「妹紅~~~!慧音さ~~~ん!」
妖怪の山からやっとの思いで帰って来たが洞窟の中には誰もいなかった
当然っちゃ当然か
あれから、戻る時間も合わせて12日間も経っている。出来るだけ急いだんだけど
鬼たちの宴会にさえ参加しなければなぁ
しかし、妹紅が居ないのは良いとして慧音さんも居ないのはなんで?
まさか、慧音さんに妹紅を取られた!
・・・いや、冷静になれ俺
考えられる可能性としては、妹紅が俺を探しに行って慧音さんがそれに同行した。くらいだなぁ
なら、俺も探しに行くべきなんだろう
よし!超面倒臭い!
・・・・・いつか縁があれば再会できるよ
それまでは、気ままな1人旅を堪能しよう
「それで、アンタ何者なんだい?」
俺は今、でかいしめ縄に襲われている
もとい、でかいしめ縄を付けた女性に襲われている
何でこんな事になったかと言うと
『有名な神社にお参りをした』
これだけだ
神社で手を合わせていたらでかいしめ縄が出てきて妖怪だとバレた
正直、訳が判らない
姿はちゃんと人間だったし霊力も出していた
何故、バレたんだ?
「なんでバレたって顔してるね」
はい、その通りです
「この神社に祀られている神は私さ。その神に願いをすれば当然願いは私に届く」
成程、鬼の宴会に耐えられる臓器が欲しいなんて願うんじゃなかった。鬼の宴会に参加できる人間なんていないし
「このまま大人しく住処に帰るならば良し、さもなくば五体満足でいられるとは思わない事だね!」
痛いのは嫌だし、お参りは済んでるし・・・行くか
「じゃあ、俺は帰るから。願い事は出来ればで良いからな」
帰るって言っても帰る場所なんか無いけど
次は何処に行こうかな?
「って、ちょっと待ちなよ!」
何で呼び止めるかな、大人しく帰るって言ってるのに
「あんた、何か悪さしに来たんじゃないのかい!?」
失敬な、良い事はしても悪い事はしないと評判の俺に向かって
そんな評判聞いた事も無いけど
「いや、別に。悪さする理由も必要も無いし?」
「妖怪なら力が衰えない様に人を襲うものだろ!?」
「知らないのか?最近は妖怪でも人を襲わなくても生きていける奴もいるんだぞ」
多分、俺限定だけど
「そんな馬鹿な!じゃあアンタは何しにこの神社に来たんだい!?」
「妖怪が神社にお参りしちゃいけないのか?」
「神社にお参りする妖怪なんか普通は居ないんだよ!」
別に良いじゃないか、妖怪だって神のご利益が欲しい時もある。主に肝臓とかの為に
「何だよ?神のくせに参拝者を選り好みするのか?信仰する者全てに等しく加護を与えるのが神じゃないのか?」
何で俺こんな所で神に説教してるんだろ
「うっ!確かにその通りだ」
「分かったらこれからは気を付けろよ」
さて、今度こそ行こう
「待ちな」
今のは綺麗に見送る空気だっただろうが
「あんた、本当に妖怪かい?」
「俺を妖怪だと言ったのはそっちだろ」
「そうなんだけど・・・「どうしたんだい?神奈子」諏訪子か」
今度はでかい帽子を被った少女が出てきた
何なんだ?俺は特に悪い事してないよな?
「いやさ、妖怪が出たんで追い返しに出てきたんだけどね。どうにも変な奴なんだよ」
変な奴とは聞き捨てなら無いな
「変な度合いで言えば、あんた達も十分変だぞ?」
しめ縄とか帽子とか
「あはは、神に向かって言うじゃないか。立ち話もなんだし中に入りなよ」
半ば強引に腕を引かれて連れ込まれる
もう一回言うぞ?俺何も悪い事してないよな?
「つまり、あんたは妖怪なんだけど人を襲わなくても生きていける訳なんだね?」
「そうだって何回言えば気が済むんだ?」
やっと納得してもらえた
たかがそれだけの説明で何で1時間も掛かるんだよ
神なんて非常識な存在のくせに他の非常識は容認できないなんて・・・頭が固いとしか言い様が無いな
「けど、珍しい妖怪もいたもんだねぇ。永く生きてるけど、そんな妖怪初めて見たよ」
「そうかい、じゃあ俺はいい加減帰らせてもらうぞ」
こんな面倒臭い奴らに絡まれるなんて俺もツイてない
「まぁまぁ、そう言わずにしばらくゆっくりしていきなよ。勘違いで襲ったお詫びとしてさ」
「諏訪子!妖怪をもてなすなんて何考えてるんだい!?」
「でも、事情も聞かずに襲ったのは神奈子でしょ?これくらいしても罰は当たらないと思うよ?」
どう考えても罰を当てるのはあんたらだと思うぞ
「確かにそうだけど・・・」
「なら決まりだね!私は諏訪子、あっちのが神奈子っていうんだ。よろしく」
「・・・まぁ、良いか。俺は灰刃だ」
このまま流れに身を任せた方が面倒が少なそうだ
何だか知らないけど蛙に気に入られた
この守矢神社に引き止められてもうすぐ100年になる
隙を見ては逃げ出そうとするんだけど、その度に見つかって連れ戻される
本気を出せばすぐに逃げられるんだけど・・・多分俺も何だかんだ言って此処が気に入っているんだと思う
ってか、連れ戻す理由を訊きたい
「灰刃~、お供えの中に良いお酒があったから一緒に飲まない?」
こんな感じで非常にフレンドリーだ
神がこんなので神社は大丈夫なのかね?
・・・大丈夫なんだろうな。だからこそ100年も居候を続けられたんだろう
「まだ日が高いから後でな」
「あ~う~、それじゃまるで私が昼間から飲んだくれてるみたいじゃないか」
「事実そうだろう?酒は晩酌と決まってるんだぞ」
1週間、朝も昼も夜も無く飲ませられた俺が言うのもなんだが
「う~分かったよ。じゃあ夜ね」
あれから大分酒にも強くなった
神奈子か諏訪子が願いを叶えてくれたのか神に付き合って飲みまくった所為か
どっちにしても神のおかげだって事は変わらないか
最近じゃ神の傍に居る者だって事で拝んでいく人も少なくない
おかげで神性がついてきちまった
神になんてなるつもりは毛頭無いから能力を使って神性を出来るだけ下げているけど
そういえば新しい能力を使える様になった
『上と下を操る程度の能力』だ
元々の能力の応用で温度程度なら操れたけど、ここに来て本格的に能力として独立したらしい
そのおかげで神になんかならずに済んでいるんだけど
そろそろ此処も潮時かな
ん?・・・何だ?でかい妖気が近付いて来てる
まだかなりの距離があるけど、確実にこの神社に向かってきてる
・・・・・速いな
一宿一飯の恩(の100年分)もある事だし、追い返しに行くか
「ちょっと出かけてくるよ」
「ああ、夕飯までには戻ってきなよ」
「善処するよ」
神奈子はこの妖力に気付いてないみたいだな
好都合だ、心配かける前に済ませよう
「灰刃、気をつけてね」
諏訪子は薄々感じているみたいだな
「分かってるって」
さっさと終わらせてこよう
ただ、感じる妖力が近付くにつれてどんどん大きくなってるのが気になるな