異世界に転生したのでポイント交換でゆる〜く生きてく   作:レイサン

6 / 16
シグマとかいう女、はたして敵が味方か。
そして変態かまともか。
まともな味方だと嬉しいけどそれじゃ話が面白くないもんね?


ゆる〜く二人旅《修行を兼ねて》やべぇ女との遭遇

私たちは今森の中を探索している。

この森を抜けた先にある山に鉱石を掘りにいくのだ。

鉄の硬さではそのうち限界が来そうだから、今のうちにミスリルなどのファンタジー特有の謎金属を集めておきたい。

 

「ふぅ…やっぱ重力二倍は効くねぇ。それはそうと、どのモンスターをテイムしようかなぁ。説明にテイム不可の生物とか無かったし多分なんでもいいんだよね。」

 

『キツネはダメじゃからな?妾とキャラが被る。妾としてはドラゴンなんかがオススメじゃな。強い上に空まで飛べるぞ?』

 

「でもテイムできるってことは私より弱いわけだし、空も自力で飛べるし。」

 

『うむ、それもそうじゃったな。ではピナパカノルトスはどうじゃ?』

 

「ピナパ……何?」

 

『いや、気にするな。よく思い出したらピナパカノルトスは妾が封印される前に絶滅しておった。』

 

「ピナパなんとか……気になる……。」

 

『それにしても、今日の森は中々に静かじゃのう。雑魚ですら一匹もいないではないか。またブラックサーペント並の怪物がいるやもしれんぞ?』

 

「げぇ〜、なんか最近多くない?流石に疲れるんだけど。」

 

『あるいはお主の威圧感が発動しているか。』

 

「いや、流石にそれは無い。自分のスキルはちゃんと管理できてるからね。」

 

『ではやはり他に何か危険な魔物が潜んでいると考えるべきじゃろう。なんならそいつを飼い慣らすのも一つの手じゃな。』

 

「何にしても周りには気をつけた方が良さそうだね。あ、そういう事ならアレを使ってみよう!魔力レーダーのスキル発動!」

 

初使用なので効果範囲は精々半径20m程度だけど、視界が悪い森の中では肉眼で捉えるよりも早く敵の位置を把握出来るはずだ。

 

とは言え使ったことの無いスキルなので勝手が分からないし、本当に"何もないよりはマシ"程度のものかもしれないけどね。

 

「ちょうどいい機会だし、長時間使い続けてスキルを強化しよう。一部のスキルは使えば使うほど効果が強力になるっぽいからね。」

 

『うむ、どうせ歩いている間は暇じゃからな。こういう時間を無駄にせぬようこの世界の常識というのをお主に教授してやるとしよう。』

 

そういう訳で、今日は歩いている間ひたすらスキルについての説明を受けた。

何でもこの世界には種族スキル・職業スキル・固有スキルの三種類のスキルが存在するらしい。

 

種族スキルは種族毎に分けられた習得可能スキルであり、自分の種族が習得可能な種族スキルであれば成長過程で自然と身につく可能性が非常に高いスキルらしい。

コンちゃんの聴覚や嗅覚もこの種族スキルによるものらしい。

 

職業スキルは自分以外の誰かに仕事を与えられ、その仕事を実際に行う事で身につくスキルの事らしい。

剣士の役割を与えられた人物が、剣術の修行をして剣を扱うスキルを習得するのは職業スキルに分類される。

 

そして固有スキルはその二つに分類されないスキルの事らしい。

固有スキルをさらに細かく見ていくと、職業や種族に関係なく世界中で数人から数百人にランダムで目覚めることがある半固有スキルと、世界中でたった一人だけが使える完全固有スキルの二種類にわけられる。

 

ちなみに私がお世話になっているスキル販売所は恐らく完全固有スキルと思われる。

これまでも転生者や転移者は極小数ながら存在したらしく、その全てが完全固有スキルを持っていたらしい。

まぁ完全固有スキルの中でもポイントでスキルを買えるなんてズルいスキルは前例が無いだろうけど。

 

『……というわけなのじゃよ。』

 

「うーん……思ったんだけどさ?なんで私はこんなスキル与えられたんだろう?」

 

『はぇ?』

 

「いや、多分だけど神様的な存在が転生ついでに特別な力を与えたとかでしょ?だとしたら何か意味があるのかなぁって。」

 

『あ〜無い無い、全ッ然無いぞそういうの。良いか?仮に神が存在したとしてもただの人間にそんな力与えん。だって何しでかすかわかったものでは無いじゃろ?それとここからは妾の持論じゃが、恐らく魂は異世界へやってくる過程で、その通り道にある何らかの強大な力から影響を受けてスキルが目覚めるのだと、妾はそう考えておるのじゃ。』

 

「うーん、そんなもんなのかなぁ?」

 

『きっとそうじゃろう。だから重く考える必要などないぞ?せっかくの第二の人生じゃ、お主のやりたいようにやるのがよい。』

 

「第二の人生……やりたいように……か………。」

 

それも一理あるかもしれない。

思えば前世は育った環境や周囲の目が気になって、やりたい事がやれていたのか疑問に思うこともあった。

国に属さず好きに旅している今の生活、何者にも縛られず自由に暮らすこの生活は、案外転生前よりも楽しいかもしれない。

 

「いっそ山奥にぽつんと一軒家でも建ててのんびり生きていこうかなぁ?」

 

『む?止まれユリカ。今何者かの足音が聞こえたと思ったのじゃが、魔力レーダーに反応は無いか?』

 

「魔力レーダー……ハッ!か、囲まれてる!」

 

『チッ、妾とした事が雑談に夢中になっておったか。やはり衰えたのぉ…。』

 

「どうする?魔力レーダーの反応からして背後のやつに比べると周りのは二回りぐらい弱いけど、親玉を潰すか雑魚を振り切って逃亡か。」

 

『もうすっかり戦うことに抵抗が無くなったようじゃな。じゃがそれは危険な傾向じゃのう。集団相手にバカ真面目に勝負を挑めば数の暴力でねじ伏せられるぞ?雑魚集団相手であればあのスキルが有効じゃろう。』

 

「…そうか、確かにあれを使えばある程度楽になるかもしれない。」

 

ジワリジワリと敵が接近してきた。

そしてその親玉の姿を捉えた。

 

『あれは…ゴブリンキングじゃと?何故あんなやつがおるのじゃ。』

 

「やばいの?」

 

『単体ならお主の敵では無い。じゃが問題はレッドサーペントやアイアンゴーレムと立て続けに現れたという事じゃ。』

 

「どういう事?」

 

『話は後じゃ、早うアレを使え!』

 

「わかった!スキル発動:威圧感50%!」

 

魔力レーダーと同じく初使用のスキルだから、まずは最大出力の半分で様子を見る。

どうやら周りの雑魚は半分でも泡吹いて倒れるレベルの圧倒的格下だったようだ。

 

それに親玉のゴブリンキングも後退りしている。

 

「腕の飾りがないからハンターじゃない一般人だと思って油断した?でも残念だったね!一般人よりはちょっと強いんだよ私!」

 

「グ…ググググ……。」

 

ゴブリンキングが後退りしている。

どうやら勝てないと判断して逃げようとしているらしい。

 

『おい、気を抜くでない。ゴブリンは狡い手を使う種族じゃ。油断させて反撃をしてくるかもしれぬ。』

 

「マジ?じゃあトドメ刺しといた方が……」

 

「……ォォォォォォォォ……。」

 

「ん?今何か言った?」

 

『妾では無いぞ。』

 

「ウオオオォォォォォォァァァァァ私の獲物に手を出すなァァァァァァ!!!!!!!」

 

「うえぇぇぇ?!ご、ごめんなさいそんなつもりは…」

 

「この薄汚いゴブリンがァァァァァァ!!!!!!」

 

「そ、そっちィィ!?」

 

  ザシュッ!!

 

次の瞬間にはゴブリンキングは頭から腹まで真っ二つに切り裂かれていた。

 

「ハァ……ハァ……低俗なゴブリン共め…この私の獲物を横取りなんぞ1000年早いわよ……!」

 

突然現れた謎の女…女だよね?

腕に金の装飾、つまりゴールドランクハンターの可能性が高い。

 

「ゴールドランクハンターが何故こんな所に…。」

 

「……ウッフフフフフ……ハアッ!アッハハハハハハハハハハハハハ!!やっとよ!やっと見つけた!特徴と一致するわ!コンとユリカ!レッドサーペントやアイアンゴーレムを単身撃破した魔人!あなた!私とやり合いましょう!」

 

「あ、遠慮しときます。」

 

『ありゃ変人じゃな。無視して先に行くとしようぞ。』

 

「逃がすと……思うなぁァァァ!!!!」

 

「…ッガぁ!!」

 

っぶねぇぇぇ!!

一瞬でも回避遅れてたら腕飛んでた!

この女イカれてんだろ!!

 

「ふざけんなよお前!!初対面でいきなり切りかかるのがゴールドランクハンターのやる事か!?てかせめて名前ぐらい名乗ったらどうなんだよ!!」

 

「……あら?あら失礼、私としたことが興奮してうっかり名乗り損ねていたみたい。では改めて、私の名はシグマ。本名ではありませんが個人的な事情で本名は明かせませんので。」

 

「やけに理性的になるじゃん?急に落ち着かれるとそれはそれで調子狂うなぁ。殺されるかもしれないってのにさ。」

 

「へ?ああ、先程は本当に興奮していたのでついうっかりやってしまいましたが、流石に罪の無い者の命を奪うつもりはありませんのでご安心を。」

 

「あっそ、じゃあそこどいてくれないかなぁ?」

 

「嫌です。」

 

「ハァ…やるしか無いのかなぁ…。」

 

そういう事ならやってやろうじゃないか。

スキル発動:威圧感100%!

 

ドゴォォッ!!

 

驚いたな、まさか威圧感だけで幻聴が聞こえるとは。

心做しか空気も重く感じる。

重く感じる?

そうだトレーニングモードの重力も解除しないと!

これで体もいくらか軽くなる。

それで、相手のリアクションは?

 

「ウウッ……ウッフフフ…フハハハハハハ!凄いわ!凄すぎ!こんな威圧感初めてだよ!これもスキルかなぁ?さっきの反応速度も私が来るの分かってたよね?スキルで気付いてたんでしょ?絶対強い!最っ高!!」

 

嘘でしょ?

雑魚とはいえゴブリンが泡吹いて倒れるレベルの威圧がさらに倍加してるんだよ?

デバフがかかってるのかどうかもわからないほどケロッとしてるし。

これはもしかしなくても……。

 

「こいつ……私より強いかも……!」

「この子……私より強いかも……♡」

 

「ねぇ、物は試しなんだけどさ?その武器下ろしてみない?私素手なんだよね。対等じゃないと思うんだけど。」

 

「あら、殴り合いが好み?良いわよ、私も久々に拳を振りたい気分だったわ!」

 

『地雷を踏み抜きおったか。死ぬなよ?』

 

「もちろん、生き残って第二の人生二人でエンジョイするよ!」

 

思惑通りに剣を下ろしてくれるとは思っていなかった。

見た感じでは剣がメイン武器の様に思えたけど、もしかすると使う武器はさして重要ではないのかもしれない。

確かスキルショップにウェポンマスターというスキルがあった。

同じとは言わずともそれに近いスキルを持っていた可能性は十分に有り得る。

何にせよこれで腹に風穴あけられる心配は少し減っただろうか。

 

「考え事?もっと私に集中してほしいな♡」

 

「うおっ!早い!でもこっちだってさっきより軽くなってんだよ!」

 

相手の打撃を交わしてカウンターを仕掛けたが、案の定あっさり避けられた。

 

「フフフッ、スピードもパワーも想定より弱いわ。その程度じゃレッドサーペントには勝てないでしょ?本気出してよ!それとも私じゃ不満?」

 

「本気出せって……言われてもッ!隙がないんだよお前!」

 

格闘戦を挑んだのは失敗だった!

私だって素人じゃないのにまるで攻撃が当たらない!

まさかこれもスキルなのか!?

というか私自身、対人戦向きの殺傷能力の低い攻撃手段が無い!

イカれた女が相手とはいえ殺すのはマズイし、どうするべきか…。

 

「フフフッ…さては私の強さの限界値がこの程度だと思ってるのかな?残念だけどフルパワーはこんな物じゃないんだ!フフフハハハハ……ハァァァァァァァ!!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

嘘でしょ?

ゴゴゴゴゴゴって効果音アニメでしか聞いたことないよ?

 

『かなりの魔力量…カロリー保存のスキルを考慮しなければ、魔力の最大値はお主を確実に超えておるじゃろうな。』

 

「私の鎧ってオリハルコンでできてるんだけどさ?オリハルコンは魔力を込めることで硬度を倍増させられるんだよ。今の私はまさに鉄壁要塞!さあ、全力でぶん殴っていいんだよ!?ほら、来て!」

 

マジかこの女。

言ったからな?

自分から殴れって言ったんだからな?

 

「分かったよ……やってやろうじゃんかよぉ……!!」

 

スキル発動:メタルボディ!

スキル発動:カロリー解放1500kcal!!

 

文字通りの鉄の拳で!

ライフルによる銃撃の約3700倍の威力で殴る!

鎧が無事でも肉体がミンチになるかもしれんがしったこっちゃねぇよ!

 

「ウオォォォォァァァァァァァァ!!!!!喰らえぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

ドグオォォォォォォッッッ!!

 

「ハァ……ハァ……ヤバッ……木とか地面とかえぐれてるし……流石に殺しちゃったかな……?」

 

「誰が死んだってぇ?」

 

「……冗談キツイって。」

 

「フフッ、流石に私でも今のはビクンてしたよ……こんなに興奮したのは初めてだった……なんならちょっと……イッちゃったかも……♡」

 

「はぁ……はぁ……はぁ……?キッッッッショ……戦闘狂な上にマゾかよ………。」

 

「へ?違う!違うわよ!私マゾじゃないわ!痛いのとか罵られるのは嫌いだもの!ただ強い人と戦うと興奮しちゃうだけ!断じてマゾじゃないわ!むしろサド!あっでも私より強い子なら責められるのもアリかも!」

 

「戦闘狂は否定しないのかよ。」

 

「フフフ…さてと、それじゃあやられた分をやり返すとしましょうか!」

 

「オイオイオイ冗談じゃないって!マジで死ぬから!一旦落ち着こう!?」

 

やばい殺される!

スキル発動:メタル

「えい!」

 

ドグオォォォォォォッッッ!!

 

「アガッ…アア…。」

 

し、死ぬかと思った。

さっき殴った瞬間にメタルボディの原材料をオリハルコンに変えておいて、残ってるカロリー全部硬質化用の魔力と踏ん張る力に消費した。

回復と合わせて何とか凌いだけどしばらくは壊れたオモチャみたいな声しか出せなそうだ。

多分私の後ろを見ればどれだけ威力が出たか分かるんだろうけど……見る勇気は無いなぁ。

 

「フフフッ久々に楽しめたわ。これは私からもお礼をしてあげないと失礼よね?」

 

「ガ…ガフ…。」

 

もう色々ヤバすぎて目の焦点が合わないけど、多分こいつ私のこと連れ去ろうとしてる。

着いてったらサンドバッグにされそうだけど、だからって何も出来んからなぁ。

コンちゃんどうにかならん?

 

《すまぬ、流石に封印の中からではお主の体に干渉できん。第二の人生、妾も着いておるからの。》

 

トホホ。

 

 

 

 

どこかの町

どこかの建物

 

目ェ覚めた。

どこここ。

 

「あ!やっと目が覚めたんだね!本当にごめん!流石にやりすぎちゃったよね!ごめんね!」

 

「ぁぁ……ぉこってなぃからだぃじょぅぶ……ぅん。」

 

コンちゃん経由で記憶が流れ込んできた。

どうやら彼女……シグマは根はいい子だったっぽい。

あの後私を連れ去ったシグマは落ち着いたあと物凄く後悔していたらしく、一生懸命に看病してくれていたらしい。

なんなら薬草を取りに山を登っていったとか。

 

「そういえば……シグマって名前さぁ?なんでそう名乗ってるの?」

 

「……それは……内緒というか……。」

 

「私立てなくなったんだけど?旅の途中だったのにさ。」

 

『お主性格悪いぞ?触れられたくない秘密というのは誰にでもある物じゃろう。特に彼女は見た目的にもそういうお年頃じゃ。』

 

「あ、それは違うので勘違いしないでください。」

 

「で?結局なんなの?」

 

「そ、その、身分を隠すため…ですね。」

 

「へぇ〜そうなんだ。」

 

「……それで、その情報を聞いてどうするおつもりですか?」

 

「何も?」

 

「へ?」

 

「単純に気になっただけ。襲われたこと自体は目立ちすぎてた自分に対するこの世界からの警告と受け取ったから、今はそこまで怒ってないよ。弱み握られたと思った?ビビらされた仕返しだよ。」

 

「あ、あははは……ホントに申し訳ない……。」

 

「そんなにクヨクヨしないでって。場を和ませるためのジョークだよ。そら、話は適当に済ませて旅の準備だ。」

 

「あ、もう行くんですね?準備手伝います。」

 

「いやいや私のはいいって。自分のを準備しな?」

 

「え、それってどういう……。」

 

「一緒に来ないの?楽しいと思うけど。」

 

「良いんですか!?」

 

「ボディーガードよろしく〜。」

 

「は、はい!頑張ります!」

 

なんか最初とは別人みたいな感じだけど、シグマが仲間に加わった。

RPGゲームならファンファーレが鳴り響いているだろう感動的な場面だね。




本編だとスルーされてるけど、何気に2日以上寝たきりだったユリカ。
しかもその間に目的地にしてた山超えてた。
いったいどこに旅立つつもりなんでしょうね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。