけた懐中電灯の明かりだ。普段は頼りない光だが、板橋にとってはこの世の何よりもありがたい光であった。

 

「助けて下さい!!いきなりコイツに襲われて!!」

 

「何者だキサマ⁉️」

 

人間が増えたことにより魔術師はこれまでと思ったのか、立花が板橋と倒れている桜樹に目をやった一瞬で彼を押し退け旧校舎の外へ駆けていった。あまりにも早い決着であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「るい!!るい!!...立花さんは警察と救急車を!!」

 

「分かった!」

 

襲われた場所がたまたま固定電話に近い場所であったため立花さんは急いで連絡を始める。

 

甘かった!!油断した!!どうすればいい⁉️どうすればいい⁉️どうすればいい⁉️呼吸は止まっているから人工呼吸か⁉️この時代にAEDって有るのか⁉️ああくそ考えがまとまらない。そうこうしているうちに...何か...何かしなくては‼️

 

「キミ!救急車は後、10分で来るそうだ!!それと救急隊からの指示で心臓か呼吸は止まっているか⁉️」

 

「呼吸は止まっていますが心臓は動いています!!」

 

※「なら,人工呼吸で応急処置を行う!!救急車が来るまでなんとか持たせるぞ‼️」

 

ありがたい、俺一人でいたらここまで手際よく出来ただろうか。いや、その前に開かずの生物室に二体の死体が飾られていたことだろう。

 

そこからは無我夢中だった。電話口から聞こえてくる救急隊の指示を、立花さんが俺に伝え、一心不乱に人工呼吸を行なった。そして数秒か数分か分からんが時が経ち...

 

「ゴホッ!!ゴホッ!ゼーゼー」

 

桜樹の身体は呼吸を再開した。安心した。安堵した。安らいだ。俺は未来を変えることが出来た。

 

そして近くから馴染みのあるサイレン音が耳に届き...

 

「キミ!!救急車だ!!パトカーもだ!!その子は助かるぞ⁉️...キミ!キミ!!」

 

安心したのもつかの間、俺はその場から立ち上がることが出来なかった。そういえば、初めに頭を殴られていたんだ。アドレナリンの効果スゲー...

 

 

数分の間にすっかり騒がしくなった旧校舎。そこに倒れ込む2人の生徒を見て立花は絶対に死なせてはいけないと己を奮い立たせやってきた救急隊と警察に事情を説明し始めた。

 

恐ろしい怪人と真っ向から立ち向かった青年の勇姿を...




*本作に出てくる首を絞められた人への応急処置はネット知識なので絶対に真似しないで下さい。何かあっても責任はとりません。

本来の時間軸だと金田一と立花さんは桜樹るい子が七不思議の1つ目同様、開かずの教室で首をつられ、その横に放課後の魔術師が佇む通称、死の儀式を共に見ているので犯人の可能性はあり得ません。犯人かもと疑ったのは単に板橋君の記憶違いです。やっぱ一流だよなぁ、立花さんは。



ちなみに来週の暴露大会では板橋君の臭いセリフ&久々の名前呼びで盛り上がる予定でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。