異世界に転生したのでポイント交換でゆる〜く生きてく 作:レイサン
今回はユリカ視点が少なめかも知れません。
ジリス帝国
帝国軍本部
ジリス帝国の表向きの最大戦力とされる帝国軍、その本部では今日も仕事に追われている人物がいた。
帝国軍大将のミレニアだ。
最近ドラグ王国の話ばかりが話題に上がっていて誰も覚えていないかもしれないが、ジリス帝国といえばしばらく前にユリカの情報を得るために隠密部隊を送り出した帝国だ。
しかし、ユリカの現在の居場所が正確に把握できていないため、皇帝はユリカへの対応を決め兼ねていた。
それはさておき、今注目すべきは帝国軍大将であるミレニアだ。
彼女は優れた剣の才能を評価され帝国軍に入隊、その後は戦闘だけに留まらず指揮官としての才能を見せつけたり、事務作業までこなしてしまう器用さを評価され、実力主義の帝国軍で大将にまで上り詰めたのだった。
「おはようございますミレニア様。目覚ましに紅茶をご用意致しました。」
「……そこに置いておいてちょうだい。」
「ミレニア様!こちらの書類に目を通して頂けますか?」
「……ええ、そこに置いておいてちょうだい。」
「ミレニア様!大変です!南西地域にて例のテロ組織が暴動を!!」
「……第二制圧部隊が動けたはずよ、彼らを向かわせなさい。」
「ミレニア様!」 「ミレニア様!」
「ミレニア様!」
「ミレニア様!」
「ミレニア様!」
「ミレニア様!」 「ミレニア様!」
「……はあ、紅茶が温くなってるわね。日も傾いてきた。重要書類は全て確認済みだし、そろそろ終わるかしらね。」
「ミレニア様!例の計画について予定を早めたいとの事で、今から会議を行うと皇帝陛下から……あの、大丈夫ですか?」
「……私は大丈夫よ。そろそろ帰宅する時間ね、貴方はもう帰りなさい。奥さんが待っているのでしょう?」
「は、はい!失礼しました!」
朝入れた紅茶を半分も飲まない内に、気が付けば日が沈みかけている。
会議が長引けば数時間は話し続けるだろうし、それが終われば会議内容を元に計画を立て直す事にもなるだろう。
そうしてやっとの思いで仕事を終わらせれば、今夜も帝国軍本部の仮眠室で一晩過ごし、朝早くに座り慣れた椅子に腰掛けて、書類の山に囲まれる一日が始まる。
それで済めばまだ穏やかだ。
時には大将が直々に戦場へ出向いて戦う事もある。
この場合、戦闘自体は苦ではない。
この場合辛いのは、ただでさえ終わらない事務仕事をほっぽり出して遠く離れた戦場へ向かう必要がある事だろう。
ふざけた連中の悪ふざけに付き合わされるせいで、仕事が増えて終わりが遠退く。
そうして明日、一ヶ月ぶりに休暇を得られる。
「……辛い。」
一ヶ月ぶりの自宅のベッドで抱き枕を抱き締めながら、彼女はたった一言そう呟いた。
そして翌朝
「……やっぱり朝はホットココアに限る。」
長い髪に寝癖が跳ねている。
目の下にクマができたまま、暖かいココアをすすって体を温め、目覚めさせる。
「……久々の休日、今度こそ楽しめる何かを見つけられるかな?」
ミレニアに趣味と呼べるものは無い。
辛い仕事を乗り越えて、ようやく訪れた休日に彼女がやる事は、他人の趣味を真似してその楽しさを理解しようと努力する事である。
「……確かオススメの本があるとか言ってたし、今日は本屋にでも行こ」
ドゴォォォォ!!
「キャァァァァ!!」
「テロリストだ!!逃げろ!!」
「誰か!帝国軍に連絡を!!」
ミレニアがホットココアの入ったカップを置こうとした時、大爆発と人々の悲鳴が聞こえてきた。
爆発の揺れでカップが倒れ、お気に入りのパジャマに黒いシミがだきた。
「……どうして……どうしていつもこうなの……?私はただ……ただ落ち着きたいだけなのに……!毎日毎日……馬鹿みたいに……何が楽しいの……!?……何が…楽…しい…………?」
ほんの一瞬、ミレニアの心に静かな怒りが込み上げてきた。
しかし、その怒りはすぐに静まり、そして一つの考えへと変わった。
「……そうか。分からないのなら試せば良い。料理や読書と同じ。彼らのように暴れてみれば何かが分かるかもしれない。」
そう言うとミレニアは、一瞬で着替える魔法を使ってパジャマから軍服に着替えた。
そして、自宅のベランダの柵に立ち、それを強く蹴って目的地まで飛んで行った。
ジリス帝国南東地域
教会だった場所
「魔物や魔族を虐げる宗教など時代遅れだ!そんな宗教を進行する教会も必要ない!だから我々が破壊してやろう!」
テロリストが教会を爆破し、その跡地で演説のようなものを行っているようだ。
「我々の意思に賛同するものは集まれ!共に世界を変えようじゃないか!」
ドゴォォォォ!!
「素敵な演説ね?私も混ぜてよ。」
「き、貴様何者……ヒィィィィ!!その紋章は、帝国軍!?」
「私は帝国軍大将ミレニア!!今から彼らの意思に賛同してこの国の教会を全て破壊するわ!!もちろん人々を巻き込むつもりは無いから安心して眺めているといいわ!!」
彼女がそう宣言してからは、自体はあっという間に動いた。
早朝に破壊宣言をしたミレニアは、その日の昼前に帝国領土中全ての教会を跡形もなく破壊してしまった。
そして今、彼女は近場のレストランで昼食を食べていた。
「栄養の偏りを気にせず食べたいものだけ食べる。罪悪感と共に幸福感を感じる。これが食の幸せという物なのかしら?」
「指名手配犯ミレニア!貴様は既に包囲されている!武器を捨て両手を上げろ!」
「……そういえば、あなたたちを相手に訓練以外で戦闘行為に及んだ事は無かったわね?それなら知らないのも無理は無いか。」
「な、武器を所持していない!?」
「はっきり言って私に剣の才能は無い。私が得意なのは格闘術よ。まあ、実戦で試したことは無いけどね。」
ミレニアを取り囲む兵隊たちは震えている。
ミレニアは一般兵士相手にハッタリを言うほど弱い人間では無い。
ハッタリは不利な状況で相手を騙すために言うものであり、圧倒的強者が弱者に向けて言うものでは無い。
「あんなに生き生きとしている大将は初めて見た。」
「ああ、俺たち今日死ぬのかもな。」
「お家帰りたい。」
ドラグ王国
国王と客人の部屋
現国王であるアストが急遽増築させた部屋。
国王が呼び込んだ客人、主にユリカをもてなす為の部屋である。
「何だか小洒落た部屋だねぇ。で、話って何?」
「いくつか言わなくてはならない事がある。まず一つ目は……」
「一つ目は……?」
「国王らしく振る舞うのってキッッッッッッツイんだよぉぉぉぉ!!」
「お、おちつけアスト!」
「おう。」
「うわぁ!急に落ち着くな!」
「使用人達はラルの事は甘やかすくせして俺にばっかり厳しいんだぜ?そりゃ兄ちゃんだから頑張るけどよぉ?ちょっとぐらい甘く見てもいいじゃんかよォ!」
「仕事の愚痴聞かせるために呼んだの?」
「半分そうだけど半分違う。でもしばらく愚痴聞いててくれよ。」
「しょうがないなぁ。」
その後一時間ほどひたすら愚痴を聞かされた。
「フゥ〜、すぅっとしたぜぇ。さて、こっからが真面目な話なんだけどな?」
「ほいほい。」
「なんつーか最近隣国が騒がしくてなぁ?」
「隣国……ジリス帝国と軍事国家グリフだっけ?どっちが騒がしいの?」
「どっちもなんだよ。国境警備隊の情報によるとジリス帝国から皇帝直下の組織の者が来たって話だ。でもってグリフの方は堂々と宣戦布告してきやがった。アイツらウチの王国騎士団が解散したって情報を聞きつけて今がチャンスとばかりに喧嘩売ってきたんだ。」
「そりゃ随分と面倒くさそうな話だけど、それを私に伝えて何するつもりなの?」
「ちょっとした依頼だよ。正直今はジリス帝国の相手してる余裕は無いんだが、皇帝直下の組織から来たってのを考えるとただ事じゃない。正直軍事国家グリフは全力で応戦すれば何とかなる相手だ。そっちの相手をしている間に、アンタがジリス帝国の使者の話を聞いてやってくれ。」
「まぁ話聞くだけなら。」
「やってくれるのか!ありがとぉ流石ユリカだ!」
『良いのか?そんなにホイホイと仕事を引き受けて。妾はどうなっても知らぬぞ?』
「ダイジョブダイジョブ!何とかなるなる!」
─────────────────────
と、言ったものの。
いざ現地に向かい話を聞きに行くと、早々に頭を下げ助けを求められた。
「どうか!どうかジリス帝国に協力してください!このままでは国が滅びます!」
「ええぇぇ……?いや知ったこっちゃないよそんな事。」
「この通りです!どうか!どうか話だけでも!」
「んー、まぁ話聞くように頼まれてたから構わないけど、私は助けてやらないからね?」
そうしてユリカは、皇帝直下の者たちから帝国の現状を知らされた。
元帝国軍大将ミレニアは、現在自分で破壊した教会を自分で修繕した後、自身を狙って襲いかかった暗殺部隊を壊滅させ、現在は仕事を放棄してひたすら温泉巡りをしているとの事。
交渉を行うために軍を派遣すると、連れ戻しに来たと勘違いして暴れられるので下手に手を出せないそうだ。
「こうなっては外部の者の手を借りなくては話が進みません!どうか協力していただきたいのです!」
「んー、一応国王に言っとくよ。じゃ、帰って良いよ。」
「えっ?か、帰れと?」
「何?まだ何か用事あった?」
「あぁ、いえ特には。」
「じゃ早くお家帰んな?あーでも距離的に数日かかるか、私が家用意してやるから今夜は泊まってきな。」
「え?あ、はい!」
─────────────────────
「という事があった。」
「なるほど、しかし暗殺部隊で歯が立たない相手に普通の戦力では通用しないだろうな。それこそ、魔王軍幹部とかそれぐらいの実力が無いと、な?」
「……待ってその情報もう広まってる感じ?」
「あ?俺は別にアンタが魔王軍幹部だなんて言ってないが?そうかそうか、あの噂は本当だったか。」
「してやられたぜ。」
『阿呆じゃな。こんな露骨な誘導、普通は引っかからんじゃろう。』
「いやいや待ってよ!無理だって私でも!」
「でも他に頼めるやついるか?」
「それはその、ほら!シグマに頼めば良いんだよ!」
「シグマ?ああ、サリアの事か。あいつはダメだろ。」
「なんで!?」
「貴族の娘を他国の将軍と戦わせたらマズいだろ?」
「た、確かに。」
『やっぱり阿呆じゃな。妾がついて居らぬと危ういのぉ。』
「でも、でもさぁ、でも怖いよ?流石に怖いって。そりゃ魔王軍幹部だけどさぁ?言うてカーネラルもどこまで本気なのか分からないし、他の魔王に比べたらまだ弱い方なんだから私だって。」
『じゃがお主、まだポイントを残してあるのじゃろう?アレを使えば何とかなるのでは無いかの?』
「そう言えばそうだった!」
現在の残りポイントは 672840 です。
「さて、これでスキル取れるだけ取って……」
ポイント販売スキルから
ステータスブースト 3000ポイント
ウェポンマスター 3000ポイント
スキル融合 2500ポイント
ブラックホール 5000ポイント
ステキな魔法使い 5000ポイント
分解 5000ポイント
遠隔操作 3000ポイント
マーシャルアーツ 3000ポイント
スナイパー 2000ポイント
買い物カゴ 1500ポイント
を購入しました。
「OK!買えるだけ買った!」
ポイント販売スキルにて
アルティメット[覚醒]が選択可能になりました。
「覚醒?何だこれ。」
『なっ!?覚醒じゃと!?』
「おいおいマジかよ!?ここでやるなよ!?」
「待って、話が見えてこないんだけど?」
『覚醒は生物としての格を上げる行為じゃ!覚醒した者は莫大な力を得ると言われておる!』
「ほう?」
「場合によってはすげぇエネルギーを放出して地形が歪む事もあるって言うぜ?やるなら帰ってから家でやってくれ。」
「はーい。」
「とにかく、ジリス帝国の事はお前に任せたからな!」
「はいはーい。」
翌日、ユリカの領地にて。
「カーネラルが「この土地は好きに使ってよいのだ!」って言ってたし、ここで覚醒するかぁ。」
[覚醒]が選択されました
これよりユリカの覚醒を実行します
「うぁ、なんか力抜けるんだけどぉ。」
『これが覚醒…妾とてこの目で見るのは初めてじゃ…』
「ちょっと不安だから、コンちゃん外で待機しててぇ。」
スキル発動:分身を生成
「ほう、意識が朦朧としていてもスキルは問題なく使えるのじゃな。」
「寝ながら暴れたりしたら取り押さえてねぇ……スヤァ…」
「一時的に休眠状態になるとは聞いておったが、どれほど時間がかかるのかのぉ。」
そう呟いた直後、ユリカは全身から眩い光を放った。
「ふおぉ!?な、なんじゃ!凄まじい魔力じゃ!こ、これが覚醒という物なのか!?」
魔力の流れが嵐のように荒れ狂い、濁流のように放出され、あまりの力強さに大地を揺らしている。
常人なら立っていられない程の振動に、流石のコンちゃんも身構えた。
「この強さ……全盛期の妾にも引けを取らぬ……!」
そんな魔力の放出が数時間続いた後、ユリカは三日三晩目覚める事は無かった。
ユリカが眠りについて四日後。
「ん、んん?体が軽い。何か凄い元気が出てきた。」
「おお、ようやく目覚めたか。どうやら覚醒は成功したようじゃな。」
「そうなの?実感無いけど。」
覚醒したユリカの実力はどれ程の物なのか、それを試すためにも。
「それじゃ頼まれた通りジリス帝国軍大将ミレニアに会いに行こうか。」
次回 ミレニアとユリカ
ちなみにユリカが目覚めた時、コンちゃんに膝枕されていたそうです。
羨ましいなこんちくしょう!