異世界に転生したのでポイント交換でゆる〜く生きてく   作:レイサン

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今回は比較的短めですね。


完全にやっちゃってる国

ユリカが山周辺を開拓して自由に暮らしていたある日、ユリカの家にエルフの集団がやって来た。

 

しかもエルフ達はかなり疲弊してるらしい。

流石のユリカでも、ただ事ではないというのはひと目でわかった。

 

「おーい!ここの代表を呼んできたぞ!」

 

「あ…ありがとうございます…!」

 

「どうしたんですか…てうわぁぁぁ!!血ぃ!!後ろの人血出てるんですけど!!」

 

「我々は森の外の村で暮らしていたエルフです。そして私は生き残ったエルフの代表、ヨルンという者です。」

 

「えっと、皆さんは森の外から来たエルフで、そこのお兄さんがリーダーって事で間違いないですか?」

 

「あの、私はこう見えても女です。」

 

「ご、ごめんなさい!!」

 

『落ち着けユリカよ、まずは話を聞くのが先じゃろう。』

 

「それもそっか。えっと、それでヨルンさん達は一体どういう経緯でこんな姿に?」

 

「人間達の襲撃です。」

 

「えっ!?」

 

驚きのあまり可愛くない声が出た。

 

「人間の価値基準は分かりませんが、どうやら彼らにとって我々エルフの姿は美しいと感じるようで、恐ろしい事に我々の体は高値で取り引きされるそうです。」

 

「え、待って待って?つまり人身売買のために村を襲って誘拐したり怪我させたりしたってこと!?」

 

「その通りです。」

 

「おいおい嘘だろマジかよ!?人身売買なんてどう考えても犯罪だろ!!…まさか人身売買が合法とか言わないよね!?」

 

「それは無いよユリカ。」

 

「うわぉドロシアいつの間に背後に!?」

 

「私がハーフデッドになる前の時代から奴隷商売等の、人間を売り買いする行為はどの国でも罰せられてたはずだよ。売る方も買う方もね。」

 

「だとしたら一体どこの誰がそんな事を!」

 

「恐らく…ドラグ王国です。」

 

予想外の言葉が出てきた。

 

「え?ドラグ王国って…あの王国騎士団とかいるドラグ王国だよね?」

 

「はい。まだ確証はありませんが、生き残った村の者たちが、我々の同胞を誘拐した集団がドラグ王国の首都の方向に帰って行く姿を目撃したと証言しています。」

 

「ええぇ…?組織でそんな事してたら普通は騎士団に潰されるだろ。」

 

「なぁユリカ…話は後にしてまずは怪我を直してやった方がいいんじゃないか?疲れてるみたいだし空き家も貸してやろうぜ?」

 

「ああ!それもそうだね!話は後で聞くのでまずは休んでください皆さん!」

 

「という事は、我々を救ってくださるのですか!?」

 

「もちろん!そんな悪い奴ら私が追い払ってやりますよ!」

 

「ありがとうございます……本当にありがとうございます……!貴方様の優しさで我々エルフは救われるのですね!」

 

「あ〜、一応安全とは言いきれないから、ダメだった時逃げられるようにゆっくり休んでいってね。」

 

 

ヨルンを代表とする20名程のエルフを村に迎え入れたユリカ。

今後について考えようとしていると、またしても予想外の来客が訪れた。

しかも、この気配は自分が知っている人物だ。

 

「こっちに来てる!懐かしいような三人の気配と、こっちはよく知ってる気配だ!」

 

ユリカの家の前の階段を降りて迎えに行く。

 

「お久しぶりですユリカさん!」

 

「シグマ〜…じゃない!?誰ですかあなた!?」

 

確かにシグマの魔力を感じ取ったのだが、そこにいたのはハンターらしく武装したかつてのシグマでは無く、ヒラヒラとした洋服にキラキラの髪飾りやネックレスを身につけたお上品な見知らぬお姉さんだった。

 

「あ!!ちょ、ちょっとこっち来てください!!」

 

綺麗なお姉さんは慌てた様子でユリカを人の少ない場所へ連れていった。

 

「あの、お姉さん誰ですか?」

 

「見た目では分からないと思いますけど、私はシグマ本人です。」

 

「え、でも姿が違いすぎるって言うか……。」

 

「今こそ真実を伝える時ですね。実はゴールドランクハンターのシグマというのは世を忍ぶ仮の姿なのです。私の本当の姿は、貴族の娘サリアなんです。」

 

「うえぇぇぇぇ!?き、貴族の娘!?」

 

「シィーーー!声が大きいですよ!」

 

「おっと失礼…。」

 

ドラグ王国においての貴族の立ち位置は、言ってしまえば政治を任された偉い人。

貴族達が良いと言ったことが国のルールとなり、貴族達が「こうするべきだ」と言った通りに国が動くのがドラグ王国の国の在り方だ。

ただし、最終的な政治の決定権は国王にあり、貴族は国王を納得させなければならない。

 

「あの、貴族の娘さんが私なんかに何の用でしょうか?」

 

「やめてくださいよ急によそよそしくなるの!サリアって呼び捨てしていいですよ!」

 

「ああ、それで、ええっと、サリアはなんでハンターやってたの?」

 

「ストレス発散です。スキルの都合上定期的に発散しないと色んな欲求がバクハツしちゃいますから。」

 

「……なんて言うか、難儀な体ですね。」

 

しばらく話をして落ち着いたので皆の元に戻って本題に入る。

 

「さてさてさ〜て、懐かしい顔が揃ってるじゃない。レドにファミーにラーソだね。見ない顔も一人増えてるけど。」

 

「シドーです。よろしくです。」

 

「君はシドーっていうのか、よろしく!」

 

「では改めて本題に移ります。先月のことなのですが、私の両親が貴族の集まるパーティーに呼ばれたんです。当然私も同行したのですが、そこで友人から相談を受けたんです。」

 

「友人から相談…どんな相談だったの?」

 

「何でも最近、お父様の様子がおかしいという事で、仕事はおろか会話もまともにできない様子だったそうです。」

 

「うわぁ…どうしたのその人?」

 

「それが、最近夜になるとどこかへ出掛けるようになったそうで、その頃から少しづつ様子がおかしくなったそうです。」

 

「それで心配になったサリア様から俺たちに依頼が来たッス!」

 

「依頼を受けて私達が三週間かけてその貴族の男について調べてみると、粉や葉っぱを取引する変な人を見つけたって訳ですよ。」

 

「こういうのって本当はハンターの仕事じゃ無いんすけど、流石にほっとけなかったので実際に買ってサリア様にお渡ししたんですよ。」

 

「買ったの!?」

 

「ええ、確かに私が受け取りました。」

 

「まさか口に含んだり鼻から吸い込んだりしてないだろうな!!」

 

ユリカは両手で机を叩き声を荒げた。

 

「い、いえ!流石に怪しいので開封はしていません!」

 

「ほっ…良かった…。」

 

ユリカにはその葉っぱや粉に心当たりがある。

 

「その粉や葉っぱって今どこにある?」

 

「ここにあります。ユリカさんの鑑定スキルを使って中身を調べてもらいたいので。」

 

「……分かった、調べてみるよ。」

 

ユリカはその怪しい粉や葉っぱに対して鑑定スキルを発動した。

 

「幻覚作用…快楽成分…臓器を破壊しかねない成分も含まれている…思った通りだ…。」

 

「あ、あの、その粉はどう言ったものなんですか?」

 

「吸ったらヤバい薬、いわゆる危険薬物ってやつだよ。吸ったら頭がイカれるけど、その分快感も得られる。おまけに一度使うと、その快感から抜け出せなくなる。」

 

「そ、そんな危険な薬があるんですか!?」

 

「あ!それと似たようなの聞いた事あるッス!ゴールドランクの先輩から忠告されたんスけど、食ったら頭がおかしくなるキノコとかがあって、法律では取引禁止の違法な食材って言われてるやつッスよ!」

 

「そのキノコがダメなら似たような効果の薬物も当然違法だろうに、なんでこんなものを貴族が?」

 

『貴族もグルという可能性もあるじゃろうな。』

 

「え?コンちゃんそれどゆこと?」

 

『思い出せ。エルフを誘拐した者たちはドラグ王国へ逃げていったが捕まっていない。ドラグ王国の貴族は違法薬物を使っていたが捕まっていない。まだ子供であるアストとラルが事故を起こしただけで死刑判決。王国騎士団が気づかないはずが無いのに見て見ぬふり。』

 

「全部国が仕組んだってこと?」

 

『まぁアスト達の件はこじつけ気味じゃがな。少なくとも王国騎士団は役に立っていないという事じゃ。』

 

「人身売買に違法薬物の取引、さらには罪の無いエルフを大勢傷つけている。探せばもっと多くの悪事が明るみになるかもしれないね。」

 

『さてと、また面倒事に巻き込まれそうじゃな。お主はのんびりしたいだけだと愚痴を零しておったが、どうするのじゃ?』

 

「もちろんドラグ王国の悪人共を潰す。やってる事が邪悪すぎるし、流石に見逃せないね。」

 

『おうおう、正義のヒーローと言うやつかの?クッフフフフッ、変に格好つけおって。』

 

「前世の死に際がカッコ悪かったからね。二度目の人生はカッコよく生きたいじゃない?」

 

『好きにせぇ、お主の人生じゃ。』

 

そうと決まったらまずは準備だ。

とりあえず負傷したエルフの方々の治療を行い、情報をまとめる。

 

エルフ達の持つ情報とハンター達が集めた情報をまとめると、やはり一連の出来事は同じ組織による犯行だと分かった。

 

ユリカ達が引き続き情報を出し合っていると、会議室として使っていた建物にアスト達がやってきた。

 

「なぁユリカ昼飯まだか?ラルがお腹すいたってずっと騒いでるんだ。」

 

何気なく現れたアストをの姿を見たエルフ代表のヨルンは、驚いて大きな声を出した。

 

「流星の魔人さま!!何故地上に!?」

 

「な、なんだよいきなり!やんのかコノヤロウ!」

 

「こらアスト!ヨルンさんは女性だからヤロウじゃないぞ!」

 

『気にするのそこじゃ無いじゃろ。』

 

「気を取り直して…ヨルンさん流星の魔人について何か知ってるんですか?」

 

「流星の魔人さまは数十年に一度天から舞い降りてドラグ王国の王になる決まりがあるのです!何故流星の魔人さまがこのような辺境の地にいらっしゃるのですか!?」

 

「何故って…理不尽な死刑判決を受けて可哀想だから匿ってるんですけど。」

 

「し、死刑判決!?そ…そんな…馬鹿な……話……が……ガクッ…」

 

『ショックのあまり気を失っておるようじゃな。長寿なエルフ族の長ともなれば、過去に王になった流星の魔人を知っておったのじゃろうな。』

 

「アスト達が理不尽な死刑判決を受けた理由がわかったぞ。今の国王や貴族が自分達の保身のために濡れ衣を着せたんだ。」

 

この時のユリカ達は知らない事だが、そもそもの話アスト達に滅ぼされたと言われている村は、彼らが空から落ちてくるよりも前に異種族とのいざこざに巻き込まれて廃墟化していた。

 

つまり完全に冤罪である。

 

「さてと、王国の裏側の情報は充分集まったね。あとは証拠さえあれば、ドラグの国王や貴族をギャフンと言わせられるってわけだ。」

 

『ギャフンと言わせて、その後はどうするつもりなのじゃ?まさかお前が女王になる訳ではあるまい。』

 

「なるわけないじゃないそんなの。本来王になるべきはアストだからね。国王を追放した後はアストに任せて私はこの家でゆっくりするつもりだよ。」

 

『お前も適当じゃのぉ。妾の信仰を集める計画も忘れるでないぞ?』

 

「もちろん!まぁその話は置いといて、やっぱ証拠って言ったらアイツを証人として縛り上げるかぁ。」

 

『……なるほど彼奴か、悪くない人選じゃろう。しかしどうやって誘き出すつもりじゃ?』

 

「ちょっと暴れてやれば向こうから出てくるでしょ。」

 

こうしてユリカは、証人を力ずくで捕まえる際の作戦を考えるために、山に住む者たちを会議室へと集めるのだった。




国王も貴族も騎士団も真っ黒なやべぇ国
その国の名はドラグ王国
こんな調子だと軍事国家グリフやジリス帝国もやべぇ国かもしれない
ユリカ的にはとっても不安です

次回 王国にカチコミ(サブタイトル変更の可能性あり)
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