鴉は舞い降りた   作:キサラギ職員

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三 下


42、V.Ⅱ スネイル

V.Ⅱ、

 

『このガラクタを飛ばすことはいい……地上のゴミどもを焚き付けたことも許しましょう。だが貴様らは、私を! 企業を無いものとして扱った!』

 

 アーキバス・バルテウスの襲来。ザイレムに次々着陸してくる企業戦力を片っ端撃墜していると、それがやってきた。以前遭遇した特殊兵器、バルテウス。それをアーキバスが改修し、実戦投入した機体。

 搭乗者、ヴェスパー隊、スネイル。

 

「いくよ!」

『仕掛けます!』

 

 ネームレス、垂直ミサイル連続発射。着弾するも、パルスアーマーに阻まれる。アサルトライフルを撃ちまくりながら、出方を見る。レーザースライサーを機会があれば叩き込むつもりだった。

 エアはエフェメラにプラズマライフル、光波ブレード、支援型タレットだ。

 いずれも状況対応力が高い。逆に言えば特化していない。アーキバス・バルテウスがパルスアーマーを展開しているため、突破が事実上の力押しと化す。

 バルテウス、搭乗者スネイルは激怒していた。計画を何度も何度も阻み続けてきたその害獣を取り除くべく、この機体をわざわざ用意するほどに。

 

「たしかに強い! 強いけど……乗りこなせてないね」

 

 アーキバス・バルテウスを駆るスネイルへ、レイヴンを単純な指摘をした。人型機動兵器は腕前がもろに反映される。スネイルに対して挑発したわけではなく、単純に考えを口にしたのだ。

 高熱源反応。緊急回避。横合いを青いビームが突き抜けていく。

 

『貴様ァ……絶対に許さん! あの男のように弄くり倒して尊厳を犯し尽くしたあとでゴミクズのように捨ててやる!』

「あの……男」

『そうだ! あの男は貴様を気にかける言葉ばかり口にしていたぞ! まあ、もはやまともには暮らせんようにしてやったがな!』

「………殺す!」

 

 ぶちりと何かが切れる音がした。

 ネームレス、バルテウスが放つパルスガンを上昇回避すれば、アサルトライフルを撃ちまくりながら接近、アサルトアーマーを起動した。

 

【アサルトアーマー、起動します】

 

 エメラルドグリーンの閃光が走り、パルスアーマーが相殺された。

 

『ウォルターになにをしたのですか!』

『貴様はコーラルに生じたノイズ風情か! はははは! 私がなにをしたのかも想像できないなら教えてやる! 傀儡にしてやった!』

『耳障りです。私はあなたを……殺します』

 

 エアも何かが切れる音を聞いた。

 パルスアーマーが剥がれ離脱をはかるバルテウスに対してブレード光波を放つも、ふわりふわりと動くためか追尾しきれない。

 アーキバス・バルテウスは弱点でもあったミサイルポッドをエネルギー兵器に換装したタイプだ。故に被弾しても余り支障が出ない。

 二機の動きは一心同体。互いの射線に入らぬよう、しかし、最大火力を叩き込めるよう、立ち回る。

 バルテウス、パルスアーマー再展開。ビームをサーベルよろしく振り回しながら、ビルの中を縦横無尽に飛び回る。

 

「火力だけだね」

『しかし、直撃を貰えばただでは……!』

 

 ネームレスが動く。アサルトライフルを的確にパルスアーマーにぶち当てながら垂直ミサイルを乱射し、アーマーをはがしていく。

 エフェメラもプラズマライフルで範囲攻撃をぶつけながら、隙あらばブレード光波を叩きつける。

 パルスアーマー、消失。硬直するバルテウスに、全く同じタイミングでエアとレイヴン機の蹴りがぶち込まれた。バルテウスが墜落し、そのまま滑走していく。

 

『ばかな……! たかがAC如きに!?』

 

 怒りのあまりか、動きにキレがない。スネイルは持ち前の冷静さをかなぐり捨て、結果的にむしろACオープンフェイス以下の機動しかできていないことに気が付かない。

 

『三流ですね。ラスティのほうが、遥かに強い』

 

 エアの見据えた挑発にビームで応じるが、ひらりと躱され逆に光波の直撃を許す。

 

『私は……私が企業だぞ! 私がアーキバスだ! 逆らえば、どんな目に……! わからないのか!』

「うるさい、黙れ」

 

 絶叫するスネイルと、あくまで冷静に返すレイヴン。

 実力が違いすぎた。例え兵器が勝っていても、スネイルにそれを乗りこなす実力はなく。故に反撃のパルスガンを機体を左右に振り、弾幕を前進で躱しながら肉薄するネームレスを捕捉できず。

 

「エア!」

『レイヴン!』

 

 故に二機が同時にブレードを振りかぶり、両腕を切り落とすことにも対応できず。

 止めとばかりに繰り出されたネームレスの垂直ミサイルに動力部を貫かれた。

 

『私が企業だぞぉぉ! 平伏しろ! 死んで償え! 私が……!』

 

 

「死ね!」

 

 

 恐ろしく端的に言葉を返したレイヴンは、死にきれずに炎上するバルテウスにアサルトライフルを突きつけると、コックピットを穿った。

 

『ぐああああああ!?』

 

 そして断末魔の悲鳴をあげながら、スネイルという男は火炎に包まれ、弾丸に身を粉々にされながら、地獄に落ちた。

 

 

 

『レイヴン』

「うん。次、行こう」

 

 

 炎上するバルテウスを後目に二機は、戦場へと飛び出していった。

 遥か前方。赤い光が輝き、小さい爆発が起こる。

 

 レイヴンはそれを機体越しに見遣ると、猛烈な胸騒ぎに襲われた。

 

 

 

「ウォルター……?」

 

 

 

 

 

 

 

 




哀れ。
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