東方増減記   作:例のアレ

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人里

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想卿に住むようになってから1ヶ月が経った

 

偶ににとりが遊びに来る程度で後は殆ど昔と変わらないのんびりとした生活を送っている

 

今日も縁側で日の光を浴びながら何をするでもなくのんびりしている

 

「良い天気だなぁ」

 

誰に言う訳でもなく呟いてみる

 

「そうですねぇ。ところでそろそろ取材を受けてくれる気になりましたか?」

 

「別に構わないけど、ここだと眠くなるなぁ」

 

「そうですね。じゃあ家の中に入ってもよろしいですか?」

 

「ああ、良い・・ぞ?・・・・・何時の間にそこに居たんだ?」

 

俺の横には何時の間にか天狗の射命丸が座っていた

 

「四半刻(30分)程前からです」

 

そんなにか、ちょっとボケッとし過ぎたかな

 

「まぁ良い、取材だったな?今お茶でも入れるから待ってろ」

 

「あやや、ありがとうございます」

 

 

 

 

 

 

 

「では、最初に何歳ですか?」

 

「多分だけど1600歳くらい?」

 

限りなく多分だけど。アイツが何歳かは知らない

 

「あやや、大妖怪ですねぇ。次に能力を教えてください」

 

「増と減を操る程度の能力と上と下を操る程度の能力と遠くの音を聞き取れる程度の能力、場合によっては増えるかも」

 

もうアイツが出てこない事を祈ろう

 

「3つもですか!?珍しいですねぇ。では貴方の妖怪としての種族は何ですか?」

 

「ん~、さぁ?」

 

少なくても河童や天狗じゃない事は確実だな

 

「さぁ?って、1人1種族の妖怪ですかねぇ?では最後の質問です、恋人は居ますか?」

 

「居る訳無いだろ!?」

 

居た事すら無いっての!恋人居ない暦が年齢だよ!悪いかよ!

 

その後も色々と質問された

 

答えたくない質問は黙秘させてもらったが

 

「これで取材はとりあえず終わりです、ご協力ありがとうございました。出来上がった新聞は後日お届けしますね」

 

「新聞?新聞なんて作ってるのか?」

 

「はい!あ、前に発行したのを置いていきますね」

 

射命丸が新聞を取り出し机に置く

 

・・・・・何処から出した?まぁ深く突っ込まない様にしよう

 

「あやあや。新聞?」

 

「文文。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)です」

 

「気が向いたら読んでおくよ」

 

「ではでは~、また何かありましたらよろしくお願いします~」

 

言い残し飛び去る射命丸

 

俺ものんびりしてばっかいないで少し出掛けるか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、その辺を散歩してみよう

 

山を下りて麓の森に入る

 

 

・・・うわぁ~~~ん

 

 

何だ今の?泣き声?

 

行ってみるか

 

 

 

 

声のした方に走っていくと数匹の妖怪が人間の少女を襲う所に遭遇した

 

恐らく何処かにあると紫が言っていた人里から迷い込んだのだろう

 

さて、本来なら妖怪たちも生きる為だと見捨てる所だが

 

何かあの妖怪たち・・・キモい

 

体が全体的にぬるぬるしてる、ナメクジみたいだ

 

ビジュアル面では圧倒的に少女の勝ちだし、助けよう

 

恨むなら自分の容姿を恨め

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず、先頭で少女に飛び掛ろうとしてた妖怪に妖力で作った弾をぶつけてみた

 

意外にあっさりと消し飛んで驚いた

 

残った妖怪が何だか叫んでいたが無視して次の弾を飛ばそうとしたら蜘蛛の子散らすように逃げ去った

 

根性の無い奴らだなぁ

 

自分の得物を横取りされまいとする気概がない

 

楽で良いけど

 

そんな事より少女だ

 

見た目は5、6歳くらいの中々可愛い子だ

 

いや、俺はロリじゃないよ?変態でもないつもりだし

 

・・・そんな事はどうでも良いんだよ

 

最初の妖怪を消し飛ばした時は目を見開いて驚いていた少女だが、俺の姿を見た途端更に怖がり出した

 

ちょっとだけショックを受けても仕方ないと思うんだ

 

「迷ったのか?」

 

とりあえず話し掛けてみた

 

「うん・・・」

 

「人里の子か?」

 

「うん・・・」

 

「帰り方は分かるか?」

 

ぐす・・・

 

ああ、また泣いちゃった

 

子供のあやし方なんて知らないし・・・まいったな

 

放っておく訳にもいかないし、送っていくか

 

 

 

 

 

 

現在、夕刻の空を少女を抱えて飛行中

 

空を飛ぶなんて経験、普通に生きてる人間は無いだろう

 

その証拠にさっきまでの涙が嘘のようにはしゃぎ、笑う少女

 

何だか初めて妹紅を抱えて飛んだ時を思い出す

 

・・・・・妹紅、元気にしてるかなぁ

 

結構、無茶する奴だし。今度暇になったら探しに行ってみようか

 

「ねえ、お兄ちゃんは妖怪なの?」

 

少女の声で考えが中断させられる

 

「そうだよ。ちょっと鬼も混じってるけど」

 

「じゃあ私も食べるの?」

 

「そうだ、って言ったらどうする?」

 

涙目になってしまう少女

 

何だろう、可愛いなぁ

 

思わずお持ち帰りしたくなる

 

「お父さんとお母さんに会えなくなっちゃうのヤダ・・・」

 

ヤバい、本格的に泣きそうだ

 

「冗談だよ。俺は人間は食べないって」

 

「ホントに?」

 

「ああ、本当だ。ほら、人里が見えてきたぞ」

 

途端に明るい笑顔を浮かべる

 

和むなぁ

 

思えばこんなに素直な反応を見せてくれる子は初めてかも知れない

 

いつも癖のある連中としか関わらなかったし

 

何て事を思っていると人里の入り口を通り過ぎた

 

慌てて里の中に降りる

 

「よ、妖怪!?」

 

「大変だ!退魔師を呼べ!」

 

あー、やっぱり騒ぎになるよねぇ

 

手前で降りて人の姿になってから来るんだった

 

今更後悔しても遅いか

 

とりあえず、この子の両親を探そう

 

「お父さん!」

 

「花!」

 

おや?この子の父親かな?

 

少女が一直線に鍬を構えた男性の所に走っていく

 

そうか、あの子の名前は花って言うのか

 

「今まで何処に居たんだ!」

 

「山の近くの森で迷子になっていたんだ。親なら目を離さずに見ていてやれ」

 

これで用は済んだし、俺も良い運動になった

 

めでたしめでたしって事で、帰りますか

 

「待ってくれ!」

 

後ろから声を掛けられる

 

「何だ?」

 

「娘を助けてくれてありがとう。しかし何故、妖怪のあんたが娘を助けてくれたんだ?」

 

妖怪が人助けするのがそんなに珍しいか?

 

・・・珍しいんだろうな

 

普通の妖怪は人間を喰うしね

 

世知辛いなぁ

 

妖怪ってだけで気軽に参拝や人助けもできやしない

 

「行く先々で言うんだけど、俺は人間は喰わないんだ。だったら人間を助けてもおかしくは無いだろ?」

 

「なら、あんたは俺たちの味方なのか?」

 

「味方でも敵でも無いさ。ただ山の近くで俺が気付いた時は出来るだけ助けてやるよ」

 

ちょっとだけ、俺かっこいいなんて思ったり思わなかったり

 

さて、暗くなってきたし、さっさと帰ろう

 

「ちょっと待ってもらってもよろしいですか?」

 

何で皆、俺の事を呼び止めたがるんだよ

 

偶にはすんなり見送ってくれよ

 

「・・・何?」

 

振り返ると着物を来た女の子が立っていた

 

「初めまして。私は稗田阿一と申します。」

 

「はあ、それで?その稗田さんが何の用です?」

 

「はい、私は今幻想郷の事を綴った幻想郷縁起と言う書物を編纂しているのですが、妖怪の項目に貴方の事を書き加えたいのでご協力願えませんでしょうか?」

 

つまりは取材か?1日で何回も取材を受けるなんて面倒な事この上ない

 

しかし、射命丸と違って真摯な態度でお願いしてきている

 

これを無視したら何となく後味が悪い

 

ここは、協力していてやろう

 

「お茶とお茶菓子くらいは出してくれよ?」

 

「受けてもらえますか!もちろんお出しします!では、私の家にお越しください!」

 

そして俺は稗田の案内で彼女の家に行く事になった

 

たくさんの人間の目に追われながらだけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、射命丸と同じ様な事を訊かれた

 

その都度適当に答えていった

 

なにしろ出された団子の様な物が美味すぎたんだ、そっちに夢中になっても仕方ないと思うんだ

 

「ご協力ありがとうございます、後日編集して載せたいと思います」

 

「そうか、じゃあ俺はこれで失礼するよ」

 

簡単な挨拶をして俺は山に帰る事にした

 

どんな内容になってるか今から楽しみだ

 

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